“民の竈(かまど)は賑わいにけり”に学ぼう!
927回目のブログです。
“高き家に 登りて見れば 煙立つ 民の竈は 賑ひにけり”
仁徳天皇『新古今和歌集』
仁徳天皇(第16代天皇)がある時に山に登られ「国見」をされたところ、炊煙が上がっていない人家を見つけられました。この地域は水が少なく、災害や飢饉に見舞われており、食べるものも十分に手に入れることができていないために炊煙が上がっていないのだろう、と推測された仁徳天皇は3年間、この地域の税を免除されたのです。
そして、民の生活が豊かになるまで食事も着物も倹約し、宮殿の修復も控えられました。民は天皇の御好意を知って、熱意を持って働くようになり、豊かさを回復。
その後、再び「国見」をされた時、炊煙が豊かに上がっているのを確認され、上記の和歌を詠まれ、税制を戻されました。
仁徳天皇の有名なお話です。
歴史に学ぶならば、国民が苦しい状況にある時は税などを緩め、活力の回復を待つべきではないでしょうか。
ところが、現在の政府(自由民主党+公明党)は「日本維新の会」と結託し、その「逆」のことをしているのです。この暗い闇について考えて見たいと思います。
国民民主党は、国民生活の厳しい実態に対する切実な声に応えるべく、「年収103万円の壁」を178万円に引き上げるよう求め、2025年度予算案に賛成しない方針を貫いて、自民党を揺さぶってきました。これに対して、現役世代の手取り収入を増やしたくない石破首相は、「国民民主」を袖にして、「維新」と組む道を選んだのです。
その背景には、財務省及び自民党石破首相の「緊縮財政至上主義」があります。国民民主党案(給与所得控除55万円+基礎控除48万円=年収103万円の壁⇒178万円)を採用すれば7兆5,000億円の財源を、維新の「高校授業料無償化」案ではわずか2,000億円の財源を。石破首相は、2,000億円の財源で済む維新を取り込むこととし、自・公・維の賛成でもって、3月4日予算案が衆議院を通過。これによって年度内に予算が成立することになりました。
昨年12月、自民・公明・国民の3党幹事長間で、①103万円⇒178万円、②ガソリン税上乗せ課税中止、の合意が書面でかわされたのですが、この約束事はあっという間に雲散霧消したことになります。政党間、政治家の約束が如何に上滑りで軽いものであるかが証明されたと言えるでしょう。
財務省の “財源はどうする”論から抜け出せない石破首相は、大多数の働き手の手取り増につながる国民民主の政策をないがしろにして、政局優先、私利私欲、維新と手を握ったと言わざるを得ません。
世間では、間違いなく、石破、維新のせいで一般国民の望んだ減税が遠のいたと感じたに違いありません。
国民民主党は「我が党の最大の味方は民意だ。参議院選で再び国民の判断を仰げばいい」と意気高く、参議院選に必勝を期すものと思われます。
石破首相が、大多数の働き手の手取りを増す政策の国民民主を排除し、維新を選んだことは、党内の反主流や積極財政派の激しい反発を予感させます。
例えば、高市早苗氏の投稿を。
・いわゆる「年収103万円の壁」を巡る自民党・公明党・国民民主党の3党協議に関する報道を見て、私だけではなく他の自民党所属国会議員達も落胆し、怒っています。
・私が知る限り3党協議前に平場(自民党所属国会議員が誰でも参加できる会議)は開催されておらず、自民党の提案とされる内容は、税制調査会のインナーと呼ばれる幹部数名で決めたのでしょうか。私も含めて報道で初めて知ったと憤る議員が多数です。
・そもそもの目的が曖昧になっており、かなり混乱しているように感じます。国民の皆様の手取りを増やして消費も増やすことによる経済成長(結果的に税収増にも繋がる)が目的なら、複雑な年収制限は効果的ではありません。人手不足対策が目的なら、税と社会保険を一体で見直さなければ、壁は残ります。物価高対策が目的なら、食料品やガソリン等を安くするための税の議論が必要。
・税制は、よりシンプルに、公正に、働く意欲を阻害しないものにしていくべきだと考えます。
・2021年の自民党総裁選では、岸田前総裁も私も、「分厚い中間層の再構築」を訴えていました。
高市氏が、自民党・石破首相の政策を真っ向から批判していることに疑いはありません。いよいよ “石破おろし” が始まったとみるべきではないでしょうか。
そして、財政にどのようなスタンスで臨むかが、政治家を判断する大切な基準になります。そこで、ここに積極財政派と緊縮財政派の分類をみてみましょう。
●積極財政派 ●中間派 ●緊縮財政派
【財政政策検討本部】 【旧岸田派】 【麻生派】
故・安倍晋三 岸田文雄 麻生太郎
高市早苗 木原誠二 鈴木俊一
西田昌司 小野寺五典 河野太郎
片山さつき 菅義偉 【財政健全化推進本部】
青山繁晴 小泉進次郎 古川禎久
【旧安倍派幹部】 小林鷹之 小渕優子
萩生田光一 【国民民主党】 稲田朋美
世耕弘成 玉木雄一郎 【自民党税務調査会】
西村康捻 宮沢洋一
【責任ある積極財政を 森山裕
推進する議員連盟】 【反アベノミクス】
城内実 斎藤健
中村裕之 村上誠一郎
【れいわ新選組】 石破茂
山本太郎 【立憲民主党】
【立憲民主党】 野田佳彦
江田憲司 安住淳
小沢一郎 【日本維新の会】
前原誠司
財政、金融理論から言えば、積極財政が正統であります。失われた30年を振り返ってみれば、積極財政に躊躇した理論不足、勇気の無さが惜しまれます。わが国は、本来、明晰な頭脳を発揮する若い人に恵まれており、そのような人物に大胆な力を発揮してもらうことが大事ではないでしょうか。
今は、時代の大転換期。インターネットを渉猟していたら、来る参議院選にからんでのキーワードに当たりました。大政党の大敗が必至の予感がします。それも当然かもしれません。庶民、国民の竈を蔑ろにしているようでは、もはや、「国民政党」と言えませんから…。
① 自民党、議席崩壊
② 変革の胎動
③ 非拘束、魂の投票
④ 流転する野党の座
⑤ 揺らぐ、組織の変化
⑥ 選挙、知名度の呪縛
⑦ 世論、希望の予兆
⑧ 崩れ行く一強支配
⑨ デジタルの夜明け戦術、
⑩ 政策、信頼の終焉
「民のかまど」から煙が立ちのぼるのは、いつのことになるのか!
皆さんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセ-
です。
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