2022年9月30日 (金)

中国から国内へ生産回帰…アイリスオーヤマに見る!

 860回目のブログです

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 “水鳥の 行くもかえるも 跡たえて されども路は わすれざりけり”
                道元(鎌倉初期・曹洞宗開祖)

 水鳥は、秋は南に渡って行き、春は北へ帰って行く。行路には何の跡をも残さないが、しかし、水鳥たちはその行路を忘れる事が無い…。

 帰る事を意識していなくても、自然な振る舞いの中で、忘れずに帰る事が出来る。「無為自然」…あるがままにまかすことを詠んだ歌です。

 9月27日、安倍首相の国葬儀が執り行われました。国内では賛否両論ありガタガタしましたが、儀式そのものは簡素、厳粛に行われ、国際的な体面は取れたのではないかと思います。それにしても、国葬に反対するメディア、極左、リベラルサヨク、年配者の品の無さ、柄の悪さは、度を超えているのではないでしょうか。わたし達国民は、“葬儀” であることを認識し “暗殺” された首相を弔うに相応しい雰囲気のなかで、心静かに思いを馳せるべきだったと考えます。

 さて、わが国は、中国(中共)との関係において、経済面において深いつながりがありますが、先日、大きなニュースが反響を呼んでいるようです。

生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」(年商8,100億円)が、現在中国で行っているおよそ50種類におよぶ製品の生産を、コスト削減のために国内の工場に移すことを決めたことが、報道され注目を集めています。

 原材料価格や人件費の高騰、あるいは円安の長期化の影響で、中国での生産コスト、さらに日本への輸送にかかるコストが上昇しているとのことで、衣装ケースなどプラスチック製の収納用品などを国内生産に切り替えるとのことです。

 中国から日本国内に生産を切り替えることで、およそ2割のコスト削減が見込めると言い、今後、園芸や除雪用品の生産の移管も検討するとのことですから、この動きは、アイリスオーヤマに限らず、他社も動きはじめるのではないでしょうか。

 以前は、猫も杓子も、中国へ、アジアへと製造拠点を求めましたが、近年、中国をはじめとした各国で人件費が高騰し、労働力の確保が難しくなってきました。その反面、日本の賃金水準は30年間ほとんど停滞したままであることは周知の事実。

 「海外より日本でつくった方が安上がり」という事態の出現。すなわち「物価と人件費の安い日本」の象徴的な出来事が産業界に具体的に現れたたことを意味するのではないでしょうか。

 国内製造への回帰は、喜ばしいこととして受け止めなければなりません。何と言っても、GDPに寄与するわけですから。

  【GDP】=「Gross Domestic Product」(国内総生産)

  一定期間内に国内で産出された付加価値の総額で、国の経済活動状況
  を示す。付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、
  原材料や流通費用などを差し引いた価値のこと。

 ただ、国内に戻ったからと言って、ストレートに雇用拡大が進むのではありません。今や、工場生産は積極的なロボット採用により省人化をはかっているのが常識ですから。それでも、国内経済にとっては大きなプラス要因と言わざるを得ません。

 ところが、日本国政府はと言えば、製造拠点の国内回帰に対して、候補地の紹介や資金調達支援などは眼中になく、それとは真逆の政策を推進すると発表。

中小企業の海外進出へ担当室 政府、販路など一括支援

 政府は、国内の中小・中堅企業の海外進出を支援するため海外ビジネス投資支援室を内閣官房に設置した。進出する候補地の紹介や販路開拓、資金調達を一括で支援し日本企業の海外での収益向上につなげる。
 木原誠二官房副長官が同日の記者会見で発表した。「日本の成長力を強化する観点から、技術やノウハウを生かした日本企業の海外投資を支援する」と述べた。
                              (2022/8/1 日経新聞一部抜粋)

 今、物価高騰の一因とも見做され、白眼視されることの多い昨今の急激な円安ですが、円安はメリットもあります。アイリスオーヤマのような大きな雇用を創出する可能性を秘めた動きに関しては「まさに円安のメリットだ」と言えるのではないでしょうか。

 それにもかかわらず、時代の動きに逆行するかの如き政府の動きに対して、SNSでは「チグハグ」「アホ丸出し」との声が噴出しました。普通、円安であれば国内投資に向けるべきですから。

 円安が進行する中、岸田政権は、エネルギー問題の解決に全力を上げるとともに、生産の国内回帰を支援すべき時に、なんと「海外ビジネス投資支援室」とは。岸田政権の全ての政策は不可解としか言いようがありません。

 いまは、×「中小企業の海外進出を支援」ではなく、
     ◎「中国から日本国内への回帰を支援」が良策

 滔々とした時代の流れに逆らうのではなく、冒頭の道元の歌にあるように「無為自然」…あるがままに現実を捉えることが求められているのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年9月23日 (金)

岸田政権の終わり?…青木の法則から見る

 859回目のブログです

20229231

   山間秋夜(山間の秋夜) 真山民

  夜色秋光共一欄(夜色秋光共に一欄)
  飽収風露入脾肝(飽くまで風露を収めて脾肝<ひかん>に入る)
  虚檐立尽梧桐影(虚檐<きょえん>立ち尽くす梧桐<ごどう>の影)
  絡緯数声山月寒(絡緯<らくい>数声山月寒し)

 更け行く秋の夜の色と月の光が共に欄干を照らしている。
 秋風と白露に満ちた夜の冷気を心ゆくまで腹一杯に吸い込みながら、
 誰もいない軒先の青桐の影が落ちている辺りに立ちつくしていると、
 静寂を破ってコオロギが急に鳴き出し、その声に山上の月の一層の寒さを
 覚えたのである…。

 真山民(しんさんみん)は1274年ごろの南宋の詩人。更け行く秋の夜の景色をありのままに詠った名詩あり、詩吟でもよく吟じられます。

 荒れ狂う台風14号の到来。これに身を低くして過ごさなければならないどころか、河川の氾濫、土砂の崩れ、強風の嵐、には抗う術もなく天地の鎮まることを祈るほかはありません。

 こんな時だからでしょうか、政界も荒れ模様になってきました。

  岸田内閣支持29% 7ポイント減、3割割る 毎日新聞世論調査

 毎日新聞と社会調査研究センターは17、18の両日、全国世論調査を実施。
岸田内閣の支持率は29%で、前回調査の36%から7ポイント下落した。内閣支持率が30%を切るのは政権発足以降初めて。前回調査でも前々回比で16ポイント減少しており、下落傾向が続いている。不支持率は64%で、前回(54%)より10ポイント増加した。
 また、自民党の支持率も前回(29%)から6ポイント低下し23%だった。

 いわゆる世論調査というものは、各社によって調査方法が異なり、例えば、時事通信であれば、個別面接方式であり信頼性は高いと言われ、毎日新聞は内閣支持率は低めの数字が出るようです。ここでは、毎日新聞のデータを使い岸田内閣の揺らぎ具合を見ていきたいと思います。

 永田町に伝わる「青木の法則」という経験則があります。“参院のドン”と呼ばれた青木幹雄元官房長官が提唱した法則で「内閣の安定度」を示す方程式であり、政界では有名です。

    【青木の法則】(青木率・アオキレシオ)

  内閣支持率(%)と与党第一党の政党支持率(%)の和が
   60ポイントを切ると、政権運営に黄信号がともり、
   50ポイントを下回ると、政権が倒れる。

 今回の毎日新聞の調査結果では。
   岸田内閣支持率(29%)+自民党支持率(23%)=52ポイント

 驚きました! 52ポイントとは、政権が倒れる寸前の数字であり重大な局面を迎えているのではないでしょうか。(まさかと思い、時事通信の世論調査結果を見ると、岸田内閣支持率(32.3%)+自民党支持率(22.4%)=54.7ポイント、たしかに青木率を意識せざるを得ない局面です)

 思い起すと、岸田政権が発足したのは令和3年(2021)年10月、首相に選出された時は、“ 聞く耳 ”を強調し“ 正姿勢 ”を唱えました。しかし、内外ともに厳しい情勢の中にあって、ここにきて、国民の支持が釣瓶落としを見せるなど、残念な状況ではないでしょうか。

 なぜ、このような事態を迎えているのかについて考えて見たいと思います。

 まず、この1年間の岸田内閣の政策に関しての取り組む姿勢が挙げられます。ほとんどの政策について先般の参議院議員選挙まで延ばしたのではないでしょうか。現下の、コロナ、経済、外交、軍事、その他もろもろ、本来ならば待ったなしで即座に取り組まなければならないにも関わらず、「聞く耳」だけは開き、ただ聞き置くだけ、そしていわゆる “検討使” と揶揄される有様。国民が求めているのは政策に対する明快な説明と実行力であり、国民のイライラ感が半端でない状況に至っていることは世論調査の数字に表れています。

 コロナについて。岸田内閣はコロナの一般インフルエンザ扱いについて消極的、ないしは責任逃れに堕しているようにも見えます。政府は、コロナを感染症「2類相当」から感染症「5類」(従来のインフルエンザと同等)に変更することに対して、現時点では現実的でないと発言。責任を回避する体質から離れられず、責任を負うことが怖くて仕方ないのでしょう、これではいつまでも現状のまま、経済の足を引っ張るばかりではないでしょうか。(欧米を見習いましょう。日本だけがコロナに怯えているのですから)

 経済について。急速な円安、物価の高騰、電力問題、少子高齢化、移民、経済安保、など、経済問題には難題が多く、総合的な対策が求められます。特に一般庶民は物価上昇についての政府の具体的な対策を求めているのですから、政府として丁寧に説明すべきではないでしょうか。わたし達一般庶民はそれを見ているのです。

 安倍首相の国葬儀について。まず問題となったのが、当初国葬にかかる費用として2億5千万円と発表したこと。そんなバカなことはないとの世間の反論が出て16億6千万円に修正。なぜ国葬を行うのかということに対しての明確な説明と信念が岸田首相に無かったことです。

 報道では「安倍元首相の国葬は、最大派閥の安倍派に配慮したもの。内閣改造人事でも安倍派の有力者を処遇。岸田首相としては、安倍派に恩を売って政権基盤を安定させようという思惑だった。しかし、国民の声を背景にした国葬ではなく、岸田首相の政治的な意向が透けて見えてしまっていることもあり、国葬反対が急増していると思われる」(前自民党の閣僚経験者)

 統一教会について。統一教会の問題を巡る岸田政権の対応について、「評価する」との回答は、毎日新聞で12.0%、時事通信で12.4%。自民党の対応がぐちゃぐちゃであり、不誠実と言わねばなりません。宗教、信仰、心性に鑑みて、答えるべきことと答えないこととをしっかり分けて回答すべきでした。何せ、統一教会は、胡散臭い存在であることは「霊感商法」「集団結婚式」「献金システム」「事業ビジネス」などを見れば一目瞭然ですから、誤解を生まないよう細心の注意を払わなければなりません。そして、まちがっても「魔女狩り」に堕してはならないことは言うまでもありません。

 エリザベス女王の国葬について。エリザベス女王の国葬参列については、岸田文雄首相の動向も報じられました。それが何と『岸田首相が、国葬への参列を見送る方針を固めた』という趣旨でした。BBCによると、当然ながら、御2人分の招待状であり、天皇陛下、皇后陛下の両陛下は、ウェストミンスター寺院で執りおこなわれるエリザベス英女王の国葬に参列されました。

 しかし、招待状が両陛下への2通ならば、そもそも岸田首相は招待されていないはず。あたかも、参列の予定があったかの報道に “見送るとは?” という疑問がわき上がっています。天皇、皇后両陛下に対して僭越、不遜の誹りを免れません。岸田首相・外務省・内閣府はどうかしていると言わざるを得ません。

 青木率50%割れ目前、岸田内閣は風前の灯でしょうか。

 正統なる政治姿勢に戻られることを祈ります。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年9月16日 (金)

国葬・統一教会問題を斬る!

 858回目のブログです

20229161

 “我も人も うそも誠も 隔てなく 照らし貫きける 月のさやけさ”
          貞心尼(江戸末期・歌集「はちすの露」)

 自分も人も偽りも誠も、区別なく照らし貫いている月の光は、なんとさわやかなことでしょう…。

 中秋の名月は9月10日。今年も満月の状態の名月を見ることができました。1年で最も美しいと言われる月が満月として昇ります。秋の風情のひとつとして心静かに堪能しました。

 さて、マスコミでは国葬問題と統一教会問題で大騒ぎ、例によって見識の欠ける上から目線で、重箱のスミをほじくる話ばかりが表に出て、問題の本質を抉ることを避けているようにしか見えません。

 そこで、何が問題であるかについて、考えて見たいと思います。

(1)【国葬について】

 9月8日、国葬に関して国会の閉会中審議が行われました。政府は、・日本武道館での葬儀実施費2億4,940万円、・警備に要する経費8億円、・海外要員の接遇に要する経費6億円、・その他1,000万円、合計16億5,940万円と公表。

 マスコミもそれに踊らされた国民も、金、金、金、血税、税金を使うなの大合唱。異様な姿を露呈しており、品位に欠けると思います。例えば、企業の社葬を見ればその会社の品格が分かると言います。社全体として静かに喪に服する姿勢の中で、粛々とした厳粛かつ品位ある葬儀が真に追悼の誠を醸し出すのではないでしょうか。

 「日本」はこのままでは世界の笑いものになってしまいます。わが国は国葬儀でさえも真摯に対処できない浮付いた国民に堕してしまった感があり残念でなりません。まだ国葬までには若干の時間があります、わたし達国民は、今すぐでも冷静さと落ち着きを取り戻し国葬に備えるべきではないでしょうか。ましてや死者に鞭打つ言論は止めにしてもらいたいものです。

 よくよく考えて見れば、何よりも重要なのは、安倍元首相が亡くなった経緯です。民主主義の根幹である選挙の最中に、憲政史上最長を誇る安倍元首相が「テロリスト」により暗殺されたという冷厳とした事実を。日本国は「テロには屈しない」という強い意思を示さねばならず、それが国葬というものではないでしょうか。

 安倍元首相は「地球儀を俯瞰する」視点で外交を展開し「自由で開かれたインド太平洋」の理念を構想、発信し、関係各国首脳への説得を重ね、その実現にまで漕ぎつけました。世界のリーダー” “偉大なる首相として世界から賞賛を浴びた中において凶弾に倒れ、世界260ヶ国は即座に懇篤なる弔意を示しました。

 このたびの国葬のゴタゴタの原因は岸田首相にあります。本来、葬儀が荘厳なものであるにもかかわらず、邪に、政権浮揚、派閥政略に利用しようとしたからに他なりません。国葬にするならば他の政党にも話を通し理解を得る努力をする必要があったと思います。要するに、岸田首相は、政治に真摯さを欠いたのではないでしょうか。

 真摯さを欠いたと言えば、立憲民主党の辻元清美、蓮舫の両議員。彼女らは、ツイッターで、岸田総理の名前で送られた国葬への招待状の写真をアップし、声高らかに “欠席します” と宣言。まさしく政治的パフォーマンス。参列しないのであれば黙って行かなければいいのであって、それが日本人的感性というものだと考えます。また、国葬について議論するのは大いに結構ですが、海外からVIPをお招きするのですから、最終的には、国会として、日本国として、海外に向け、一体のスタンスで臨まなければならず、国葬というものを政争の具にすべきではありません。

(2)【統一教会について】

 宗教界の政界への浸食は半端なものではありません。新興宗教は言うに及ばず、伝統的宗教においても大なり小なり関係性をもっています。現在の政局においても、創価学会「世界平和統一家庭連合」(略称:統一教会、旧名称:世界基督教統一神霊協会)は、政界と深い関係にあると言わざるを得ません。何せ、創価学会は公明党と異心同体であり、統一教会は、今回の自民党国会議員の調査において、いわゆるズブズブの関係が白日の下に晒されました。(もちろん、野党にも関係する議員は存在します)

 ここでは統一教会においてどのような接点があったのかを見ていきましょう。①祝電やメッセージ、②広報誌でのインタビュー、③関連団体の会合であいさつ、④教団主催の会合への出席、⑤教団や関連団体への会費支出、⑥寄付やパーティー券による収入、⑦選挙でのボランティア支援、⑧選挙での組織的支援や動員受け入れ。…あらゆる局面で関係性を持っているのが分かります。

 「猿は木から落ちても猿だが、議員が選挙で落ちれば、ただの人だ」という言葉がありますが、議員にとっては当選がまず優先、したがって、無償の支援はのどから手が出るほどの有難い存在となります。そこで統一教会は巧妙に議員に接触してきます。

 しかしちょっと待ってほしい。統一教会が胡散臭い存在であることは、「霊感商法」「集団結婚式」「献金システム」「事業ビジネス」などを見れば一目瞭然。賢明な国会議員ならば、「カルト」(カリスマによる狂信的宗教団体)の定義に照らして統一教会の正邪を判断すべきではないでしょうか。(そして、わが国でもカルト規制法を成立させていただきたいものです)

    【カルト宗教の定義】
  ① 精神の不安定化(洗脳、マインドコントロール)
  ② 法外な金銭的要求(多額の寄付金要求)
  ③ 住み慣れた生活環境からの断絶(監禁、出家など)
  ④ 肉体的保全の損傷(暴力:精神的暴力も含む)
  ⑤ 子供の囲い込み(子供の洗脳教育)
  ⑥ 反社会的な言説
  ⑦ 公秩序の攪乱
  ⑧ 裁判沙汰の多さ
  ⑨ 従来の経済回路からの逸脱
  ⑩ 公権力への浸透の試み。

 ・前々回の小ブログでも触れましたが、統一教会の強烈な反日教義に目を向けなければなりません。目を覚まして読んでみてください。

  ●『日本は「サタン」(悪魔)の国』
  ●『日本をアダム国家韓国の植民地にすること』
  ●『天皇を自分(文鮮明)にひれ伏させること』

そして、洗脳による霊感商法などで貢いだ金は全て日本からアメリカに送金され(1976年~2010年で 36億ドル<4,700億円> The New York Times)、事業展開され、コングロマリットを形成しているのです。

 「日本は敗戦までの36年間統治していた韓国への贖罪のために徹底的に貢がねばならない」という怨念を抱いていたのが教祖・文鮮明。それに力を貸したのが日本国の政治家だとするならば、統一教会の不法性を認識し平常な日韓関係に戻すべきではないでしょうか。

 ここでも戦後は終わっていないのです。半島にひれ伏すことは断じて止めなければならず、贖罪意識から脱却しなければ正常な日韓関係を築くことは出来ません。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年9月 9日 (金)

岸田首相「外国人留学生」をさらに増加!

 857回目のブログです

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  “夕されば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろやに 秋風ぞ吹く”
               源経信(平安後期・百人一首)

 夕方になると、家の門前にある田んぼの稲の葉にそよそよと音を立てさせ、蘆で葺いたこの山荘に秋風が吹き渡ってきた…。

 そよぐ風の音に耳をそば立て、澄みきった空に軽やかに浮かぶ雲を見上げるにつけ、いよいよ秋の訪れを感じさせてくれるようになりました。

 このような時候の折りでもあり、わが国の元総理大臣が凶弾に倒れたことに対して、静かに故人を悼む雰囲気が求められるのが極自然の感情だとは思うのですが、マスメディアは、侃々諤々、世の中に静謐さは求むべくもない状況です。

 元総理大臣が暗殺されたのです。歪んだ世相がむき出しになり何か本質を見失ったかの感さえしますが、今回の小ブログのテーマを見ても、岸田首相の政治姿勢に些か真剣さを欠く気がしてなりません。

岸田首相「留学生30万人」見直し さらに増やす計画策定を指示

 岸田総理大臣は永岡文部科学大臣に対し、年間30万人の外国人留学生の受け入れを目指す政府の目標を抜本的に見直し、さらに留学生を増やすための新たな計画を策定するよう永岡文部科学大臣に指示しました。
             (8月29日 NHK)

 岸田首相が「外国人留学生」(主力は中国人留学生)の大幅受け入れを表明したり、秋葉国家安全保障局長が中国の楊潔篪・共産党政治局員と7時間に及ぶ「天津会談」を行うなど、ここにきて、日本側による中国寄りの姿勢が顕著なってきました。

 さて、「留学生30万人計画」は平成20年(2008)当時の福田康夫首相が「日本を世界に開かれた国とし、人の流れを拡大していくために重要である」として計画され、令和2年(2020)を目標として進められました。今日までの推移を見てみましょう。

  外国人留学生

  平成23年(2011) 163,697(人)
    24年(2012) 161,848
    25年(2013) 168,145
    26年(2014) 184,155
    27年(2015) 208,379
    28年(2016) 239,287
    29年(2017) 267,042
    30年(2018) 298,980
  令和 元年(2019) 312,214
     2年(2020) 279,597
     3年(2021) 242,444

 上の数字で分かるように「留学生30万人計画」は令和元年(2019)に過去最多の31万人に達し、目標は達成されました。

 ところが、ご存じのようにコロナウイルスの感染拡大により、わが国は水際対策を実施し新規の入国を停止。そのために令和3年(2021)には242,444人に減少しました。

 それでは、どのような国・地域から日本へ留学しているのでしょうか。

  国・地域別留学生】上位5ヶ国

   中国    114,255(人) 47.1(%)
   ベトナム   49,469    20.4
   ネパール   18,825     7.8
   韓国     14,247     5.9
   インドネシア  5,792     2.4

 想像はしていましたが、やはり中国(中共)からの留学がダントツであり、何と41.7%。岸田首相の文科大臣への指示が報道されると、SNS上では否定的な意見がかなり多く見られました。その理由などを纏めてみましょう。

 なぜ、留学生よりも日本の学生を助けないのかの声。留学生への奨学金は給付型であり、返済は不要であることを考えれば相当優遇されているのと見るべきです。それに比べて、日本の学生は貸与型の奨学金であり、新卒後いきなり多額の借金を背負うことになり、それがハンデとなることは周知の事実です。(…平均借入額は324万円、返済には15年掛かる)

 ・中国人留学生への優遇実体が流布されており、一部を抜き書きします。
  ① 奨学金 月額142,500円(年171万円)
  ② 授業料 国立大学/全額免除 公私立/文科省負担(年52万800円)
  ③ 渡航費 航空券支給(東京―北京111,100円)
  ④ 帰国費 航空券支給(同上)
  ⑤ 渡日一時金 25,000円
  ⑥ 宿舎費 月額9,000円または12,000円
  ⑦ 医療費 実費の80%
    合計:年262万円 4年間1048万円 返済不要

 留学生の中で最も多いとされる中国人留学生のスパイ行為が危惧されています。わが国にはスパイ行為を取り締まる法律が無く、世界から“スパイ天国”と揶揄され、バカにされ、スパイがうようよしている有様。近年「学術スパイ」の存在が明らかになり、欧米から拒絶された留学生や投資が日本に流れてきていると指摘されており油断は大敵と考えなければなりません。

 このような時、岸田首相による、外国人、特に中国(中共)人の留学生の受けいれ増については「スパイ防止法の制定もないままに、何と呑気なことを言うのか」との声がSNSで厳しく上がっているのは事実です。

 岸田首相は「留学生はわが国の宝」と語っていますが、この留学生は外国人留学生のことであり、「日本人で外国に留学する学生」のことを指しているのではありません。中国人学生を何千人も受け入れるゆとりがあるのであれば、日本人で外国に留学する学生にも配慮するとともに、貧困に喘いでいる国内学生にも目を配る必要があるのではないでしょうか。

 岸田首相には、留学生を増やすことの「メリット」「デメリット」を明確に比較衡量していただき、きちっと説明してもらいたいものです。とりあえずはスパイ防止法を制定してからにしませんか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年9月 2日 (金)

宗教・カルト・政治・イデオロギーを考える!

 856回目のブログです

2022921

 “秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる”
             藤原敏行(平安時代前期・古今和歌集)

 秋が来たと、目にははっきりとは見えないけれど、爽やかな風の音で、秋の訪れに、はっと気付かされたことです…。

 猛暑、熱暑から、9月の声を聞くと、朝夕はいつの間にか涼やかな風の音を感じます。そんな時、安倍元首相が銃撃された事件の検証結果が警察庁から出され、その結果を踏まえて、警察庁長官、及び奈良県警本部長が辞職することになりました。

 全体的には警護に課題があったと集約。警備計画、現場の対応に数々の信じられない問題点のあったことが指摘されています。警察においては、このことを踏まえて、9月に行われる「安倍元首相の国葬」や、来年5月に開催される「主要国首脳会議」(G7サミット)に日本を訪れる各国の要人警護には“万全”を期し、名誉を挽回してもらいたいものです。

 さて、今、連日の如くマスメディアを賑わしている「世界平和統一家庭連合」(略称:統一教会、旧名称:世界基督教統一神霊協会)を考えるにあたっては、次の3点に分けて考える必要があります。

   ① 霊感商法と寄付、寄進、
   ② 政治と宗教
   ③ 宗教ビジネス

 ところがマスコミでは①の霊感商法と②の政治と宗教とをごちゃまぜ、③には一切触れずじまい。もう少し冷静に分析すべきであって、今の状態は知性皆無の「魔女狩り」状態と言わねばなりません。

 (門田隆将氏の論稿より)アベガーとマスコミが創り上げた虚構に国民はいつ気づくのか。消費者庁設置・消費者裁判手続特例法・消費者契約法改正によって霊感商法被害額をピーク時の50分の1に激減させた自民党政権。

     【統一教会】霊感商法の被害額

  昭和62年(1987) 2647件 163億9,826万円
  令和 3年(2021)   47件   3億3,153万円

  ※最近の2009年~2021年(13年間) 平均283件 12億8841万円/年

 宗教団体にお金などを差し出す時の言葉としては、寄付・浄財・寄進・喜捨・奉加・布施・奉納など色々ありますが、これを単純に問題視することは出来ません。しかしながら、霊感商法の壺・高麗人参の茶・ミニチュアの石塔・教本・印鑑などの法外な価格の販売は常識外と言えるのではないでしょうか。(それでも、信ずれば救われるとも言いますし、鰯の頭も信心からという言葉もあります…。)

 政治と宗教について考えて見ましょう。今、マスコミは統一教会をぼろくそに叩いていますが、統一教会はどれだけ政治に影響を与えているのでしょうか。与党の自民党と圧倒的に接触しているようですが、それが、例えば、消費者契約法改正によって、壺などの買戻しなどが可能になり、壺販売には政治的圧力は効果無しでしたから、大した影響を与えていないと思われます。

 一方、政治家は、選挙運動における無償の支援には感謝したでしょう。実際、選挙応援を経験してみれば分かりますが、選挙運動でのポスター貼り、証紙貼り、電話での投票依頼など猫の手も借りたいほどの忙しさ。そこへ統一教会の “お助けしましょうか” との声に何の調査も、考えもせず “よろしくお願いしますの” の返答。ここからスタートしてズブズブの関係に行く政治家も現れるのではないでしょうか。

 自民党は迂闊だったと思います。統一教会は『日本は「サタン」(悪魔)の国』『日本をアダム国家韓国の植民地にすること』『天皇を自分(文鮮明)にひれ伏させること』などと、反日教義を教えているわけですから、とんでもないこと、日本の政治家として問題視しなければならないことは言うまでもありません。自民党の政治家ならば、日本人としての “矜持” を失ったことに対して厳しく反省しなければならないのではないでしょうか。

 さて、テレビ、新聞、雑誌、SNSなどのメディアは統一教会だけを政治と宗教の関係で糾弾していますが、他にも問題にすべき宗教や政党があるのではないでしょうか。例えば…。

  ① 創価学会  …公明党
  ② 幸福の科学 …幸福実現党
  ③ 新日本宗教団体連合会 …反自公政権

 創価学会など、選挙の応援などは「選挙に当選=信仰の証」として熱心に運動しているのは国民の誰でも知っていること。にもかかわらず、マスコミは統一教会のみを取り上げ、創価学会などには全くの沈黙を保っているのです。そして、公明党の山口代表もずっとノーコメントのまま、どうなっているのでしょうか。わが国のマスコミが公平さを欠いているとするならば、ジャーナリズムとして大きな口をたたくことは控えていただきたいものです。

 次に、統一教会のビジネスについて考えて見ましょう。統一教会は1954年文鮮明氏が韓国で立ち上げた組織。1958年から日本での布教活動を始め、1959年にはアメリカでの活動が始まりました。

 日本の信者から巻き上げたカネを原資に、アメリカでは宗教団体であることを隠しながら巨大ビジネスを展開。寿司関連、ホテル、不動産、スキー、海洋リゾート、ゴルフ、建設、防衛、化学、自動車部品、新聞(ワシントン・タイムズ)などコングロマリットを形成。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、1976年から2010年のあいだに日本の旧統一教会は、アメリカに36億ドル(4700億円)以上を送金していると言います。何と4700億円!。それが今や、例えば、寿司ブームに便乗して鮮魚ビジネスを急拡大、同紙によるとアメリカとカナダを合わせて8300店舗の顧客に対して、すべてを供給する企業帝国になっていると報道。

 霊感商法と献金システムにより、文氏とその取り巻きは数百万ドル生み出す帝国を作りあげ、教義よりもカネを拝む姿勢が濃厚になってきていると報じられています。それも、洗脳によって日本から巻き上げた膨大なカネが原資とは。わが国は、近隣から騙されないようにもっともっと歴史に学ばなければなりません。

 統一教会が胡散臭い存在であることは、霊感商法、集団結婚式、献金システム、事業ビジネスなどを見れば一目瞭然ではないでしょうか。

 その基本は「カルト」(カリスマによる狂信的宗教団体)性にあります。改めてカルト宗教の定義を国際的指標で見てみましょう。

 【カルト宗教の定義】

  ① 精神の不安定化(洗脳、マインドコントロール)
  ② 法外な金銭的要求(多額の寄付金要求)
  ③ 住み慣れた生活環境からの断絶(監禁、出家など)
  ④ 肉体的保全の損傷(暴力:精神的暴力も含む)
  ⑤ 子供の囲い込み(子供の洗脳教育)
  ⑥ 反社会的な言説
  ⑦ 公秩序の攪乱
  ⑧ 裁判沙汰の多さ
  ⑨ 従来の経済回路からの逸脱
  ⑩ 公権力への浸透の試み。

 その内、最も厄介なのは「洗脳」であり、それは精神の破壊であり、それから立ち直るのは至難と言われています。わたしたちは、カルト宗教に侵されないように、警戒を充分怠らないようにしなければなりません。

 ところで、隣国中国(中共)ではどうなっているのでしょうか。共産主義国では宗教は阿片と言いますが、中国での最大の宗教は中国共産党イデオロギーと言わねばなりません。中国14億人が幼少から洗脳せれており、自由・個人主義への脱出はサタンとして地獄に陥るものと規定されています。そう考えれば、共産中国はカルト宗教国家と言えるのではないでしょうか。

 わたし達は、日本人として、もっとしっかりしようではありませんか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年8月26日 (金)

菊池 寛『大衆明治史』(復刻版)を読む! 

 855回目のブログです

20228261

  山部宿禰赤人 不尽山を望める歌一首 あわせて短歌(万葉集)

 天地の 分れし時ゆ 神さびて 高く貴き  駿河なる 布士の高嶺を
 天の原 振りさけ見れば 渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず
 白雲も い去きはばかり 時じくそ 雪は降りける 語りつぎ
 言ひ継ぎ往かむ 不尽の高嶺は

 “田子の浦ゆ うち出てみれば ま白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける”

 万葉集にある山部赤人の有名な和歌(長歌と反歌)。「天地創造の時代からずっと、太陽、月、雲、雪が、富士山の神々しい力のために負けてしまう。富士の高嶺がこのように立派であることを語り伝えて行こう。」神話の語り口を借りて、時間も空間も超越した富士山の荘厳な美しさ、神々しさを讃えた歌です。

 富士山と言えば日本の象徴。富士山は、縄文、弥生の昔から平安、江戸、令和の現代に至るすべての時代に於いてその荘厳で神々しい美しさをみせてくれています。

 そして、近代を代表する偉大な時代として「明治時代」を挙げたいと思いますが、明治の時代精神を理解するにふさわしい格好の本をもとめることができましたのでご紹介します。

  書 名 『大衆明治史』【復刻版】(上巻・下巻)
  著 者 菊池 寛
  出版社 ダイレクト出版
  価 格 上・下、各1980円+税
  書 式 単行本(上224頁・下202頁)
  (※ダイレクト出版公式サイトで購入すれば上巻のみ特別価格)

 紀元前3世紀、秦の始皇帝は「焚書坑儒」なる蛮行を行いましたが、これは、儒教の書物を焼き払い、儒者を穴に生めて殺した事件です。驚くなかれ、それと同じことを、戦後、GHQは日本に対して行ったのです。そう、「焚書」です!

 昭和3年1月1日から昭和20年9月2日まで、約22万タイトルの刊行物が公刊されており、その中から審査の結果7769点に絞り「没収宣伝用刊行物」に指定したのが、米国による「焚書行為」です。「皇室」「国体」「天皇」「神道」「日本精神」といったテーマの本はもちろん、およそ思想的には問題ないと思われる本も含まれています。宣伝刊行物の没収指定の舞台は帝国図書館内で行われ、「東京帝大」の尾高邦雄(社会学)、金子武蔵(倫理学)、牧野英一(法学)の学者らが深くかかわっていることに注目しなければなりません。

 そもそも、一国の歴史、政治、思想、文明、そして宗教的な生きる源泉を、他民族から裁かれる理由はありません。したがって、日本は、戦争に敗れはしましたが「焚書」される謂われは全くないのです。

 かつて戦前戦中の日本の中枢を担う指導層は、日本が中心となって世界をどのようにリードしていくかという「壮大な視野」と「先を見通す力」を有していました。しかしながら、GHQは強い言論統制である「焚書」を打ちだすことにより、その視野と力を失わせることに成功しました。現代日本の活力を欠く状況は、「壮大な視野」と「先を見通す力」を失ったことから生じていると考えられるのではないでしょうか。

 その観点から、菊池寛の復刻版『大衆明治史』を繙いてみましょう。

 【上巻】 建設期の明治

   第1章 廃藩置県
   第2章 征韓論決裂
   第3章 マリア・ルーズ号事件
   第4章 西南戦争
   第5章 十四年の政変
   第6章 自由党と改進党
   第7章 国軍の建設
   第8章 憲法発布
   第9章 大隈と条約改正
  第10章 日清戦争前記
  第11章 陸奥外交の功罪
  第12章 三国干渉

 【下巻】 日本大陸に進む

  第13章 川上操六と師団増設
  第14章 北清事変
  第15章 対露強硬論と七博士
  第16章 日露開戦
  第16章 児玉総参謀長
  第18章 奉天会戦
  第19章 日本海海戦
  第20章 ポーツマス会議
  第21章 明治の終焉

 上巻の帯には、GHQが禁じた明治日本の真の姿、西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文…激動の時代を駆け抜けた男たちは何を思い、何を目指して生きていたのか…。下巻の帯には、GHQが消した日露戦争の真実、乃木希典、児玉源太郎、金子堅太郎…世界史を変えた明治の主役たちは国家存亡の危機にどう立ち向かったのか…。とあります。

 菊池寛は「文藝春秋」を創刊、さらに「芥川賞」「直木賞」を創設。自身も数々の名作を生み出した大作家でもあり、現代に続く文学界を築きあげた文壇の大御所です。

 その大作家の著書『大衆明治史』が、戦後GHQにより発禁指定を受け、姿を消しました。この本は文字通り、明治時代の始まりから終わりまでの歴史を、大衆向けに平易な言葉で書かれた健全なものであり、軍国主義とは関係ありません。

 どうしてGHQは、明治時代について書かれたこの歴史書を、日本人から隠したのでしょうか。

 描かれるのは、激動の時代を生き抜いた、男たちの“人間ドラマ"です。西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文、…あの時代を動かした人々は、なぜあれほど強かったのか。明治時代の英雄たちの、苦悩、葛藤、挑戦、…そのドラマが文豪・菊池寛の筆によって活写されており、まるで映画を観ているかのように当時の情景が浮かび上がります。

 面白いことこの上なし、一気に読了。読後は気分爽快、精神が清らになるとともに心が熱く燃えてくるのを覚えました。そして、偉大な明治、骨太の明治の凄さに感動するとともに、先人が築いた「明治時代」を心から誇りに思った次第です。

 日本人を骨抜きにしたかったGHQは、この菊池寛の天才的な描写力を恐れたのではないでしょうか。

 司馬遼太郎は、国民的な人気を博した『坂の上の雲』において、国全体が、そこに生きる人々すべてが、目の前に浮かぶ雲(夢、目標)を見つめながら近代化への坂を上り、その実現に向けて突き進んでいった姿を歴史小説として描きました。

 菊池寛の『大衆明治史』は 歴史書ではありますが、「坂の上の雲」に勝るとも劣らない “ もう一つの坂の上の雲 ” とも言える存在ではないでしょうか。

 巻末の菊池寛の文章をお読みください

 【明治逝く】

 半世紀にも満たない僅かな時代に、日本は真に目覚ましい発達をとげた。
 この愕くべき進歩の動因は不世出の英主にてましましたる 明治大帝を中心に、国民が真に挙国一致の団結の下に、勇往邁進したる「明治の精神」に帰することが出来る。
 指導者も優れていた。彼らの眼光は常に世界の大勢を洞見し彼等の精神はいつも見事な調和を示して、凡そ極端に流れるということはなかった。外国文化を摂取するのに急であっても、日本の伝統精神がいつも基調をなしていた。
 国民も勿論、進歩するだけの良い素質を沢山持っていた。偏することのない物の観方、あくまで進取敢為の精神は、明治全時代を通じて、どれくらい活気ある場面を展開したかしれない。
 もちろん明治史にも未熟さもあるし、悲しみ、焦燥もある。しかし、外国が二百年から三百年もかかってやったことを、僅か五十年にして追い着こうというのであるから、それは恕すべきであろう。
 敢闘の意気を満面にみなぎらせて、世界史の列強に伍して疾走するこのランナーに交替して、われわれは更に新しい勇気と決意をこめて、走りつづけなければならない。

 さいごに、菊池 寛『大衆明治史』を強く推薦します。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年8月19日 (金)

“ 衣の下から鎧 ”…中国のトンデモ理論!

 854回目のブログです

20228191

 “ 降るほどは しばしとだえて むら雨の すぐる梢の 蝉の声 ”
           藤原為守娘(父為守は冷泉家の祖)

 ざあっとにわか雨が降る間は、蝉の鳴き声はとだえていたが、雨が過ぎ去ればたちまち大合唱を再開している、梢にいる蝉たちは…。

 それにしても暑い日が続きますが、お盆の最終日である8月16日に行われた「五山の送り火」(大文字焼き)は、京都のお盆の風物詩となっています。この行事が過ぎると秋の風も微かに期待できるというものですが、はたしてどうでしょうか。

 そうは言っても、世界情勢は先行きの見通せない混沌とした状況であり、ロシアvsウクライナ戦争の帰趨は見えず、中共vs台湾の争いは今にも激突の様相を見せており、優雅な自然の風情に身を任せる雰囲気には程遠い今日この頃ではないでしょうか。

 そんな時、中国のとんでもない発言が話題をよび、世界から、お笑いの“大喜利”(当意即妙に洒落の利いた回答)状態になっています。中国政府の高官が暑さを吹っ飛ばすための納涼の材料を提供するとは、なかなか乙なこと(?)をやるものだと唸らざるを得ませんが、果たしてどうなのでしょうか。

 中国外務省の華春瑩・報道官が、8/7、自身のツイッターを更新。台湾の首都・台北では中国料理店が多く営業していることを根拠に、台湾の領有権を主張する投稿を英文で行い、ネット上で物議を醸しています。

 『百度マップでは、台北には38の山東ギョーザの店、67の山西麺の店がある。味覚はごまかせない。台湾は常に中国の一部でした。行方不明になった子は、いずれ家に帰ります』

 華春瑩・報道官は、言ってくれましたね。この発言の背景には、米国ロペシ下院議長の台湾訪問への反発と、台湾が中国(中共)の一部であることを主張したものです。それにしても、幼児性丸出しの発言であり、この投稿に対してネットからツッコミが入り乱れ、さながら国際大喜利大会の様相を示しています。見てみましょう。

 「中国には8500店のケンタッキーフライドチキンがある。中国は常にケンタッキー州の一つだ」(オルタガス元米国国務省報道官)

 「上海にはスターバックス、マクドナルド、KFC、ピザハット。上海は西洋に属するということですか?」

 「Google マップには、北京には200以上のKFCがリストされています。味覚はごまかしません。中国は常にケンタッキーの一部でした。行方不明になった子は、いずれ家に帰ります」

 「中国には約200のパリのバゲットがあり、韓国には3000以上あり、ベトナム、シンガポール、アメリカにもあります...フランスは世界を支配しています!」

 「台北には100以上のラーメン屋があり、台湾は間違いなく日本の一部です」

 よくよく考えて見れば、中国報道官の幼児性に恐怖を感じます。台北に山東ギョーザ店が38店舗あり、山西麺店が67店舗あれば、もうこれは自分のものという発想を持ち、信じ込んでしまうという恐ろしさ。

 北京にはモスクワと同様に『文化や民族の分布と国境の区別がつかない人間が仕切っている』という点であり、彼らがその保護を目的に他国を侵略することに何の疑問も感じていないことではないでしょうか。幼児そのものであり、知性も教養も人間性も大きく欠いていることに改めて留意しなければなりません。

 中国の政治家がそんなに頭が悪いとは思えないのですが、余りにも欲の皮が突っ張り過ぎた強欲が中国政治家の本性かと思うと、どんなに警戒してもし過ぎることはないと言わざるを得ません。

 ところで、2020年11月、四川省眉山市の主導で「泡菜(パオツァイ)」が国際標準化機構(ISO)の認証を受けると、同月、中国・環球時報が「キムチ(泡菜)宗主国、韓国の恥辱」と報じ、韓国と中国のキムチ論争がはじまりました。

 中国は、韓国の『キムチ論争』は文化的な自信が乏しい韓国の被害妄想と主張。中国は塩漬けの発酵食品を泡菜と呼び、韓半島と中国の朝鮮族はキムチと呼んでいるとキムチと泡菜を同一視する発言。

 韓国は中国と起源論争を行い、中国の「黄河文明」「易学」「漢方」「漢字」「石碑」「印刷技術」「針灸」「孔子」「秦の始皇帝」などについても韓国起源説を唱えるも、理論的根拠に乏しく、中国の反感を買っており、したがって、韓国と中国のキムチ論争が終息する気配はありません。

 韓国は、他国の文化を「実は韓国発祥のものだ」とする主張(ウリジナル)が強烈であり、日本の文明、文化についても韓国発祥のものだと主張しています。それの一部だけを記します。

    ・武士道    ・神代文字
    ・神道     ・扇子
    ・相撲     ・折り紙
    ・剣道     ・寿司
    ・茶道     ・刺身
    ・歌舞伎    ・納豆
    ・俳句     ・錦鯉
    ・和歌     ・秋田犬
    ・日本建築   ・芸者
    ・忍者      ……

 韓国の主張は、荒唐無稽、牽強付会、実証的うら付けはなく、理論が飛躍しており、世界から無視、笑いものにされていますが、ご本人らは嘘も100遍を信じているのでしょうね。それにしても、しぶとく世界に働きかけていけば効果を発揮することは実証済みであり、例えば、「日本海」の呼称に関しても、国際機関で韓国独自の呼称である「東海」(トンヘ)に、危うく変更されそうになりました。日本は、ガードを堅くしておかなければ何時どんでん返しがあるかもしれず、警戒を怠るわけにはいきません。

 中国(中共)も韓国も、幼児性を抜けきっていないのか、生来強欲なのか、それとも、お笑い大喜利を得意としているのか、何とも理解を超えるところではあります…。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年8月12日 (金)

広島平和記念式典…静寂か喧噪か!

 853回目のブログです

20228121

 “蝉の声 何も替わって ないような 八月六日の 広島の空”
         内海暢子(うちうみのぶこ)
        (01年当時15歳、福山暁の星女子中学)

 今日は八月六日。広島の空はあの日から半世紀以上が過ぎた。蝉は、昔から何も変わっていないように鳴き続けている…。

 昭和20年(1945)8月6日、広島に原子爆弾が投下され、その原爆による死亡者は、31万人を超える数字となっており、犠牲者の惨状と被曝による後遺症の苦衷は今も続いています。

 さて、広島市は8月6日、77回目の原爆の日を迎えました。今年も「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式典)が行われましたが、例によって、誠に騒々しいものに終始したことは大きな問題として捉えられなければならないと思います。

 そもそも、この式典は慰霊式と祈念式であり、厳粛の中で行われるべきものでなければならず、このことは市の基本条例にも定められています。

 しかしながら、「第九条の会ヒロシマ」など市民団体のメンバーが参加する「8・6ヒロシマ平和へのつどい2020」は、会場となった平和公園での反戦・反核・脱原発を訴える行動を呼びかけました

   のぼり、プラカードの掲示
   シュプレヒコール
      “憲法改悪反対!”
      “核反対!”
      “岸田帰れ!”
      “安倍国葬反対!”

 市民団体の主張は、左翼、リベラル、反日思想丸出しの野卑な言動そのものであり、原爆の犠牲者に対する慰霊の真心を失った、悲しむべきイデオロギー人間であると言わねばなりません。

 本来ならば、原爆を不当に投下された静謐な環境の被爆地において、原爆犠牲者を心静かに悼むべきものであり、決してシュプレヒコールなどの雄たけびを挙げる場ではありません。厳粛なる平和の誓いというよりも、暗澹たる雰囲気に包まれた式典の印象を強く持ちました。(因みに、私の叔父も原爆の犠牲者であり、静寂な環境で式典が行われることを望む次第です。)

 同じことは、靖国神社の例大祭などについても言えるのではないでしょうか。靖国神社は、春季例大祭、秋季例大祭、全国戦没者追悼式などが毎年斎行されていますが、これも本来は静謐な雰囲気で執り行われるべきものです。ところがサヨクマスメディアの扇動により、半島や大陸を巻き込んだ喧噪のなかで執り行われているのが実情であり、これでは英霊も浮かばれないのではないでしょうか。

 わたし達は、なぜこんなにがさつな人間になってしまったのでしょうか。日本人にとって宗教は、基本的には「祈り」、先祖、英霊への鎮魂と精神的対話、山川草木、生きとし生けるものへの感謝、と言われています。そうだとすれば、原爆死没者慰霊式の異様な雰囲気から判断すると、わたし達日本人は、宗教的心性を著しく欠いており、あるいは、下記のごとく、文明の衰退の兆候を見せているのかも知れません。

 【文明の衰退の兆候】(6視点)

 ① 精神性、宗教性を失い、精神的価値を冷笑する。
 ② 断片的で実際的なものに関心、無機質、マニュアル的な知性を
   もてはやす。
 ③ 自らの属する土地、本来の居場所から切り離して激しく移動。
 ④ 特に農業が嫌われ、生産的なものよりも非生産的な生き方が好まれる。
 ⑤ 大都市・巨大都市へ1極集中的に人が群がる。
 ⑥ 既に衰退した異文明の遺産をわけもなく有難がり、遺品や遺産を
   見て廻ったり、手に入れたがる。

 この6視点に身震いします。全ての項目がわが国の現状に合致していると思われませんか。そうだとすれば、わたし達は、現在の風潮を懐疑的に見直し、日本文明の危機として考える必要があるのではないでしょうか。

 さて、平和記念式典で岸田首相は「77年前の惨禍を決して繰り返してはならない。唯一の戦争被爆国であるわが国の責務であり、被爆地広島出身の首相としての私の誓いだ」と強調しましたが、核禁条約には触れませんでした。

 そして、広島の被爆者団体の代表らは首相との面会で、核禁条約の批准を求めましたが、首相は「条約は核兵器のない世界への出口に当たる。同盟国の米国を変えるところから始めなければならない」と、すぐに批准できる国際情勢ではないとしました。

 世界には、1970年3月に発効した「核不拡散防止条約」(NPT)があります。この条約は、露・米・中・仏・英を「核兵器国」として認め、それ以外の国は「非核兵器国」として核兵器保有を許さないというデタラメな条約です。

 現状の核保有国は下記の通りです。また、ロシアが核兵器使用をちらつかせ、非核兵器国のウクライナを脅している始末です。何をかいわんやではないでしょうか。

   【核弾頭数】(2021年)

   露    6255(発)
   米    5550
   中     350
   仏     300
   英     200
   パキスタン 160
   インド   140
   イスラエル  90
   北朝鮮    39

 わが国を取り巻く国で、中国・ロシア・北朝鮮が核を含む軍事力でわが国を脅しています。それに対抗するには、日米安保、米の核の傘に頼る以外に方策はありません。同盟と傘。一時の情緒的感情に走ったり、現実を見ず理想郷を夢見ては大変なことになります。岸田首相もそのことは十分に理解していただき、夢見る広島市民、日本国お花畑の人々の誘惑に引き込まれないことを願いたいものです。

 最後に、アメリカの原爆投下は「無辜の民」(何の罪もないのに被害を受けた人々)へのジェノサイドであることを忘れてはなりません。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年8月 5日 (金)

新宗教の衰退をどう見るか!

 852回目のブログです

2022851

 “白雲の 映るところに 小波の 動き初めたる 朝のみづうみ”
            与謝野晶子(明治~昭和・歌人)

 夏空の白い雲が、湖の水面に映って、ゆっくりと動いていく。その水面に風がでて、さざなみの立ち始めた朝の湖よ…。

 それにしても、暑い日が続きます。それに加えて、暴漢による元首相の暗殺をめぐるメディアの本質を離れた不毛な騒ぎもあり、暑さが2倍、3倍になりうんざりする今日この頃です。

 国際情勢は、風雲急を告げ、8月3日米国下院議長ペロシ女史が台湾を訪問、チャイナの怒りは沸騰寸前となってきました。台湾海峡がどのように展開するのかかたずをもってみなければならず、また、それはわが国の安全保障に大きく関係するからでもあります。そのような状況では、不毛な議論からはなれて物事を冷静に判断することが肝要ではないでしょうか。

 そう考えて、今回の小ブログでは、宗教、なかんずく新宗教の衰退が明らかに顕著になってきていることに目を向けてみたいと思います。

まずは、信者数の実態把握から。文化庁発行の宗教年鑑から拾いたいと思います。この数字は各教団の自主申告であり、大まかな数字しか把握できませんが、とりあえずその変化の激しさを確認してみてください。

 【新宗教の信者数の推移】

         平成2年(1990) 令和3年 (2021)
  天理教    180 (万人)  120 (万人)
  生長の家    82       37
  立正佼成会  634      222
  霊友会    317      118
  世界救世教   84       45
  PL教団   181       98
  真如苑     67       93
              『宗教年鑑』から抜粋

 自己申告ですから、少な目に申告することは考えられません。この増減率を見ますと、天理教▲33%、生長の家▲55%、立正佼成会▲65%、霊友会▲63%、世界救世教▲46%、PL教団▲46%、惨憺たる数字、何と驚くばかりの大幅な減少率。一方、信者が増加しているのは、真如苑のみがプラス△39%という具合。

 ここで注目するのは、真如苑の伸びです。真如苑は「接心」という悩める人のカウンセリングが中心であり、他の新宗教とは毛色が違っていると考えられています。

 今、マスメディアの注目を浴びているのが、世界平和統一家庭連合(旧名称:世界基督教統一神霊協会)。信者数の明確な数字は不明ですが、週刊ダイヤモンド(2018/10)によれば、信者数はおよそ10万人と推定しています。

 わが国で政治と宗教との関わりで頭に浮かぶのは、公明党と創価学会であることに異を唱える人はいないと思います。両者は「異体同心」、メディアは公明党の支持母体は創価学会と明言しています。

 しかしながら、宗教年鑑を見ても、創価学会は「世帯数」で届けていますから、信者数は良くわかりません。宗教内での用語は一般社会の用語とは全く異なりますから、他の数値で把握することが望ましいと考えます。

 そこで、国政選挙における公明党の比例得票数が創価学会の信者数にほぼ近いと推定しました。その格好の数字から創価学会の推移を見てみましょう。

 【公明党の比例得票数の推移】(≒創価学会信者数と推定)

    (選挙年)    衆・参  比例得票数
  平成17年(2005)  衆   898(万票)
  平成19年(2007)  参   776
  平成21年(2009)  衆   805
  平成22年(2010)  参   763
  平成24年(2012)  衆   711
  平成25年(2013)  参   756
  平成26年(2014)  衆   731
  平成28年(2016)  参   757
  平成29年(2017)  衆   679
  令和 元年(2019)  参   653
  令和 3年(2021)  衆   711
  令和 4年(2022)  参   618

 12年前が898万票、それが今年は618万票、減少率▲31%、そして、昨年が711万票、今年が618万票、わずか1年の減少幅が約100万票何とも厳しい数字であり、他の新宗教と同じく、創価学会としても安閑とはしておれない状況のように見えます。

 しかし、創価学会は永年、与党政治に密着し利権を確保するとともに、学会内経済活動で利益を蓄積し、宗教を超えた日常を基盤とする組織を確立しており、とりあえずは安定感を持っていると言えそうです。

 ところで、なぜ、新宗教が衰退しつつあるのでしょうか。新宗教の多くは先祖供養と病気治しを主な活動として発展してきましたが、核家族化、都市化により先祖供養の意識が薄らぎ、医学の発達で宗教に頼るひとが少なくなってきたことがひとつの要因と考えられます。

 そして、ふたつ目には、労働者のコミュニティとして、インターネットなどで簡単に人と人が繋がる時代になり、入信しなくなったことが挙げられます。

 3つ目には、信者の高齢化が進むとともに、「創始者」の世代交代によって “絶対的カリスマ” が不在となり、信者の減少が避けられなくなってきたことではないでしょうか。

 このようなことは、先進国としても共通の現象であり “宗教消滅の危機” が叫ばれています。特に、1990年代以降インターネットの普及に伴い、人が悩みを抱えても宗教の門、教会の門を叩くことよりもネットで救済を求める時代になってきたことを認識しなければなりません。

 今や、人間関係はスマホやSNSで築きあげる時代となったことだけは確かかも知れません。家族でのコミュニケーションが希薄化し、会社でのコミュニケーションも弱まり、世の中との接点も全体的に揺らいでいるとすれば、旧来の「新宗教」でその心の叫びを受け止めることができるのか、それともSNSが包括するのか、今後を見守りたいと思います。

 さいごに。宗教界が揺らいできているということは、私たちの心も揺らいでいることを意味しており、今一度、心静かにわが身を振り返ってみる必要があるのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
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2022年7月29日 (金)

今、再び、カルトに注目しよう!

 851回目のブログです

20227291

 “山かげや 岩もる清水の 音さえて 夏のほかなる ひぐらしの声”
               慈円(天台座主・千載和歌集)

 この山蔭にいると、岩を漏れ落ちる清水の音も冷たく澄んで聞こえ、また夏とも思えぬ蜩の鳴き声までが聞こえてくる…。

 いよいよ夏の暑い日がやってきました。最高気温が25℃を超えた日を「夏日」、30℃を超えた日を「真夏日」、35℃を超えた日を「暑猛日」と言いますが、今年は40℃を超える日もありますので、その時は「厳暑日」とでも言えばよいのでしょうか。

 それにしても暑い日が続きますが、安倍元総理が凶弾に倒れた事件をめぐる不可解な動きが加わり、世の中を一層暑くしているのかも知れません。

 安倍元総理の突然の暗殺、その因がどこにあるのか、メディアを眺めていても、隔靴掻痒、遠巻きから分析しているようであり、どのような結論が導きだされるのか暫く待たなければならないようです。警察庁では8月末に報告書がまとまると報じられていますが、真実を記した報告書を期待したいものです。

 安倍元首相の政治家としての評価については、世界的な視点で見るべきでしょう。安倍氏の死去に際して259カ国・地域から弔意を受けるなど、まさに偉大な首相であったと言えるのではないでしょうか。

 ① 8年にわたる長期政権を築き“顔の見える”首相であった。
 ② 米、欧州、インド、オーストラリアなどの自由民主主義国の首脳から
   深い尊敬を受けるとともに、中国、ロシアなどの独裁専制主義の首脳
       からも一目置かれる稀有な存在感を発揮した偉大な首相であった。
 ③ 「自由で開かれたインド太平洋」構想、「アベノミクス」など
   大胆な構想の展開。
 ④ 憲法改正、安保法制の整備など国家の基本政策を追求し続けた。

 謎が謎を呼ぶ不可解な事件。警備体制・SPの対応の欠陥、殺人者のカルト宗教教団への暗い怨恨、それにかかわる肉親との関係、カルトと政治家との歪な関係、宗教と政治の基本、殺人者の精神と知能。社会状況の深部。など問題点は尽きません。

 ここでは、わたし達一般国民も巻き込まれる可能性のあるカルトの不条理について考え、カルトに誘引されないための注意点を記したいと思います。(みなさんの平穏な生活を守るための参考になれば幸せです)

 今、メディアでは、犯人およびカルト(旧統一教会)と政治家の癒着について騒がれています。欧州では、「カルト」とはカリスマによる狂信的宗教団体、「セクト」とは社会的に警戒を要する団体と規定。創価学会や世界基督教統一神霊協会などか認定されています。

 【カルト宗教の定義】を国際的指標で見てみましょう。①精神の不安定化(洗脳、マインドコントロール)、②法外な金銭的要求(多額の寄付金要求)、③住み慣れた生活環境からの断絶(監禁、出家など)、④肉体的保全の損傷(暴力:精神的暴力も含む)、⑤子供の囲い込み(子供の洗脳教育)、⑥反社会的な言説、⑦公秩序の攪乱、⑧裁判沙汰の多さ、⑨従来の経済回路からの逸脱、⑩公権力への浸透の試み。

 思い描いて見れば、洗脳・寄付・監禁・暴力・子供・反社・攪乱・裁判・経済・権力…、これ、まさしく現実にある現象、世の中には「カルト」宗教の蔓延がすごい状態になっていることを認識しなければなりません。

 次に、【カルト宗教かどうかの診断方法】について

 ・脱会すると不幸になる、地獄に落ちると脅される
 ・寄付金を納めると幸せになれる、納入額が少ないと教団内で差別される
 ・子供の意思に関係なく、宗教に入会させる
 ・他の宗教を激しく批判、卑下、誹謗する
 ・教団が、特定の人物に対し監視・嫌がらせを行うよう会員に指示を出す
 ・会長、幹部の発言に暴力的な発言がある
 ・教団が、思想や政治的な選択を強制する
 ・教団を批判する市民団体、被害者の会、批判的ウェブページが多い
 ・政治的権力を重視している、国家に浸透する目的がある

 家族が不幸にならないためには、「カルト」「セクト」に関わらないことが大切ですが、洗脳の度合いが深くなればなるほど回復さえ至難の業と言わねばなりません。そのためにも、下記をチェックし、早期対応をはかるべきです。

 【洗脳度チェック】

 〇 教団を批判することは許されない。
 〇 教団のいうことは、すべて正しい。
 〇 教団から反社会的なことを指示されたら、迷わず実行する。
 〇 教団批判者を監視したり、嫌がらせをして、教団に貢献することは
   当然である。
 〇 子供の意思に関係なく、宗教に入会させる。
 〇 生活を省みず、寄付を行う。
 〇 友人、知人、遠い親戚へも勧誘をする。
 〇 教団の会報誌や書籍を複数部所持している。

  ※1点でも該当したら、早めに宗教カウンセラーに相談してください。
   3点以上該当したら、重度の危険性があり、
       家族の協力を得て、直ちに治療を行う必要があります。

 ご存じの方も多いと思いますが、キャスターの飯干景子さん(作家・飯干晃一さんの娘)は、世界基督教統一神霊協会(現世界平和統一家庭連合)に入信、洗脳されましたが、専門家や父親の飯干晃一さんらが懸命な努力を重ね、永年を掛けてやっと洗脳を解くことができたのです。

 わが国の政界にはカルトが蔓延しており、由々しき問題を投げかけています。カルトは、社会を異様に不安にするだけでなく、ある意味で犯罪とも言えるのではないでしょうか。政治家には112人(自民党~野党まで・ほとんどが自民党)がリストアップされていますが、大きな社会問題を起こしているカルトからは距離を置くのが正しい対処の仕方だと考えます。

 それにしても、公明党(支持母体:創価学会)の山口代表は、7/19、“政治と宗教の関係”について記者団から質問を受け、下記のような返答をしました。

  「事件としての捜査が進展中なのでコメントは控えたいと思います。
   今後状況をしっかり見極めたいと思っております」

 このノーコメントに対しては大ブーイング。いただけませんね。与党の一角を占める大政党の党首であり、自党と支持母体の宗教団体との関係については明快に語ってほしいものです。

 宗教問題は微妙。わが国の政治が溌溂さを失ってきているひとつの要因に宗教問題があるのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年7月22日 (金)

「リモート勤務」は根づくか?

 850回目のブログです

20227222

 “さいはひは 山のあなたに 住むといふ かの歌うたひ 山に往かまし”
               吉井勇(1886~1960・劇作家)

 「幸いは山のあなたに住むという」その歌を自分もうたって、その憧憬の山に行きたいものだ…。

 『山のあなた』 カール・ブッセ(独) 訳:上田敏『海潮音』

   山のあなたの空遠く
   「幸」住むと人のいふ。
   噫、われひとゝ尋めゆきて、
   涙さしぐみ、かへりきぬ。
   山のあなたになほ遠く
   「幸」住むと人のいふ。

 人間は、現実の生活の中には物足りないものを常に感じ、どこかにさらに良い生活が待っているように想像し、未知の世界に対しては、より一層限りない憧憬を抱くものです。そして、その幻を追って行き、山のあなたに幸福が住んでいるというのに対し、思わず心を注がれる心情を歌ったものであり、上田敏の訳で有名な詩歌です。

 さて、新型コロナの拡大が収まったと思っていたら、7月に入り急速に感染が拡大し、分科会の尾身会長は、第7波に入ったとの認識を示しています。今後どのように展開してゆくのか予断を許しませんが、現時点での行動制限は必要ないとのことです。

 新型コロナの蔓延が長期化し、企業はテレワーク(リモート勤務)体制を余儀なくされ、それなりの対応をしてきました。これだけの長期にわたる勤務体系の変更を経験しますと、テレワークのメリット、デメリットがかなり明らかになったものと思えます。これらの中から2~3の例を取り上げたいと思います。

ホンダは5月下旬にテレワークから原則出社へ移行する

 「Hondaとして本来目指していた働き方を通じて変革期を勝ち抜くために、『三現主義で物事の本質を考え、更なる進化をうみ出すための出社/対面(リアル)を基本にした働き方』にシフトしていきます」…ホンダは2022年4月、国内営業部門の従業員向けに以上のようなメールを送付。

 ホンダの三現主義とは「現場・現実・現物」を基本とする企業理念であり、これは対面でのコミュニケーションを重視したものであり、出社を前提とした働き方を意味します。

 会社の判断としては、テレワークではコミュニケーションに齟齬を来たすため、対面のコミュニケーションの活性化を図り、『イノベーション』の “創出” を促すことが狙いだとしています。

 トヨタや日産はリモート促進を取っているようですが、各社、自社の明確な方針を示して対処すればよいのであって、流行語の “働き方改革” のムードに惑わされないことが大切ではないでしょうか。

 アメリカではテレワークを疑問視する企業が続出しています。米IBM、米ヤフー。最近では、電気自動車(EV)最大手のイーロン・マスク米テスラ最高経営責任者(CEO)が、5月末に幹部宛ての電子メールで「リモート(在宅)勤務は今後容認しない」と通告。マスクCEOは「在宅勤務はサボりの温床」と見ています。

 例えば、社員がサボってもリモートでは勤怠管理が難しいことでもあり、象徴的な事例として「在宅勤務者のうち3人に1人が仕事中にお酒(最も多いのはビール)を飲んでいることです。」(アメリカ依存症センター2020年3月調査)。リモートでは全く管理されませんから飲酒など自由自在、なかなか自制できないものです。

 さらに、米コロンビアビジネススクールと米スタンフォード大の共同研究で、「オンライン会議の有効性」についてのフィールド実験に基づいた研究が明らかになりました(4/47/Nature/夕刊フジ)。

 「オンライン会議では、脇見をしただけでその共有環境から離れたことになる。そのため、オンライン会議に参加する人はたいてい、視線をスクリーンに固定する。これはアイデアの生成にも悪い影響を及ぼし、創造的なアイデアは生まれにくい」「Zoomでは、セレンディピティ(偶然の産物)が生まれることはない」

 逆に「コンピュータのスクリーンを見つめる時間の方が長いので、オンライン会議では効率化が促進される可能性がある」「したがって、意思決定には優れている

 米国では、オフィス復帰の企業が多数出始めましたが、日本企業ではどのように進展していくのかを考えて見たいと思います。

 まず、日本の職場では、テレワークにすると生産性が落ちるという問題を抱えていることに留意しなければなりません。なぜそうなのでしょうか。それは、わが国の雇用制度に関係するものであり、雇用には2つの型があります。

      【雇用制度】
   「ジョブ型雇用」    :「仕事に人をつける」
   「メンバーシップ型雇用」:「人に仕事をつける」

 わが国の多くの企業、官庁の現状の人事制度が「メンバーシップ型雇用」であり「ジョブ型雇用」ではないことです。そのために、業務の一環として教えるという動作が非常に多くなります。「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」を通じて、新入社員はもとより、人事異動があればその都度、「教える」ということに対して、極めて多くの労力が注ぎ込まれるのです。

 OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)においては、教える人と教わる人との濃密なコミュニケーションが期待されますが、オンラインで、果たして “ニュアンス” が伝わるでしょうか、…なかなか難しいと言わねばなりません。

 それでなくても、わが国の諸々の制度が「グレーゾン」にあふれた仕組みになっている社会であるとすれば、たとえ精緻に作成されたマニュアルがあったとしても、本質はグレーの中にあると言えるかも知れません。そうであるとすれば、オンラインに大半を頼るのが妥当かどうか考えて見る必要がありそうです。

 テレワークの専門家・東京工業大学・比嘉邦彦教授は「テレワークは3割弱くらいの企業で実施されているが、コロナ終息後には1割弱だろうと考えている。全体の1割が残れば上出来だと思う」と述べています。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年7月15日 (金)

岸田総理は「安倍元首相」の遺志を継ぐか!?

 849回目ブログです

20227152

  “ふるさとの 潮の遠音の わが胸に ひびくをおぼゆ 初夏の雲”
                   与謝野晶子「舞姫」

 初夏の空を流れてゆく雲を見つめていると、潮の遠鳴りを聞きながら育った故郷、堺の町のことが懐かしく思い出されます…。

 梅雨も終わり、一部には戻り梅雨の空模様もある中、わが国の先導役でもあった元内閣総理大臣・安倍晋三氏が7月8日、凶弾に倒れ、帰らぬ人になられました。心から哀悼の誠をささげたいと思います。

 わが国は、これから、戦後75年間のたまりにたまった膿を摘出する「憲法改正」という大手術を行わなければならない時に当たり、そのリーダーが安倍晋三氏であることは、たとえ、立場の違いはあったとしても、誰しも認めることではないでしょうか。その意味では誠に残念な出来事であったと言わざるを得ません。

 安倍晋三氏が凶弾に倒れた2日後の日曜日、参議院選挙が行われ、安倍元首相の属する「自由民主党」は「大勝」という結果になりました。

 その勝利の一端、あるいはひとつの要因に、安倍元首相が暴漢に襲われた不慮の死があり、投票に当たり、国民がこの選挙の意味を改めて認識した結果ではなかったかと感じています。わたし達国民も、この事件に驚愕しただけでなく、在りし日の元首相・安倍晋三氏の「日本を普通の国」に戻さんと、勇気をもって果敢に取り組んだ姿勢に、心から共感を覚えたのではないでしょうか。

 わが国民だけではありません。世界各国の259ヶ国・地域は、安倍元首相の死去に対して弔意を表しました。一部をごらんください

  アメリカ    ホワイトハウスに半旗を掲げる
  インド     1日喪に服す
  オーストラリア 日章旗を掲げて悼む
  ドイツ     悲しみの日とする

 安倍元首相が世界各国と真の親善・友好に全身全霊を傾けたことがうかがわれます。アメリカ合衆国のホワイトハウスに半旗が掲げられたことは、安倍元首相が世界の中の偉大な政治家と位置つけられたあかしであり、日本の誇りではないでしょうか。考えて見れば、米国は、第2次世界大戦、大東亜戦争での戦勝国、日本は敗戦国、その日本の元首相に半旗を掲げて弔意を表すことは、稀有のことではないかと思います。

 さて、安倍晋三氏亡き後、わが国の政治はどのような道を辿るのでしょうか。自民党は今回の参議院選で大勝し、憲法改正を可能にする発議に足る3分の2を確保。与党(自民・公明)に加え、維新、国民民主を含めた「改憲勢力」は、非改選を含めた全議席で177となり、憲法発議に必要となる「3分の2」(166)を上回ったのです。これにより、衆議院・参議院ともに、改憲勢力が3分の2以上を占めました。

  【参議院:改憲勢力】
    自民   119
    公明    27
    維新    21
    国民    10
    (計)  (177)
       ※ 総議席数248×2/3=166

  【衆議院:改憲勢力】(参考)
    自民   276
    公明    32
    維新    41
    国民     8
    (計)  (357)
      ※ 総議席数465×2/3=310

 さあ、岸田首相はどうするのでしょうか。7月11日、岸田自民党総裁は、記者会見で、安倍元首相の遺志を継いで、憲法改正、拉致問題などの難題に取り組むことを強調しました。

 言や良し。当たり前の日本を構築していくためにも「憲法」の改正は必須、とりわけ第9条の改正は待ったなしと言わねばなりません。

 わが国の周辺を眺めれば、軍拡一筋のチャイナ、領土拡張意欲満々のロシア、ミサイル・核の拡大を目論む北朝鮮、危うい3ヶ国が包囲する危険極まりない情勢であることは言を俟ちません。

 このような国際情勢においては、わが国は、一刻の猶予もなく、対処に万全を期さなければなりません。そう考えると、岸田総理の就任から今日までのヌルイ言動、例えば「検討」の連発、「検討使」とまで揶揄された消極姿勢は、一日も早く取り下げていただき、紳士的と言われる無難な行動から、難題に果敢に挑戦する積極姿勢を望みたいものです。

 憲法改正に必要な衆参両院の3分の2の確保はできました。舞台は整ったのです。あとは、岸田総理大臣の華々しい出番であり、歌舞伎で言う“見得” “睨み”の所作で国民の心を鷲掴みし、大仕事を遂げてほしいものです。

 いよいよ、戦後の終わりの始め、本格的なターニングポイントが到来しました。岸田総理には、命を賭して戦っていく政治家として、まず、望みたいことは…。

      “ 自民党総裁として、声高らかに、
          『憲法9条の改正』を宣言すべし ”

 それからが本格的な憲法改正への道を進んで行くことになるのではないでしょうか。

 幕は切って落とされたのです。どんな政治家であっても、敗戦から占領を経て、今、名実共に真に独立した歴史の創造に参画し、名を残すことができる最大の機会が来たのではないでしょうか。

 その意味で、政治家のみなさんには、「憲法改正」において将来に禍根を残さないために、全身全霊を傾けていただきたいと念願するものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

 

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2022年7月 8日 (金)

「底辺の職業ランキング」…これはひどい!

 848回目ブログです

2022781

“藤が咲き つつじは開き 牡丹かがやく。季節ともなれば、もう 止めどもなく”
                八代東村(明治~昭和「東村遺歌集」)

 藤、つつじ、牡丹、季節ともなれば、それに応じた花が、止めどもなくいっぱい咲き、楽しませてくれる…。

 草木の花は、それを植えた人がおり、水をやり、手入れをする人がいて美しい花を咲かせる。社会の進歩、発展を願い、苦しみの先の明るい夢を見ている作者の感懐を詠った素晴らしい現代短歌です。

 今年の梅雨はあっという間に過ぎ、もう酷暑を迎えた季節感がします。自然の営みもそうなら、国際情勢も激変、国内のニュースも人間性の乾いた側面が浮き彫りにされる事象が露出してきました。そのうちのひとつを取り上げてみたいと思います。

 時折ネットを渉猟するのですが、先日、大学生のための就職情報サイト『就活の教科書』底辺の職業ランキング として12の職業を紹介し、大炎上している記事に行き当たりました。

 この記事に対して、「職業差別だ!」「仕事をバカにしている!」などの批判が殺到し、記事は削除に追い込まれました。

 【12の職業をピップアップ】

   ① 「土木・建設作業員」
   ② 「警備スタッフ」
   ③ 「工場作業員」
   ④ 「倉庫作業員」
   ⑤ 「コンビニ店員
   ⑥ 「清掃スタッフ」
   ⑦ 「トラック運転手」
   ⑧ 「ゴミ収集スタッフ」
   ⑨ 「飲食店スタッフ」
   ⑩ 「介護士」
   ⑪ 「保育士」
   ⑫ 「コールセンタースタッフ」

 これらの特徴として、・「肉体労働」・「誰にでもできる仕事」・「同じことの繰り返しであることが多い」を挙げており、また、これらのデメリットとして、・「年収が低い」・「結婚のときに苦労する」・「体力を消耗する」を挙げています

 この記事は「就活の指針」として書かれたものであり、就職活動に勤しむ学生に対して適切な指針でなければならないことは言を俟ちません。しかしながら、この記事はそれを完全に裏切ったものであり、犯罪的と言えるものではないでしょうか。以下、具体的に述べたいと思います。

 この12種類の職業は、果たして「誰にでもできる」職業でしょうか。どの職業も、熟練と経験を積まなければ一人前になれません。この職業を上から目線で差別的に見た立場であり、事実誤認と言える完全に誤った判断ではないでしょうか。

 職業をあえて底辺とそれ以外とに区分するならば、公平な立場、冷静な視点で判断しなければならないにも関わらず、片落ちとなっています。それは、12種類の職業を「マイナスの特徴」と「デメリット」だけを取り上げており、「メリット」を見ていないことです。この判断をした人の人格を疑います。

 考えてもみてください。「感謝の言葉を貰いやすい」「日々の生活を支えるというやりがい」など、メリットもあるのではありませんか。公平に見なければならないと思います。

 12の職業に従事する人や家族にとっては、「誰にでもできる」「同じことの繰り返し」「年収が低い」「結婚のときに苦労する」などと誹謗中傷に近いレッテルを貼られたわけですから、怒りの感情を抱いて当然と言えるのではないでしょうか。なぜ、運営サイドは、それを慮る想像力を持ち合わせていなかったのでしょうか。

 12種類の職業は、よくよく見れば、いずれも「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる生活に必要不可欠な職種ばかりです。「必要不可欠な(essential)」「労働者(worker)」を意味する英語であり、近年コロナニュースでよく聞かれるようになった言葉です。

 ・看護師・医師・薬剤師・保健師、介護・福祉、ドライバー・電車/バスの公共交通業務、電気・ガス・水道の社会インフラ、消防・警察・自衛隊・役所、など、私たちの社会生活で欠くことのできない職種としてコロナ禍のような国難時において、あらためて注目されました。

 ・テレビやネット上での意見は、この記事に対して辛辣です。当然と言えば当然の言葉だと言えるのではないでしょうか。

 「底辺職業というのはすごく残念。人が生活する上でないと成り立たない」
  (ごみ収集スタッフ)
 「誰にでもできる仕事っていうのはないんじゃないか」(土木作業員)
 「大変大変っていうところだけをクローズアップしないで、楽しいとか、
  やりがいがあるって感じでやっている」(介護士)
 「悲しいというか、悔しい。私たちも国家資格という資格を持った上で
  働いておりますので、理解度が上がるとうれしい」(保育士)

 (“底辺”という言葉について)
 「わざわざ煽(あお)るようなことしないで」
 「当事者に、すごく残念、悲しい、悔しいと言わせるなど鬼畜の所業」
 「せめて“エッセンシャルワーカーの劣悪な労働環境と待遇は改善が必要”
  くらいは報道してほしかった」
 「わざわざ他人を傷付けに行くのはデリカシーがない」

 さて職業に貴賤なしと述べたのは、石門心学の石田梅岩という有名な江戸時代の思想家です。梅岩は「武士が治め、農民が生産し、職人が道具を作り、商人が流通させる。士農工商の階層は、社会的職務の相違であり、人間価値の上下・貴賤に基因しない」として、それが「職業に貴賤なし」という言葉の由来となりました。

 わたしは子供のころ親から職業に貴賤はないと教えられましたが、いま改めて、エッセンシャルワーカーの人たちの仕事に思いを馳せ感謝の気持ちを表したいと思います。

 ところで、近年、乱暴な言葉穢い言葉が横行し、目に余るものがあります。これは、政治を始め、社会の上層部が日ごろより言葉遣いに配慮を欠いていることが要因になっているからではないでしょうか。“底辺の職業” という言葉が大手を振って歩いていることをお互いに反省したいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年7月 1日 (金)

若者の政治離れを懸念する!

 847回目ブログです

2022711

 “思ふこと いふべき時に いひてこそ 人の心も つらぬきにけれ”
               明治天皇御製(明治44年)

 思うことを言うべき時に言ってこそ人の心も貫き通すことができるのである…。

 7月10日には参議院選挙の投開票がおこなわれ岸田政権の信任が問われることになります。一般的に選挙とは「民意」を問うものであり、この選挙こそが民主主義の根幹をなす制度と言われますが、民意、国民の意思というものが果して選挙に臨んで存在するものかどうか考えてみなければならないのではないでしょうか。

 私たちは確かな個人として強い意思を表明しているように思っているのかもしれませんが、よくよく見れば、研ぎ澄まされた教養ある「輿論」(よろん)ではなく、付和雷同的な「世論」(せろん)の風に乗っているのかも知れません。

 現在社会を席巻する「多様性」「LGBT」「データ」「実証」「可視化」「説明責任」「SDGs」「クリーンエネルギー」「脱炭素化」「改革」、従来からの「経済成長」、少し前までの「平和」「平等」「民主」「人権」…、これらは、言霊的に社会の空気を支配したものということもできます。

 今、時代は屈折点に掛かっていると見るならば、わたし達は、国際情勢に敏感でなければならないにもかかわらず、鈍感になってしまっているのは、強い意思の「輿論」を避け、表面的な「世論」にふんわりと乗ってきてしまっているからではないでしょうか。

 それを、打開するのは、若者であり、その若者が日本の未来に責任をもって意思表明しているのかどうか、分析してみたいと思います。

 投票率は55.9%と戦後3番目に低い記録を出した昨年10月の衆議院選を振り返ってみましょう。(Wedge ONLINE・総務省)

 【年代別投票率】

  10歳代   43.2(%)
  20歳代   36.5
  30歳代   47.1
  40歳代   55.5
  50歳代   62.9
  60歳代   71.4
  70歳代以上 61.9
   (全体) (55.9)

 10~30歳代が低く、40~70歳代が高い。60歳代が最高投票率。

 【世代別投票者の割合】
2022712

 【若い世代の投票者の割合】

    10代    1.7%
    20代    6.9%
    30代   10.7%
    (計)  (19.3%)

 【シニア世代の投票者の割合】

    60代   18.2%
    70代以上 28.7%
    (計)  (46.9%)

 若い世代の投票者の割合は、合計して、何と20%以下です。「若もの投票率低下」や「若い世代の政治離れ」がこのまゝ続けば、世の中は、シニア世代、シルバー世代に向けた政策が優遇される “シルバーファースト主義” がわが物顔に横行することに繋がり、将来世代に大きなツケを残すことになるのは間違いありません。

 本来は、世代間に亘ったバランスある政策が望まれるにも関わらず一方に偏向することは「多様性」が失われ、社会の「寛容性」も維持できなくなり、ギスギスした世の中を招来してしまうのではないでしょうか。これは民主主義の危機でもあります。

 もちろん、若ものの政治離れ防ぐために、地方自治体も手をこまねいているのではなく、いろいろな対策を講じつつあります。例えば、投票率のアップのために。①バスを利用した移動型の期日前投票所の設置(愛知県豊田市)、②市内の高校に移動型期日前投票所を設置(茨城県日立市)、③市内の高校生に選挙に従事してもらう取り組み(千葉県富里市)、④インターネット投票を目玉に(茨城県つくば市)、など。

 インターネット投票などの試みは注目に値するのではないでしょうか。

 さて、わが国の若者は、自国の社会と、政治についてどのように思っているのでしょうか。内閣府の調査『令和元年版 子供·若者白書 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~』から引用します。

 【自国の社会に満足していますか?】 単位:%

      満足/ドチラカトイエバマンゾク  不満/ドチラカトイエバフマン
 日 本     38.8       44.1
 米 国     57.8       35.7
 英 国     56.9       34.3
 ドイツ     68.9       28.5

 【自国の政治にどのくらい関心がありますか?】 単位:%

       ある/ドチラカトイエバアル  ない/ドチラカトイエバナイ
 日 本     43.5       47.0
 米 国     64.9       29.4
 英 国     58.9       36.4
 ドイツ     70.6       27.5

 若者の多くは日本社会に不満を持っているようですが、政治への関心はほぼ同程度ですから、まんざら政治に関心を失っていると言うのは即断し過ぎではないでしょうか。彼ら若者は、国家の将来、未来に対して絶望などしていなくて、意見を出す手がかりを求めてじっと静観しているように思えます。

 若者たちに問いたいと思います。現下の国際情勢を眺め、独裁・専制・権威主義・ジェノサイドを志向する国家認めますか。そして、残念ながら、わが国を取り巻く近隣諸国にはそのような国々が多く存在していることを厳しく認識しなければならないのではないでしょうか。

 かつて、英国のウィンストン・チャーチル首相は、

 民主主義は最悪の政治形態と言っていい。ただし、これまで歴史上
  試されてきたそれ以外のあらゆる政治形態を除けば…。」

と述べました。民主主義には欠点もありますが、それに勝る政治形態はないと言えるのではないでしょうか。

 日本はアジア最古の民主主義国として民主主義を守り、育む責務があります。

 そのためには、若い諸君が、来る7月10日の参議院議員選挙において、みずからの意思で投票する「1票」が、若い世代の将来と未来を力強く創造していく機会となることを心から望んでやみません

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年6月24日 (金)

『国のために戦いますか』…日本人の「はい」率は?

 846回目ブログです

20226242

   君が代は広く人々が愛誦してきた
   長寿の雅歌であり
   万葉集からの伝統を継ぐ
   まさに真珠のごとき愛の歌を
   日本人は宝としつゞけるのである
       令和三年弥生 中西進

 ロシアによるウクライナ軍事侵略から4ヶ月を超えようとしています。ロシア、ウクライナの双方が疲弊しているように見えますが、はたしてどのような結末を迎えるのでしょうか。

 このような時、世界の各国とも国防、軍事に大きな関心をもっていることが調査データに表れています。しかしながら、唯一、わが日本国だけが “例外” であること、それも極めて特異な数値を明瞭に示していることに注目しなければなりません。

 とりあえず、調査データを覗いてみましょう。

 「世界価値観調査」から。世界数十カ国の大学・研究機関が参加し、各国国民の意識を相互比較する「世界価値観調査」ものであり、1981年から、また1990年からは5年ごとの周期で行われている。(ただし最新調査は7年経過したもの)サンプル数は各国18歳以上、男女1000~2000人、

 日本語での設問文の全文はもう二度と戦争はあってほしくないというのがわれわれすべての願いですが、もし仮にそういう事態になったら、あなたは進んでわが国のために戦いますかとなっており、各国の調査票も同様です。

 【国のために戦いますか】2021.1.29 単位:%

             はい   いいえ  わからない
   (1)日本       13.2  48.6  38.1
   (2)リトアニア    32.8  42.8  20.0
   (3)スペイン     33.5  55.3   9.8
   (5)イタリア     37.4  45.0  13.9
 (10)ニュージーランド 40.9  33.0  26.1
 (14)ドイツ      44.8  40.6  12.2
 (16)オランダ     46.7  40.8  11.8
 (26)オーストラリア  56.9  40.8    ―
 (27)ウクライナ    56.9  25.5  16.6
 (30)米国       59.6  38.6    ―
 (31)スイス      59.9  34.4   3.4
 (32)エストニア    61.3  24.7   7.4
 (35)英国       64.5  31.9   3.3
 (38)フランス     65.6  28.1   5.6
 (40)韓国       67.4  32.6    ―
 (45)ロシア      68.2  22.0   9.1
 (49)ポーランド    72.6  20.0   7.3
 (52)デンマ―ク    74.6  23.3   2.0
 (53)フィンランド   74.8  18.3   6.1
 (57)フィリピン    76.0  24.0    ―
 (58)トルコ      76.4  19.2   3.6
 (60)台湾       76.9  23.1    ―
 (65)スウェーデン   80.6  15.6   3.0
 (70)ジョージア    85.3  13.0   1.3
 (73)インドネシア   86.4  12.8   0.8
 (74)ノルウェー    87.6  10.4   1.9
 (75)中国       88.6  10.2    ―

 びっくり仰天! “国のために戦いますか” はいの回答「日本」13.2%、断トツの悲しい1位。わが日本の現状認識と意識は、諸外国と比較して余りにも乖離があり過ぎるのではないでしょうか。現状認識と意識には深い関係があり、おそらくは現状認識の甘さが意識の緩さに影響していると考えられます。

 取り敢えず、分かりやすい例で見ましょう。今、北欧のフィンランド、スウェーデンがロシアの侵略に備えて北大西洋条約機構(NATO)に5月18日加盟申請しました。

 北欧三国が、ロシアからの侵略をいかに脅威に感じているかを「国のために戦う」数値から窺がうことができます。74%~88%という数値、それに比してわが日本の数値は13.2%。 北欧と日本との驚くべき数値の差異に深いため息をつかざるを得ません。

 北欧三国の「国のために戦う」姿勢をよくご覧ください。

  (53位) フィンランド 74.8%(NATO未加盟)
  (65位) スウェーデン 80.6%(NATO未加盟)
  (74位) ノルウェー  87.6%(NATO加盟済)

 対して、日本の「国のために戦う」姿勢は、

  ● (1位) 日本     13.2% 

 主権国家「ウクライナ」が大国ロシアの侵略に晒されている現実を見れば、フィンランドおよびスウェーデンが国家防衛の実をあげるために、NATOへの加盟に踏み切ったことは素晴らしい外交戦略であると言わねばなりません。

 それに引き替え、中国・北朝鮮・ロシア・韓国の近隣周辺4ヶ国から連日の如く脅迫を受けている「日本」は、「国のために戦う」姿勢としてわずか13.3%の国民しか有していないという実態に愕然とさせられます。

 中国の軍船は連日の如く尖閣周辺を遊弋し脅しを加え、北朝鮮は精度の高いミサイル発射を重ね軍事力を誇示しています。ロシアもしかり、韓国もしかり。わたし達日本人は、これだけ周辺国から軍事的脅威を与えられても何の恐怖も覚えないのでしょうか。あまりにも不甲斐ないとともに、不感症の体質になってしまっていることに深い絶望を覚えざるを得ません。

 日本が、なぜこのような体質になっているのかを考えて見ると、①憲法に他国にはない戦争放棄条項を有している、②日教組の影響、③若者の軟弱さ、④愛国心の欠如、⑤戦争は悪とたたき込まれた「戦後民主主義」の洗礼(=中高年の国防意識の衰え)、が考えられると思います。

 であるとすれば、いよいよ参議院議員選挙、今は「時代の屈折点」、戦後政治の抜本的見直しを期し、勇気ある参議院議員に投票したいものです。…日本のために!

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年6月17日 (金)

『所得倍増計画』…岸田首相の信念なき政策を問う!

 845回目ブログです

20226171

 “あぢさゐの 下葉にすだく ほたるをば 四ひらの数の そふかとぞみる”
                藤原定家(平安末期~鎌倉初期)

 紫陽花の下の方の葉に集まる螢は、四枚の紫陽花の花びらが添うように見える…。

 紫陽花の花は夕闇に見えなくなり、それと引き替えに螢が紫陽花の下葉に集まり、それが四枚の花びらが増えたように見える、その黄昏時の情景を美しく詠ったものです。

 自然界は春から夏へとその麗しい姿に変化を持たせ情緒の一端を感じることができますが、人間世界の、特に国際政治の複雑極まりない姿からは乾いた感情を抱くほかには何もないような状態です。

 しかし、よくよく見れば、世界は大きく変貌を見せており、時代は屈折点を迎えているのではないでしょうか。

 そんな時、岸田首相は「骨太の方針」「新しい資本主義」を閣議決定しましたが、詳しく見れば、問題点ばかりという有様です。岸田首相が就任以来発言してきたことが手の平返しになっていることに、その軽薄さと信念のなさを指摘したいと思います。新自由主義からの転換は無し、国民の財布事情を無視した1億総株主化策、格差是正のための金融所得課税強化を回避、そして、肝となる「令和の所得倍増」が何と「資産所得倍増」へ! と子供だまし的な手のひら返し。

 そもそも、岸田首相の「新しい資本主義」とはなんでしょうか。日経新聞が岸田首相を忖度して分かりやすく解説しています。

   ①  経済成長しつつ格差をなくしていこうとの意気込みで
   「分配と成長の好循環」の実現を目指す。
 ② 「株主至上主義」の是正
 ③ 「ステークホルダー資本主義」(従業員や、取引先、地域社会、
    環境など、あらゆる関係者に配慮した企業経営)を是とする。
 ④ 「資産所得倍増プラン」資産運用所得の重視。

 岸田首相は、国の基盤とも云える経済政策を、真剣に哲学的に内省したのでしょうか。思索があまりにも薄く見えて仕方がありません。例えば、岸田首相は就任当初から「所得倍増」を唱えてきましたが、いつの間にか「資産所得倍増」へと衣替え。本当に大丈夫でしょうか。

 ここで、かつて「所得倍増」を腹の底から唱え、その政策を「信念」をもって敢然と実行に移した池田勇人首相の勇気ある姿勢を振り返ってみたいと思います。

 所得倍増計画は、昭和35年(1960)年に池田勇人内閣が掲げた長期経済政策。10年間で国民所得を2倍にすると宣言し、高度経済成長を背景に国民1人当たりの消費支出は10年で2.3倍に拡大しました。立案は経済学者の下村治博士

 池田首相は、国民総生産(GNP)を10年以内に倍増させ、国民の生活水準を西欧先進国並みに到達させるという経済成長目標を設定し、完全雇用の達成、福祉国家の実現、国民各層の所得格差の是正を目指しました。さらに減税、社会保障、公共投資を三本柱として経済成長を推進。(∴ 大目標の設定、明確な項目、推進力の明示…参考になります!)

 「国民所得倍増計画」は、下村博士たち池田首相のブレーンがケインズ的思想を導入し、潜在成長力の推計をもとに、池田首相とのディスカッションを重ね、立案には約3年間を費やし、民間の有識者など各方面から1000人もの意見を聞いて練り上げたともいわれ、最後に池田内閣として政策体系にまとめられました。∴ 3年間・1000人・ディスカッション…この驚嘆すべき熱量!

 「いま月給をすぐ二倍に引上げるというのではなく、国民の努力と政策のよろしきをえれば生産が向上する。せっかく力が充実し、国民経済が成長しようとしているのに、これを無理に抑えている。いま日本でインフレの心配は少しもない」(池田勇人首相・日経・「私の月給倍増論」)

 当時、日本の経済成長は、戦後の復興段階を終えて「屈折点」を迎え、鈍化するのではないかと見られていましたが、池田内閣の「国民所得倍増計画」は、このような殻を打ち破ろうとする「積極的経済政策」だったのです。(∴ 時代に対する積極性!)

 「国民所得倍増計画」は、池田首相の迫力のあるキャラクターによるアナウンス効果もあり、国民に新鮮な響きとして受け取られるとともに、日本経済と国民生活がこれから10年間に、どこまで、どう、豊かになるのか、分かりやすく、かつ緻密に示したことは刮目に値するのではないでしょうか。

 池田首相が所得倍増のヒントを得たのは、一橋大学教授・中山伊知郎氏のエッセーにある「賃金2倍を提唱」だとされていますが、教授は「経営者は賃金のコストの面ばかりを見て抑えつけようとするが、賃金のもうひとつの側面である所得ををあげることこそが、かえって生産性を上昇させ労働争議のロスを少なくさせ、社会全体にとってよいものなのだ」と主張しています。(∴賃金は「コスト」と「所得」の両面を見よ!)

 昭和35年(1960)5年7月19日に池田は内閣総理大臣に就任し、9月5日に「所得倍増論」の骨子を発表。
 「今後の経済成長率を経済企画庁は年率7.2%といっているが、私の考えでは低すぎる。少なくとも年率9%は成長すると確信している」
 「過去の実績から見て、1961年度以降3ヵ年に年平均9%は可能であり、国民所得を1人あたり1960年度の約12万円から、1963年度には約15万円に伸ばす。これを達成するために適切な施策を行っていけば、10年後には国民所得は2倍以上になる」

 「所得倍増論」は、野党、エコノミスト、マスコミからは冷ややかに見られ “絵に描いた餅” であり、実現は不可能だと批判されました。一橋大学教授・都留重人氏は「日本経済は伸びているように見えるが、それは"回復であって"成長"ではない」などと「所得倍増論」は本質を見誤った“錯覚”と切り捨てたのです。

 「所得倍増計画」は、いろいろと批判を浴びましたが、結果として、国民1人当たりの消費支出は10年で2.3倍に拡大しました。

 「所得倍増計画」は、素晴らしい成果をあげたと思います。そのダイナミズムは括目に値する歴史に残る偉大さではないでしょうか。

 ところで、過去30年も経済が低迷しているにつけ、わが国のリーダーは歴史に学ぶ必要があるのではないのでしょうか。ざっと上記を見ただけでも、池田首相の国家、民族に対する揺るぎない信頼、3年間に亘る周到な立案ためのディスカッション、1000人を超す識者の知恵を結集する努力、…素晴らしい日本の叡智を誇りに感じないではおられません。

 翻って、岸田首相は、なぜ、国民の全てが歓迎、期待するであろう「所得倍増」を引っ込め「資産所得倍増」を打ち出したのでしょうか。全く理解に苦しみます。

 岸田首相には、財務省に目を向けるのではなく、国民に目を向け、郷里広島の大先輩でもあり、派閥・宏池会の創設者でもある池田勇人首相の「所得倍増」政策の実行に向けた不屈の信念に思いを馳せていただきたいと思います。

 何はともあれ、政治の責任において、強い信念のもと、積極的経済政策で国の難局を乗り切ってほしいと願うのみです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年6月10日 (金)

ウイグル人弾圧…中国「新疆公安文書」流出の衝撃!

 844回目ブログです

20226101

“かくばかり ことしげき世に たへぬべき 人をえたるが うれしかりけり”
                   明治天皇御製(明治37年)

 これほどまでに様々なことが起こってくる時代に耐えられる人材を得られたことは大変嬉しいことである…。

 ロシアのウクライナ侵略がとのように決着がつくのか予測さえつかない情勢ですが、マスコミでは国際問題と言えばロシア・ウクライナ問題一色の感があります。しかし、忘れてならないのは、中国での人権問題であり、そのおぞましい姿が先日報道されました。

新疆の内部資料が大量流出 収容所の「衝撃的」実態浮き彫りに

 中国当局から流出した新疆ウイグル自治区に関する数万点の内部資料が、5/25公開された。資料には数千枚の写真や公文書が含まれ、同自治区でウイグル人などの少数民族が暴力的な手段で収容された実態が改めて浮き彫りとなった。
 新疆ではウイグル人ら少数民族100万人以上が収容所や刑務所に収容されてきたとされるが、中国政府はこれら施設を職業訓練所としており、強制収容の事実を否定。
 だが、公開された写真や文書から、習近平国家主席をはじめとする政権上層部の厳しい取り締まりが示されている。
           (5/25 jiji.comより一部引用)

 従来より、中国のウイグル人に対する弾圧や虐殺、100万人の収容所送りの実態について、時折報道されていましたが、中国政府は一貫してその事実を全否定してきました。

 ところが、今回の「新疆公安文書」は半端なく膨大な資料であり、衝撃的な事実を浮き彫りにしました。この文書については、AFP(仏)、BBC(英)、仏紙ルモンドなどの報道機関によって信憑性が確認されています。

 小ブログでも、過去、数回ウイグル人弾圧について記しましたが、改めてその実態に触れてみたいと思います。(福島香織女史の論稿を参考)

 中国共産党によるウイグル人迫害の新たな証拠となる公安内部の文書や写真を集めた「新疆公安文書」は、米NPO「共産主義犠牲者記念財団」上級研究員のドイツ人ウイグル問題研究者、エイドリアン・ゼンツ氏により公表されたものであり、新疆公安当局のシステムに対する第三者のハッキングによって流出した機密文書

 【ファイル】
  政策文書
  スピーチ原稿
  2,800人以上の収容者の写真、
  23,000人以上の収容者データ
  300,000万人以上の個人データ
  収容施設における警察の活動や武器などの膨大な写真や情報

 これまで、ウイグル人弾圧に関する内部文書のリークの多くは、ウイグル官僚が良心に基づいて人づてに海外に流出させたものだが、今回のものは地域の警察内部のネットワークに保存されている内部資料であり、量、質とも桁違いである。

 新彊におけるウイグル人ジェノサイドが習近平総書記の肝いりの指示であることが判明。強制収容施設から逃亡しようとするウイグル人に対する射殺命令殺人許可なども含まれており、想像を超えるすさまじさに国際社会が震撼している。

 手錠と足かせをつけられて頭に黒い袋をかぶせられた男がこん棒をもった警官に連行される写真、銃を構えた迷彩服の武装警官が物々しく警備する鉄檻の施設・・・。そして年端も行かぬウイグル人少年少女から老人までの強制収容者の顔写真・・・。新疆警察文書には、新彊で今世紀最大規模の民族ジェノサイドが侵攻中であることの膨大な証拠が集められていた。

 「新疆公安文書」の公表時は、国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレの調査チームの訪中するタイミングあり、中国の人権弾圧問題を提起する格好の材料だったが、弁務官は「新疆訪問はウイグル人の人権を調査することではない」と人権問題をスルーしたのです。習近平主席に篭絡されたとしか思えず、国連「人権」高等弁務官を名乗ることを止め、国連弁務官と名乗るべきであり、国連の信頼は地に落ちたというべきではないでしょうか。

 新疆ウイグル自治区書記・陳全国のリークされた原稿から「講話」ヲ引用します。

 『強制収容所においては、五防(トラブル、逃亡、地震、火災、感染の予防)を、ひとつとして失敗してはならない。誰であっても、このコントロール監視を逃れようと思えないように、何重にも防衛線をしき、鉄壁で囲み、それでもアクションを起こすなら(コントロールから逃れようとするならば)発砲せよ』

 『軍警兵民は気を緩めることなく、誰であれボトムラインに触れる者には攻撃を加え、7.5暴動(2009年7月5日のウルムチ騒乱)を二度と繰り返すな。誰であれ戦を挑む者は先に斃し(落命させ)、事後報告後でよい』

 『7人で警備し、そのうち2人が銃を持つこと。逃げ出そうとしたらまず言葉で制止し、警告に従わねば威嚇発砲し、それでも言うことを聞かないようなら即銃殺せよ』

 『「4つの打破」をパーフェクトに行えたことに祝意を表す』

   【4つの打破】とは、
    ウイグル人の根源を打破し
    ウイグル人の血統を打破し
    ウイグル人の関係を打破し
    ウイグル人の起源を打破する。…という意味です。

 これは民族の遺伝子を抹殺することであり、これを“ジェノサイド”といわずして何と言えばよいのでしょうか。

 身の毛もよだつ民族抹殺の思想、それをもとに収容所はもとより、新疆ウイグル自治区内の全てにおいて、厳格な管理体制、厳しい懲罰、民族言語の排除、宗教・文化への圧力、自由の剥奪、人間性の否定、人権の完全無視、断種、拷問、銃殺、…ヒトラー、スターリン、毛沢東と並ぶ極悪非道、鬼畜の振る舞いと言わねばなりません。

 ここまでくると、国際社会も動き始めました。英国外相、ドイツ外相らは早速この証拠をもとに中国を非難し、中国の王毅外相に調査を行うよう要請しました。さすがに欧州は動きが早いですね。

 ところで日本政府はどうなっているのでしょうか。中国の新疆ウイグル人に対する、苛斂誅求なる人権弾圧、えげつないジェノサイドについて、わが国は、対中非難も、対中制裁も、一切行っていないのです。国会もしかり、国内人権団体も口をつぐんでだんまり。果たしてこのままでよいのか!

 いいかげん、怒りを爆発させなければなりません。

 日本は道徳を誇る国ではないのでしょうか。事ここに至れば、薄汚いイデオロギーを離れ、まことの人間として、人権について堂々と主張しようではありませんか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年6月 3日 (金)

企業の四半期決算に異議あり! 

 843回目ブログです

2022631

  “五月雨は 露か涙か 不如帰 わが名をあげよ 雲の上まで”
               足利義輝(室町13代将軍)

 降りしきる五月雨であるが、はかなく消える露なのだろうか。それとも、私の悔し涙なのだろうか。そのどちらにも思える。自分が死んだ後、高く鋭く鳴く不如帰よ、どうか雨雲を突き抜け、より高みへと飛翔して広い晴天まで私の名を広げておくれ…。

 政敵に襲われ暗殺され、非業の死を遂げた13代将軍の辞世の句と言われています。

 6月は、一般の企業であれば3月期末の決算を終え、株主総会が多く行われる月でもありますが、果して経営者として、余裕の笑みか、苦渋の顔か、株主からの審判が下される時でもあります。

 わが国の上場企業約4千社は、以前は、中間期(6ヶ月)・通期(12ヶ月)の2回の決算を行っていましたが、現在では、3ヶ月・中間期・9ヶ月・通期の決算報告を行っています。即ち、年間4回も経営内容(決算・財務など)の開示を行なっているのです。この3ヶ月ごとの決算・財務などの内容を開示する制度を四半期開示制度と言います。

 岸田首相は、1月の所信表明演説で、企業が3カ月ごとの業績などを公表する「四半期開示」では経営が近視眼的になると示唆し、その見直しに言及しました。それを受けて、金融庁の金融審議会は、開示義務の廃止までも一応検討はしましたが、「四半期報告書」を廃止し、「四半期決算短信」に一本化すること落ち着きました。抜本的な制度見直しにまで至らず、例によって中途半端のままとなりました。

 それでは、「四半期開示」のメリット、デメリットを考えてみましょう。

 ●メリット
  ・財務や予算進捗状況をいち早く知ることができる。
  ・変化のスピードが速い現在、四半期ごとの情報は投資家に有益だ。
  ・企業の不正を早い段階で発見できる。

 ●デメリット
  ・中長期的な視点に立った経営が行われない。
  ・四半期決算作成の人的労働時間、監査料などの負担が大きすぎる。
  ・四半期ごとに利益を上げなければならないプレッシャーが大きい。

 要は、経費のことは別にして、短期視点の投資家の肩を持つか、中長期視点での経営を求めるかの問題になると考えます。

 ここで、有識者の発言を見てみましょう。

・サントリーH鳥井信吾副会長(大阪商工会議所会頭)

 「四半期開示は全く必要なく、半期(中間期と通期)で十分」
 「四半期開示では、やはり中長期の考えができなくなる。今儲かっている事業が赤字になったり、当社のビールのように昔、赤字だった事業が数十年たって黒字転換したりするケースもある。決算は半期か1年、あるいは3年という単位で見ないと本当の経営は出来ない」

・ウォーレン・バフェット氏(米国の著名投資家・オハマの賢人)

 「企業が四半期決算に縛られると数字合わせという操作に走り、長期的な重要関心事に反した愚かなことをする」

・JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO

 「四半期の数字作りのため、CEOはマーケティング予算を削減したり、新規支店を断念したり、安売り競争を展開したりする。バフェット氏のおっしゃるように、数字操作は自己増殖するものだ」

 英国やフランスが四半期開示を任意化しており、任意化後の英国では、財務諸表を含む四半期開示を継続している企業は7.8%に過ぎず、簡素化が進んでいると言われます。

 関西経済連合会の松本正義会長(住友電工会長)は、四半期開示の義務付け廃止を求める緊急提言をまとめ「負担が大きすぎるので止めたい。英国やフランスが任意化する中、日本の政府は企業を信用していないことになる」と語気を強めて語りました。(5/11産経)

 【四半期開示制度】に関する提言の主眼は下記の通り。

 ① 経営者や投資家の短絡的な利益志向を助長。
 ② 3ヶ月毎に膨大な人的資源を投入し、長時間労働是正の観点から問題。
 ③ 国際的に任意化される中、日本企業は詳細な開示を求められること
   で不利な競争条件に置かれる。

 わが国の識者は、外国の手法を金科玉条のように有難がり、そのまま導入しようとしますが、日本人には日本人としての特質がありそれに適合したやり方にしてゆくことが求められているのではないでしょうか。

 実は日本でも2018年3月に経団連が(EUでの流れを受けて)四半期開示制度の見直しを要望しておりました。また、米国では2018年8月トランプ大統領が米証券取引委員会に、四半期決算開示を廃止した場合の影響を調査するように要請した経緯もあります。

 この問題は日本社会としてどう捉えるのが正しい選択であるかを考えるべきであり、欧州が、アメリカがという浮付いた考えで取り組むべきではないと思います。

 実際問題、企業人であれば、決算を3ケ月に1回行うとすれば、それが毎年であれば、どうしてもものの見方が短期的になるのは止むを得ないと思います。また、日本人は、もって生まれたDNAが農耕民族の濃い血を持っており、コツコツと辛抱強く育てていくことで大きな成果を得てきました。そう考えれば、「四半期決算」の制度は決して日本人の肌に合ったものとは言えず、日本人の叡智や能力や知的水準を存分に生かすことには繋がっていないのではないでしょうか。

 今、わが国の経済が沈滞しているのは、国民の能力を活かすよりも引き下げることに力を入れているように見えてなりません。例えばいわゆる「働き方改革」にしても、真に、私たち国民の肌感覚に合ったものを志向しているとは思えず、逆に活力をそぐ側面があるのではないでしょうか。日本人は生来、労働は、大方は、仕事(Work)として捉え、苦役(Labor)ではなかったのです。

 そう考えれば、私たちは、国民全体の本来の能力を最大限引き出すためにも、弊害のある、超短期の視点での「四半期決算」制度は廃止しなければなりません。

 日本人には、日本人に合ったやり方があるのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年5月27日 (金)

「ロシア」はどうなる…その挫折と憂鬱!

 842回目ブログです

20225271

  “世の中は なにか常なる 飛鳥川 昨日の淵ぞ 今日は瀬になる”
                詠み人知らず(古今和歌集)

 この世の中では、いったい変わらないものがあるのだろうか、いや変わらないものは何ひとつない。飛鳥川の流れも、昨日淵であった所が今日はもう浅瀬に変わっているのだ…。

 あの大国と言われるロシアが、かつてのソ連の構成国であったウクライナへの侵略戦争で、これほど苦戦するとは、何がどうなったのでしょうか。ウクライナ及び欧米側が伝えるニュースとロシアが伝えるニュースには極端に差があり、どちらも、自己が優勢とプロパガンダしているように思えますので、冷静に見なければならないと思います。

 最新の局地戦での事実は、アゾフスター製鉄所に留まっていたアゾフ連帯が製鉄所から去ったことと、ウクライナ南東部の要衝マリウポリがロシア軍によって完全に掌握されたということです。これで一旦落ち着くことは考えられず、ますます戦争の長期化が見込まれるのではないでしょうか。

 そして、ここにきて、いよいよ、5月18日、フィンランドスウェーデンの両国が同時に「NATO」への加盟申請を行いました。フィンランドとスウェーデンは、第2次大戦後の経験から欧米にもロシアにも与しない「中立の立場」を保ってきましたが、近年のロシアの危険な膨張政策に鑑み、このままでは国家の存立が危ぶまれるとして、NATOへの加盟を願い出たものだと考えます。

 いまや、「プーチンの退陣は必至」「ロシアの惨めな敗北」「ロシア経済の悲惨な末路」など、欧米メディアの声は厳しさそのもの、…何となく挫折感が漂います。果たしてそれが本当なのかどうか、ロシアの雰囲気、実態について覗いてみたいと思います。

 プーチン氏の体質は、KGB(現FSB:ロシア連邦保安庁)出身を色濃く示しており、独裁・専制・権威主義は疑うべくもありません。

 歴史観は、英国の記者に「世界の指導者で最も尊敬する人物?」と尋ねられると即座に「ピョートル大帝」と答えたことに示されています。(ピョートル大帝は1672~1725、初代ロシア皇帝、近代化を推進し新首都ペテロスブルグを建設、スウエーデンとの北方戦争に勝利した1721年以降、ロシアは帝国と称す。)

 これで分かるように、プーチン氏は自らを、歴代皇帝、スターリン等と並ぶロシア国家を体現する存在であることを強く意識しており、その行動原理は飽くなき膨張主義力の原理を踏襲しているのです。

 従って、今回のウクライナ侵略の根源には、ウクライナを「小ロシア」として併合した18世紀のエカテリーナ2世紀の「ロシア帝国の版図」こそが本来の姿だという信念があると考えられます。

 今年1月から3ヶ月間、ロシアから国外に出た国民の数が388万人にのぼったと報じられました。この中にはビジネスや観光などの国民の数字を含んでいますので、この数字をそのまま国外脱出者とみなすことは出来ませんが、それにしても膨大な数の出国者であると言わざるを得ません。

 別の詳しい調査によると、ロシアのウクライナ侵略を機にロシアを離れた脱出者は30万人にも上ります。その86%が44歳以下。職種は、全体の3分の1がIT関連の人材、それ以外も企業のマネージャーや法律家、心療学者、デザイナー、コンサルタント、ジャーナリストといった、いわゆる頭脳労働者らに集中…。

 “有能な人材”の流出は極めて深刻です。ロシア経済は、エネルギーや非鉄金属などの資源産業、宇宙開発や軍事以外には目ぼしい分野はなく、IT分野が国際社会で存在感を示しつつありましたが、今回の国外への大量の人材流出で発展の芽が摘まれることになることは言うまでもありません。(WEDGE Infinity 5/19より)

 ウクライナに侵攻したロシアからの頭脳流出、若者の海外脱出に対して、プーチン氏は極めて冷酷です。3月中旬の反政権派の出国をめぐるプーチン氏の発言をごらんください。

 『社会の浄化に必要であり、ただ国家を強固にするだけだ』
 『われわれは本物の愛国者と裏切り者を見分けることができる。
     そのような連中は、誤って口の中に飛び込んできた“小バエ”のように、
     路上に吐き捨ててしまえばいい』

 ロシア国民を“小蠅”(こばえ)と呼ぶプーチン氏はロシア共和国の大統領に相応しい人物とは到底思えず、その異常な人格に驚きを隠せません。これでは、さすがに国内メディアによって洗脳されている国民も心が離れていくのではないでしょうか。国民に対して“小蠅”とののしるとは、どう考えても言葉が酷すぎます。

 5/23ロシアの国連代表部(在ジュネーブ)の露外交官、ボンダレフ氏はウクライナ侵攻とプーチン露政権に抗議するため、露外務省を退職、亡命すると発表。ボンダレフ氏の言葉を読むと、プーチン大統領への痛憤が伝わってきます。

 もううんざりだ。遅くなったが本日で退職する」
 「2月24日(侵攻開始日)ほど国を恥ずかしいと思ったことはない」
 「侵略戦争はウクライナ国民に対してだけでなく、繁栄を失う
  ロシア国民に対しても犯罪だ」
 「この戦争を思いついた人物は、永遠に権力を握り、豪華な宮殿に住み、
  露海軍全体の金額にも匹敵するヨットに乗りたいと思っている。その
  ためにはどんな犠牲もいとわない。既に両国民が何千人も亡くなった」 

 欧米及び日本による制裁などは大掛かりなものになっています。

  ① 各国の中央銀行が保管するロシア中央銀行の外貨準備の凍結
  ② ロシアの主要銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除
  ③ プーチン大統領や主要閣僚、プーチン氏に近い新興財閥の資産凍結
  ④ ロシアの航空会社の締め出し
  ⑤ ロシアからのエネルギー輸入停止(米)及び依存減少(欧州)
  ⑥ カード会社ロシア業務を停止(ビザ・マスターカード)
  ⑦ 多国籍企業ロシア事業から撤退
  ⑧ ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性強まる

 上記の厳しいまでの制裁は、ロシア国民を塗炭の苦しみに追いやり、ロシア経済の悲惨な末路を暗示しています。制裁の抜け穴は中国と一部インドでしょうが、欧州との貿易の全てを肩代わりすることは困難と見られています。

 ロシアとウクライナの戦争の決着はどうなるかは全く分かりません。しかしながら、現行の国家主権を覆す侵略を企てたロシアの「挫折」と「憂鬱」は、独裁専制の権力を誇ったプーチン体制を揺るがしているようにも見えます。

 最後に、孫子の言葉から。

 【兵の拙速を聞くも、未だ功久しきを睹(み)ず】

 「短期決戦に出て成功した例は聞くが、
         戦いを長引かせて成功した例は見たことがない」

 戦争が長引くと、国力が疲弊します。その理由は、孫子によりますと、軍隊、兵器、食料の輸送に膨大な経費を消費する、商品の物価が上昇する、国家の財政が逼迫する、そのため、税金や賦役が重くなる、その結果、人民の生活に窮乏を加え、国全体が貧しくなる。…まさしくロシアの将来を見透かしているようですが、いかがでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年5月20日 (金)

ウクライナは「他人事」ではない!

 841回目ブログです

20225201

 “卯月ばかりの若楓 すべて 
       よろずの花 紅葉にまさりて めでたきものなり”
                吉田兼好『徒然草』139段

 卯月(4月末~6月初)頃の青紅葉は、あらゆる花にも紅葉にも優ってすばらしいものだ…。

 青紅葉(若葉の萌え出ている楓)が目に鮮やかな色をわたしたちに見せてくれています。今の時点で、鮮やかな青が秋には真紅の紅葉に変わることを想像することは出来ませんが、期待は大いに膨らむものです。

 今日も、侵攻するロシア軍にウクライナ国民が耐え忍んで抵抗を重ねています。わたし達日本人は、この事態をテレビやスマホニュースでその画像に視入るばかりであり、ややもすれば「他人事」(ひとごと)に感じているかも知れません。

 しかし、日本にとってウクライナの危機が、台湾、及び、尖閣を含む日本有事の前に生じたのは、ある意味で天佑神助、天の助け、地祇の助けでもあります。天は、日本人に “ 覚醒 ” を促しており、それに応えなければ日本は危うくなるかも知れません。

 そうしないためにも、安全保障・国防、エネルギー、食糧、などを他国に安易に依存すべきではないことを肝に銘じなければならず、わたし達日本人は、戦後70数年間、惰眠を貪ってきたことを真剣に、深刻に反省しなければならないのではないでしょうか。

 1992年、アメリカの政治経済学者フランシス・フクヤマは、著書『歴史の終わり』で、民主政治が政治体制の最終形態であり、安定した政治体制が構築されるため、政治体制を破壊するほどの戦争やクーデターのような歴史的大事件はもはや生じなくなり、この状況を「歴史の終わり」と呼びました。

 また、1996年、アメリカの国際政治学者サミュエル・ハンチントンは、著書『文明の衝突』で、冷戦後の世界の紛争は文明間の紛争になり「歴史は終焉しない」と主張しました。

 現状の国際社会を眺めれば、残念ながら紛争は無くならず、“ 歴史は終わらない ”ことを明確に示しています。

 しかし、フランシス・フクヤマは現状を以下のように認識しています。

 自由主義の秩序は、プーチンの前からポピュリズムや独裁者など社会の左右から攻撃を受けてきた。
 ウクライナの危機は自由な世界秩序を当然視できないことを明確にした、闘わねば消滅する。
 プーチンが負けても自由主義の「仕事」は終わらない、その後に中国やイラン、ベネズエラ、キューバ等が控えている。
 自由主義の精神はウクライナで生きている、その他の国の我々も徐々に覚醒している。

 これを見れば、フクヤマの自由主義への強い信念と中国など反自由主義国に対する強い危機感が印象的です。(4/8WEDGE Infinity)

 果たして、時代はどのように展開していくのか、皆目見当が尽きませんが、わたし達は、ウクライナを対岸の火事として見るのではなく、生きた実例としてわが国に活かしてゆくべきであろうと考えます。

 わたし達日本人は「危機」と言えば、災害を想起します。地震、津波、台風…これらへの警戒感はそれなりにありますが、「大規模のテロ」や「北朝鮮のミサイル攻撃」などの人為的な危機に対する警戒感は持ち合わせていません。したがって、自然災害には備えても、人為的災害には無防備だということになります。わたし達日本人は、もう少し、大規模テロや侵略戦争に目を開くべきではないでしょうか。

 例えば、核シェルターについて見てみましょう。

  【核シェルター普及率】
  スイス    100%
  イスラエル  100%
  ノルウェー   98%
  アメリカ    82%
  ロシア     78%
  イギリス    67%
  日本       0.02%
    (各国の人口あたり・2014年)

 ここに、大きな問題点があることを認識しなければなりません。つまり、日本の武力攻撃事態における避難所は皆無と言ってもよいのです。東京には地下鉄の駅が多いという声もありますが、空調設備や食料等の備蓄は不十分。(参考に、韓国のソウル市には人口の3倍の地下シェルターがあり、食料や水、一部の武器、ガスマスク、子供用も含めた防弾チョッキなどを備蓄)

 もちろんのこと、今求められていることは、軍事・防衛費を早急に1.2%から2.0%に増やすことであり、核シェルターなどはその後になります。

 日本を攻めてくる可能性がある国(=日本周辺で軍事演習をしている国)は、中国・ロシア・北朝鮮・韓国であり、わが国の隣接国家はすべて危険な国ばかりということを肝に銘じておかねばなりません。

 一瞬の油断もならないことはウクライナで学んでいるところです。例えば、ロシアがウクライナを侵略している最中、ロシアの有力政治家・ミロノフ下院副議長は『ロシアは北海道に対する権利を保有している』と発言。さらに、プーチン大統領は『アイヌ民族をロシアの先住民族に認定する』言明。いよいよ北海道を含む北方領土に爪と牙を伸ばしてきました。

 第二次大戦後、ソ連は日本を「北海道+北方4島」のトータルを2分割して統治することを画策しましたが、米国に拒絶され幻の統治案となりました。日本に幸いしたことは言うまでもありません。ソ連案になっていれば現在の南北朝鮮と同じ運命になったでしょう。つまりは、ロシア(旧ソ連)がしつこく北海道を狙っていることを忘れてはならないのです。

 ロシアのウクライナ侵略を踏まえて「日本の弱点」を考えて見ます。

  核兵器を保有せずの弱点を克服する。
     ⇒替わりに日米安保体制を盤石にすることが肝要
     ⇒非核3原則の撤廃
  防衛力の時勢にあった拡大強化が必要。
     ⇒GNP比1.2%を2.0%にアップ
  自国の防衛は、まずは、自国で対処する覚悟をもつこと。
     ⇒そのために、早急に本格的な憲法改正を政治日程化する
  【お花畑】憲法9条教・観念的平和論・日米安保破棄論…の打破。
     ⇒メディア、教育、文化人の幻想を打ち破る勇気を持つ

 私たちは、できるだけ想像力を働かせ、戦争の背景にある厳しい実態を認識し、わが国の繫栄と防衛に力を入れなければならないのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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