2022年8月12日 (金)

広島平和記念式典…静寂か喧噪か!

 853回目のブログです

20228121

 “蝉の声 何も替わって ないような 八月六日の 広島の空”
         内海暢子(うちうみのぶこ)
        (01年当時15歳、福山暁の星女子中学)

 今日は八月六日。広島の空はあの日から半世紀以上が過ぎた。蝉は、昔から何も変わっていないように鳴き続けている…。

 昭和20年(1945)8月6日、広島に原子爆弾が投下され、その原爆による死亡者は、31万人を超える数字となっており、犠牲者の惨状と被曝による後遺症の苦衷は今も続いています。

 さて、広島市は8月6日、77回目の原爆の日を迎えました。今年も「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式典)が行われましたが、例によって、誠に騒々しいものに終始したことは大きな問題として捉えられなければならないと思います。

 そもそも、この式典は慰霊式と祈念式であり、厳粛の中で行われるべきものでなければならず、このことは市の基本条例にも定められています。

 しかしながら、「第九条の会ヒロシマ」など市民団体のメンバーが参加する「8・6ヒロシマ平和へのつどい2020」は、会場となった平和公園での反戦・反核・脱原発を訴える行動を呼びかけました

   のぼり、プラカードの掲示
   シュプレヒコール
      “憲法改悪反対!”
      “核反対!”
      “岸田帰れ!”
      “安倍国葬反対!”

 市民団体の主張は、左翼、リベラル、反日思想丸出しの野卑な言動そのものであり、原爆の犠牲者に対する慰霊の真心を失った、悲しむべきイデオロギー人間であると言わねばなりません。

 本来ならば、原爆を不当に投下された静謐な環境の被爆地において、原爆犠牲者を心静かに悼むべきものであり、決してシュプレヒコールなどの雄たけびを挙げる場ではありません。厳粛なる平和の誓いというよりも、暗澹たる雰囲気に包まれた式典の印象を強く持ちました。(因みに、私の叔父も原爆の犠牲者であり、静寂な環境で式典が行われることを望む次第です。)

 同じことは、靖国神社の例大祭などについても言えるのではないでしょうか。靖国神社は、春季例大祭、秋季例大祭、全国戦没者追悼式などが毎年斎行されていますが、これも本来は静謐な雰囲気で執り行われるべきものです。ところがサヨクマスメディアの扇動により、半島や大陸を巻き込んだ喧噪のなかで執り行われているのが実情であり、これでは英霊も浮かばれないのではないでしょうか。

 わたし達は、なぜこんなにがさつな人間になってしまったのでしょうか。日本人にとって宗教は、基本的には「祈り」、先祖、英霊への鎮魂と精神的対話、山川草木、生きとし生けるものへの感謝、と言われています。そうだとすれば、原爆死没者慰霊式の異様な雰囲気から判断すると、わたし達日本人は、宗教的心性を著しく欠いており、あるいは、下記のごとく、文明の衰退の兆候を見せているのかも知れません。

 【文明の衰退の兆候】(6視点)

 ① 精神性、宗教性を失い、精神的価値を冷笑する。
 ② 断片的で実際的なものに関心、無機質、マニュアル的な知性を
   もてはやす。
 ③ 自らの属する土地、本来の居場所から切り離して激しく移動。
 ④ 特に農業が嫌われ、生産的なものよりも非生産的な生き方が好まれる。
 ⑤ 大都市・巨大都市へ1極集中的に人が群がる。
 ⑥ 既に衰退した異文明の遺産をわけもなく有難がり、遺品や遺産を
   見て廻ったり、手に入れたがる。

 この6視点に身震いします。全ての項目がわが国の現状に合致していると思われませんか。そうだとすれば、わたし達は、現在の風潮を懐疑的に見直し、日本文明の危機として考える必要があるのではないでしょうか。

 さて、平和記念式典で岸田首相は「77年前の惨禍を決して繰り返してはならない。唯一の戦争被爆国であるわが国の責務であり、被爆地広島出身の首相としての私の誓いだ」と強調しましたが、核禁条約には触れませんでした。

 そして、広島の被爆者団体の代表らは首相との面会で、核禁条約の批准を求めましたが、首相は「条約は核兵器のない世界への出口に当たる。同盟国の米国を変えるところから始めなければならない」と、すぐに批准できる国際情勢ではないとしました。

 世界には、1970年3月に発効した「核不拡散防止条約」(NPT)があります。この条約は、露・米・中・仏・英を「核兵器国」として認め、それ以外の国は「非核兵器国」として核兵器保有を許さないというデタラメな条約です。

 現状の核保有国は下記の通りです。また、ロシアが核兵器使用をちらつかせ、非核兵器国のウクライナを脅している始末です。何をかいわんやではないでしょうか。

   【核弾頭数】(2021年)

   露    6255(発)
   米    5550
   中     350
   仏     300
   英     200
   パキスタン 160
   インド   140
   イスラエル  90
   北朝鮮    39

 わが国を取り巻く国で、中国・ロシア・北朝鮮が核を含む軍事力でわが国を脅しています。それに対抗するには、日米安保、米の核の傘に頼る以外に方策はありません。同盟と傘。一時の情緒的感情に走ったり、現実を見ず理想郷を夢見ては大変なことになります。岸田首相もそのことは十分に理解していただき、夢見る広島市民、日本国お花畑の人々の誘惑に引き込まれないことを願いたいものです。

 最後に、アメリカの原爆投下は「無辜の民」(何の罪もないのに被害を受けた人々)へのジェノサイドであることを忘れてはなりません。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年8月 5日 (金)

新宗教の衰退をどう見るか!

 852回目のブログです

2022851

 “白雲の 映るところに 小波の 動き初めたる 朝のみづうみ”
            与謝野晶子(明治~昭和・歌人)

 夏空の白い雲が、湖の水面に映って、ゆっくりと動いていく。その水面に風がでて、さざなみの立ち始めた朝の湖よ…。

 それにしても、暑い日が続きます。それに加えて、暴漢による元首相の暗殺をめぐるメディアの本質を離れた不毛な騒ぎもあり、暑さが2倍、3倍になりうんざりする今日この頃です。

 国際情勢は、風雲急を告げ、8月3日米国下院議長ペロシ女史が台湾を訪問、チャイナの怒りは沸騰寸前となってきました。台湾海峡がどのように展開するのかかたずをもってみなければならず、また、それはわが国の安全保障に大きく関係するからでもあります。そのような状況では、不毛な議論からはなれて物事を冷静に判断することが肝要ではないでしょうか。

 そう考えて、今回の小ブログでは、宗教、なかんずく新宗教の衰退が明らかに顕著になってきていることに目を向けてみたいと思います。

まずは、信者数の実態把握から。文化庁発行の宗教年鑑から拾いたいと思います。この数字は各教団の自主申告であり、大まかな数字しか把握できませんが、とりあえずその変化の激しさを確認してみてください。

 【新宗教の信者数の推移】

         平成2年(1990) 令和3年 (2021)
  天理教    180 (万人)  120 (万人)
  生長の家    82       37
  立正佼成会  634      222
  霊友会    317      118
  世界救世教   84       45
  PL教団   181       98
  真如苑     67       93
              『宗教年鑑』から抜粋

 自己申告ですから、少な目に申告することは考えられません。この増減率を見ますと、天理教▲33%、生長の家▲55%、立正佼成会▲65%、霊友会▲63%、世界救世教▲46%、PL教団▲46%、惨憺たる数字、何と驚くばかりの大幅な減少率。一方、信者が増加しているのは、真如苑のみがプラス△39%という具合。

 ここで注目するのは、真如苑の伸びです。真如苑は「接心」という悩める人のカウンセリングが中心であり、他の新宗教とは毛色が違っていると考えられています。

 今、マスメディアの注目を浴びているのが、世界平和統一家庭連合(旧名称:世界基督教統一神霊協会)。信者数の明確な数字は不明ですが、週刊ダイヤモンド(2018/10)によれば、信者数はおよそ10万人と推定しています。

 わが国で政治と宗教との関わりで頭に浮かぶのは、公明党と創価学会であることに異を唱える人はいないと思います。両者は「異体同心」、メディアは公明党の支持母体は創価学会と明言しています。

 しかしながら、宗教年鑑を見ても、創価学会は「世帯数」で届けていますから、信者数は良くわかりません。宗教内での用語は一般社会の用語とは全く異なりますから、他の数値で把握することが望ましいと考えます。

 そこで、国政選挙における公明党の比例得票数が創価学会の信者数にほぼ近いと推定しました。その格好の数字から創価学会の推移を見てみましょう。

 【公明党の比例得票数の推移】(≒創価学会信者数と推定)

    (選挙年)    衆・参  比例得票数
  平成17年(2005)  衆   898(万票)
  平成19年(2007)  参   776
  平成21年(2009)  衆   805
  平成22年(2010)  参   763
  平成24年(2012)  衆   711
  平成25年(2013)  参   756
  平成26年(2014)  衆   731
  平成28年(2016)  参   757
  平成29年(2017)  衆   679
  令和 元年(2019)  参   653
  令和 3年(2021)  衆   711
  令和 4年(2022)  参   618

 12年前が898万票、それが今年は618万票、減少率▲31%、そして、昨年が711万票、今年が618万票、わずか1年の減少幅が約100万票何とも厳しい数字であり、他の新宗教と同じく、創価学会としても安閑とはしておれない状況のように見えます。

 しかし、創価学会は永年、与党政治に密着し利権を確保するとともに、学会内経済活動で利益を蓄積し、宗教を超えた日常を基盤とする組織を確立しており、とりあえずは安定感を持っていると言えそうです。

 ところで、なぜ、新宗教が衰退しつつあるのでしょうか。新宗教の多くは先祖供養と病気治しを主な活動として発展してきましたが、核家族化、都市化により先祖供養の意識が薄らぎ、医学の発達で宗教に頼るひとが少なくなってきたことがひとつの要因と考えられます。

 そして、ふたつ目には、労働者のコミュニティとして、インターネットなどで簡単に人と人が繋がる時代になり、入信しなくなったことが挙げられます。

 3つ目には、信者の高齢化が進むとともに、「創始者」の世代交代によって “絶対的カリスマ” が不在となり、信者の減少が避けられなくなってきたことではないでしょうか。

 このようなことは、先進国としても共通の現象であり “宗教消滅の危機” が叫ばれています。特に、1990年代以降インターネットの普及に伴い、人が悩みを抱えても宗教の門、教会の門を叩くことよりもネットで救済を求める時代になってきたことを認識しなければなりません。

 今や、人間関係はスマホやSNSで築きあげる時代となったことだけは確かかも知れません。家族でのコミュニケーションが希薄化し、会社でのコミュニケーションも弱まり、世の中との接点も全体的に揺らいでいるとすれば、旧来の「新宗教」でその心の叫びを受け止めることができるのか、それともSNSが包括するのか、今後を見守りたいと思います。

 さいごに。宗教界が揺らいできているということは、私たちの心も揺らいでいることを意味しており、今一度、心静かにわが身を振り返ってみる必要があるのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年7月29日 (金)

今、再び、カルトに注目しよう!

 851回目のブログです

20227291

 “山かげや 岩もる清水の 音さえて 夏のほかなる ひぐらしの声”
               慈円(天台座主・千載和歌集)

 この山蔭にいると、岩を漏れ落ちる清水の音も冷たく澄んで聞こえ、また夏とも思えぬ蜩の鳴き声までが聞こえてくる…。

 いよいよ夏の暑い日がやってきました。最高気温が25℃を超えた日を「夏日」、30℃を超えた日を「真夏日」、35℃を超えた日を「暑猛日」と言いますが、今年は40℃を超える日もありますので、その時は「厳暑日」とでも言えばよいのでしょうか。

 それにしても暑い日が続きますが、安倍元総理が凶弾に倒れた事件をめぐる不可解な動きが加わり、世の中を一層暑くしているのかも知れません。

 安倍元総理の突然の暗殺、その因がどこにあるのか、メディアを眺めていても、隔靴掻痒、遠巻きから分析しているようであり、どのような結論が導きだされるのか暫く待たなければならないようです。警察庁では8月末に報告書がまとまると報じられていますが、真実を記した報告書を期待したいものです。

 安倍元首相の政治家としての評価については、世界的な視点で見るべきでしょう。安倍氏の死去に際して259カ国・地域から弔意を受けるなど、まさに偉大な首相であったと言えるのではないでしょうか。

 ① 8年にわたる長期政権を築き“顔の見える”首相であった。
 ② 米、欧州、インド、オーストラリアなどの自由民主主義国の首脳から
   深い尊敬を受けるとともに、中国、ロシアなどの独裁専制主義の首脳
       からも一目置かれる稀有な存在感を発揮した偉大な首相であった。
 ③ 「自由で開かれたインド太平洋」構想、「アベノミクス」など
   大胆な構想の展開。
 ④ 憲法改正、安保法制の整備など国家の基本政策を追求し続けた。

 謎が謎を呼ぶ不可解な事件。警備体制・SPの対応の欠陥、殺人者のカルト宗教教団への暗い怨恨、それにかかわる肉親との関係、カルトと政治家との歪な関係、宗教と政治の基本、殺人者の精神と知能。社会状況の深部。など問題点は尽きません。

 ここでは、わたし達一般国民も巻き込まれる可能性のあるカルトの不条理について考え、カルトに誘引されないための注意点を記したいと思います。(みなさんの平穏な生活を守るための参考になれば幸せです)

 今、メディアでは、犯人およびカルト(旧統一教会)と政治家の癒着について騒がれています。欧州では、「カルト」とはカリスマによる狂信的宗教団体、「セクト」とは社会的に警戒を要する団体と規定。創価学会や世界基督教統一神霊協会などか認定されています。

 【カルト宗教の定義】を国際的指標で見てみましょう。①精神の不安定化(洗脳、マインドコントロール)、②法外な金銭的要求(多額の寄付金要求)、③住み慣れた生活環境からの断絶(監禁、出家など)、④肉体的保全の損傷(暴力:精神的暴力も含む)、⑤子供の囲い込み(子供の洗脳教育)、⑥反社会的な言説、⑦公秩序の攪乱、⑧裁判沙汰の多さ、⑨従来の経済回路からの逸脱、⑩公権力への浸透の試み。

 思い描いて見れば、洗脳・寄付・監禁・暴力・子供・反社・攪乱・裁判・経済・権力…、これ、まさしく現実にある現象、世の中には「カルト」宗教の蔓延がすごい状態になっていることを認識しなければなりません。

 次に、【カルト宗教かどうかの診断方法】について

 ・脱会すると不幸になる、地獄に落ちると脅される
 ・寄付金を納めると幸せになれる、納入額が少ないと教団内で差別される
 ・子供の意思に関係なく、宗教に入会させる
 ・他の宗教を激しく批判、卑下、誹謗する
 ・教団が、特定の人物に対し監視・嫌がらせを行うよう会員に指示を出す
 ・会長、幹部の発言に暴力的な発言がある
 ・教団が、思想や政治的な選択を強制する
 ・教団を批判する市民団体、被害者の会、批判的ウェブページが多い
 ・政治的権力を重視している、国家に浸透する目的がある

 家族が不幸にならないためには、「カルト」「セクト」に関わらないことが大切ですが、洗脳の度合いが深くなればなるほど回復さえ至難の業と言わねばなりません。そのためにも、下記をチェックし、早期対応をはかるべきです。

 【洗脳度チェック】

 〇 教団を批判することは許されない。
 〇 教団のいうことは、すべて正しい。
 〇 教団から反社会的なことを指示されたら、迷わず実行する。
 〇 教団批判者を監視したり、嫌がらせをして、教団に貢献することは
   当然である。
 〇 子供の意思に関係なく、宗教に入会させる。
 〇 生活を省みず、寄付を行う。
 〇 友人、知人、遠い親戚へも勧誘をする。
 〇 教団の会報誌や書籍を複数部所持している。

  ※1点でも該当したら、早めに宗教カウンセラーに相談してください。
   3点以上該当したら、重度の危険性があり、
       家族の協力を得て、直ちに治療を行う必要があります。

 ご存じの方も多いと思いますが、キャスターの飯干景子さん(作家・飯干晃一さんの娘)は、世界基督教統一神霊協会(現世界平和統一家庭連合)に入信、洗脳されましたが、専門家や父親の飯干晃一さんらが懸命な努力を重ね、永年を掛けてやっと洗脳を解くことができたのです。

 わが国の政界にはカルトが蔓延しており、由々しき問題を投げかけています。カルトは、社会を異様に不安にするだけでなく、ある意味で犯罪とも言えるのではないでしょうか。政治家には112人(自民党~野党まで・ほとんどが自民党)がリストアップされていますが、大きな社会問題を起こしているカルトからは距離を置くのが正しい対処の仕方だと考えます。

 それにしても、公明党(支持母体:創価学会)の山口代表は、7/19、“政治と宗教の関係”について記者団から質問を受け、下記のような返答をしました。

  「事件としての捜査が進展中なのでコメントは控えたいと思います。
   今後状況をしっかり見極めたいと思っております」

 このノーコメントに対しては大ブーイング。いただけませんね。与党の一角を占める大政党の党首であり、自党と支持母体の宗教団体との関係については明快に語ってほしいものです。

 宗教問題は微妙。わが国の政治が溌溂さを失ってきているひとつの要因に宗教問題があるのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年7月22日 (金)

「リモート勤務」は根づくか?

 850回目のブログです

20227222

 “さいはひは 山のあなたに 住むといふ かの歌うたひ 山に往かまし”
               吉井勇(1886~1960・劇作家)

 「幸いは山のあなたに住むという」その歌を自分もうたって、その憧憬の山に行きたいものだ…。

 『山のあなた』 カール・ブッセ(独) 訳:上田敏『海潮音』

   山のあなたの空遠く
   「幸」住むと人のいふ。
   噫、われひとゝ尋めゆきて、
   涙さしぐみ、かへりきぬ。
   山のあなたになほ遠く
   「幸」住むと人のいふ。

 人間は、現実の生活の中には物足りないものを常に感じ、どこかにさらに良い生活が待っているように想像し、未知の世界に対しては、より一層限りない憧憬を抱くものです。そして、その幻を追って行き、山のあなたに幸福が住んでいるというのに対し、思わず心を注がれる心情を歌ったものであり、上田敏の訳で有名な詩歌です。

 さて、新型コロナの拡大が収まったと思っていたら、7月に入り急速に感染が拡大し、分科会の尾身会長は、第7波に入ったとの認識を示しています。今後どのように展開してゆくのか予断を許しませんが、現時点での行動制限は必要ないとのことです。

 新型コロナの蔓延が長期化し、企業はテレワーク(リモート勤務)体制を余儀なくされ、それなりの対応をしてきました。これだけの長期にわたる勤務体系の変更を経験しますと、テレワークのメリット、デメリットがかなり明らかになったものと思えます。これらの中から2~3の例を取り上げたいと思います。

ホンダは5月下旬にテレワークから原則出社へ移行する

 「Hondaとして本来目指していた働き方を通じて変革期を勝ち抜くために、『三現主義で物事の本質を考え、更なる進化をうみ出すための出社/対面(リアル)を基本にした働き方』にシフトしていきます」…ホンダは2022年4月、国内営業部門の従業員向けに以上のようなメールを送付。

 ホンダの三現主義とは「現場・現実・現物」を基本とする企業理念であり、これは対面でのコミュニケーションを重視したものであり、出社を前提とした働き方を意味します。

 会社の判断としては、テレワークではコミュニケーションに齟齬を来たすため、対面のコミュニケーションの活性化を図り、『イノベーション』の “創出” を促すことが狙いだとしています。

 トヨタや日産はリモート促進を取っているようですが、各社、自社の明確な方針を示して対処すればよいのであって、流行語の “働き方改革” のムードに惑わされないことが大切ではないでしょうか。

 アメリカではテレワークを疑問視する企業が続出しています。米IBM、米ヤフー。最近では、電気自動車(EV)最大手のイーロン・マスク米テスラ最高経営責任者(CEO)が、5月末に幹部宛ての電子メールで「リモート(在宅)勤務は今後容認しない」と通告。マスクCEOは「在宅勤務はサボりの温床」と見ています。

 例えば、社員がサボってもリモートでは勤怠管理が難しいことでもあり、象徴的な事例として「在宅勤務者のうち3人に1人が仕事中にお酒(最も多いのはビール)を飲んでいることです。」(アメリカ依存症センター2020年3月調査)。リモートでは全く管理されませんから飲酒など自由自在、なかなか自制できないものです。

 さらに、米コロンビアビジネススクールと米スタンフォード大の共同研究で、「オンライン会議の有効性」についてのフィールド実験に基づいた研究が明らかになりました(4/47/Nature/夕刊フジ)。

 「オンライン会議では、脇見をしただけでその共有環境から離れたことになる。そのため、オンライン会議に参加する人はたいてい、視線をスクリーンに固定する。これはアイデアの生成にも悪い影響を及ぼし、創造的なアイデアは生まれにくい」「Zoomでは、セレンディピティ(偶然の産物)が生まれることはない」

 逆に「コンピュータのスクリーンを見つめる時間の方が長いので、オンライン会議では効率化が促進される可能性がある」「したがって、意思決定には優れている

 米国では、オフィス復帰の企業が多数出始めましたが、日本企業ではどのように進展していくのかを考えて見たいと思います。

 まず、日本の職場では、テレワークにすると生産性が落ちるという問題を抱えていることに留意しなければなりません。なぜそうなのでしょうか。それは、わが国の雇用制度に関係するものであり、雇用には2つの型があります。

      【雇用制度】
   「ジョブ型雇用」    :「仕事に人をつける」
   「メンバーシップ型雇用」:「人に仕事をつける」

 わが国の多くの企業、官庁の現状の人事制度が「メンバーシップ型雇用」であり「ジョブ型雇用」ではないことです。そのために、業務の一環として教えるという動作が非常に多くなります。「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」を通じて、新入社員はもとより、人事異動があればその都度、「教える」ということに対して、極めて多くの労力が注ぎ込まれるのです。

 OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)においては、教える人と教わる人との濃密なコミュニケーションが期待されますが、オンラインで、果たして “ニュアンス” が伝わるでしょうか、…なかなか難しいと言わねばなりません。

 それでなくても、わが国の諸々の制度が「グレーゾン」にあふれた仕組みになっている社会であるとすれば、たとえ精緻に作成されたマニュアルがあったとしても、本質はグレーの中にあると言えるかも知れません。そうであるとすれば、オンラインに大半を頼るのが妥当かどうか考えて見る必要がありそうです。

 テレワークの専門家・東京工業大学・比嘉邦彦教授は「テレワークは3割弱くらいの企業で実施されているが、コロナ終息後には1割弱だろうと考えている。全体の1割が残れば上出来だと思う」と述べています。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年7月15日 (金)

岸田総理は「安倍元首相」の遺志を継ぐか!?

 849回目ブログです

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  “ふるさとの 潮の遠音の わが胸に ひびくをおぼゆ 初夏の雲”
                   与謝野晶子「舞姫」

 初夏の空を流れてゆく雲を見つめていると、潮の遠鳴りを聞きながら育った故郷、堺の町のことが懐かしく思い出されます…。

 梅雨も終わり、一部には戻り梅雨の空模様もある中、わが国の先導役でもあった元内閣総理大臣・安倍晋三氏が7月8日、凶弾に倒れ、帰らぬ人になられました。心から哀悼の誠をささげたいと思います。

 わが国は、これから、戦後75年間のたまりにたまった膿を摘出する「憲法改正」という大手術を行わなければならない時に当たり、そのリーダーが安倍晋三氏であることは、たとえ、立場の違いはあったとしても、誰しも認めることではないでしょうか。その意味では誠に残念な出来事であったと言わざるを得ません。

 安倍晋三氏が凶弾に倒れた2日後の日曜日、参議院選挙が行われ、安倍元首相の属する「自由民主党」は「大勝」という結果になりました。

 その勝利の一端、あるいはひとつの要因に、安倍元首相が暴漢に襲われた不慮の死があり、投票に当たり、国民がこの選挙の意味を改めて認識した結果ではなかったかと感じています。わたし達国民も、この事件に驚愕しただけでなく、在りし日の元首相・安倍晋三氏の「日本を普通の国」に戻さんと、勇気をもって果敢に取り組んだ姿勢に、心から共感を覚えたのではないでしょうか。

 わが国民だけではありません。世界各国の259ヶ国・地域は、安倍元首相の死去に対して弔意を表しました。一部をごらんください

  アメリカ    ホワイトハウスに半旗を掲げる
  インド     1日喪に服す
  オーストラリア 日章旗を掲げて悼む
  ドイツ     悲しみの日とする

 安倍元首相が世界各国と真の親善・友好に全身全霊を傾けたことがうかがわれます。アメリカ合衆国のホワイトハウスに半旗が掲げられたことは、安倍元首相が世界の中の偉大な政治家と位置つけられたあかしであり、日本の誇りではないでしょうか。考えて見れば、米国は、第2次世界大戦、大東亜戦争での戦勝国、日本は敗戦国、その日本の元首相に半旗を掲げて弔意を表すことは、稀有のことではないかと思います。

 さて、安倍晋三氏亡き後、わが国の政治はどのような道を辿るのでしょうか。自民党は今回の参議院選で大勝し、憲法改正を可能にする発議に足る3分の2を確保。与党(自民・公明)に加え、維新、国民民主を含めた「改憲勢力」は、非改選を含めた全議席で177となり、憲法発議に必要となる「3分の2」(166)を上回ったのです。これにより、衆議院・参議院ともに、改憲勢力が3分の2以上を占めました。

  【参議院:改憲勢力】
    自民   119
    公明    27
    維新    21
    国民    10
    (計)  (177)
       ※ 総議席数248×2/3=166

  【衆議院:改憲勢力】(参考)
    自民   276
    公明    32
    維新    41
    国民     8
    (計)  (357)
      ※ 総議席数465×2/3=310

 さあ、岸田首相はどうするのでしょうか。7月11日、岸田自民党総裁は、記者会見で、安倍元首相の遺志を継いで、憲法改正、拉致問題などの難題に取り組むことを強調しました。

 言や良し。当たり前の日本を構築していくためにも「憲法」の改正は必須、とりわけ第9条の改正は待ったなしと言わねばなりません。

 わが国の周辺を眺めれば、軍拡一筋のチャイナ、領土拡張意欲満々のロシア、ミサイル・核の拡大を目論む北朝鮮、危うい3ヶ国が包囲する危険極まりない情勢であることは言を俟ちません。

 このような国際情勢においては、わが国は、一刻の猶予もなく、対処に万全を期さなければなりません。そう考えると、岸田総理の就任から今日までのヌルイ言動、例えば「検討」の連発、「検討使」とまで揶揄された消極姿勢は、一日も早く取り下げていただき、紳士的と言われる無難な行動から、難題に果敢に挑戦する積極姿勢を望みたいものです。

 憲法改正に必要な衆参両院の3分の2の確保はできました。舞台は整ったのです。あとは、岸田総理大臣の華々しい出番であり、歌舞伎で言う“見得” “睨み”の所作で国民の心を鷲掴みし、大仕事を遂げてほしいものです。

 いよいよ、戦後の終わりの始め、本格的なターニングポイントが到来しました。岸田総理には、命を賭して戦っていく政治家として、まず、望みたいことは…。

      “ 自民党総裁として、声高らかに、
          『憲法9条の改正』を宣言すべし ”

 それからが本格的な憲法改正への道を進んで行くことになるのではないでしょうか。

 幕は切って落とされたのです。どんな政治家であっても、敗戦から占領を経て、今、名実共に真に独立した歴史の創造に参画し、名を残すことができる最大の機会が来たのではないでしょうか。

 その意味で、政治家のみなさんには、「憲法改正」において将来に禍根を残さないために、全身全霊を傾けていただきたいと念願するものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

 

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2022年7月 8日 (金)

「底辺の職業ランキング」…これはひどい!

 848回目ブログです

2022781

“藤が咲き つつじは開き 牡丹かがやく。季節ともなれば、もう 止めどもなく”
                八代東村(明治~昭和「東村遺歌集」)

 藤、つつじ、牡丹、季節ともなれば、それに応じた花が、止めどもなくいっぱい咲き、楽しませてくれる…。

 草木の花は、それを植えた人がおり、水をやり、手入れをする人がいて美しい花を咲かせる。社会の進歩、発展を願い、苦しみの先の明るい夢を見ている作者の感懐を詠った素晴らしい現代短歌です。

 今年の梅雨はあっという間に過ぎ、もう酷暑を迎えた季節感がします。自然の営みもそうなら、国際情勢も激変、国内のニュースも人間性の乾いた側面が浮き彫りにされる事象が露出してきました。そのうちのひとつを取り上げてみたいと思います。

 時折ネットを渉猟するのですが、先日、大学生のための就職情報サイト『就活の教科書』底辺の職業ランキング として12の職業を紹介し、大炎上している記事に行き当たりました。

 この記事に対して、「職業差別だ!」「仕事をバカにしている!」などの批判が殺到し、記事は削除に追い込まれました。

 【12の職業をピップアップ】

   ① 「土木・建設作業員」
   ② 「警備スタッフ」
   ③ 「工場作業員」
   ④ 「倉庫作業員」
   ⑤ 「コンビニ店員
   ⑥ 「清掃スタッフ」
   ⑦ 「トラック運転手」
   ⑧ 「ゴミ収集スタッフ」
   ⑨ 「飲食店スタッフ」
   ⑩ 「介護士」
   ⑪ 「保育士」
   ⑫ 「コールセンタースタッフ」

 これらの特徴として、・「肉体労働」・「誰にでもできる仕事」・「同じことの繰り返しであることが多い」を挙げており、また、これらのデメリットとして、・「年収が低い」・「結婚のときに苦労する」・「体力を消耗する」を挙げています

 この記事は「就活の指針」として書かれたものであり、就職活動に勤しむ学生に対して適切な指針でなければならないことは言を俟ちません。しかしながら、この記事はそれを完全に裏切ったものであり、犯罪的と言えるものではないでしょうか。以下、具体的に述べたいと思います。

 この12種類の職業は、果たして「誰にでもできる」職業でしょうか。どの職業も、熟練と経験を積まなければ一人前になれません。この職業を上から目線で差別的に見た立場であり、事実誤認と言える完全に誤った判断ではないでしょうか。

 職業をあえて底辺とそれ以外とに区分するならば、公平な立場、冷静な視点で判断しなければならないにも関わらず、片落ちとなっています。それは、12種類の職業を「マイナスの特徴」と「デメリット」だけを取り上げており、「メリット」を見ていないことです。この判断をした人の人格を疑います。

 考えてもみてください。「感謝の言葉を貰いやすい」「日々の生活を支えるというやりがい」など、メリットもあるのではありませんか。公平に見なければならないと思います。

 12の職業に従事する人や家族にとっては、「誰にでもできる」「同じことの繰り返し」「年収が低い」「結婚のときに苦労する」などと誹謗中傷に近いレッテルを貼られたわけですから、怒りの感情を抱いて当然と言えるのではないでしょうか。なぜ、運営サイドは、それを慮る想像力を持ち合わせていなかったのでしょうか。

 12種類の職業は、よくよく見れば、いずれも「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる生活に必要不可欠な職種ばかりです。「必要不可欠な(essential)」「労働者(worker)」を意味する英語であり、近年コロナニュースでよく聞かれるようになった言葉です。

 ・看護師・医師・薬剤師・保健師、介護・福祉、ドライバー・電車/バスの公共交通業務、電気・ガス・水道の社会インフラ、消防・警察・自衛隊・役所、など、私たちの社会生活で欠くことのできない職種としてコロナ禍のような国難時において、あらためて注目されました。

 ・テレビやネット上での意見は、この記事に対して辛辣です。当然と言えば当然の言葉だと言えるのではないでしょうか。

 「底辺職業というのはすごく残念。人が生活する上でないと成り立たない」
  (ごみ収集スタッフ)
 「誰にでもできる仕事っていうのはないんじゃないか」(土木作業員)
 「大変大変っていうところだけをクローズアップしないで、楽しいとか、
  やりがいがあるって感じでやっている」(介護士)
 「悲しいというか、悔しい。私たちも国家資格という資格を持った上で
  働いておりますので、理解度が上がるとうれしい」(保育士)

 (“底辺”という言葉について)
 「わざわざ煽(あお)るようなことしないで」
 「当事者に、すごく残念、悲しい、悔しいと言わせるなど鬼畜の所業」
 「せめて“エッセンシャルワーカーの劣悪な労働環境と待遇は改善が必要”
  くらいは報道してほしかった」
 「わざわざ他人を傷付けに行くのはデリカシーがない」

 さて職業に貴賤なしと述べたのは、石門心学の石田梅岩という有名な江戸時代の思想家です。梅岩は「武士が治め、農民が生産し、職人が道具を作り、商人が流通させる。士農工商の階層は、社会的職務の相違であり、人間価値の上下・貴賤に基因しない」として、それが「職業に貴賤なし」という言葉の由来となりました。

 わたしは子供のころ親から職業に貴賤はないと教えられましたが、いま改めて、エッセンシャルワーカーの人たちの仕事に思いを馳せ感謝の気持ちを表したいと思います。

 ところで、近年、乱暴な言葉穢い言葉が横行し、目に余るものがあります。これは、政治を始め、社会の上層部が日ごろより言葉遣いに配慮を欠いていることが要因になっているからではないでしょうか。“底辺の職業” という言葉が大手を振って歩いていることをお互いに反省したいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
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2022年7月 1日 (金)

若者の政治離れを懸念する!

 847回目ブログです

2022711

 “思ふこと いふべき時に いひてこそ 人の心も つらぬきにけれ”
               明治天皇御製(明治44年)

 思うことを言うべき時に言ってこそ人の心も貫き通すことができるのである…。

 7月10日には参議院選挙の投開票がおこなわれ岸田政権の信任が問われることになります。一般的に選挙とは「民意」を問うものであり、この選挙こそが民主主義の根幹をなす制度と言われますが、民意、国民の意思というものが果して選挙に臨んで存在するものかどうか考えてみなければならないのではないでしょうか。

 私たちは確かな個人として強い意思を表明しているように思っているのかもしれませんが、よくよく見れば、研ぎ澄まされた教養ある「輿論」(よろん)ではなく、付和雷同的な「世論」(せろん)の風に乗っているのかも知れません。

 現在社会を席巻する「多様性」「LGBT」「データ」「実証」「可視化」「説明責任」「SDGs」「クリーンエネルギー」「脱炭素化」「改革」、従来からの「経済成長」、少し前までの「平和」「平等」「民主」「人権」…、これらは、言霊的に社会の空気を支配したものということもできます。

 今、時代は屈折点に掛かっていると見るならば、わたし達は、国際情勢に敏感でなければならないにもかかわらず、鈍感になってしまっているのは、強い意思の「輿論」を避け、表面的な「世論」にふんわりと乗ってきてしまっているからではないでしょうか。

 それを、打開するのは、若者であり、その若者が日本の未来に責任をもって意思表明しているのかどうか、分析してみたいと思います。

 投票率は55.9%と戦後3番目に低い記録を出した昨年10月の衆議院選を振り返ってみましょう。(Wedge ONLINE・総務省)

 【年代別投票率】

  10歳代   43.2(%)
  20歳代   36.5
  30歳代   47.1
  40歳代   55.5
  50歳代   62.9
  60歳代   71.4
  70歳代以上 61.9
   (全体) (55.9)

 10~30歳代が低く、40~70歳代が高い。60歳代が最高投票率。

 【世代別投票者の割合】
2022712

 【若い世代の投票者の割合】

    10代    1.7%
    20代    6.9%
    30代   10.7%
    (計)  (19.3%)

 【シニア世代の投票者の割合】

    60代   18.2%
    70代以上 28.7%
    (計)  (46.9%)

 若い世代の投票者の割合は、合計して、何と20%以下です。「若もの投票率低下」や「若い世代の政治離れ」がこのまゝ続けば、世の中は、シニア世代、シルバー世代に向けた政策が優遇される “シルバーファースト主義” がわが物顔に横行することに繋がり、将来世代に大きなツケを残すことになるのは間違いありません。

 本来は、世代間に亘ったバランスある政策が望まれるにも関わらず一方に偏向することは「多様性」が失われ、社会の「寛容性」も維持できなくなり、ギスギスした世の中を招来してしまうのではないでしょうか。これは民主主義の危機でもあります。

 もちろん、若ものの政治離れ防ぐために、地方自治体も手をこまねいているのではなく、いろいろな対策を講じつつあります。例えば、投票率のアップのために。①バスを利用した移動型の期日前投票所の設置(愛知県豊田市)、②市内の高校に移動型期日前投票所を設置(茨城県日立市)、③市内の高校生に選挙に従事してもらう取り組み(千葉県富里市)、④インターネット投票を目玉に(茨城県つくば市)、など。

 インターネット投票などの試みは注目に値するのではないでしょうか。

 さて、わが国の若者は、自国の社会と、政治についてどのように思っているのでしょうか。内閣府の調査『令和元年版 子供·若者白書 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~』から引用します。

 【自国の社会に満足していますか?】 単位:%

      満足/ドチラカトイエバマンゾク  不満/ドチラカトイエバフマン
 日 本     38.8       44.1
 米 国     57.8       35.7
 英 国     56.9       34.3
 ドイツ     68.9       28.5

 【自国の政治にどのくらい関心がありますか?】 単位:%

       ある/ドチラカトイエバアル  ない/ドチラカトイエバナイ
 日 本     43.5       47.0
 米 国     64.9       29.4
 英 国     58.9       36.4
 ドイツ     70.6       27.5

 若者の多くは日本社会に不満を持っているようですが、政治への関心はほぼ同程度ですから、まんざら政治に関心を失っていると言うのは即断し過ぎではないでしょうか。彼ら若者は、国家の将来、未来に対して絶望などしていなくて、意見を出す手がかりを求めてじっと静観しているように思えます。

 若者たちに問いたいと思います。現下の国際情勢を眺め、独裁・専制・権威主義・ジェノサイドを志向する国家認めますか。そして、残念ながら、わが国を取り巻く近隣諸国にはそのような国々が多く存在していることを厳しく認識しなければならないのではないでしょうか。

 かつて、英国のウィンストン・チャーチル首相は、

 民主主義は最悪の政治形態と言っていい。ただし、これまで歴史上
  試されてきたそれ以外のあらゆる政治形態を除けば…。」

と述べました。民主主義には欠点もありますが、それに勝る政治形態はないと言えるのではないでしょうか。

 日本はアジア最古の民主主義国として民主主義を守り、育む責務があります。

 そのためには、若い諸君が、来る7月10日の参議院議員選挙において、みずからの意思で投票する「1票」が、若い世代の将来と未来を力強く創造していく機会となることを心から望んでやみません

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
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2022年6月24日 (金)

『国のために戦いますか』…日本人の「はい」率は?

 846回目ブログです

20226242

   君が代は広く人々が愛誦してきた
   長寿の雅歌であり
   万葉集からの伝統を継ぐ
   まさに真珠のごとき愛の歌を
   日本人は宝としつゞけるのである
       令和三年弥生 中西進

 ロシアによるウクライナ軍事侵略から4ヶ月を超えようとしています。ロシア、ウクライナの双方が疲弊しているように見えますが、はたしてどのような結末を迎えるのでしょうか。

 このような時、世界の各国とも国防、軍事に大きな関心をもっていることが調査データに表れています。しかしながら、唯一、わが日本国だけが “例外” であること、それも極めて特異な数値を明瞭に示していることに注目しなければなりません。

 とりあえず、調査データを覗いてみましょう。

 「世界価値観調査」から。世界数十カ国の大学・研究機関が参加し、各国国民の意識を相互比較する「世界価値観調査」ものであり、1981年から、また1990年からは5年ごとの周期で行われている。(ただし最新調査は7年経過したもの)サンプル数は各国18歳以上、男女1000~2000人、

 日本語での設問文の全文はもう二度と戦争はあってほしくないというのがわれわれすべての願いですが、もし仮にそういう事態になったら、あなたは進んでわが国のために戦いますかとなっており、各国の調査票も同様です。

 【国のために戦いますか】2021.1.29 単位:%

             はい   いいえ  わからない
   (1)日本       13.2  48.6  38.1
   (2)リトアニア    32.8  42.8  20.0
   (3)スペイン     33.5  55.3   9.8
   (5)イタリア     37.4  45.0  13.9
 (10)ニュージーランド 40.9  33.0  26.1
 (14)ドイツ      44.8  40.6  12.2
 (16)オランダ     46.7  40.8  11.8
 (26)オーストラリア  56.9  40.8    ―
 (27)ウクライナ    56.9  25.5  16.6
 (30)米国       59.6  38.6    ―
 (31)スイス      59.9  34.4   3.4
 (32)エストニア    61.3  24.7   7.4
 (35)英国       64.5  31.9   3.3
 (38)フランス     65.6  28.1   5.6
 (40)韓国       67.4  32.6    ―
 (45)ロシア      68.2  22.0   9.1
 (49)ポーランド    72.6  20.0   7.3
 (52)デンマ―ク    74.6  23.3   2.0
 (53)フィンランド   74.8  18.3   6.1
 (57)フィリピン    76.0  24.0    ―
 (58)トルコ      76.4  19.2   3.6
 (60)台湾       76.9  23.1    ―
 (65)スウェーデン   80.6  15.6   3.0
 (70)ジョージア    85.3  13.0   1.3
 (73)インドネシア   86.4  12.8   0.8
 (74)ノルウェー    87.6  10.4   1.9
 (75)中国       88.6  10.2    ―

 びっくり仰天! “国のために戦いますか” はいの回答「日本」13.2%、断トツの悲しい1位。わが日本の現状認識と意識は、諸外国と比較して余りにも乖離があり過ぎるのではないでしょうか。現状認識と意識には深い関係があり、おそらくは現状認識の甘さが意識の緩さに影響していると考えられます。

 取り敢えず、分かりやすい例で見ましょう。今、北欧のフィンランド、スウェーデンがロシアの侵略に備えて北大西洋条約機構(NATO)に5月18日加盟申請しました。

 北欧三国が、ロシアからの侵略をいかに脅威に感じているかを「国のために戦う」数値から窺がうことができます。74%~88%という数値、それに比してわが日本の数値は13.2%。 北欧と日本との驚くべき数値の差異に深いため息をつかざるを得ません。

 北欧三国の「国のために戦う」姿勢をよくご覧ください。

  (53位) フィンランド 74.8%(NATO未加盟)
  (65位) スウェーデン 80.6%(NATO未加盟)
  (74位) ノルウェー  87.6%(NATO加盟済)

 対して、日本の「国のために戦う」姿勢は、

  ● (1位) 日本     13.2% 

 主権国家「ウクライナ」が大国ロシアの侵略に晒されている現実を見れば、フィンランドおよびスウェーデンが国家防衛の実をあげるために、NATOへの加盟に踏み切ったことは素晴らしい外交戦略であると言わねばなりません。

 それに引き替え、中国・北朝鮮・ロシア・韓国の近隣周辺4ヶ国から連日の如く脅迫を受けている「日本」は、「国のために戦う」姿勢としてわずか13.3%の国民しか有していないという実態に愕然とさせられます。

 中国の軍船は連日の如く尖閣周辺を遊弋し脅しを加え、北朝鮮は精度の高いミサイル発射を重ね軍事力を誇示しています。ロシアもしかり、韓国もしかり。わたし達日本人は、これだけ周辺国から軍事的脅威を与えられても何の恐怖も覚えないのでしょうか。あまりにも不甲斐ないとともに、不感症の体質になってしまっていることに深い絶望を覚えざるを得ません。

 日本が、なぜこのような体質になっているのかを考えて見ると、①憲法に他国にはない戦争放棄条項を有している、②日教組の影響、③若者の軟弱さ、④愛国心の欠如、⑤戦争は悪とたたき込まれた「戦後民主主義」の洗礼(=中高年の国防意識の衰え)、が考えられると思います。

 であるとすれば、いよいよ参議院議員選挙、今は「時代の屈折点」、戦後政治の抜本的見直しを期し、勇気ある参議院議員に投票したいものです。…日本のために!

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
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2022年6月17日 (金)

『所得倍増計画』…岸田首相の信念なき政策を問う!

 845回目ブログです

20226171

 “あぢさゐの 下葉にすだく ほたるをば 四ひらの数の そふかとぞみる”
                藤原定家(平安末期~鎌倉初期)

 紫陽花の下の方の葉に集まる螢は、四枚の紫陽花の花びらが添うように見える…。

 紫陽花の花は夕闇に見えなくなり、それと引き替えに螢が紫陽花の下葉に集まり、それが四枚の花びらが増えたように見える、その黄昏時の情景を美しく詠ったものです。

 自然界は春から夏へとその麗しい姿に変化を持たせ情緒の一端を感じることができますが、人間世界の、特に国際政治の複雑極まりない姿からは乾いた感情を抱くほかには何もないような状態です。

 しかし、よくよく見れば、世界は大きく変貌を見せており、時代は屈折点を迎えているのではないでしょうか。

 そんな時、岸田首相は「骨太の方針」「新しい資本主義」を閣議決定しましたが、詳しく見れば、問題点ばかりという有様です。岸田首相が就任以来発言してきたことが手の平返しになっていることに、その軽薄さと信念のなさを指摘したいと思います。新自由主義からの転換は無し、国民の財布事情を無視した1億総株主化策、格差是正のための金融所得課税強化を回避、そして、肝となる「令和の所得倍増」が何と「資産所得倍増」へ! と子供だまし的な手のひら返し。

 そもそも、岸田首相の「新しい資本主義」とはなんでしょうか。日経新聞が岸田首相を忖度して分かりやすく解説しています。

   ①  経済成長しつつ格差をなくしていこうとの意気込みで
   「分配と成長の好循環」の実現を目指す。
 ② 「株主至上主義」の是正
 ③ 「ステークホルダー資本主義」(従業員や、取引先、地域社会、
    環境など、あらゆる関係者に配慮した企業経営)を是とする。
 ④ 「資産所得倍増プラン」資産運用所得の重視。

 岸田首相は、国の基盤とも云える経済政策を、真剣に哲学的に内省したのでしょうか。思索があまりにも薄く見えて仕方がありません。例えば、岸田首相は就任当初から「所得倍増」を唱えてきましたが、いつの間にか「資産所得倍増」へと衣替え。本当に大丈夫でしょうか。

 ここで、かつて「所得倍増」を腹の底から唱え、その政策を「信念」をもって敢然と実行に移した池田勇人首相の勇気ある姿勢を振り返ってみたいと思います。

 所得倍増計画は、昭和35年(1960)年に池田勇人内閣が掲げた長期経済政策。10年間で国民所得を2倍にすると宣言し、高度経済成長を背景に国民1人当たりの消費支出は10年で2.3倍に拡大しました。立案は経済学者の下村治博士

 池田首相は、国民総生産(GNP)を10年以内に倍増させ、国民の生活水準を西欧先進国並みに到達させるという経済成長目標を設定し、完全雇用の達成、福祉国家の実現、国民各層の所得格差の是正を目指しました。さらに減税、社会保障、公共投資を三本柱として経済成長を推進。(∴ 大目標の設定、明確な項目、推進力の明示…参考になります!)

 「国民所得倍増計画」は、下村博士たち池田首相のブレーンがケインズ的思想を導入し、潜在成長力の推計をもとに、池田首相とのディスカッションを重ね、立案には約3年間を費やし、民間の有識者など各方面から1000人もの意見を聞いて練り上げたともいわれ、最後に池田内閣として政策体系にまとめられました。∴ 3年間・1000人・ディスカッション…この驚嘆すべき熱量!

 「いま月給をすぐ二倍に引上げるというのではなく、国民の努力と政策のよろしきをえれば生産が向上する。せっかく力が充実し、国民経済が成長しようとしているのに、これを無理に抑えている。いま日本でインフレの心配は少しもない」(池田勇人首相・日経・「私の月給倍増論」)

 当時、日本の経済成長は、戦後の復興段階を終えて「屈折点」を迎え、鈍化するのではないかと見られていましたが、池田内閣の「国民所得倍増計画」は、このような殻を打ち破ろうとする「積極的経済政策」だったのです。(∴ 時代に対する積極性!)

 「国民所得倍増計画」は、池田首相の迫力のあるキャラクターによるアナウンス効果もあり、国民に新鮮な響きとして受け取られるとともに、日本経済と国民生活がこれから10年間に、どこまで、どう、豊かになるのか、分かりやすく、かつ緻密に示したことは刮目に値するのではないでしょうか。

 池田首相が所得倍増のヒントを得たのは、一橋大学教授・中山伊知郎氏のエッセーにある「賃金2倍を提唱」だとされていますが、教授は「経営者は賃金のコストの面ばかりを見て抑えつけようとするが、賃金のもうひとつの側面である所得ををあげることこそが、かえって生産性を上昇させ労働争議のロスを少なくさせ、社会全体にとってよいものなのだ」と主張しています。(∴賃金は「コスト」と「所得」の両面を見よ!)

 昭和35年(1960)5年7月19日に池田は内閣総理大臣に就任し、9月5日に「所得倍増論」の骨子を発表。
 「今後の経済成長率を経済企画庁は年率7.2%といっているが、私の考えでは低すぎる。少なくとも年率9%は成長すると確信している」
 「過去の実績から見て、1961年度以降3ヵ年に年平均9%は可能であり、国民所得を1人あたり1960年度の約12万円から、1963年度には約15万円に伸ばす。これを達成するために適切な施策を行っていけば、10年後には国民所得は2倍以上になる」

 「所得倍増論」は、野党、エコノミスト、マスコミからは冷ややかに見られ “絵に描いた餅” であり、実現は不可能だと批判されました。一橋大学教授・都留重人氏は「日本経済は伸びているように見えるが、それは"回復であって"成長"ではない」などと「所得倍増論」は本質を見誤った“錯覚”と切り捨てたのです。

 「所得倍増計画」は、いろいろと批判を浴びましたが、結果として、国民1人当たりの消費支出は10年で2.3倍に拡大しました。

 「所得倍増計画」は、素晴らしい成果をあげたと思います。そのダイナミズムは括目に値する歴史に残る偉大さではないでしょうか。

 ところで、過去30年も経済が低迷しているにつけ、わが国のリーダーは歴史に学ぶ必要があるのではないのでしょうか。ざっと上記を見ただけでも、池田首相の国家、民族に対する揺るぎない信頼、3年間に亘る周到な立案ためのディスカッション、1000人を超す識者の知恵を結集する努力、…素晴らしい日本の叡智を誇りに感じないではおられません。

 翻って、岸田首相は、なぜ、国民の全てが歓迎、期待するであろう「所得倍増」を引っ込め「資産所得倍増」を打ち出したのでしょうか。全く理解に苦しみます。

 岸田首相には、財務省に目を向けるのではなく、国民に目を向け、郷里広島の大先輩でもあり、派閥・宏池会の創設者でもある池田勇人首相の「所得倍増」政策の実行に向けた不屈の信念に思いを馳せていただきたいと思います。

 何はともあれ、政治の責任において、強い信念のもと、積極的経済政策で国の難局を乗り切ってほしいと願うのみです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
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2022年6月10日 (金)

ウイグル人弾圧…中国「新疆公安文書」流出の衝撃!

 844回目ブログです

20226101

“かくばかり ことしげき世に たへぬべき 人をえたるが うれしかりけり”
                   明治天皇御製(明治37年)

 これほどまでに様々なことが起こってくる時代に耐えられる人材を得られたことは大変嬉しいことである…。

 ロシアのウクライナ侵略がとのように決着がつくのか予測さえつかない情勢ですが、マスコミでは国際問題と言えばロシア・ウクライナ問題一色の感があります。しかし、忘れてならないのは、中国での人権問題であり、そのおぞましい姿が先日報道されました。

新疆の内部資料が大量流出 収容所の「衝撃的」実態浮き彫りに

 中国当局から流出した新疆ウイグル自治区に関する数万点の内部資料が、5/25公開された。資料には数千枚の写真や公文書が含まれ、同自治区でウイグル人などの少数民族が暴力的な手段で収容された実態が改めて浮き彫りとなった。
 新疆ではウイグル人ら少数民族100万人以上が収容所や刑務所に収容されてきたとされるが、中国政府はこれら施設を職業訓練所としており、強制収容の事実を否定。
 だが、公開された写真や文書から、習近平国家主席をはじめとする政権上層部の厳しい取り締まりが示されている。
           (5/25 jiji.comより一部引用)

 従来より、中国のウイグル人に対する弾圧や虐殺、100万人の収容所送りの実態について、時折報道されていましたが、中国政府は一貫してその事実を全否定してきました。

 ところが、今回の「新疆公安文書」は半端なく膨大な資料であり、衝撃的な事実を浮き彫りにしました。この文書については、AFP(仏)、BBC(英)、仏紙ルモンドなどの報道機関によって信憑性が確認されています。

 小ブログでも、過去、数回ウイグル人弾圧について記しましたが、改めてその実態に触れてみたいと思います。(福島香織女史の論稿を参考)

 中国共産党によるウイグル人迫害の新たな証拠となる公安内部の文書や写真を集めた「新疆公安文書」は、米NPO「共産主義犠牲者記念財団」上級研究員のドイツ人ウイグル問題研究者、エイドリアン・ゼンツ氏により公表されたものであり、新疆公安当局のシステムに対する第三者のハッキングによって流出した機密文書

 【ファイル】
  政策文書
  スピーチ原稿
  2,800人以上の収容者の写真、
  23,000人以上の収容者データ
  300,000万人以上の個人データ
  収容施設における警察の活動や武器などの膨大な写真や情報

 これまで、ウイグル人弾圧に関する内部文書のリークの多くは、ウイグル官僚が良心に基づいて人づてに海外に流出させたものだが、今回のものは地域の警察内部のネットワークに保存されている内部資料であり、量、質とも桁違いである。

 新彊におけるウイグル人ジェノサイドが習近平総書記の肝いりの指示であることが判明。強制収容施設から逃亡しようとするウイグル人に対する射殺命令殺人許可なども含まれており、想像を超えるすさまじさに国際社会が震撼している。

 手錠と足かせをつけられて頭に黒い袋をかぶせられた男がこん棒をもった警官に連行される写真、銃を構えた迷彩服の武装警官が物々しく警備する鉄檻の施設・・・。そして年端も行かぬウイグル人少年少女から老人までの強制収容者の顔写真・・・。新疆警察文書には、新彊で今世紀最大規模の民族ジェノサイドが侵攻中であることの膨大な証拠が集められていた。

 「新疆公安文書」の公表時は、国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレの調査チームの訪中するタイミングあり、中国の人権弾圧問題を提起する格好の材料だったが、弁務官は「新疆訪問はウイグル人の人権を調査することではない」と人権問題をスルーしたのです。習近平主席に篭絡されたとしか思えず、国連「人権」高等弁務官を名乗ることを止め、国連弁務官と名乗るべきであり、国連の信頼は地に落ちたというべきではないでしょうか。

 新疆ウイグル自治区書記・陳全国のリークされた原稿から「講話」ヲ引用します。

 『強制収容所においては、五防(トラブル、逃亡、地震、火災、感染の予防)を、ひとつとして失敗してはならない。誰であっても、このコントロール監視を逃れようと思えないように、何重にも防衛線をしき、鉄壁で囲み、それでもアクションを起こすなら(コントロールから逃れようとするならば)発砲せよ』

 『軍警兵民は気を緩めることなく、誰であれボトムラインに触れる者には攻撃を加え、7.5暴動(2009年7月5日のウルムチ騒乱)を二度と繰り返すな。誰であれ戦を挑む者は先に斃し(落命させ)、事後報告後でよい』

 『7人で警備し、そのうち2人が銃を持つこと。逃げ出そうとしたらまず言葉で制止し、警告に従わねば威嚇発砲し、それでも言うことを聞かないようなら即銃殺せよ』

 『「4つの打破」をパーフェクトに行えたことに祝意を表す』

   【4つの打破】とは、
    ウイグル人の根源を打破し
    ウイグル人の血統を打破し
    ウイグル人の関係を打破し
    ウイグル人の起源を打破する。…という意味です。

 これは民族の遺伝子を抹殺することであり、これを“ジェノサイド”といわずして何と言えばよいのでしょうか。

 身の毛もよだつ民族抹殺の思想、それをもとに収容所はもとより、新疆ウイグル自治区内の全てにおいて、厳格な管理体制、厳しい懲罰、民族言語の排除、宗教・文化への圧力、自由の剥奪、人間性の否定、人権の完全無視、断種、拷問、銃殺、…ヒトラー、スターリン、毛沢東と並ぶ極悪非道、鬼畜の振る舞いと言わねばなりません。

 ここまでくると、国際社会も動き始めました。英国外相、ドイツ外相らは早速この証拠をもとに中国を非難し、中国の王毅外相に調査を行うよう要請しました。さすがに欧州は動きが早いですね。

 ところで日本政府はどうなっているのでしょうか。中国の新疆ウイグル人に対する、苛斂誅求なる人権弾圧、えげつないジェノサイドについて、わが国は、対中非難も、対中制裁も、一切行っていないのです。国会もしかり、国内人権団体も口をつぐんでだんまり。果たしてこのままでよいのか!

 いいかげん、怒りを爆発させなければなりません。

 日本は道徳を誇る国ではないのでしょうか。事ここに至れば、薄汚いイデオロギーを離れ、まことの人間として、人権について堂々と主張しようではありませんか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年6月 3日 (金)

企業の四半期決算に異議あり! 

 843回目ブログです

2022631

  “五月雨は 露か涙か 不如帰 わが名をあげよ 雲の上まで”
               足利義輝(室町13代将軍)

 降りしきる五月雨であるが、はかなく消える露なのだろうか。それとも、私の悔し涙なのだろうか。そのどちらにも思える。自分が死んだ後、高く鋭く鳴く不如帰よ、どうか雨雲を突き抜け、より高みへと飛翔して広い晴天まで私の名を広げておくれ…。

 政敵に襲われ暗殺され、非業の死を遂げた13代将軍の辞世の句と言われています。

 6月は、一般の企業であれば3月期末の決算を終え、株主総会が多く行われる月でもありますが、果して経営者として、余裕の笑みか、苦渋の顔か、株主からの審判が下される時でもあります。

 わが国の上場企業約4千社は、以前は、中間期(6ヶ月)・通期(12ヶ月)の2回の決算を行っていましたが、現在では、3ヶ月・中間期・9ヶ月・通期の決算報告を行っています。即ち、年間4回も経営内容(決算・財務など)の開示を行なっているのです。この3ヶ月ごとの決算・財務などの内容を開示する制度を四半期開示制度と言います。

 岸田首相は、1月の所信表明演説で、企業が3カ月ごとの業績などを公表する「四半期開示」では経営が近視眼的になると示唆し、その見直しに言及しました。それを受けて、金融庁の金融審議会は、開示義務の廃止までも一応検討はしましたが、「四半期報告書」を廃止し、「四半期決算短信」に一本化すること落ち着きました。抜本的な制度見直しにまで至らず、例によって中途半端のままとなりました。

 それでは、「四半期開示」のメリット、デメリットを考えてみましょう。

 ●メリット
  ・財務や予算進捗状況をいち早く知ることができる。
  ・変化のスピードが速い現在、四半期ごとの情報は投資家に有益だ。
  ・企業の不正を早い段階で発見できる。

 ●デメリット
  ・中長期的な視点に立った経営が行われない。
  ・四半期決算作成の人的労働時間、監査料などの負担が大きすぎる。
  ・四半期ごとに利益を上げなければならないプレッシャーが大きい。

 要は、経費のことは別にして、短期視点の投資家の肩を持つか、中長期視点での経営を求めるかの問題になると考えます。

 ここで、有識者の発言を見てみましょう。

・サントリーH鳥井信吾副会長(大阪商工会議所会頭)

 「四半期開示は全く必要なく、半期(中間期と通期)で十分」
 「四半期開示では、やはり中長期の考えができなくなる。今儲かっている事業が赤字になったり、当社のビールのように昔、赤字だった事業が数十年たって黒字転換したりするケースもある。決算は半期か1年、あるいは3年という単位で見ないと本当の経営は出来ない」

・ウォーレン・バフェット氏(米国の著名投資家・オハマの賢人)

 「企業が四半期決算に縛られると数字合わせという操作に走り、長期的な重要関心事に反した愚かなことをする」

・JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO

 「四半期の数字作りのため、CEOはマーケティング予算を削減したり、新規支店を断念したり、安売り競争を展開したりする。バフェット氏のおっしゃるように、数字操作は自己増殖するものだ」

 英国やフランスが四半期開示を任意化しており、任意化後の英国では、財務諸表を含む四半期開示を継続している企業は7.8%に過ぎず、簡素化が進んでいると言われます。

 関西経済連合会の松本正義会長(住友電工会長)は、四半期開示の義務付け廃止を求める緊急提言をまとめ「負担が大きすぎるので止めたい。英国やフランスが任意化する中、日本の政府は企業を信用していないことになる」と語気を強めて語りました。(5/11産経)

 【四半期開示制度】に関する提言の主眼は下記の通り。

 ① 経営者や投資家の短絡的な利益志向を助長。
 ② 3ヶ月毎に膨大な人的資源を投入し、長時間労働是正の観点から問題。
 ③ 国際的に任意化される中、日本企業は詳細な開示を求められること
   で不利な競争条件に置かれる。

 わが国の識者は、外国の手法を金科玉条のように有難がり、そのまま導入しようとしますが、日本人には日本人としての特質がありそれに適合したやり方にしてゆくことが求められているのではないでしょうか。

 実は日本でも2018年3月に経団連が(EUでの流れを受けて)四半期開示制度の見直しを要望しておりました。また、米国では2018年8月トランプ大統領が米証券取引委員会に、四半期決算開示を廃止した場合の影響を調査するように要請した経緯もあります。

 この問題は日本社会としてどう捉えるのが正しい選択であるかを考えるべきであり、欧州が、アメリカがという浮付いた考えで取り組むべきではないと思います。

 実際問題、企業人であれば、決算を3ケ月に1回行うとすれば、それが毎年であれば、どうしてもものの見方が短期的になるのは止むを得ないと思います。また、日本人は、もって生まれたDNAが農耕民族の濃い血を持っており、コツコツと辛抱強く育てていくことで大きな成果を得てきました。そう考えれば、「四半期決算」の制度は決して日本人の肌に合ったものとは言えず、日本人の叡智や能力や知的水準を存分に生かすことには繋がっていないのではないでしょうか。

 今、わが国の経済が沈滞しているのは、国民の能力を活かすよりも引き下げることに力を入れているように見えてなりません。例えばいわゆる「働き方改革」にしても、真に、私たち国民の肌感覚に合ったものを志向しているとは思えず、逆に活力をそぐ側面があるのではないでしょうか。日本人は生来、労働は、大方は、仕事(Work)として捉え、苦役(Labor)ではなかったのです。

 そう考えれば、私たちは、国民全体の本来の能力を最大限引き出すためにも、弊害のある、超短期の視点での「四半期決算」制度は廃止しなければなりません。

 日本人には、日本人に合ったやり方があるのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年5月27日 (金)

「ロシア」はどうなる…その挫折と憂鬱!

 842回目ブログです

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  “世の中は なにか常なる 飛鳥川 昨日の淵ぞ 今日は瀬になる”
                詠み人知らず(古今和歌集)

 この世の中では、いったい変わらないものがあるのだろうか、いや変わらないものは何ひとつない。飛鳥川の流れも、昨日淵であった所が今日はもう浅瀬に変わっているのだ…。

 あの大国と言われるロシアが、かつてのソ連の構成国であったウクライナへの侵略戦争で、これほど苦戦するとは、何がどうなったのでしょうか。ウクライナ及び欧米側が伝えるニュースとロシアが伝えるニュースには極端に差があり、どちらも、自己が優勢とプロパガンダしているように思えますので、冷静に見なければならないと思います。

 最新の局地戦での事実は、アゾフスター製鉄所に留まっていたアゾフ連帯が製鉄所から去ったことと、ウクライナ南東部の要衝マリウポリがロシア軍によって完全に掌握されたということです。これで一旦落ち着くことは考えられず、ますます戦争の長期化が見込まれるのではないでしょうか。

 そして、ここにきて、いよいよ、5月18日、フィンランドスウェーデンの両国が同時に「NATO」への加盟申請を行いました。フィンランドとスウェーデンは、第2次大戦後の経験から欧米にもロシアにも与しない「中立の立場」を保ってきましたが、近年のロシアの危険な膨張政策に鑑み、このままでは国家の存立が危ぶまれるとして、NATOへの加盟を願い出たものだと考えます。

 いまや、「プーチンの退陣は必至」「ロシアの惨めな敗北」「ロシア経済の悲惨な末路」など、欧米メディアの声は厳しさそのもの、…何となく挫折感が漂います。果たしてそれが本当なのかどうか、ロシアの雰囲気、実態について覗いてみたいと思います。

 プーチン氏の体質は、KGB(現FSB:ロシア連邦保安庁)出身を色濃く示しており、独裁・専制・権威主義は疑うべくもありません。

 歴史観は、英国の記者に「世界の指導者で最も尊敬する人物?」と尋ねられると即座に「ピョートル大帝」と答えたことに示されています。(ピョートル大帝は1672~1725、初代ロシア皇帝、近代化を推進し新首都ペテロスブルグを建設、スウエーデンとの北方戦争に勝利した1721年以降、ロシアは帝国と称す。)

 これで分かるように、プーチン氏は自らを、歴代皇帝、スターリン等と並ぶロシア国家を体現する存在であることを強く意識しており、その行動原理は飽くなき膨張主義力の原理を踏襲しているのです。

 従って、今回のウクライナ侵略の根源には、ウクライナを「小ロシア」として併合した18世紀のエカテリーナ2世紀の「ロシア帝国の版図」こそが本来の姿だという信念があると考えられます。

 今年1月から3ヶ月間、ロシアから国外に出た国民の数が388万人にのぼったと報じられました。この中にはビジネスや観光などの国民の数字を含んでいますので、この数字をそのまま国外脱出者とみなすことは出来ませんが、それにしても膨大な数の出国者であると言わざるを得ません。

 別の詳しい調査によると、ロシアのウクライナ侵略を機にロシアを離れた脱出者は30万人にも上ります。その86%が44歳以下。職種は、全体の3分の1がIT関連の人材、それ以外も企業のマネージャーや法律家、心療学者、デザイナー、コンサルタント、ジャーナリストといった、いわゆる頭脳労働者らに集中…。

 “有能な人材”の流出は極めて深刻です。ロシア経済は、エネルギーや非鉄金属などの資源産業、宇宙開発や軍事以外には目ぼしい分野はなく、IT分野が国際社会で存在感を示しつつありましたが、今回の国外への大量の人材流出で発展の芽が摘まれることになることは言うまでもありません。(WEDGE Infinity 5/19より)

 ウクライナに侵攻したロシアからの頭脳流出、若者の海外脱出に対して、プーチン氏は極めて冷酷です。3月中旬の反政権派の出国をめぐるプーチン氏の発言をごらんください。

 『社会の浄化に必要であり、ただ国家を強固にするだけだ』
 『われわれは本物の愛国者と裏切り者を見分けることができる。
     そのような連中は、誤って口の中に飛び込んできた“小バエ”のように、
     路上に吐き捨ててしまえばいい』

 ロシア国民を“小蠅”(こばえ)と呼ぶプーチン氏はロシア共和国の大統領に相応しい人物とは到底思えず、その異常な人格に驚きを隠せません。これでは、さすがに国内メディアによって洗脳されている国民も心が離れていくのではないでしょうか。国民に対して“小蠅”とののしるとは、どう考えても言葉が酷すぎます。

 5/23ロシアの国連代表部(在ジュネーブ)の露外交官、ボンダレフ氏はウクライナ侵攻とプーチン露政権に抗議するため、露外務省を退職、亡命すると発表。ボンダレフ氏の言葉を読むと、プーチン大統領への痛憤が伝わってきます。

 もううんざりだ。遅くなったが本日で退職する」
 「2月24日(侵攻開始日)ほど国を恥ずかしいと思ったことはない」
 「侵略戦争はウクライナ国民に対してだけでなく、繁栄を失う
  ロシア国民に対しても犯罪だ」
 「この戦争を思いついた人物は、永遠に権力を握り、豪華な宮殿に住み、
  露海軍全体の金額にも匹敵するヨットに乗りたいと思っている。その
  ためにはどんな犠牲もいとわない。既に両国民が何千人も亡くなった」 

 欧米及び日本による制裁などは大掛かりなものになっています。

  ① 各国の中央銀行が保管するロシア中央銀行の外貨準備の凍結
  ② ロシアの主要銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除
  ③ プーチン大統領や主要閣僚、プーチン氏に近い新興財閥の資産凍結
  ④ ロシアの航空会社の締め出し
  ⑤ ロシアからのエネルギー輸入停止(米)及び依存減少(欧州)
  ⑥ カード会社ロシア業務を停止(ビザ・マスターカード)
  ⑦ 多国籍企業ロシア事業から撤退
  ⑧ ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性強まる

 上記の厳しいまでの制裁は、ロシア国民を塗炭の苦しみに追いやり、ロシア経済の悲惨な末路を暗示しています。制裁の抜け穴は中国と一部インドでしょうが、欧州との貿易の全てを肩代わりすることは困難と見られています。

 ロシアとウクライナの戦争の決着はどうなるかは全く分かりません。しかしながら、現行の国家主権を覆す侵略を企てたロシアの「挫折」と「憂鬱」は、独裁専制の権力を誇ったプーチン体制を揺るがしているようにも見えます。

 最後に、孫子の言葉から。

 【兵の拙速を聞くも、未だ功久しきを睹(み)ず】

 「短期決戦に出て成功した例は聞くが、
         戦いを長引かせて成功した例は見たことがない」

 戦争が長引くと、国力が疲弊します。その理由は、孫子によりますと、軍隊、兵器、食料の輸送に膨大な経費を消費する、商品の物価が上昇する、国家の財政が逼迫する、そのため、税金や賦役が重くなる、その結果、人民の生活に窮乏を加え、国全体が貧しくなる。…まさしくロシアの将来を見透かしているようですが、いかがでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年5月20日 (金)

ウクライナは「他人事」ではない!

 841回目ブログです

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 “卯月ばかりの若楓 すべて 
       よろずの花 紅葉にまさりて めでたきものなり”
                吉田兼好『徒然草』139段

 卯月(4月末~6月初)頃の青紅葉は、あらゆる花にも紅葉にも優ってすばらしいものだ…。

 青紅葉(若葉の萌え出ている楓)が目に鮮やかな色をわたしたちに見せてくれています。今の時点で、鮮やかな青が秋には真紅の紅葉に変わることを想像することは出来ませんが、期待は大いに膨らむものです。

 今日も、侵攻するロシア軍にウクライナ国民が耐え忍んで抵抗を重ねています。わたし達日本人は、この事態をテレビやスマホニュースでその画像に視入るばかりであり、ややもすれば「他人事」(ひとごと)に感じているかも知れません。

 しかし、日本にとってウクライナの危機が、台湾、及び、尖閣を含む日本有事の前に生じたのは、ある意味で天佑神助、天の助け、地祇の助けでもあります。天は、日本人に “ 覚醒 ” を促しており、それに応えなければ日本は危うくなるかも知れません。

 そうしないためにも、安全保障・国防、エネルギー、食糧、などを他国に安易に依存すべきではないことを肝に銘じなければならず、わたし達日本人は、戦後70数年間、惰眠を貪ってきたことを真剣に、深刻に反省しなければならないのではないでしょうか。

 1992年、アメリカの政治経済学者フランシス・フクヤマは、著書『歴史の終わり』で、民主政治が政治体制の最終形態であり、安定した政治体制が構築されるため、政治体制を破壊するほどの戦争やクーデターのような歴史的大事件はもはや生じなくなり、この状況を「歴史の終わり」と呼びました。

 また、1996年、アメリカの国際政治学者サミュエル・ハンチントンは、著書『文明の衝突』で、冷戦後の世界の紛争は文明間の紛争になり「歴史は終焉しない」と主張しました。

 現状の国際社会を眺めれば、残念ながら紛争は無くならず、“ 歴史は終わらない ”ことを明確に示しています。

 しかし、フランシス・フクヤマは現状を以下のように認識しています。

 自由主義の秩序は、プーチンの前からポピュリズムや独裁者など社会の左右から攻撃を受けてきた。
 ウクライナの危機は自由な世界秩序を当然視できないことを明確にした、闘わねば消滅する。
 プーチンが負けても自由主義の「仕事」は終わらない、その後に中国やイラン、ベネズエラ、キューバ等が控えている。
 自由主義の精神はウクライナで生きている、その他の国の我々も徐々に覚醒している。

 これを見れば、フクヤマの自由主義への強い信念と中国など反自由主義国に対する強い危機感が印象的です。(4/8WEDGE Infinity)

 果たして、時代はどのように展開していくのか、皆目見当が尽きませんが、わたし達は、ウクライナを対岸の火事として見るのではなく、生きた実例としてわが国に活かしてゆくべきであろうと考えます。

 わたし達日本人は「危機」と言えば、災害を想起します。地震、津波、台風…これらへの警戒感はそれなりにありますが、「大規模のテロ」や「北朝鮮のミサイル攻撃」などの人為的な危機に対する警戒感は持ち合わせていません。したがって、自然災害には備えても、人為的災害には無防備だということになります。わたし達日本人は、もう少し、大規模テロや侵略戦争に目を開くべきではないでしょうか。

 例えば、核シェルターについて見てみましょう。

  【核シェルター普及率】
  スイス    100%
  イスラエル  100%
  ノルウェー   98%
  アメリカ    82%
  ロシア     78%
  イギリス    67%
  日本       0.02%
    (各国の人口あたり・2014年)

 ここに、大きな問題点があることを認識しなければなりません。つまり、日本の武力攻撃事態における避難所は皆無と言ってもよいのです。東京には地下鉄の駅が多いという声もありますが、空調設備や食料等の備蓄は不十分。(参考に、韓国のソウル市には人口の3倍の地下シェルターがあり、食料や水、一部の武器、ガスマスク、子供用も含めた防弾チョッキなどを備蓄)

 もちろんのこと、今求められていることは、軍事・防衛費を早急に1.2%から2.0%に増やすことであり、核シェルターなどはその後になります。

 日本を攻めてくる可能性がある国(=日本周辺で軍事演習をしている国)は、中国・ロシア・北朝鮮・韓国であり、わが国の隣接国家はすべて危険な国ばかりということを肝に銘じておかねばなりません。

 一瞬の油断もならないことはウクライナで学んでいるところです。例えば、ロシアがウクライナを侵略している最中、ロシアの有力政治家・ミロノフ下院副議長は『ロシアは北海道に対する権利を保有している』と発言。さらに、プーチン大統領は『アイヌ民族をロシアの先住民族に認定する』言明。いよいよ北海道を含む北方領土に爪と牙を伸ばしてきました。

 第二次大戦後、ソ連は日本を「北海道+北方4島」のトータルを2分割して統治することを画策しましたが、米国に拒絶され幻の統治案となりました。日本に幸いしたことは言うまでもありません。ソ連案になっていれば現在の南北朝鮮と同じ運命になったでしょう。つまりは、ロシア(旧ソ連)がしつこく北海道を狙っていることを忘れてはならないのです。

 ロシアのウクライナ侵略を踏まえて「日本の弱点」を考えて見ます。

  核兵器を保有せずの弱点を克服する。
     ⇒替わりに日米安保体制を盤石にすることが肝要
     ⇒非核3原則の撤廃
  防衛力の時勢にあった拡大強化が必要。
     ⇒GNP比1.2%を2.0%にアップ
  自国の防衛は、まずは、自国で対処する覚悟をもつこと。
     ⇒そのために、早急に本格的な憲法改正を政治日程化する
  【お花畑】憲法9条教・観念的平和論・日米安保破棄論…の打破。
     ⇒メディア、教育、文化人の幻想を打ち破る勇気を持つ

 私たちは、できるだけ想像力を働かせ、戦争の背景にある厳しい実態を認識し、わが国の繫栄と防衛に力を入れなければならないのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年5月13日 (金)

音読プリントを読む…徹底反復の効果!

 840回目ブログです

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 “わが宿の 池の藤波 咲きにけり 山ほととぎす いつか来鳴かむ”
              詠み人知らず(柿本人麻呂?)

 わが家の庭先の、池のほとりの藤の花が見事に咲いた。山ほととぎすは、いつここに来て鳴いてくれるだろうか。早く来て鳴いてほしいものだ…。

 ロシア対ウクライナの戦争は、いつ終結するのでしょうか。5月9日のプーチン大統領の対独戦勝記念パレードでの演説に耳を傾けても、戦争を終わらせる雰囲気は見せず、まだまだ続行するように窺えます。

 こんな時は、時には身近なものに目を注ぎ、一時の安らぎを得たいものと、読みやすい本に触れてみることにしました。折しも、5月5日は「こどもの日」でもあり、たまには童心に帰るのも良いのかなと思った次第です。

 そのきっかけは、読者が感銘を受けた私の一冊の本というエッセーが投稿された新聞記事に興味を引いたからに他なりません。エッセーを簡単に要約します。

  『大好きな詩で私のリハリビ』 高齢の女性(82歳)

 かつて孫がお世話になった陰山先生の徹底反復シリーズ。そのうちの『徹底反復 音読プリント』(小学館)にまさか80歳を超えた私がお世話になるとは思いもしなかった。
 数年前から「顎関節症」と言われ、口を大きく開けることができずに困っている。そんなことを施設のお友達に話したら、この本を貸してくださった。この本を毎日音読されていた。
 「お口の準備運動」から始まる。北原白秋の詩、草野心平、金子みすゞ、高村光太郎、宮沢賢治…、特に賢治の「雨にもマケズ」と光太郎の「道程」は小学生の頃、弟たちと何度も音読した詩だ。
 この本で音読を続けていると口を開けたり喋ったりすることが幾分スムーズになった気がした。そして、頭の回転も速くなってきたような気がする。気のせいだろうか?
       4月25日、産経新聞の『ビブリオエッセー』より

 (ビブリオとは本のこと)、見事なエッセー。優しく語り掛ける内容、起承転結、流れるよう文体、これが82歳のエッセーとは恐れ入ります。

 わたしは早速、この本を2冊(①・② 各冊500円)買い求めました。

 陰山先生は教育者として著名。基礎学力向上のためのメソッドの開発をすすめ「百ます計算」「科学実験」「日常生活を見直すチェックシート」など、さまざまな工夫を重ね、大きな成果を上げています。尾道市立土堂小学校校長(公募)、立命館小学校副校長、政府の教育再生会議委員、大阪府教育会委員長などを歴任。

 ある雑誌で、陰山英男氏(陰山ラボ代表)と齋藤 孝氏(明治大学教授)の対談が載っていますが、冒頭で、齋藤 孝教授は「小学校一年生の時に言葉というものが好きになれば、国語について一生苦労することがない…」と述べ、陰山英男代表は「当たり前のことにいま頃気づいたのですが、勉強嫌いがいつ生まれるかといったら一年生の時なんですね…」と、お二方とも幼少期の国語教育の果たす役割を述べています。

 陰山先生は、こうも述べています。

 「1年生から2年生までは学力は結構上がったり下がったりします。しかし、3年生である程度のレベルに到達すると、6年生までほぼ順位が変わらない。そう考えると、1年生の段階で学力を一定レベルまで高めておけば、3、4年生で躓くことが少なくなります」

 「小学一年生の学習が、人生のレベルを決める。音読をやって計算が速くなるとか、「百ます計算」を続けて社会科の点数が上がる、ということは日常的に経験することです」

 さらに、漢字は特に基本的に大切であり、学年別漢字割り当ては、1年生80字、2年生160字ですが、それぞれ1学期の早期に覚えることが良いとのこと。

 学習意欲のとぼしい子には、音読から学習習慣を。音読は長い物語であっても次々と暗唱してしまうという点で際立ち、子どもたちが予想を越えて伸びるのです。音読は脳を最も活性化させることが実証されています。

 音読プリントの使い方。毎日、10分続けよう、レベルにあわせて、好きな作品から、はじめる前に、お口の準備運動を、大きな声で、テンポよく、ひとつの作品を繰り返し読もう。

 それでは、どのような文章が選ばれているのか見てみましょう。驚くのは、若かりし頃、読んだ有名な作品ばかりだということです。(一部を抜粋)

 【初級】 わたしと小鳥とすずと    (金子みすゞ)
      雨ニモマケズ        (宮沢賢治)
      俳句 古池や 蛙飛こむ…     (松尾芭蕉)
      竹取物語(いまはむかし、…)
      春暁(春眠、暁を覚えず)  (孟浩然)
      坊ちゃん          (夏目漱石)

 【中級】 道程            (高村光太郎)
      和歌 白鳥は 哀しからずや…   (若山牧水)
      蜘蛛の糸          (芥川龍之介)
      枕草子           (清少納言)
      徒然草           (吉田兼好)
      論語(学びて時に之を習う) (孔子)
      啓発録(稚心を去る)    (橋本左内)

 【上級】 薔薇二曲(薔薇ノ木ニ…)  (北原白秋)
      小景異情(ふるさとは遠き…)(室生犀星)
      千曲川旅情の歌       (島崎藤村)
      和歌 石走る 垂水の上の…    (志貴皇子)
      学問のすゝめ        (福沢諭吉)
      おくのほそ道        (松尾芭蕉)
      方丈記           (鴨 長明)
      平家物語(祇園精舎の鐘の声…)
      孟子(天の試練)      (孟子)

 取り敢えず、声に出して読んでみました。すべての漢字に「振り仮名」が付いており、読むことには困りません。どれを選んでも名文、リズミカルに音読できます。音読がこんなに気持ちが良いとは思いもよらず、結構楽しめるものです。わたしは別に顎関節症を患っているのではありませんが、脳の活性化にしばらく続けてみたいと考えています。

 ご参考までに…。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
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2022年5月 6日 (金)

独裁・専制・権威主義 … 中国とロシアの限界!

 839回目ブログです

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 “かぎろひも にほふばかりに 岩間照り 尾照り峰照り つつじ花咲く”
                 和田厳足(幕末・熊本藩士)

 立つ陽炎も色美しく見えるほどに、岩のはざまにも、山の尾根にも峰の上にも、色を映しつつ、つつじの花が咲いている…。

 近所の家の垣根に躑躅(つつじ)の花が咲いています。赤、白、ピンク、全面おなじ色のところもあれば、赤色、白色のツートーンカラーもあり。毎年、豊かな色合いを見せてくれる躑躅は、4月から5月にかけて目の保養になります。しばらくすると、皐月(さつき)が満開を迎え、晴れ渡った空をバックに眺めれば一層伸びやかな気分にしてくれるのではないでしょうか。

 さて、このような時、国際情勢は混沌としており、連日のごとくロシアの対ウクライナ侵略戦争のニュースばかりを目にしていますが、忘れてはならないのが中国(中華人民民共和国)の現状です。

 今、中国では、上海をはじめとする大都市でコロナ対策のための「ロックダウン」(都市封鎖)が行われており、大問題を生じておりますので、実態について見ていきたいと思います。

 上海に続き北京も一部ロックダウン、中国全土で1億6500万人に影響

 北京と上海が新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)に入っており、上海の住民は疲弊し、北京では封鎖拡大への恐怖に火がついている。
 上海では、全市的なロックダウンは数週間に及び、人口2500万人が、自宅や居住地区から出られない状況にある。北京も一部を対象にロックダウンを開始。
 中国全土では少なくとも27都市で部分的、全市的なロックダウンが実施され、CNNの計算によれば、最大で1億6500万人が影響を受けている。
             (2022/04/29 CNN一部抜粋)

 中国では、武漢ウイルスの発生を都市封鎖によって全面解決したとの奇妙な自信から、それを自画自賛、現在も厳格な「ゼロコロナ戦略」を続けています。しかし、その後、新型コロナウイルスは、アルファ株からデルタ株へ、そして感染力の高いオミクロン株などへと変異株が猛威を振るう中、世界の対応に変化が起きていますが、中国は、依然として「ゼロコロナ戦略」に固執し続けており、その戦略を維持することに疑問符が突き付けられています。

 上海は、人口2500万人がロックダウンの影響で機能不全状態に陥り、混乱が拡大。住民は、食料の不足、受診困難な医療機関、劣悪な環境の隔離施設、などの情報をSNSで拡散、憤りの声が広がる異例の事態となっていますが、当局は依然として強硬策を講じたままです。

 北京では、一部、居住区からの外出を禁止、学校閉鎖、大手病院の閉鎖、映画館などの娯楽施設なども閉鎖、これを受けて、住民は、ロックダウンが広がることを恐れてパニック買いに走り、スーパーマーケットには長蛇の行列という状況です。

 その他、杭州(人口1220万人)蘇州(同1270万人)ハルビン(同950万人)など20都市以上で部分的、全市的ロックダウンが実施。

 ロックダウンや移動制限の経済的影響ははかり知れず、3月の失業率は21ヶ月ぶりの高さに上昇、自動車メーカーのフォルクスワーゲンやテスラ、アップルのiPhoneを製造するペガトロンなどは操業停止。中国の通貨、人民元は2020年11月以来の水準にまで急落。(CNNより)

 ところで、欧米諸国は「ゼロコロナ」を放棄。新型コロナの消滅は不可能だという前提で、ワクチン開発・接種、治療薬の開発によって“ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく”方針の「ウイズコロナ」に転換しました。

 イギリスでは、昨年7月、ジョンソン首相は、集会、飲食店制限の解除、制限措置の大半を撤廃。そして今年2月24日、新型コロナ対策のすべての法的規制を撤廃しました。しかし、「このウイルスはなくならない。そのため、今日は新型コロナに対する勝利宣言できる日ではないが、感染のピークは過ぎて感染者数は減少している」とも発言。英国は新型コロナ感染再拡大や新たな変異株への備えをしつつ「日常への移行」を完了すると宣言しました。

 わが国も、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっています。(昨年3月5日、小ブログで、立憲民主党の『ゼロコロナ戦略』は不毛なゼロリスク信仰だ!として厳しく批判しております。)

 ところで、欧米が「ウィズコロナ」に上手く転換したことを参考にして、なぜ、中国は今も不毛な「ゼロコロナ」に固執しようとするのでしょうか。(5/3 diamond online上久保教授論稿を参照)

  欧米諸国や日本など感染封じ込めに失敗したかにみえた自由民主主義諸国と対比して、中国の権威主義的な政治体制の優位性を強く主張し「感染が広がる他の国に支援する用意がある」と強烈にアピールした手前引き下がれない。

  中国のような独裁・専制・権威主義的体制は、指導者は絶対に間違うことがないという「無謬(むびゅう)性」を前提としている。指導者は常に正しく、常に勝利し国民を導いていく。これが、指導者の「権威」と「権力」の基盤である。

  権威主義的体制では、自由民主主義体制では当たり前に行われる、国民の声を聴いて妥協し、政策を修正するということは、それ自体が権威を揺るがすことになるため絶対に認められない

 今、ロシアのウクライナ侵略戦争が泥沼化しています。ロシアのプーチン大統領は3~5日で完全勝利するつもりで侵略したと言われていますが、ウクライナの国家、国民をあげての反撃に決着はつかず長期戦へともつれ込んでいるように思えます。

 突き詰めて考えれば、ロシア・プーチン大統領が「戦争遂行に失敗した」という形では、戦争を終えられないからだとも言えます。なぜならば、ロシアも、中国と同じ、独裁・専制・権威主義体制、指導者は絶対に間違うことがないという「無謬(むびゅう)性」を前提としており、失敗を認めることは、プーチン政権の「権威」と「正統性」を失わせることになるからです。

 中華人民共和国も、ロシア共和国(旧ソ連)も、独裁・専制・権威主義の体制では同じと見るべきかもしれません。そうだとすれば、ロシアのウクライナ侵略戦争の終着点は、なかなか見通せないのではないでしょうか。

 最後に。わが国は、中国やロシアのような独裁・専制・権威主義体制の国家に対して余りにも鈍感であり、いかなる局面に於いても厳しい対応をしておかなければならないと考えます。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年4月29日 (金)

ウクライナ降伏論は日本降伏論に通ず!

 838回目ブログです

20204291

 “ぬるるさへ うれしかりけり 春雨に いろます藤の しずくとおもへば”
                   藤原顕仲(平安後期・歌人)

 春雨が降り注ぎ、藤の花は色を濃くしてゆく。その雫だと思えば、春雨に濡れるのも嬉しく思えるものだ…。

 藤の花が色鮮やかに連なり、春から初夏へ向けての何とも言えない風情を見出し、そして、そこに春雨が柔らかく降りそそぐならば、より一層の風情を感じられるものです。移り変わる日本の四季、…そこには静かな自然と穏やかな人情が重なり合っており、見事なハーモニーを映しているのではないでしょうか。

 それに引き換え、国際情勢は激動の渦を巻いており、予断を許さない状況になっています。ウクライナの目を背ける惨状、国家の悲劇、民族の悲しみ。…いくら同情しても同情し切れない悲しい現実、その実情を冷酷に見るわが国のコメンテーター等の情け容赦のない酷薄さに、わたしは大いなる違和感を覚えるものです。人間として、歴史の悲劇に対しては同情をもって臨むのが正しいのではないでしょうか。

 その観点からわが国の代表的なTVコンメンテーター(橋下徹氏・玉川徹氏のW徹)の発言を分析してみたいと思います。

『どこかでウクライナが退く以外に市民の死者が増えていくのは止められない』(玉川徹・テレ朝系「モーニングショー」3/4)“撤退を!”

『戦術核の利用もあり得るという前提で、もう政治的妥協の局面だと思います』(橋下徹・フジ系「めざまし8」3/21)“妥協を!”

『今、ウクライナは18歳から60歳まで男性を国外退避させないっていうのは、これは違うと思いますよ、アンドリーさん、日本で生活してていいでしょう。未来が見えるじゃないですか。あと10年、20年、頑張りましょうよ。もう一回、そこからウクライナを立て直してもいいじゃないですか。プーチン大統領だっていつか死ぬんですから』(橋下徹・フジ系「めざまし8」3/3)“ウクライナ出身の政治学者G.アンドリー氏への人間性を欠く嫌味。国土をロシアに明け渡せ!”

『中国を取り込まないと対露制裁の効きが弱い。中国に頭を下げてでもこっちに付いてもらう必要があるのでは』(橋下徹・フジ系「日曜報道 THE PRIME」3/6)“自民党高市早苗政調会長への中国叩頭外交のすすめ!”

 ひどい発言です。玉川氏も橋下氏もロシアには一切口をつぐみ、弱者のウクライナには上から目線の高圧的態度とは。二人ともウクライナに「退け」「妥協せよ」と賢しらに“降伏論”を唱えるのは、歴史に学ばない人間性にあると言わざるを得ません。簡単な話、ウクライナが降伏しても平和が得られるわけではありません。歴史に学びましょう。

 ホロドモール

 ホロドモールとは、1930年代にかけてウクライナで起きた人為的な大飢饉を言います。ホロドモールはソ連の最高指導者スターリンによって計画されたウクライナ人へのジェノサイド(大虐殺)だという見方がされています。飢饉を意味する「ホロド」と、疫病や苦死を表す「モール」を合わせて「ホロドモール」と呼び、別名は、スターリン飢饉、ウクライナ飢饉とも。
 スターリンは、工業の重工業化を推進、そのための政策のひとつが農業集団化、その集団化政策の強行は思惑通りいかず減産を招きました。しかし、ソ連は、穀倉地帯のウクライナから、穀物、食料、種子にいたるまで強制徴収、そのために大規模な飢饉が発生。400万人~1450万人以上が死亡。
 オスマン帝国のアルメニア人虐殺や、ナチス・ドイツが行ったユダヤ人に対するホロコーストなどと並んで、20世紀最大の悲劇のひとつとされています。

 これを振り返ってみても、橋下氏、玉川氏、独裁・専制のロシア・ソ連の圧政に目をつむり、降伏せよとはよく言いますね。ウクライナ人が抵抗を続けるのは、彼らにとって、祖国の喪失は自らの命を奪われるに等しいことを自覚しているからではないでしょうか。それだからこそ、ゼレンスキー大統領は、現在でも90%の支持率を得ているのです。もう、TVの画面でわめき散らすのは止め、冷静に物事を語りませんか。

 さて、昭和53年(1978)、国の防衛について、降伏論と軍備論が、高名な二人の学者の間で、激論となったことを想起してみましょう。政治学者で東京都立大学名誉教授の関嘉彦氏 vs 経済学者でロンドン大学教授の森嶋通夫氏の「関・森嶋論争」をご覧ください。

   関『私が心配するのは「善意」であるが、歴史の教訓に「無知」な平和主義者の平和論である。政府は有事のための法改正を行うべき。論拠に、第二次世界大戦でスイスがヒトラーに侵略を断念させたのは、スイス国民があくまで戦う決意を示し、民兵組織を整えたことである』

 森嶋『軍備は果たして国を守るだろうか。われわれの皇軍も、国土を焼け野が原にしてしまったことを忘れてはならない』

 『一国の安全は軍事力のみでは守れないが、しかし軍事力なしには同じく守れない、その意味で国を守る最小限の自衛力をもつべきである』

 森嶋『核兵器が発達した現在、不幸にして最悪の事態が起これば白旗と赤旗をもって冷静にソ連軍を迎えるほかない。ソ連に従属した新生活も、また核戦争をするよりはずっとよいに決まっている』

 森嶋『万一にでもソ連が攻めてきたときには、第二次大戦敗戦時、日本人が後世に誇るに足る、品位ある見事な降伏をしたのと同様に、秩序ある威厳に満ちた降伏をして、その代わりに政治的自決権を獲得する方が、ずっと賢明だと私は考える』

 ソ連に占領されて自治権をもち得ている国があるだろうか

 「関・森嶋論争」は、もう40年前のことですが、この論争は古びた議論ではなく、誠に残念ながら今日でも通用するのが不思議でなりません。今、行われているロシアのえげつないウクライナ侵略を見れば、どちらが正しいかは一目瞭然、関教授の歴史観および現実認識の方が、森嶋教授の甘い期待感を遥かに凌駕していると思います。それにしても、右手に白旗、左手に赤旗(今は、白/青/赤のロシア国旗?)を掲げた降伏は絶対にしたくはありません。

 降伏は決して幸福にはつながらず、独裁や専制には不断の警戒を要することを肝に銘じたいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年4月22日 (金)

ロシア・プーチン・ジェノサイド!

 837回目ブログです

20224221

       『手鞠をよめる』 良寛
(長歌)
 “冬籠り 春さり来れば 飯乞ふと 草の庵を 立ち出でて
 里に行けば 玉鉾の 道の巷に 子どもらが 今を春べと 手毬つく
 一二三四五六七(ひふみよいむな) 汝がつけば 吾はうたひ 吾がつけば
 汝はうたひ つきて歌ひて 霞立つ 長き春日を 暮らしつるかも”
(反歌)
 “霞立つ 長き春日を 子供らと 手毬つきつつ 今日も暮らしつ”

 [長歌] 春になり暖くなったので、食物の施しを乞うとて、草庵を出て、里に行くと、道の辻で、子供たちが、今は春だというばかりに、手鞠をついて遊んでいる。「一二三四五六七(ひふみよいむな)」と、おまえたちが鞠をつけば、私は歌を歌い、私がつけば、おまえたちは歌い、ついては歌って、霞の立つ春の長い一日を、日が暮れるまで過ごしてしまった。
 [反歌] 霞の立つ春の長い一日を、子供たちと手鞠をつきながら、今日も過ごしてしまった。

 良寛和尚の「手鞠をよめる」歌。良寛さんの子供らと遊ぶのどかな一日、これぞ穏やかな真の平和というものでしょうが、今、行われているロシアのウクライナ侵略戦争は、それとは真逆であり、虐殺、極悪非道、阿鼻叫喚の様子を見せています。

 ロシア・プーチンのこの度の侵略戦争の目的は何であるのかについて、2月24日の開戦直後にロシア国営タス通信が「誤配」した、『勝利宣言』(ロシアは歴史的完全性を回復する)と題する文書にある、反西側・大ロシア主義の世界観を見てみましょう。

 『ウクライナの解放は、
   大ロシア人(=ロシア)
   白ロシア人(=ベラルーシ)
   小ロシア人(=ウクライナ)
 からなるロシア世界の分裂を終結させ、キエフ大公国をルーツ
 とする兄弟民族の団結を復活させる歴史的責任を担ったものである』

 これが事実だとすれば、ロシアによるウクライナ侵略は、確信犯的な国際秩序への挑戦であり、あからさまな“大ロシア主義”の発露だと言えるのではないでしょうか。更に突き詰めれば、ロシアの歴史上最大版図であった各国への恫喝と睨みを利かすことでもあります。したがって、ウクライナへの侵略は、プーチンにとっては“聖戦”を意味するものであり、何をやってもかまわず、まさに正気の沙汰ではないことになります。

 バイデン米大統領は4月12日、ロシアのウクライナ侵攻が「ジェノサイド(集団虐殺)」に該当するとの見方を初めて示しました。これまでは、戦争犯罪と呼んでおり、ジェノサイドという言葉には慎重でしたが、ロシア軍撤退後に発見されたウクライナ国民の大量虐殺を見れば、ジェノサイドと呼ばざるを得なくなったものと思われます。

 キーウ攻略に大失敗したロシア軍には、残虐性で有名な「チェチェン軍」が配置され、彼らが民間人の大虐殺を行ったと見られています。チェチェン軍を動員したプーチンはその責を負わねばなりません。

 ウクライナの地方・中央当局は、戦争犯罪疑惑への広範な捜査に乗り出しており、ロシアと同国兵に確実に責任を負わせるべく、国際法廷の場で説得するための強力な証拠固めを進めています。

 監視カメラの映像や衛星画像の解析にあたっているほか、顔認証ソフトウエアといった先端の科学捜査技術と現場での地道な捜査を組み合わせて犯人捜しを行っていると報道されています。(4/13 Wall Street Journal)

 いま、現実に大量虐殺が行われていますが、ロシア、プーチンは「フェイク写真」だと言い逃れをするのが常であり、ジェノサイドに認定されるには、確実な証拠が必須です。

 ジェノサイドと言えば、第2次世界大戦のホロコーストでユダヤ人600万人が殺されたことです。国連のジェノサイド条約は、「国民的、民族的、人種的または宗教的集団の全部または一部を破壊する意図をもって」、次のいずれかをジェノサイドと規定。

 1.集団の構成員を殺すこと
 2.集団の構成員に対して重大な肉体的または精神的な危害を加えること
 3.全部または一部の肉体の破壊をもたらすために、意図された生活条件
  を集団に故意に課すこと
 4.集団内における出生の防止を意図する措置を課すこと
 5.集団の児童を他の集団に強制的に移すこと

 殺戮者プーチン・ロシアを、この5項目のひとつでも該当させれば良いのですが、それには明確な証拠が必要であり、その一部をプーチンの言動から拾って見ましょう。

 ・「ウクライナには実体がなく、それゆえに生存権はない」
  (…ウクライナの独立国家としての歴史的存在を否定)

 ・「ウクライナはナチス国家だ」
  (…という理由で、ウクライナの皆殺しを狙う)

 ・「ウクライナ人は少なくとも1世代は再教育が必要で、それにより
   必然的に脱ウクライナ化がなされる」
  (…ウクライナ人を消極的ナチスとみなし、有罪だと認識する)

 さて、ロシアがなぜこのような残虐な国家になってしまっているのでしょうか、それには、宗教哲学にありそうです。キリスト教(正教)は原始キリスト教の流れを継承しているために「政教一致」であり、ロシアとウクライナは次のようになっています。

  【ロシア=ロシア正教】 対立 【ウクライナ=ウクライナ正教】

 プーチン氏はロシア正教との結びつきが固く、3月14日ロシア正教のキリル主教は、ロシアのウクライナ侵攻を全面的に支持すると発言しました。大虐殺を肯定するなんて、政教一致ならば仕方がないのでしょうか。

 プーチン大統領の体質、ロシア正教の体質に嫌気が指したのでしょう、ハイテク分野の人材、科学者、銀行家、医師など、大量の知識人が出国しています。(2012年のプーチン大統領3期目以降、ロシアを離れる人が増加していることにご注目ください)

  【ロシア出国者】
  
  2005年:  6万9,798人
  2010年:  3万3,578人
  2011年:  3万6,774人
  2012年:12万2,751人(プーチン大統領3期目)
  2013年:18万6,382人
  2014年:31万0,496人
  2015年:35万3,233人
  2016年:31万3,210人
  2017年:37万7,155人
  2018年:44万0,083人
  2019年:41万6,131人
  2020年:48万7,672人
   (4/11 Wall Street Journal)

  プーチン大統領の圧政、国情のあり方への不満から、年間50万人もの知識人が出国とは問題が大きすぎるように思えてなりません。

  わが国も、ロシアへの対処に万全を期さねばならないと考えます。果断なスピードが求められており、岸田総理の対処では余りにも遅すぎるのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年4月15日 (金)

ロシア、日本侵略を示唆 …“北海道”が危ない! 

 836回目ブログです

20224151

 “大海の 磯もとどろに 寄する波 割れて砕けて さけて散るかも”
                  源実朝(鎌倉三代将軍)

 大海の磯も轟き響けとばかり激しく打ち寄せる波は、割れて、砕けて、裂けて、しぶきをあげて飛び散っているよ…。

 力強い躍動感に満ちた歌。三代将軍・源実朝の万葉調に溢れた名歌と称されています。気分の落ち込んだ時には、このような和歌を読めば自然にこころが落ち着き、精神に気合が入ろうというものです。

 さて、国際情勢は、ロシア・ウクライナ戦争が膠着したまま、各地でロシア兵による残虐な殺害が露見し、まさにジェノサイド(大量虐殺・民族虐殺)として世界より非難を浴びています。

 今後、いつ休戦し、いつ停戦にまで行き着くのか情勢は混沌としたままですが、このような時、ロシアの高官から極めて重要な発言が飛び出してきました。そのことについて考えていきたいと思います。

 ■ 『我々は北海道に対する権利を持つ』

 下院はロシアの北海道への権利を発表(ゲイ・ミロノフ下院副議長)

 「どの国も、必要に応じて、隣国に対して領土問題を提起し、その観点からこれに対する確固たる正当性を見つけることができます。最近まで、千島列島に関してそのような願望を示したのは日本だけでしたが、多くの専門家によると、ロシアは北海道の島に対するすべての権利を持っています」「日本の政治家が、第二次世界大戦の教訓と関東軍の運命を完全に忘れていないことを望みます。そうでなければ、彼らの記憶を呼び起こさざるを得なくなる」
             2022/4/4 REGNUM通信

 ロシアがウクライナを侵略している最中、有力政治家が日本の北海道に対する権利を保有していると発言しました。まさか、攪乱のためのフェイクニュースかと思いましたが、ウクライナ人の政治学者グレンコ・アンドレー氏は“ロシア語の原文を確認しました。本当に言っています”とTwitterで述べていますので、フェイクニュースではありません。

 また、「日本人は関東軍の運命を忘れたのであれば、それを再現してやろうではないか」とも言っていると述べています。

 関東軍といえば、戦前に存在した大日本帝国陸軍の総軍の一つ。中国東北部の関東州を守備し、満州事変や満州国建国にも大きくかかわった存在として知られますが、1945年8月のソ連対日参戦によって壊滅しています。

 わが国は、3月18日、ロシアのウクライナ侵略に関連して、欧米の経済制裁に同調した制裁を課し、その後拡大しました。これに対してロシアは日本への反感を強め、ロシアは日本との平和条約交渉を拒否。北方領土へのビザなし交流の停止、北方四島での共同経済活動からの撤退なども表明しています。

 そして、ロシアによる制裁はこんなものでは済まないのではないかという声が上がっています。それは、2018年、モスクワで開かれた人権評議会でプーチン大統領が示した「アイヌ民族をロシアの先住民族に認定する」という発言です。(ロシア・プーチン・人権とは、お笑いの三題話と言うべきでしょうか)

 しかし、この問題は極めて深刻です。今回のウクライナへの侵攻が「自国民の保護のため」だったのと同じく、日本へは「アイヌ民族の保護」などといった名目をでっち上げ、北海道に侵入、侵攻、侵略してくる可能性も考えなければなりません。

 確かに、先年、道内で活動しているあるアイヌ団体が、北方領土をアイヌ民族の自治州あるいは区にして欲しいなどとする要望書を、プーチン大統領に対して出していたこともあり、それを、ロシアに逆用された可能性も考えられます。スパイ防止法のないわが国で、工作員らによる反日、親ロシアの動きがますます活発化することを阻止しなければならないのではないでしょうか。

 北海道が風雲急を告げてきました。判断を間違えればウクライナの二の舞になることは必至ではないでしょうか。わが国の防備はどうなっているのか、ウクライナの教訓を参考に考えて見ましょう。

  ① 核兵器なし。(米国の核シェアリングもなし)
  ② 軍事力。(核・ミサイルはロシアが圧倒)
  ③ 軍事同盟あり。(日米安保は果して機能するか)
  ④ 国民の自立、防衛意識。(極めて薄く、お花畑が多い)

 何か、お粗末なような気がしてきました。国民の間には70年間の緩い気分が横溢したまであり、「危機の時代」を鋭敏に感じているようには見えず、まだまだ危機感に乏しいのではないでしょうか。

 そんな時、ロシア軍は、3月10日~11日にかけて、ロシア海軍の艦艇10隻が津軽海峡を通過しました。国際法上、領海は12海里(22㎞)まで設定できるのですが、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道および大隅海峡の5つは「特定海域」として3海里(5.5㎞)に狭めて設定したのです。これは非核3原則の持ち込みに反しないようにするためでした。しかし、今や、中国やロシアの艦船が、日本国土の目と鼻の先の津軽海峡を堂々と通行することを許したまゝになっているのです。今ある危機を考えれば、緊急に特定海域は外すべきではないでしょうか。危機感に欠ける政府、国会の怠慢は明らかだと思います。

 また、2月には日本海とオホーツク海でロシア軍の艦艇24隻による異例の大規模演習が確認されています。ロシアが着々と軍事圧力を掛けつつあることを認識しなければなりません。

 それにしても、わが国の国会議員やTVコメンテーターには、ロシアの残虐行為や非戦闘員への攻撃、ジェノサイド、などに対して厳しい非難を加えず、ロシアを擁護する姿勢が目立ちます。先年まで、市長・知事をつとめた、ある有名コメンテーターはウクライナに対して「命が大事。早く降伏せよ。ロシアには到底勝てないんだから。戦争は津波対策と同じ。」と何の脈絡もない無責任な投降をすすめる始末です。また、北海道を代表する某国会議員は、ロシアの虐殺行為を前にしても、「ロシア命」の姿勢を崩さず、今も強力に擁護しています。何かあるのでしょうか、合点がいきません。

 彼らには、ロシア(含旧ソ連)の残虐性について無知すぎるのではないでしょうか。たとえば、スターリン粛清、シベリア抑留、アフガニスタン殺害、チェチェン虐殺、など、過去の歴史をもう少し勉強してから発言してほしいものです。

 最後に…。

 ロシア、日本侵略を示唆 …“北海道”が危ない! 深刻に考えるべきではないでしょうか

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年4月 8日 (金)

日本の言論界・激変へ…戦後の終わりの始まり! 

 835回目ブログです

2022481

  “散るという 飛翔の形 花びらは ふと微笑んで 枝を離れる”
                俵万智「サラダ記念日」

 花の盛りを過ぎて、桜は、ほろりほろりと花を散らし始める。一枚一枚の花びらは、枝を離れて散る瞬間にさえ、ほとばしる命の美しさを証し立てて見せている。散ることは、桜の花がやむなく迎えた悲愴な結末ではない。美の完結であり、飛翔であったのだ…。

 桜も満開から散り始めの所など、いろいろあるのでしょうが、桜が散る姿さえまさに美しさの完結を示しているものだと知れば、桜がこれほど私たち日本人の心を虜にするのも肯けます。

 さて、ロシアのウクライナへの侵略が依然として熾烈を極めており、「戦争」というものの実態を、メディアを通じて連日のように目にします。そして、その映像などを見るにつけ、これが現実なんだ、不条理であってもこれが事実なんだ、ということを、私たちは戦後はじめて肌に感じたのではないでしょうか。

 戦後日本の言論空間においては、70数年に亘って、現実離れした議論が行われ、それに異を唱えることが出来ない雰囲気にありました。議論と言っても、密閉した空間の中での観念的なやりとりであり、まさに、ガラパゴス化したものであり、世界の常識は日本の非常識、それが今日まで続いてきました。

 ところがどうでしょうか、ロシア(旧ソ連)の暴虐、非戦闘員への攻撃、国際法無視の戦闘行為、侵略、主権侵害、残虐行為、ジェノサイド(民族抹殺)、数百万人の難民発生、生物兵器・化学兵器・核兵器使用の恫喝、そして「独裁」「専制」…、これらを見てわたし達国民も何かを感じたのではないでしょうか。

 それは、わが国で行われている議論がいかに異状であり、薄っぺらで、浮ついたものであるかを改めて認識したことだと思います。

  ① お花畑(妄想・夢・幻想などを盲信している人)
  ② 現実無視
  ③ 観念論
  ④ ガラパゴス化
  ⑤ 民主主義国家と独裁専制国家との差異

 ロシアによるウクライナ侵略を受け、ガラパゴス化していた言論空間に突如として「現実」が現れました。それを受け、リベラルや左翼は言うに及ばず、多少右寄りだと言われていた人でもオタオタ。例えば、橋下徹氏をはじめとする一部の論客は「国を守るより命が大事。ウクライナは早く降伏すべきだ」との発言をテレビで繰り返しており、今も主張を変えていません。彼らは九条派と同じ雰囲気になってきました。

 それに対して、国際政治や軍事の専門家は「この戦争は侵略戦争であり、一方的侵略に屈した後の国家の悲惨な姿に思いを致すべきである」と厳しく批判しています。加えて、一般国民も“降伏論”に組みしておらず、ロシアの暴虐に怒りを覚えるとともに、ウクライナの国を守る精神に気高さを感じているのではないでしょうか。

 さらに、先日、ウクライナのゼレンスキー大統領がわが国会でオンライン演説を行い、国民もそれなりの感銘を受けました。しかし、それを巡って、立憲民主党の泉代表が、何と「演説内容の事前調整」の必要性を訴えたのです。泉代表は、立憲民主党の主張する、九条護憲、非核5原則(3原則+2原則)堅持、専守防衛、防衛力強化反対、安保現状維持などの弱点を持つ諸問題に目を向けられないように事前調整を主張したかったものと思います。侵略を受けている大統領の言葉に素直に耳を傾けようとの誠意が全く見られず、各方面から、政治家としての資質が問われました。本当にひどいものです。

 ウクライナが祖国防衛に失敗した要因の一つが核兵器(1200発)を完全放棄したことにあります。それを考えれば、わが国も、核兵器を保有するか、持ち込むか、などについて真剣な議論を進めなければなりません。ウクライナの苦い経験を教訓として活かさなければならないのではないでしょうか。現実に立脚すれば、非核5原則は、まさしく今、見直すべき時に来たと思います。

  【非核5原則】(3原則+2原則)

   ① 核は保有しない
   ② 核は製造もしない
   ③ 核を持ち込まない
   ④ 考えさせない
   ⑤ 議論させない

 ウクライナの祖国防衛の失敗の要因のふたつ目が防衛力の弱体化(100万人⇒20万人)を露・英・米におだてられて認めてしまったことです。わが国がこれを教訓にすれば、①防衛力の強化、②憲法改正に正面から取り組むことではないでしょうか。

 まず防衛力の強化について。わが国のリベラルと称する人が好きな「ドイツ」の緊急対応を参考にしましょう。ドイツのショルツ首相は、2月27日、ロシアのウクライナ侵略を奇貨として、即座に国防費を1.5% ⇒ 2.0%以上(GDP比)に大幅アップすることを決定。ショルツ首相はその理由として「自由と民主主義を守るために安全保障にもっと投資をしなければならない」との考えを示しました。

 わが国も、防衛費を1.2% ⇒ 2.0%に大幅アップするくらいの勇気を示すべきではないでしょうか。それにしても、ドイツのショルツ首相の、国家の危機に対して機敏な政策変更を実行する勇気に頭が下がります。日本国の首相も、わが国の周辺は危うい国ばかりであると認識するならば、チンタラ、チンタラではなく、全国民に対して声を大にした大演説を行い、国民の意識を覚醒させてほしいものです。

 次に憲法改正。70年間一言半句変えなかった憲法とは一体何でしょうか。そんなものって考えられるでしょうか。誰が考えても非常識、異様。わが国と諸外国における戦後の憲法改正の回数をごらんください。

 【諸外国における戦後の憲法改正:回数】

  ・アメリカ    6回
  ・カナダ    19回
  ・フランス   27回
  ・ドイツ    65回
  ・イタリア   16回
  ・オーストラリア 5回
  ・中国     10回
  ・韓国      9回
 (・日本      0回)
    ※ 国立国会図書館:2021・2・2現在

 愕然とするデータ! 現実社会に対応しようと思えば少なくとも5年に一度は見直し、現実をカバーしなければなりません。

 更に、書くのも嫌になりますが、憲法前文を今一度お読みください。

 『日本国民は(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
  われらの安全と生存を保持しようと決意した。』

 白々しい文言ですね、どこに、平和を愛する諸国民がありますか。わが国周辺国をごらんください。侵略戦争真最中のロシア、拉致・核・ミサイルの北朝鮮、竹島・反日の韓国、尖閣・反日の中国。…油断も隙もない国ばかりです。ロシアのウクライナ侵略を教訓とし、凛とした国を目指し、堂々と憲法を改正し「日本の再生」へと大きな舵を切ろうではありませんか。

 「戦後の終わりの始まり」が到来したのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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2022年4月 1日 (金)

戦争・侵略・侵攻・侵入…ロシア対ウクライナの実態は!

 834回目ブログです

2022411

   春夜喜雨(春夜、雨を喜ぶ) 杜甫

  好雨知時節(好雨 時節を知り)
  当春乃発生(春に当りて 乃ち発生す)
  随風潜入夜(風に随いて 潜かに夜に入り)
  潤物細無声(物を潤して 細やかにして声無し)
  野径雲倶黒(野径 雲は倶に黒く)
  江船火独明(江船 火は独り明らかなり)
  暁看紅湿処(暁に 紅の湿おう処を看れば)
  花重錦官城(花は 錦官城に重からん)

 恵みの雨は降るべき季節を知り、春になるやここぞと降り始めて万物の成長を促す。雨は風に吹かれつつ、人知れず夜も降り続き、ひっそりと音も立てずに万物を潤す。野の小道も雲も闇に埋もれ、長江を行き交う船の灯りだけが赤々と輝く。雨の一夜が明けて、赤い花が湿っているところを見ると、この成都の町・錦官城のいたるところに、さぞかし雨に濡れ重たげな春の花を見ることだろう…。

 しとしとと降り続く春の雨。こんな時は詩聖と言われた杜甫の名詩「春夜喜雨(春夜、雨を喜ぶ)を鑑賞してみてはいかがでしょう。

 とは言いながら、遠くのヨーロッパ大陸では、ロシアとウクライナで、干戈を交えた(たて&ほこ、戦争のこと)状態、いや、化学兵器、生物兵器、核兵器までもが取りざたされる戦争が行われている今日、心から情趣に浸る気持ちにはなれません。

 私たちは、ロシアとウクライナの戦闘状況に関しては、マスメディアやSNSから流れる情報以外に知るすべを持ちませんが、それを見るにつけてもロシアの大掛かりな爆撃にと、それに対抗するウクライナの士気の高さに目を奪われます。

 しかしながら、わが国のマスコミは、この紛争をどう位置付けているのでしょうか。2月24日から始まったこの戦いの名称として、日本では「ロシアによるウクライナの侵攻」あるいは「軍事侵攻」という表現が一般的になっていますが、言葉の意味として、とりあえず、手元の辞書を引いてみましょう。

  「戦争」国家が他国に対し、自己の目的を達するために武力を
      行使する闘争状態。

  「侵略」国に攻め入って土地や財物を奪い取ること。
      武力によって、他国の主権を侵害すること。

  「侵攻」他国や他の領地に攻め込むこと。

  「侵入」他の領分を侵して強引に入り込むこと。

 現在、ロシアとウクライナの間で争われている状態は、ロシアのウクライナ領土一部占領、主権の侵害、大量破壊、大量殺害、女子や子どもを含む非戦闘員への無差別攻撃と殺害、250万人を超える難民、などを考えれば…。

        戦争 > 侵略 > 侵攻 > 侵入

 日本語でのイメージでは、本来は「戦争」という表現が正しいのではないでしょうか。それにもかかわらず、マスメディアでは、未だに「ロシアによるウクライナの侵攻」という表現を使用していることには納得がいきません。最低限でも「侵略」、あるいは「戦争」という言葉を使い、実態を正しく、厳しく認識する必要があるのではないでしょうか。

 欧米のメディアによる表現を、ジャーナリストの今井佐緒里氏の参考資料から引用します。

 ニューヨーク・タイムズ。「Russia-Ukraine War」(露ウ戦争)
 ワシントン・ポスト。「WAR IN UKRAINE」(ウクライナでの戦争)
 米CNN。「Russia invades Ukraine」(ロシアのウクライナ侵略)
 英BBC公共放送。「War in Ukraine」(ウクライナでの戦争)
 英ザ・タイムズ。「Russia-Ukraine war」(露ウ戦争)
 英フィナンシャル・タイムズ。「War in Ukraine」
                                              (ウクライナでの戦争)
 英ガーディアン。「Russia-Ukraine war」(露ウ戦争)
 仏公共放送 France Info。「Guerre en Ukraine」
                      (ウクライナでの戦争。Guerre/ゲールとは戦争の意)
 仏『ル・モンド』。「Guerre en Ukraine」(ウクライナでの戦争)

 とりあえず、英・仏・米のメディアで使われている言葉を記しましたが、すべてが、「侵略」「戦争」という言葉であり、わが国のように、甘い言葉は全くありません。

 ウクライナの問題は遠い~遠いヨーロッパ地域の他人事だと考えるのは間違いではないでしょうか。考えてもみましょう、わが国は「北方領土」(歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島)を、ロシア(旧ソ連)に略奪されたままになっており、現在においても、ロシアと厳しく対峙しているのですから。

 そのためにも、あの狡猾なロシアのことであり、容易なことで北方領土を返還してくれないことを覚悟し、辛抱強くロシアの弱体化、脆弱化を待ち、一瞬の心の隙に入り込み返還の実をあげることしか道はないように思えます。

 と考えれば、南の尖閣諸島への防衛力の大幅強化とともに、北方への防衛力充実化も早急に対処しなければなりません。そして、基本的には自主防衛の実をあげる体制を志向すべきではないでしょうか。

 それにしても、政界リーダーの国家防衛への認識があまりにも軽いことに、大いなる危惧を覚えます。ごらんください。2月24日のロシアによるウクライナ侵略開始を聞いて政界の重鎮が発した言葉を…。

 プーチンのようなリーダーが出てきても、侵略されないために
  憲法9条があるんだ』        (共産党の志位和夫委員長)

 『日本の領土が侵略されたら、米軍があらゆる能力で守ってくれる
                      (林芳正外務大臣)

 『日米同盟で今後も国民の命や暮らしを守れると信じております
                    (岸田文雄総理大臣)

 この段に及んでも、9条」「米軍」「日米同盟、これに日本人すべての命をゆだねる発言をするとは。主体的精神も危機意識の欠片もない愚かな発言であることを指摘したいと思います。まずは、岸田総理、林外相、志位委員長含め、全国民の覚醒を求めるべきではないでしょうか。

 福沢諭吉は強靭な主体的精神を「独立自尊」と呼びました。国家のリーダーには、この言葉を心に刻み付けていただきたいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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