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2006年8月18日 (金)

大型ビジネスマンになろう・天動説か地動説か

 25回目のブログです。

 まだまだ暑い日が続きます。
 今年は特別なんでしょうか、8月15日終戦記念日(大東亜戦争敗戦の日)の靖国
神社参拝騒動も終わりました。
 鎮魂ということは、わが国民がひとりひとり、心静かにわが先人をまつり、魂を鎮め
奉る
ことが本来の有り様ですが、近隣諸外国、国内政治勢力の、ためにする騒擾に
より、心の静けさは破られてしまいました。

 もう、本来の静けさに戻すべきです。靖国神社も静謐な杜をのぞんでいるのではな
いでしょうか。考えてもみましょう。わたし達が、自分の祖先にお参りする時、あるい
は、神社仏閣にお参りする時、こんなイデオロギー優先の騒々しさは求めてはおりま
せんね。もっと穏やかで、静かな世界を求めています。

 わたしは、現在の親殺し、子殺し、他人殺しの激増、強盗の多発、悪質三国人の跋
扈、などなどの世相は、この騒擾と密接な関連があると睨んでいます。
 わたし達は、ひとりひとりが、福澤諭吉のいう、真の独立心を未だ確立していないた
め、暖かくも厳しい人間関係、冷たく厳しい近隣諸国関係を認識できていないのでは
ないでしょうか。

 福澤諭吉は「学問のすすめ」や「文明論の概略」で、日本にとっての目的は、国の
独立をまもることであり、文明はその手段であると喝破しています。
 福澤はさらにこうも言っています。
 “わが日本国人も今より学問に志し、気力のたしかにして、まず一身の独立をはか
り、したがって一国の富強を致すことあらば、何ぞ西洋人の力を恐れるに足らん。
道理あるものはこれに交わり、道理なきものはこれを打ち払わんのみ。一身独立
して一国独立するとはこのことなり
”と。
 彼は、独立心は愛国心(国を愛する態度ではありません)に裏付けられるとし、
わが国の国柄(すなわち皇室)を敬う心を強調しており、その趣旨を「帝室論」で詳し
く述べています。

 私が思うに、わが国の政治家、マスメディア、評論家、文化人、教師、教授、経済
人、官僚、地方自治体、組合幹部などは、今、今、あらためて福澤諭吉を読み、明治
維新を成し遂げた、先人の苦心に心を廻らすべきではないでしょうか。
 そうすれば、靖国の騒がしさも、先帝を政治利用しようとする賎しい精神も、どこか
に消えてなくなり、真の独立人に溢れた、すぐれた独立国家になると思われます。

 それにしても、福澤諭吉はすごい方だとあらためて尊敬の念を持ちました。慶応義
塾出身者は、全員、福澤精神の持ち主であろうと思いますが、羨ましいですね。

 8月15日、心静かに考えてみました。
 みなさんはどのようにお考えですか。

君はサラリーマンかビジネスマンか」の第25回目です。
(毎週金曜日・30~40回を予定)
ビジネスマンへの道を示せれば幸いです。
必ずお役に立ちます。ご期待ください。

『君はサラリーマンかビジネスマンか』…25
[8章]
大型ビジネスマンになろう
[8章ー1]
天動説か地動説か

 小学生か中学生の時、天動説とか地動説について習ったことを覚えているでしょう。
天動説か地動説かの争いは、宇宙全体をどのように見るのかの宇宙観の論争でも
あったのです。一口に、宇宙観の論争といっても、それは命懸けのテーマでもありま
した。

 時は、遥かなる中世、所は、世界の先端イタリアでのことでした。人々は、天が動き、
地は動かずの天動説を、骨の髄まで信じており、地球が動いていることなど全く考え
られないことでした。

 そういう時代に、科学者ガリレオ・ガリレイは地球は動くという地動説を説いたので
す。天動説を信ずるほとんどの人々に迫害されながらも、「それでも地球は廻る」と言
いながら死んでいったという有名なエピソードも残されています。

 現在では、天動説すなわち、地球中心に宇宙が存在していると考えている人は皆
無であろうし、逆に、宇宙の中に地球が存在する地動説を当然のことと信じています。

 それではこのことをビジネスの世界に置き換えてみましょう。
 企業とか会社というものは、その全体は有機的に繋がった状態にあり、社内の組
織も社外の組織も複雑に絡み合っており、おそらく永遠に固定的な存在はないと見る
べきでしょう。そう考えると、ビジネスマン自身も全体のなかで調和的な生き方を志向
しなければなりません。
すなわち地動説の考え方、地動説の生き方です。

 しかしながら、あなたの周辺を見て頂きたいと思います。自己中心主義者すなわち
天動説主義者がかなりいるのではないでしょうか。今の流行語で言えば、「ジコチュウ
(自己虫)」です。他人の感情、考え方、論理を全く無視し、自分の感情、考え方、論
理を押し付けて平気な企業人や社会人は、身近にもかなりいるのではないでしょうか。
そういう連中に限って、下手なゴマスリをしたり、見え透いた嘘を言いがちです。

 組織の中心にいる人達はできるだけ地動説に立脚すべきです。地動説的な考え方
の人は他人の意見に耳を貸そうとします。そう、耳を傾けてくれる上司、これは素晴ら
しい存在ではないでしょうか。こういう雰囲気に部下連中は敏感であり、こういう雰囲
気を求めて自然と有能な人が集まり、また、人財として育ってゆくのは間違いありま
せん。

 地動説的な考え方の人に対しては、部下連中は良い情報だけでなく、悪い情報も
上げるようになるでしょう。それは、聞く耳を持つという優れたバランス感覚の上司
には、真実を伝えようとする作用が働くからです。

 そうすれば、組織を危殆に瀕するような状況にまでは至りません。メディアをみても、
連日のように製品欠陥によるリコールが報じられています。パロマ、トヨタなど、業界
トップ企業でもそれを免れていません。

 その根本要因は、安全品質ということに関して、問題提起しやすい社内環境が確立
されていないことでしょう。そのためには、もちろんマニュアルは重要ではありますが、
すぐれた人材が必要になってきます。

 危機管理の要諦は、全体を調和的に見据える全体調和主義者、すなわち地動説
の持ち主である組織人を、いかに多く育てるかということに尽きるのではないでしょう
か。
 大型ビジネスマンになりたいならば、すべからく自分自身のジコチュウ的な天動説
の考え方を排除し、地動説的感覚の持ち主になるよう努めなければなりません。

次回は
[8章]大型ビジネスマンになろう
[8章-2]デザイン力と構想力(感性と理性)
です。

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