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2006年12月 8日 (金)

時事エッセー・シャネルのスピリッツ

 41回目のブログです。
 (しばらくは、「時事エッセー」といきます)

 いよいよ師走に入り、何となく慌しい気分にさせられますが、時というものは、
絶対的なものではなく、各人の感覚によって、長くも感じられたり、短くもなった
りするのでしょうか。毎年、この12月になれば、そんな感想を持つようになりま
す。

 先日、11月28日夜、TVを退屈凌ぎに、それとなく見ていましたら、素晴らし
い内容に行き当たりましたので、取り上げたいと思います。(フジテレビ系列、
阿川佐和子さん司会)

 コメンテーターとして、シャネル日本法人社長リシャール・コラス氏が、「シャ
ネル銀座ビルディング」を紹介しました。リシャール・コラス氏は、正確で、品の
ある日本語を流暢に駆使され、まるで、現代のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)
とも言える、見事な人格者です。

 リシャール社長は、“ブランドは守るものではなく、生かすもの”と考えており、
このシャネル銀座ビルディングを、成熟した日本の消費者が求めている、芸術
や料理も楽しめる、ゆとりある空間として位置づけました。
 ブティック、VIPサロン、多目的ホール、オフィスフロア、レストラン、駐車場など、
特異な構成となっています。
 シャネル日本法人は、今や年間売上も700億円(非公開)以上とも言われて
おり、年々、着実に、また大幅に伸びているそうです。

 私が、注目したことが唯一点あります。司会の阿川さんも感心していましたが、
注目というよりも、唸ったという方が適切なくらい、衝撃的なことです。
 それは、リシャール社長が、シャネル銀座ビルディングの竣工にあたり、建築
に携わった人達2200名の全ての名前を、プレートに刻み
こんで、感謝の気持
ちをあらわしたということです。この2200人の方々のなかには、とび職の方々
も含んでいます。

 シャネルのスピリッツ(精神)はすごいですね。

 シャネルという会社が、ビルディング建築に対して、創造への共感を心より示し
たということは、豊かな心を失ってきている現代日本人に、示唆するところが大
いにあるように思えます。リシャール社長の、歴史と文化に対する揺るぎない信
念と心構えに尊敬の念を抱かざるを得ません。

 このような、プレートに全ての関係者の名前を刻むという、気高い精神的ビヘ
イビアを、わが国の多くの施主のうち、誰がとっているのでしょうか。私は寡聞に
して知りません。

 しかしながら、まだまだ捨てたものではありません。歴史ある企業などでは、
高野山などで、自社の物故者に対する法要をしています。この法要は、その企
業の先人に対し、感謝の念を示す儀式ですが、これは、真に気高い、自然な行
いと言えるのではないでしょうか。

 同じことは、靖国神社についてもいえるでしょう。戦争で亡くなられた方を、全
ての国民が、自然な気持ちで慰霊することが求められています。それにもかか
わらず、近年はギスギスした不毛の対立が生じ、精神的腐敗と亡国への道を
歩まんとしています。本来、気高い精神は、戦争で亡くなられた方への共感を
示すこと、それが慰霊というものではないでしょうか。

 わたし達は、ややもすれば、薄汚れた精神の持ち主に心を引かれる傾向が
ありますが、素晴らしいシャネルのスピリッツから何かを学び、豊かな心を有す
る存在になりたいものです。

 みなさんのお考えは如何でしょうか。

次回は引き続き
「時事エッセー」
です。

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