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2007年2月 9日 (金)

時事エッセー・責任感の喪失

 50回目のブログです。

 いよいよ通常国会が開かれ、論戦が戦わされつつありますが、はたして、実の
ある内容となるかどうか、かなり怪しいと思われますが、期待もしたいところです。
 安倍総理は、既に、内容はともかくとして、防衛省昇格、教育基本法改定という
国の根幹部分に実績を果たしましたが、それ以外は、難問続出というなかで、
「教育再生」を一番の目玉として掲げています。

 政府が教育再生を大きな課題としているように、わたし達も、どうも教育に大変
な問題があるのではないかという疑問を持っています。TV、新聞、雑誌をみても、
連日のように、給食費不払い、ゆとり教育、いじめ、自殺、殺人、学力大幅低下
などが報道され、国民は、それを身近な実態であると認識しているのではないで
しょうか。

 どうしてこのような事態に陥ったのか、何が原因なのか、誰に責任があるのか、
綜合的な指摘は識者にお任せするとして、ここでは、誰に責任があるのかについ
て述べてみたいと思います。

 マスメディアでは、これらの原因は、教師、教育委員会、両親にあると毎日の
うに伝えています。はたしてそうなのでしょうか。もちろん、これらの人々に問題が
ないということではなく、大いにあると思いますが、忘れてならないのは、文科省
官僚、文科省各種委員会、日教組、
そして、政治家です。この四者は教育行政に
おいて、些かも反省を示していません。それどころか、他に責任を転嫁している
のです。

 この四者それぞれについてみてみましょう。文科省の「ゆとり教育推進」の旗振
り役高級官僚であった寺脇研氏は、退任後しばしばTVなどのマスメディアに登場
し、“ゆとり教育は間違っていなかったが、真のゆとり教育を行わず、その本質か
ら離れた教育をしたために今日のような問題を露呈したのだ。”と自らの反省と
責任感ある発言は一切ありません。

 この言い草は、共産主義イデオロギストと同じ釈明の仕方です。ソ連や東欧の
共産主義国家が崩壊した時、わが国の共産主義者は“共産主義は間違っていな
かったが、ソ連や東欧は、真の共産主義を実践せず、その本質から離れた政治
をしたために、今日見られるような崩壊に至ったのだ。”と言い訳をしました。見通
しを誤った無責任極まりない人々ですが、そんな人々も、マスメディア、学界、
官僚、政治家の中に、現在もしぶとく生き続けています。

 1月24日に自民党、公明党は教育再生検討会(座長・大島理森元文相)を開
き、政府の教育再生会議がまとめた報告について協議しました。が、驚くなかれ、
元文相らは、「ゆとり教育の見なおし」に異論を唱え、現在よりも知識教育に力を
いれるべきではなく、真の、本来のゆとり教育を推進し、「人間力の向上が大事で
ある」との指摘をしました。

 文科省の大臣経験者らは、自分らの推進してきた「ゆとり教育」に問題があった
と認めたくないのでしょう。共産主義者と同じ論理ですね。「真の、本来のゆとり教
育」を推進すれば問題はないという理屈です。しかし、それは無責任ではないで
しょうか。わが国のリーダーとして、藩屏としての結果責任を認識してもらいたい
ものです。大臣という政治家はかくも軽い存在とは知りませんでした。教育は百年
の計と言われるほど、極めて重要な国家の基であり、政治家はわが国の将来に
責任があることを認識してほしものです。

 日教組も責任を逃れることはできません。日教組は、いわゆる左翼反日イデオ
ロギーの推進と教師の負担軽減ための方策として「ゆとり教育」を進めてきまし
たが、少なくとも、学力大幅低下の結果責任は免れないでしょう。教師の集団と
して、国民教育の視点を加味してほしいものです。

 中教審をはじめとする各種委員会は、これまで積極的にゆとり教育を推進して
きましたが、これまた反省はゼロ、現在も積極論者が多い
と言われています。何
をか言わんやです。

 今、国民は「ゆとり教育」に問題があるということを明確に認識しています。
それゆえに、子や孫の将来に不安感を抱いているのではないでしょうか。それに
もかかわらず、わが国のリーダーのなかで、ゆとり教育に反省を示し、責任を取
った人々が皆無であることは、責任感の喪失という歪な社会病理の反映と言わ
ざるをえません。
 危ういかな日本!どうする日本!

 わたし達はどう考え、どのようにしたらよいのでしょうか。早くから「ゆとり教育」
に異を唱え、科学的、統計的データをもとに、学力低下に警鐘を鳴らし続けてい
た、警世の碩学、京大経済研究所所長・西村和雄教授は、次のように述べてい
ます。

  基本的に、ゆとり教育は間違いであり、これは必然的に学力低下を招く。
  現に、分数の加減乗除ができない大学生が激増している。
  従って、ゆとり教育を続けると、国力の低下が顕著になってゆくことは確実
   である。
  ゆとり教育が不適切な教育政策であったとするなら、文科省をはじめとする
   推進者の責任も問われなければならないであろう。
 ⑤ 「ゆとり教育」見直しは、いままでゆとり教育を推進してきた、中教審と各種
   委員会の人事を一新することから始めなければならない。人事一新を実行
   しなければ、教育再生会議の提言も骨抜きになり、「絵に描いた餅」となる
   であろう。

 西村教授の言に素直に耳を傾けたいものです。教育の再生は、ゆとり教育の
見直し、ゆとり教育からの脱皮が第1歩であり、わたし達は、政府が、ぬるま湯
的でなく、果敢に、戦闘的に実行されることを望みたいと思います。

 それとともに、全く反省と責任を示さない、今まで推進してきた指導層の堕落し
た精神構造に対し、極めて厳しい追及をしようではありませんか。甘言に惑わさ
れてはなりません。彼らは、国の根幹を貶めたのですから。

 みなさんはどのようにお考えになりますか。

次回は
時事エッセー
です。

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