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2007年4月20日 (金)

人間性の喪失(続)・ある高級官僚の精神構造

 60回目のブログです。

 先週のブログでは、造幣局の桜通り抜けを題材に、わが国での桜の持つ意味
合いを探るとともに、各種の桜の歌(童謡・唱歌・軍歌・和歌など)を鑑賞し、優雅
な雰囲気に浸ることができましたが、今週は、一転、厳しい視点を打ち出さざるを
得なくなりました。

 2月16日の51回目ブログで、わたしは、阪神淡路大震災における、自衛隊の
活躍に非を唱え、自衛隊を誹謗した社民党政審会長・阿部知子衆議院議員を
厳しく糾弾しました。その時は、正直なところ、阪神淡路大震災で大活躍した、
自衛隊を誹謗する人などは、阿部女史を含むほんの一部のイデオロギストだけ
だと思っていました。

 しかし、わたしの認識は極めて甘く、このほど、世の中の上層部には、こんなに
も不誠実で人間性を喪失した人が多くいるのかを知らされました。長くなりますが、
じっくりとお読みください。
 発端は、先日の東京都知事選挙で選ばれた石原慎太郎氏の記者会見(4月
8日当選確定時)を朝日新聞が大きく取り上げたところからです。

 朝日新聞記事(4月9日朝刊)

  石原氏は8日夜の会見で防災対策に触れ、「神戸の地震の時なんかは、
 (自衛隊の派遣を要請する)首長の判断が遅かったから、2千人余計に亡く
 なったわけですよね」と発言した。阪神大震災の被災地で反発が出ている。
  
  震災時の兵庫県知事、貝原俊民氏(73)は「石原さんの誤解。たしかに危機
 管理で反省はあるが、要請が遅れたから死者が増えたのではない。犠牲者の
 8割以上が、発生直後に圧死
していた」と反論。「大災害が起きた場合、公的
 機関による救済には限度がある。都民の防災意識を高めることに力を発揮し
 てほしい」と注文した。

  震災後に同県の初代防災監を務めた斎藤富雄副知事(62)は「全く根拠の
 ない発言で、誠に遺憾。将来の備えのためにも、過去の災害を適切に分析
 してほしい」。

  神戸市に次ぐ被害を受けた同県西宮市の震災時の市長、馬場順三氏(81)
 は「95年当時に東京で大地震が起こっていたら、対応できただろうか。震災
 を実際に体験していないから言える発言ではないか」と語った。

 みなさんはこれを読んでどう思われますか。私は、即座に、言葉は汚いのです
が、どいつもこいつもとんでもない野郎ばかりだと思いました。

 まず、朝日新聞は、「阪神大震災の被災地で反発が出ている」と書いているの
で、一般の被災者が石原都知事の発言内容に反発しているのかと思ったところ、
あにはからんや、反発をしているのは、時の自治体のトップ連中ではありません
か。震災時の責任ある為政者の責任逃れの声ばかりを集めて被災者の声として
います。朝日新聞としては、これをもって、日頃からの、石原憎し、反石原の感情
をぶつけたのでしょうが、やぶへびであるとともに、朝日新聞の見識が疑われ
思います。 

 石原都知事は、安心・安全な都市造りをモットーに、防災にも注力し、自衛隊、
米軍など全てを包含した形で防災訓練を繰り返しています。それでも、いざ地震
が発生したならば、速やかに公的機関に救援を要請することを明言しています。
この覚悟の延長線上で、阪神淡路大震災での対応に言及したに過ぎません。

 それにしても、兵庫県を代表する地方自治体のトップ3名の発言には、奇異な
感じを避けられません。かれら3名は、自分の責任を自覚することなく、東京都
および東京都民に注文をつけるなど、およそ反省のかけらも持ち合わせない、
厚顔無恥な存在を証明しています。それこそ、兵庫県民が気の毒であり、震災で
お亡くなりになった方も浮かばれないのではないでしょうか。

 これらの発言のなかに、被災で亡くなった方に対する哀悼の気持ち、一片の
同情、一言のお詫び、いわゆる藩屏としての責任感、いや、一人間としての情、
人間性のかけらも感じ取ることができないのは、わたしだけでしょうか。

 貝原知事(当時)は、地震発生直後に80%は圧死しており、自衛隊をたとえ早
く要請したところで、大したことはできなかったと言いたいのでしょうが、即死率
には、60%、65%、80%、90%といろいろあり、石原説もあながち間違いとは
言えません。よしんば、貝原説にしたところで、なぜ早く要請しなかったのか、早
ければ、2000人かどうかは別として、助かった人も数多くいたことは間違いの
ない事実です。人命よりも、自衛隊憎しのイデオロギー思想を優先させた疑いが
濃厚であり、本来、万死に値する対応ではなかったでしょうか。

 貝原知事の震災直後の対応状況を記してみましょう。(WEBより)

  『震災直後には、県下の各市長は必死の思いで役所に出てきて陣頭指揮を
  取りはじめていた。一方、貝原知事は県庁まで2kmの公舎にいたにもかか
  わらず、「迎えの車が来ない」と電話を延々とかけていた。登庁した後も、職員
  の「すぐに自衛隊派遣要請した方が良い」という進言を再三退け、国土庁から
  「派遣要請した方が良いのでは?」という異例のコンタクトがあったにもかかわ
  らずこれを黙殺。さらに痺れを切らした自衛隊からコンタクトがあり、それに
  対応した課長が「派遣要請ともとれる返答」をしたことをもって、自衛隊側が
  拡大解釈して派遣要請として捉え、震災発生から4時間もたってから救助が
  始まったのである。』

 貝原知事は、東大法学部卒業後、旧自治省へ入省。兵庫県総務部長、副知事
を経、1986年知事、4期15年務め、2001年辞任。現在、「財団法人ひょうご
震災記念21世紀研究機構理事長」を勤めているそうです。この機構の基本財産
は、兵庫県と県下各市からの出資でまかなわれています。
 あの、自衛隊派遣を躊躇、拒否し、多数の人命を失わせしめたと、巷間言われ
ている貝原元兵庫県知事閣下が、震災記念機構の理事長ですって。てっきり
悪い冗談かと思いました。自治省元官僚の精神構造は、わたしなど常識人には
理解を遥かに超えるものがあります。官僚の世界では、このような方をも立派な
人物と呼ぶのでしょうか。朝日新聞でさえ、尊敬しているわけですが……。いや、
朝日新聞だから尊敬しているのでしょうか……。

 さらに付け加えます。
 現在の兵庫県知事、井戸敏三氏の発言(4月9日定例記者会見)

   「阪神・淡路大震災は、不意打だったということと、非常に上下動の激しい
  震度7の地震でしたので、犠牲になられた方々はほとんどが圧死だったと分析
  されています。私は、公的な救済機関が入る以前に、地域の防災力をどう高め
  ておくかということが、緊急時の第一次的な救出、人命救助にとって、一番大事
  なことであり、その反省の上に立ち、地域防災力を強化するための自主防災
  組織の組織化や、防災訓練に努めてきたと思っています。自衛隊の派遣要請
  の早さと、犠牲者の数は、阪神・淡路大震災のケースではあまり脈絡のないこ
  とと思うだけに、今後一番危険視されている首都直下地震に対する備えとして、
  防災に対する総責任者がそのような認識を持たれているのだとすると、いささ
  か心配ですね。東京都の人たちは夜も眠れなくなるのではという思いがします。
  だから、きちっと私たちは私たちなりの分析をしておりますが、あわせて東京都
  は東京都の分析を明確にしていただいて、防災計画なり、防災体制の整備を
  行っていただきたいと思います。何故、自衛隊の派遣が遅れ、犠牲者が2千人
  増えたなどと言われるのでしょうか。いい加減な議論はしていただきたくないと
  いうのが、私の率直な気持ちであり、誠に失礼だと思っています」

 この井戸敏三氏も、兵庫県のことに他人は口出しするな、自衛隊は役に立た
ないという意味合いを紛々と漂わせています。この論でゆけば、「医者がいるから
病気の予防に力点が入らなくなる」、「警官が出動するから、防犯意識がおろそ
かになる」、「御巣鷹山に墜落した日航機の事故も、事前の点検による予防のみ
が重要で、自衛隊による迅速な人命救助は重要ではない」ということになります。
まさに、井戸現知事こそ、倒錯した精神構造の持ち主と断じざるを得ません。

 県知事は防災にはもちろん努力すべきですが、いざという時には、公的救済も
要請すべきではないのでしょうか。阪神大震災に、この人たちはなにを学んだの
か。謙虚さのかけらも感じられません。自分の権力と安っぽい名誉を求めるより
は、県民の安全と豊かさを守ることに目を向けて欲しいものです。井戸現知事も、
旧自治省出身で、副知事から知事になった人ですが、自治省出身の方は、こんな
人間性を喪失した人ばかりなのでしょうか。ほんとうに開いた口が塞がりません。
 
 わたしも、知人には何人かの高級官僚がいますが、このような人間性を喪失
した人は一人もなく、それなりに、素晴らしい人格を備えています。みなさん方の
周辺はいかがでしょうか。

 悲憤慷慨、勝手な意見を述べましたが、みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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