桜花爛漫・桜賛歌
59回目のブログです。
今年の桜は、暖冬のためでしょうか、例年よりかなり早く咲き、早いところは、
すでに散ってしまったところも多いと思いますが、それにしても、桜の花は、どこ
で見ても、いつ見ても飽きがきません。
先日、造幣局の桜の通り抜けをしました。大阪桜の宮にある造幣局の桜は、
わずか360本しかありませんが、124種類という大変な種類を数えています。
それも、桜守りにより丹精こめて養生されていますから、一本一本が手折れん
ばかりに豊かな花をつけ、可憐な風情を示しています。日本の美を遺憾なく発
揮していると言えるでしょう。
日本の国花は法律で決められているわけではありませんが、二つあると言われ
ます。もちろん、一つは菊であり、これは国の基である国民精神(こころ)の象徴
ですが、もう一つである桜は国民の美の対象であるとともに、国民意識の象徴でも
あります。
昨年のブログでも触れましたが、わが国で桜がウメを圧倒し主役の座についた
のは、国風文化の開花を示す古今和歌集においてであり、この桜と、かな文字の
登場が文化における『脱中華』の象徴だと言われています。
桜を愛することは、脱中華、すなわち脱他国文化、脱他国思想、であり、自国
の文化、思想、民俗、生き方に自信をもつことに他なりません。
その意味で、わたし達は、今、混迷と混乱のさなかにありますが、独立自尊の
気概をもつためにも、桜についての歌を鑑賞してみることも一考ではないかと思
います。
童謡、唱歌、軍歌、和歌などからピックアップします。
◎童謡「さくら」 誰でも知っている懐かしい歌です。
(一) さくら さくら
野山も里も 見わたす限り
霞みか雲か 朝日に匂う
さくら さくら 花ざかり
(二) さくら さくら
やよいの空は 見わたす限り
霞みか雲か 匂いぞ出ずる
いざや いざや 見にゆかん
◎唱歌「児島高徳」 南北朝時代の武将児島高徳が後醍醐天皇を救出する
ため、忍び込んだ庭の桜の木に、自分の忠心を記した
故事
(一) 船坂山や杉坂と
御あと慕いて院の庄
微衷をいかで聞こえんと
桜の幹に十字の詩
「天勾践(こうせん)を空しゅうする莫れ
時に笵蠡(はんれい)無きにしもあらず」
(二) 御心ならぬいでましに
御袖露けき朝戸出に
誦(ずん)じて笑(え)ますかしこさよ
桜の幹に十字の詩
「天勾践を空しゅうする莫れ
時に笵蠡無きにしもあらず」
◎軍歌「歩兵の本領」 力強くリズミカルな軍歌です。
万朶(ばんだ)の桜か襟の色
花は吉野に嵐吹く
大和男子(やまとおのこ)と生まれなば
散兵線の花と散れ
◎和歌・本居宣長
「敷島の大和心を人問はば 旭に匂ふ山桜花」
◎和歌・大伴の家持・万葉集
「あしひきの山桜花一目だに 君とし見てば我れ恋めやも」
◎和歌・藤原俊成・新古今和歌集
「春風の花を散らすと見る夢は さめても胸のさわぐなりけり」
◎和歌・西行法師
「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」
桜に関する歌は数限りなくあると思われますが、どんな内容であれ、桜の言葉
を見ると、ホッとします。それくらいわたしは桜が好きです。日本人ですね。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です。
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