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2007年5月 4日 (金)

子供に読書を薦めよう

 62回目のブログです。

 先々週のブログで、阪神淡路大震災発生時の兵庫県知事・貝原俊民氏(元
高級官僚)が、自衛隊の応援を要請することを、自身の反自衛隊の感情から、
強烈に拒み、犠牲者を徒に増加させたことを指摘しました。さらに、彼が、未だ
反省の一顧だにしていないことに対して、その精神構造について厳しく批判しま
した。

 ところが、あろうことか、アッと驚く為五郎! この春の叙勲において、旭日
大綬章
という、従来で言えば圧倒的な勲一等を授章(閣議決定)しているでは
ありませんか。これは本当に悪い冗談ですよね。おそらく、国民の誰一人として
お祝いしない、お祝い出来ない、お祝いする気も起きない、逆旭日大綬章(or
マイナス旭日大綬章)としか考えられません。ブラックユーモアでしょうから、
これ以上は触れますまい。

 本題に入りましょう。昨年8月11日の24回目ブログで、小学校6年生の成績と
知悉語彙数、読書冊数の関係のデータを取り上げました。大分以前のことで、
ほとんどの方が記憶にないと思いますので、ここに改めて記します。

    成績    知悉語彙数  月間読書冊数
     5     37000     30~80
     4     20000     10~20
     3     16000      3~ 5
     2     12000      1~ 3
     1      8000          0

 これを見れば、一目瞭然、たくさんの本を読む子供ほど学力は高いという結果
になっています。子供の読書の効用は、情操豊かな人間に育つことだけでなく、
国語を通して、日本文化、日本文明にひろく触れることにより、真の日本人に育
つことが期待できることではないでしょうか。今、子供の世界で、異常な混乱が生
じている時、「読書」について考えてみたいものです。

 本屋さんや、書店に行けば、子供向けの本が沢山並べられていますが、本当に
子供の好奇心を呼び覚まし、人間形成に役立つ本はあるのでしょうか。それなり
の本はあるでしょうが、日本文化を背負っている、国家社会の指導的な役割を果
たしている各方面の先生方が、真に子供向けの易しい言葉で書かれたものはほと
んどないように思います。

 たまたま最近、古本屋で興味を引く本に出会いました。久し振りの古本屋でした
が、なかなか情緒がありますね。たまには古本屋を覗くのも面白いものです。

   書 名   「私の好きな人」(小学生新聞連載)
   出版社   アトム・プレス社
   発行年   昭和24年(1949年)
   定 価   130円(ザラ紙、配給紙) 
 
 内容は、30人の著名な文化人が、「私の好きな人」を、小学生向けに、易しい
言葉で、優しく語ったもの
であり、なかなか素晴らしい雰囲気を感ずることができ
ます。どんな人か、一部を拾ってみましょう。当時の知性を代表しています。

  良 寛       吉田弦二郎
  カント       天野貞祐
  モーツアルト  藤原義江  
  アンデルセン 濱田廣介
  中江藤樹   金森徳次郎
  クレマンソー  辰野 隆
  北斎と一休  武者小路実篤
  田中義雄   若林忠志
  キューリー   湯浅年子
  大 雅      石井鶴三

 その他20人ほど著名な方がいますが、カントを「私の好きな人」に挙げた、哲学
者天野貞祐先生の書き出しを引用します。    

 『私がカントを一番好きなのは、カントがお母さんを大変したい、尊敬したこと、
貧しい家に生まれたのに、いやしさがなく、上品だったこと、哲学というむずかしい
学問をしたのに、学者にありがちな不自然さがなく、ごく人間的だったこと、強い
自信を持ちながら、どこまでもけんそんであったことが理由です。カントがドイツの
北東部にある小都会の、ケーニヒスベルクに生まれたのは、いまから二百五十年
前の一千七百二十四年でした。お父さんは、馬のくら作りで、貧乏でした。

 しかしお母さんは大変かしこい、しっかりした人で、カントを信心深い人間に教え
導きました。時々お母さんは、小さいカントを郊外へ連れ出し、広い野原で、空を
して、
 「この大空を作ったのは、神様ですよ。天地を支配なさる、神様がおいでになる
  のですよ。」
と教えたのです。お母さんは、カントの少年時代に亡くなりましたが、カントは、この
教えをいつまでも忘れず、後にむずかしい理論を作った時にも、この教えが理論
のなかにしみ通っていました。カントのいった一番有名なことばに、

 「天上に輝ける星。心中には道徳律」

というのがあり、カントのおはかにも、ほりつけてあります。これは、お母さんの正
しい教えが、カントの哲学の中心にはいり込んだものといえます。カントは、大空
を見る時、神の力の前に、自分のけんそん深い心を見出し、人間が小さいことを
自覚し、また義務を守るべきことを知ったのです。……』

 天野貞祐先生の見事な筆致に驚嘆させられます。易しい言葉で的確に本質を
表現し、子供の心に深く入り込んでいく力、さすが、大哲学者天野先生ですが、
これを読んだ子供達も、それにこたえてゆくのではないでしょうか。社会のリーダー
は、是非、子供に対して「本」として、「文章」として、「文字」として、言葉を発して
欲しいものです。

 子供のころ読んだ本の印象は永く脳裏に焼き付いています。新鮮な驚き、心
からの感動、歴史への関心、未知への好奇心、偉大な力への憧れ、可憐なもの
への叙情、これらは、幼きころの感受性の賜物と言えるのではないでしょうか。

 同じようなことは、国母、美智子皇后陛下も語っておられます。もちろん素晴ら
しく上品な語りであることは申すまでもありません。平成14年、スイスのバーゼル
市で催されたIBBY(International Board On Books For Young People)
―国際児童図書評議会―50周年記念大会において、第2次世界大戦の末期、
小学生として疎開しておられた時期の読書の思い出を次のように語られました。

 『……。身近にほとんど本を持たなかったこの時期、私が手にすることのできた
本はわずか四、五冊にすぎませんでしたが、その中の一冊である日本の神話や
伝説の本
は、非常にぼんやりとではありましたが、私に自分が民族の歴史の
先端で過去と共に生きている感覚を与え、私に自分の帰属するところを自覚させ
ました。この事は後に私が他国を知ろうとする時、まずその国に伝わる神話や
伝説、民話に関心を持つという楽しい他国理解への道を作りました。
 
 子供のために編集された「世界文学選」二冊には、当時の対戦国の作家も
含め、世界の作家の作品や、作品からの抜粋、―簡略化したものではなくー、
詩、手紙等が入っていました。

 二冊の本は、私に世の中の様々な悲しみにつき教え、自分以外の人が、どれ
程に深くものを感じ、どれ程多く傷ついているかを識らせました。そして生きていく
ために、人は多くの複雑さに耐えていかなければならないことを、私に感じさせ
ました。それとともに、それらは私に文字や言葉の与える心の高揚を実感させ、
私の中に喜びに向かって伸びようとする芽を植えました。戦時下の地方の町に
住みながら、私は本という橋の上で、日本の古代の人々とも、また、異国の人々
とも出会い、その人々の思いに触れていました。疎開先に私を訪ね、黙ってそれ
らの本を手渡してくれた人があったことは、私にとり、幸運なことでした。……。』
(「バーゼルより」すえもりブックス、1800円)

 この皇后陛下の感懐、読んでいて、胸の奥底に響くものがあります。滲み出る
慈愛、愛情、誠に国母そのものを感じざるを得ません。

 大人も、国家社会の混乱、不条理をただただ嘆くのではなく、子供達への何ら
かの贈り物をし、次代に期待を繋ぐべきではないでしょうか。その贈り物は、素晴
らしき本をプレゼントすることでもよし、素晴らしき文章を与えることでもよし、
あるいは、できれば、現代の知性による、子供のための素晴らしき本が出版され
ることが最善と言えるでしょう。

みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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