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2007年7月13日 (金)

原爆!落した国、落された国

 72回目のブログです。

 いよいよ参議院議員選挙が始まろうとしていますが、どのような事件でも、即座
に政局になる折、原爆投下の発言にからんで、久間防衛相が辞任し、小池百合子
女史が防衛相に就任しました。

 「原爆」、これはわが国や国民にとっては、まことに厄介な存在ですが、広島に
生まれ育ち、叔父を原爆で失った私として、原爆を、原爆の投下を、核兵器を、
核廃絶問題を、素朴に、素直に考えてみました。

 今や、広島の原爆も、長崎の原爆も60数年を経て風化し、若い世代には想像
できない存在になっていますから、原爆被害の基礎知識さえ無いと言うのが実態
でしょう。

 原爆は原子爆弾とも言い、アメリカ合衆国が開発し、最初の実験はニューメキ
シコ州の砂漠で行われ、その後、実際の戦争で使用されたのが、広島と長崎でした。

   広島  投下月日  昭和20(1945)年8月6日8時15分
        名   称   リトルボーイ
        核 物 質   濃縮ウラン型(ウラン235)
        投 下 者     トルーマン大統領・B29(エノラ・ゲイ)
        被   害   140,000人死亡(昭和20年12月末)
                                   ・ 爆心地より2km建物全倒壊
                                   ・ ケロイド、白血病、癌など後遺症激増
                (当時、広島市人口342,000人)

   長崎  投下月日   昭和20(1945)年8月9日11時02分
                  名    称   ファットマン
                  核 物 質   プルトニューム型(プルトニューム239)
                  投 下 者     トルーマン大統領・B29(ボックスカー)
                  被   害   74,000人死亡(昭和20年12月末)
                                   ・ 罹災戸数1.9万戸
                                   ・ ケロイド、白血病、癌など後遺症激増
                (当時、長崎市人口240,000人)

 凄まじい規模と、今も尾を引くとてつもない被災だということがわかりますが、これ
について、今回の久間防衛相(長崎出身)の発言を見ましょう。

  「先の大戦での米国の原爆投下については、長崎に落とされ、悲惨な目に
   遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないな
   と思っている。それに対して米国を恨むつもりはない。

   米国が旧ソ連の日本への参戦を食い止めるため原爆を投下した側面があり、
   日本が負けると分かっているのにあえて原爆を広島と長崎に落とし、終戦に
   なった。幸い北海道が占領されずに済んだが、間違うと北海道がソ連に取ら
   れてしまった。

   勝ち戦と分かっている時に原爆まで使う必要があったのかどうかという思い
   は今でもしているが、国際情勢、戦後の占領状態などからすると、そういう
   ことも選択としてはあり得るということも頭に入れながら考えなければいけ
   ない。」 (長崎新聞6月30日)

 久間氏は、アメリカの日本占領は良かった、北海道があの共産主義のソ連に
占領されなかったのは幸いだった、早期に終戦となって喜ばしかったとの思いを
持ち、その基底に、広島・長崎の原爆投下があり、それを容認しなければ仕方なか
ろうとの認識を有しているものと考えられます。

 同じ容認派でも、異なった観点から原爆を容認する見方は、いわゆる日本罪悪
論の反日派に多数います。

 本島等氏(元長崎市長)
   「最重要軍事基地が最大の原爆攻撃をうけるのは当然」
   「日本が終戦までの15年間にわたってやってきた非人道的な行為を考える
    と、原爆の投下は日本に対する報復としては仕方がなかった。
    落とされるべきだった。」
   「中国などにとっては原爆は救世主だった」
   「天罰だ。日本の悪魔の所業に対する当然の報い」

 大江健三郎氏(作家)
   「広島、長崎のあの大きい犠牲は、償わなければならないと思います。
    償うのは私たちです。」

 早速、待ってましたとばかり、アメリカ側が反応しました。ジョゼフ核不拡散担当
大使(前国務次官)
はこう言います。

  「アメリカによる広島と長崎への原爆投下について、さらに何百万人もの
   日本人の命を奪うところだった戦争を終結させることができたというのは、
   ほとんどの歴史家が同意するところだ」 (NHKニュース7月3日)

 これらの見方、考え方、に対して、どのように考えるのが、日本人として、真っ当
なのでしょうか。わたしは、上記の全ての人が、薄汚れたハートの持ち主だと考え
ます。

 久間防衛相は、学者として、原爆投下の国際政治面での影響を研究しているの
ではなく、日本の政治家として、立脚しなければならないではないのでしょうか。
長崎出身の政治家として、原爆により無辜の民が多数虐殺されたことに対し、
少なくとも強い憤りを、アメリカに対して示すべきでしょう。北海道の占領云々と
いうことは、評論家が述べることだと思います。

 本島氏や大江氏は、この発言でわかるように、名うての自虐史観の持ち主で
あり、反日派と言えます。彼らは、真摯に核廃絶を望んでいるようには思えません。
おそらくは、日本政府、日本人が土下座し、あるどこかの国に反省と恭順を示せ
ば満足するのでしょう。何故自虐しなければならないのか、皆目検討がつきません。
想像するに、彼らは精神的マゾヒストであり、自虐に快楽を覚えているとしか理解
できません。普通の、常識ある日本人ではないですね。

 アメリカの前国務次官の発言は、これこそ、アメリカの主張でしょう。昭和20年
から、アメリカは全て『善』、日本は全て『悪』という立場、すなわち戦争の勝者は
善、敗者は悪という立場で、極東国際軍事裁判(東京裁判)や占領政策を遂行して
きました。この占領政策の言語空間(検閲・情報宣伝計画・国語政策)により、
わたし達日本人は、極めて巧妙に洗脳され、今回の久間氏のようなボヤッとした
リーダーが続々と生まれてきたと思われます。

 久間氏、反日派、アメリカ、この三者の原爆投下に対する考え方には根本的な
間違いがあります。今回の騒動において、朝日、毎日、読売、産経、NHKなどの
有力なメディアが全く触れていないことですが、戦後、鳩山一郎氏(現在の鳩山
代議士の祖父・後の首相)は明確に次のように述べています。

      『広島・長崎への原子爆弾投下は
                ①、国際法違反である。
                
②、戦争犯罪である。』

 博覧強記、わが国最高の知性といわれている、小室直樹氏も同じことを述べて
います。まさしく、原爆投下は、非戦闘員を攻撃しないという国際法に明確に違反
しています。それこそ虐殺、殺戮ではないですか。中華人民共和国の南京大虐殺
は、たとえまぼろしであっても、声高に唱えるにもかかわらず、わが国の広島・
長崎大虐殺は、たとえ事実そのものであっても、何にも言わないのは、何故で
しょうか。不思議ですね。

 わたし達は、アメリカの原爆投下は間違いであり、国際法に明確に違反したもの
であると判断を下すべきでしょうし、また、そのことをアメリカに主張しなければなら
ないと考えます。この原爆問題について、メディアは、政局場面の揚げ足取りに
矮小化すべきではなく、極東国際軍事裁判(東京裁判)ともども、わが国の存在を
賭けた歴史として認識しなければならないのではないでしょうか。

 そういう基本的な認識を欠いて、どんなに原爆、水爆、核兵器、核武装、核廃絶、
原水爆禁止などを議論しても、実のある結論に達しないと思われます。

 原水爆禁止運動でも、今や、いや、もっと以前から、原水協(原水爆禁止日本
協議会・1955年・共産党系)と原水禁(原水爆禁止日本国民会議・1965年・
社民党、自治労系)に分裂し、いわゆる左翼運動の主導権争いに堕してしまって
います。こういう運動も、元は、多少は純粋だったのでしょうが、イデオロギー色が
出れば出るほど、末路はこのような極めて胡散臭い存在に成り下がってきて
います。

 さらに、もうひとつの重要なことを思い出しました。平和記念公園には、その中央
に、原爆慰霊碑がありますが、そこに安置してある石棺には、
      「安らかに眠ってください/過ちは繰返しませぬから」
という碑文が刻まれています。この主語は誰かということで、過去いくたびか論争
されましたが、今は、一応、この碑の前に立つすべての人間が、人類の一人として、
二度と核戦争をしないことを誓うことだそうです。本当にそうでしょうか。わたし達は、
はたして高邁な人類の一人としての自覚と責任を持てるのでしょうか。わたし達は
学校教育で、わが国が過ちを犯したので、わが国が反省するのだと教えられました
が……。それにしても、よくよく考えれば、おかしな、おかしな文言ですね。

 原爆については、もっと本質的で基礎的な観点から、議論を重ねていこうでは
ありませんか。これから問題になるであろう核武装についても、核武装するにせよ、
しないにせよ、基本の認識から積み上げるべきだと思います。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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