拉致被害者救出は政治家の義務だ!
82回目のブログです。
9月も半ばを過ぎ、朝夕は、やっと心地よい秋の風を肌に感ずるようになってきま
した。今、ホットな話題と言えば、安倍総理が退陣した後の、自民党総裁、実質的
な日本国総理大臣の選出です。福田氏と麻生氏の一騎打ちで、自民党はもとより、
広く国民すべてが、あるいは世界が注視しているところでしょう。
この二人の持ち味は、メディアで語られるところによれば、かなりニュアンスが
異なり、歴史観、国家感、外交、内政、教育などにはかなり乖離があるように見え
ます。二人の内、麻生氏は明確に自分の考えや思いを披瀝していますのでよく
わかるのですが、福田氏は明瞭さを欠いていますので、それが又無難であると
いう理由で、議員間での広い支持となっているのでしょうか、よくわかりません。
二人の主張には、基本的な点で大きな隔たりがありますが、ただ一つ、あって欲
しくないことは、北朝鮮の拉致問題の解決です。安倍総理は、少なくとも拉致問題
においては、膠着状態は続いていますが、拉致問題担当相や拉致担当補佐官を
置き、対応に注力したことは、認められるべきだと思います。
北朝鮮の拉致について、概観しておきましょう。
① 昭和52年(1977)~昭和58年(1983)にかけて、北朝鮮工作員により、
多数の日本人が、拉致、誘拐、監禁された。
② 拉致された人は数百人にのぼるとされる。政府認定は、17人(男性8人・
女性9人)であるが、北朝鮮側は13人(男性6人・女性7人)を公式に認めた。
③ 1977年 9月、三鷹市役所勤務 ・久米裕さん(52歳)●
1977年10月、鳥取会社員 ・松本京子さん(29歳)●
1977年11月、新潟女子中学生 ・横田めぐみさん(13歳)●
1978年 6月、東京飲食店員 ・田口八重子さん(22歳)●
1978年 6月、ラーメン店員 ・田中実さん(28歳)●
1978年 7月、大工見習 ・地村保志さん(23歳)◎
被服店員 ・濱本富貴恵さん(23歳)◎
1978年 7月、中央大学生 ・蓮池薫さん(20歳)◎
化粧品会社員 ・奥土祐木子さん(22歳)◎
1978年 8月、電電公社職員 ・市川修一さん(23歳)●
事務員 ・増元るみ子さん(24歳)●
1978年 8月、佐渡准看護婦 ・曽我ひとみさん(19歳)◎
曽我ひとみ母 ・曽我ミヨシさん(46歳)●
1980年 ?月、京都外大学生 ・松木薫さん(26歳)●
1980年 5月、日大学生 ・石岡亨さん(22歳)●
1980年 6月、大阪中華店勤務 ・原勅晁さん(43歳)●
1983年 7月、神戸外大学生 ・有本恵子さん(23歳)●
(◎印は帰国済、●印は未帰国)
④ 平成14年(2002)9月、小泉首相が北朝鮮を訪問。金正日総書記が拉致
を認める。5人(地村保志・富貴恵夫妻、蓮池薫・祐木子夫妻、曽我ひとみ)
の帰国実現。当初一時帰国の予定であったが、被害者家族会の強い要望
に従い、日本政府は永久帰国とした。
⑤ 平成16年(2006)5月、蓮池、地村夫妻の子どもが日本へ帰国。
7月、曽我ひとみさんの家族がインドネシア経由で日本へ帰国。
⑥ 平成17年(2005)10月、特定失踪者問題調査会が、北朝鮮向けの短波
放送「しおかぜ」の放送を開始。
わが国政府、官憲が拉致を公式に認定した人でさえ、上記のように大勢未帰国
のまま、たな晒しになっています。非常に残念というよりは、あてつけようもない怒り
を覚えるのは、一人わたしだけでしょうか。
わたし達国民は、おそらくほとんどの人が、北朝鮮の非道に怒り、拉致された人
の早期帰国を切望しているものと思います。考えてみて欲しいと思います。自分の
家族の一員が、もしもこのような非道な、悪辣な外国の国家犯罪によって、拉致さ
れたとしたら、必ずや気も狂わんばかりの怒りを覚えるに違いありません。
ましてや、国のリーダーを任ずる政治家においては、国家主権を侵害し、国民を
悲劇におとしめた行為に対し、「くにのたみ」に暖かい心を通わし、それを護るため
の方策を講ずるのが責務ではないでしょうか。
その意味で、多少気がかりなことがあります。次期首相の呼び声が高い福田氏
は、かつて官房長官の時、小泉首相訪朝後に拉致被害者の生存否を家族会に
伝えた際、次のようなことを言いました。(家族会が家族会全員の前で説明して
ほしいと要望した件に対して)
「黙って聞きなさい。あなたの家族は生きているのだから。」
両腕でわれわれを押さえつけるような仕草をしました。まるで、なぜ自分たち
に感謝しないのか、とでも言いたげな口ぶりでした。
『蓮池透(拉致被害者蓮池薫さんの兄)著「奪還」新潮社』より
日本の政治家であるならば、もっと心の通った言葉があって然るべきではないで
しょうか。拉致被害者家族に対しては、感謝の要求ではなく、申し訳なかったと詫
びるべきでした。なぜならば、拉致被害者を救出するのは、国政を預かる政治家
としての当然の義務といわなければならないからです。
福田氏は、今回の総裁立候補演説で、拉致解決は任してほしいと自信満々の
発言をしていますから、それなりの勝算はあるのでしょう。期待したいとは思います
が、まさか、アメリカ戦略の一端と親北朝鮮利権派への歓心を担った、数人帰国、
戦後清算での何兆円に亘る大幅援助で幕引き(巷間伝わる噂ですが)ということで
ないことを祈るばかりです。
被害者家族会の苦しみと悲しみは何年続くのでしょうか。特に、家族会の会長を
務めておられる横田さんご夫妻などは、言語に表わせない絶望のなかで、日本国
・政府・国民にあってほしい、勇気ある正義感に、一縷の望みを託しておられるもの
と思います。
わたしは、数年前、たまたま横田夫妻のお話を、夫婦で聞きにいきました。横田
夫妻は、ご自分の辛さに耐えながら、同じ境遇の被害者にも心配りをされるという、
わたしなどでは想像を絶する、素晴らしい『心の広い、凛とした、真の日本人』です。
それだけに、胸がつまり、涙、滂沱としてとまらず、ある種の深い感動を覚えました。
会場にいる人たちは全て同じような気持ちになったのではないでしょうか。
“凛然とした日本人の心で、一日も早い救出を”
『横田早紀江著・「めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる」草思社』より
素晴らしい言葉ですが、この言葉の底に悲痛な叫びが流れているように感じられ
てなりません。横田早紀江さんは、凛然とした日本人の心をわたし達に期待して
います。それに対して、自民党から社民党まで、一部の政治家は、あまりにも冷淡
であり、冷笑しすぎてきたのではないでしょうか。拉致は、主権の侵害であるにも
かかわらず、国は永年にわたり、それを無視し放擲してきました。拉致という行為
を主権侵害と理解し、それなりの対応ができなくては、政治家の資格は全く無いと
言えるでしょう。
一方、わたし達国民も、もっと暖かい支援をすべきだと考えます。政治家(国会
議員・都道府県会議員・市町村議員)、メディア(新聞・NHK・民放・雑誌・インター
ネットなど)への働きかけやその他できるだけの支援をしなければなりません。
わたしは、特に、準国営放送であるNHKは、電波の一系列を北朝鮮拉致対策
用にあてるべきだと考えます。そうすれば、NHKも全国民の支持を得るでしょうし、
受信料不払いなどは消滅するのではないでしょうか。「国のためのNHK、国民の
ためのNHK」ここにあり。ぜひ考えて欲しいと思います。
あらためて、拉致問題の解決は、政治家の義務であるとともに、全国民の責任だ
と考えます。拉致被害者の救出は、日本という国の存在をかけて行われなければ
ならないのではないでしょうか。
みなさんはどのようにお感じになり、またどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です。
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