雄大な阿蘇・繊細な湯布院を旅する!
91回目のブログです。
いよいよ紅葉も真っ盛りになろうとしています。先々週のブログでは、大和にある
山の辺の道を気侭に歩いたことを記しましたが、今回は、九州の阿蘇・湯布院を旅
した印象を書いてみたいと思います。
九州の縦断は、仕事の関係で何回も経験していますが、横断は、中学生の修学
旅行で、別府から阿蘇山、熊本を巡ったことがあるだけで、それもほとんど記憶に
残っておりません。
旅のルートは、大阪伊丹空港から熊本空港へ、熊本空港からバスで阿蘇山へ
(阿蘇温泉1泊)、阿蘇山からまたバスで湯布院へ(由布院温泉1泊)、湯布院から
バスで大分空港へ、さらに飛行機で大阪伊丹空港までです。
移動は基本的には観光路線バスですが、2日とも快晴で、窓から見える景色は、
緑豊かな田園と遠大な外輪山風景であり、なかなか見ごたえがあります。日頃
乗る乗用車の低い目線と異なり、バスは高い目線となりますので、非常に寛いだ
気分になれることを経験しました。
途中の人里は、都会に住む身からみ見れば、鄙びた感はありますが、水と緑と
広い台地という、豊かで素晴らしい環境に恵まれた存在ではないかという印象を
持ちました。
それにしても、阿蘇の雄大さには感嘆置くあたわざるものがあります。阿蘇は、
火山の上部が爆発などによって陥没した、世界最大のカルデラ地形だそうで、
東西18km、南北24km、周囲は128kmの窪地を、外輪山が取り巻いています。
世界には、もっともっと大きなカルデラがあるものと思っていましたが、阿蘇が世界
最大であるとは、寡聞にして知りませんでした。
一般に阿蘇山と呼ばれているのは、この窪地に聳える阿蘇五岳(ごがく)…
根子岳、高岳、中岳、烏帽子岳、杵島岳…の峰々のことであり、現在、活発な
火山活動により、煙を吹き上げているのは、この中岳です。
わたし達は、ロープウェイで中岳の噴火口まで登りましたが、周囲4km、深さ
200mの火口底部の、吸い込まれるようなエメラルドグリーンと、濛々と吹き揚
がる乳白色の噴煙との、カラーコントラストは、自然の創り出す絶妙さと美しさを、
遺憾無く示しており、時間を忘れるほどの感動を呼び起こしました。
阿蘇観光最大のハイライトと言われる火口見物ですが、火山性ガスが発生する
と立ち入り禁止となるそうです。前日は、ガスが発生し立ち入り禁止となり、見物
できなかったのですが、日ごろの行いが良かったのでしょうか、当日、わたし達は
運良く見物できました。
阿蘇山を降りる途中に、阿蘇火山博物館に入りました。ここでは、阿蘇火山の
生成の歴史が分かりやすく展示してありますが、館員の説明によりますと、阿蘇
山は、30万年前から8万年前にかけてできたとのことで、地球そのものの不可
思議さと歴史の長さがそれとなく実感できます。それにしても、30万年という長さは、
わたしなどの頭では、想像を絶する年数です。この博物館にはオルゴール響和国
として、1800年~1900年代のレトロなオルゴールが数多く展示してあり、懐かし
いメロディを聴かせてくれます。
阿蘇から湯布院へ行く途中に、くじゅう登山口に立ち寄りました。くじゅう連山の
三俣山の麓ですが、なかなか見事な眺めです。そこでは、絵心のある中年男性が、
携帯用のB5版くらいのスケッチブックに水彩画を熱心に描いていましたが、
これも一幅の絵として印象に残っています。その絵描きさんと気軽な会話が弾み
ましたが、これも、お互い旅行者どうしの気安さのせいでしょうか。
いよいよ湯布院へ向かいますが、湯布院はいわゆる温泉地につきものの、歓楽
街を廃した街並みをみせており、今や、「東の軽井沢、西の湯布院」と称されて
います。温泉地としては、由布院温泉、湯平温泉、塚原温泉の三ヶ所がありますが、
わたし達は、由布院温泉に泊まりました。
由布院は、かつては鄙びた温泉だそうですが、昭和40年代から町ぐるみで、
音楽祭、映画祭などを催し、静かで穏やかな、女性に快適な環境整備に力を入
れてきました。町自体はそんなに大きくはありませんが、由布院通りや湯の壷
街道には、おしゃれなレストラン、ちょっと入ってみたくなる雑貨屋などが並び、
周りには、各種の美術館があります。今や、観光客が1日10000人という賑わい
で、圧倒的に女性に人気があります。
陶器展や絵画(油彩画・日本画・風景画・テンペラ画・水彩画・版画)、写真、
万華鏡、アンティックグラス、ステンドグラス、創作人形、木と土と詩などアートの
展覧が幅広く行われています。
その意味で、周遊には馬車、人力車、リムジン、サイクリング車もあり、また
ゆっくりと散策もできますから、飽きることはありません。
温泉施設も、巨大なホテルや大旅館はなく、この町の雰囲気に合った、こじんまり
としたものばかりですが、中には、歴史と風格を誇る高級旅館もあります。例えば、
由布院玉の湯、亀の井別荘、山荘無量塔などの高級旅館は、一度は泊まって
みたいご三家として、常に1年前からの予約で満杯の状態だそうです。
由布院温泉は、アンケートでは、九州の温泉で常に第1位を獲得していますが、
さもありなん、なかなか湯量のたっぷりした、見事な温泉でした。もう一度あらため
て訪れてみたいと思ったほどです。
それにしても、このような地方の小温泉地が、乱開発を未然に防ぎ、その特徴を
生かそうと、町ぐるみで真剣に努力したこと、又、それが現実に結実しているのを
目の当たりにしますと、現在、寂びれてズタズタになっている地方の町の参考に
なるのではないかと感じた次第です。
雄大な阿蘇、繊細な湯布院を旅行した印象を記しました。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です。
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