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2007年12月28日 (金)

今、死刑制度を考えてみよう!

 96回目のブログです。

 いよいよ、平成19年(2007)、亥年の最後のブログとなりました。今年は、日常
雑記的なこともかなり書きましたが、年の瀬ということで、1年の総決算、シリアス
な課題について私見を述べたいと思います。(少々長くなりますが、有益なデータ
もありますので、ぜひお読みください。)

 先月末のブログで触れましたが、相変わらず凶悪事件、暗いニュースの無い日は
ありません。それほど世の中は悪い方向に向かっている証明とも言えるでしょう。

 犯罪を減少させるには、アメリカ、ニューヨークで有名な“破れ窓理論”が有効と
言われます。破れ窓理論は、窓が一部破れたままに放置しておくと、それが建物
全体にゆきわたってしまうということであり、犯罪も、軽微な違反を見逃すことを続
けていると、やがて、凶悪事件が横行するようになるというものです。小さな芽を摘
みとることが重要であり、放ったままにすると、地面から大きなゾンビが顔を覗かせ
るのです。

 ニューヨークでは、ジュリアーニ市長がこの理論を実行した結果、凶悪犯罪が
60%も減少したそうです。あの悪名高かったニューヨークが今や、東京よりも安全
な都市になっているそうです。

 さて、わたし達の周りは物騒な世の中になってきていますが、一部の有力な人々、
有力なメディアは、刑を軽くしようとの活動、なかでも死刑を廃止しようとの動きを
活発におこなっています。たとえば、光母子殺害事件の弁護士21名はすべて死刑
廃止論者であり、この裁判を死刑廃止運動に利用していると言われています。

 最近の死刑制度についての話題をピックアップしてみましょう。

 鳩山法相は9月28日「死刑執行が自動的に進む方法はないのか」と死刑執行
命令書に法相が署名する仕組みの見直しを求めた。これに対して死刑廃止議員
連盟会長の亀井氏は「人間の命を機械みたいにボタンを入れておけば次から次
に殺されていくようなイメージで扱ってよいのか。法相の資格もなければ人間の資
格もない」と批判。                     <朝日新聞9/25.28>

 法務省は7日、東京、大阪両拘置所で同日午前、殺人罪などで死刑が確定した
藤間静波死刑囚(47)など3人の刑を執行したと発表した。
 同省は、これまで死刑執行の事実と人数だけしか発表してこなかったが、犯罪被
害者などから死刑執行に関する情報を公開すべきなどの声が高まっていたことを
受け、死刑囚の氏名や犯罪事実の概要、執行場所の公表に初めて踏み切った。
死刑執行は今年8月23日に3人が執行されて以来で、鳩山法相が就任して初め
て。国会会期中の執行は極めて異例。
 死刑が執行されたのは、藤間死刑囚(東京拘置所)のほか、府川博樹(42)(同)
と池本登(74)(大阪拘置所)の2死刑囚。        <読売新聞12/7>

 およそ2年前、自由民主党の杉浦正健議員が法務大臣就任時に、自分が真宗
大谷派の信徒であることを理由に、「死刑執行のサインをしない」と発言をし、国民
から、法を守るべき法相に相応しくないと指弾され、ほんの1時間後に撤回すると
いう不様な事件がありましたが、今回の鳩山法相はそれと真逆であり、法と正義に
基づいて適正に執行していることを世に示したと言えるでしょう。

 いわゆる人権派などを中心にして、死刑廃止論が活発に論じられていますが、
死刑廃止に賛成と反対の意見をまとめると次のようになります。

 死刑に反対(死刑廃止論)
   ① 命はかけがえのないものであり、たとえ殺人者であっても、罪を深く
     反省しているのであり、それを奪うことは許されない。
   ② 国家による殺人を行うべきでない。
   ③ 冤罪の可能性がある限り避けるべきである。
   ④ 死刑制度の存在は犯罪の抑止力にならない。

 死刑に賛成(死刑存続論)
   ① 被害者の苦しみを思えば当然である。
   ② 社会の当然の正当防衛である。
   ③ 誤判による死刑判決はこれから起こる可能性はゼロに等しい。
   ④ 死刑制度の存在は犯罪の抑止力になる。

 この両論についてどう判断すればよいのか、多少頭を悩ませますが、ことは簡単
ではないでしょうか。 客観的な事実をバックグラウンドに、常識と良識で判断すれ
ば、誰からも指弾されない結論になると思います。

 まず、死刑の量刑基準を把握しておきます。最高裁は概ね次のような基準を示
しており、死刑判決を下すことには極めて慎重であり、また、誤判による死刑判決
にならないように配慮しているようです。

  ・3人以上殺害→死刑
  ・2人殺害→殺害方法の残忍性、その後の死体損壊程度によっては死刑
  ・1人殺害→死刑にはしない
  ・(18歳未満の殺人行為に対しては、少年法により死刑に処せない)

 次に、世界各国の死刑の状況を見ます。(2007年9月)

  ・あらゆる犯罪に対して死刑を廃止している国     …90ヶ国
  ・通常の犯罪に対してのみ死刑を廃止している国 …11ヶ国
  ・10年以上死刑の執行を停止している国         …32ケ国
  ・過去10年の間に死刑を執行したことのある国   …64ケ国

 これらを見ますと、各国は自分の国に相応しい対応策を講じていると思われます
し、わが国の裁判所も実情に応じて対処しているようです。こういうシリアスな問題
は、外国がどうとか、先進国がどうとか、ましてや最近喧しいアジアがどうだからとか
いうことではなく、あくまでもわが国の実情と民心に随うべきでしょう。

 ところで、各国の犯罪率のうち、殺人発生率を国連犯罪統計局から引きます。
 (1995年前後のデータ・抜粋)

    南アフリカ   75.30人 (10万人当たり)
    コロンビア   64.60
    ブラジル    19.04
    フィリピン    16.20
    アメリカ      6.80
    フィンランド    3.24
    イタリア      2.25
    カナダ       2.16
    オーストラリア   1.86
    韓国        1.62
    イギリス      1.41
    スイス       1.32
    スエーデン     1.30
    ドイツ        1.17
    フランス      1.12
    スペイン      0.95
    日本        0.62
     (肝心の中華人民共和国はデータなし)

 この殺人発生率を見れば、わが国が世界最低のレベルであることがわかります。
わが国は世界各国と比較しては、よく言われる「安全神話」を誇ってもよいのですが、
今日では、残念なことに、10年前より安全度がかなり低下したと認識されるように
なっています。

 犯罪学の先生によれば、わが国でも戦争直後は、殺人は多かったのですが、
昭和30年代のマスコミの発達と、死刑判決多発、冤罪死刑事件のニュースの乱立
によって、国民に死刑制度の認識が広まり、そこから急激に殺人事件の発生率が
急減してきたそうです。つまり死刑の抑止効果が顕著にあらわれたというわけです。
 
 死刑廃止論者は、死刑制度の存在は犯罪の抑止力にならないと主張しますが、
その根拠はあるのでしょうか。わたしは次に掲げるアメリカの調査結果を直視した
いと思います。

 死刑は犯罪抑止に効果あり~各種調査が証明

 近年、国内では死刑廃止論が勢いを増し、イリノイ州では死刑が中断され、6州
以上で薬物注射による死刑の是非が法廷で争われ、ニュージャージーでは死刑
完全撤廃の動きが強まっている。しかし一連の学術調査からは、死刑には明らか
に犯罪抑止効果があることが明らかになっている。

 AP通信によると、コロラド大学のネイシ・モカン教授(経済学)らが2003年にデータ
を分析し、06年に同じ調査を見直した結果、死刑を1件執行するごとに殺人が5人
減り、逆に死刑を1回減刑するごとに殺人が5件増えることが分かった。

 01年以降、死刑の犯罪抑止効果について数十件の研究が行われているが、
いずれも死刑には犯罪抑止効果があると結論している。研究者はそれぞれ、
年ごと、または州、郡ごとに分けたり、地域の失業率、人口1人当たりの収入など
さまざまな間接要因も考慮しながら死刑の効果を解明しようとしている。

 主な調査結果は次のとおり。
  ① エモリー大学が03年に行った調査では、死刑が1件執行されると平均18
    件の殺人が防止できる(ほかに防止件数を3件、5件、14件とする研究も)
  ② 00年にイリノイ州が死刑執行を停止して以来、4年間で殺人が150件増加
    した(ヒューストン大学調べ)
  ③ 死刑を迅速に執行するほど犯罪抑止効果は高い。死刑囚が監房で過ごす
    期間が2.75年短縮されるごとに殺人が1件防止できる(04年、エモリー大学
    調べ)

 05年の殺人件数は全米で1万6692件、死刑執行は60件だった。
                                  (U.S.FrontLine Daily News)

 以上はアメリカの調査結果ではありますが、死刑執行、それも迅速な執行が犯罪
抑止効果に極めて顕著であることが証明されています。現在凶悪犯罪が増加して
いる世相のなかで、今回、法務大臣が死刑執行を氏名、場所など、より詳細に公表
したことで犯罪抑止に効果を求めたのは極めて妥当だと考えます。

 一方、いわゆる死刑廃止論者などは、死刑制度そのものに反対しているわけ
ですが、極めつけは、社民党(旧社会党)です。社民党は、さっそく談話を発表し、
死刑執行そのものに抗議しました。法に基づいた行為に反対というわけですから、
法治国家に背を向ける愚かな発言と断ぜざるを得ませんし、護憲政党の対極に
存在するもので、全く支離滅裂と言っても差し支えないでしょう。社民党は、死刑
制度の廃止を訴え、法律の改正、憲法の改正に向けて国民の支持を求めるべき
です。本末転倒、何をか言わんやです。

 それでは、わが国民の死刑制度についての世論はどうなっているのでしょうか。
(朝日を筆頭とするマスメディアは、よく民意・民意と合唱しますが、民意の一部
つまみ食いだけはやめて欲しいものです。)

 死刑についての世論調査(内閣府・旧総理府)

             死刑廃止賛成   死刑廃止反対  分からない
  昭和31年(1956)    18.0%     65.0%    17.0%
     42年(1967)    16.0%     70.5%        13.5%
     50年(1975)    20.7%    56.9%    22.5%
     55年(1980)    14.3%    62.3%    23.4%
   平成  元年(1989)    15.7%    66.5%    17.8%
      6年(1994)    13.6%    73.8%    12.6%
     11年(1999)     8.8%    79.3%    11.9%
  平成16年(2004)     6.0%    81.4%    12.5%

    設問(平成元年・1989)
   (1)凶悪な犯罪は4,5年前と比べて増えていますか、減っていると思います
      か、同じようなものだと思いますか。
           増えている    90.8%
           減っている     0.9%
           同じようである   5.6%
           分からない     2.7%
   (2)死刑と言う刑罰をなくしてしまうと悪質な犯罪が増えると思いますか、別に
      増えるとは思いませんか
           増えると思う     67.0%
           増えるとは思わない 12.4%
           分からない       4.4%

 この調査結果から判断すれば、わたし達国民は、現在の社会の安全性にある
種の危機感を持っていると思われます。それにしても、死刑制度の維持に81.4
%の人が賛成している現実を素直に認めるべきでしょう。この数字を見ると、安っ
ぽい生半可なお涙頂戴式のヒューマニズムなどは飛んでいってしまいます。

 さいごに、わたしの考えを纏めます。

 ① 死刑制度は、たとえ国連や諸外国の人権団体の突き上げがあろうとも、わが
   国の安寧のために堅持し、死刑の執行は犯罪抑止の効果を高めるためにも
   公表すべきである。
 ② 国民意識(民意)からも、死刑廃止は、もはや論ずべき課題とは言えない。
 ③ 現実の社会については、安っぽいヒューマニズムよりも、冷徹な目でみなけれ
   ばならない。
 ④ 現在の刑事罰は軽すぎる。もっと二段階くらい厳罰化することにより、安全で
   緊張感ある、凛とした社会を志向すべきであろう。(たとえ1人を殺しても、死刑
   にすべきであると考える)

 いろいろ書きましたが、みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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コメント

ご指摘のように、安全度は、依然として、東京>ニューヨーク
であり、表現がオーバーになり、間違っています。事実は、
凶悪犯罪が減少したということですね。ありがとうございます。

投稿: のんちゃん | 2008年4月11日 (金) 06時27分

私のブログを一読していただけると嬉しいです。

あっ、私は死刑廃止論者とかではありませんよ。

投稿: はねだ | 2008年4月10日 (木) 10時20分

ニューヨークが東京より安全ってのは間違いですよ。
殺人は激減してるとはいえ、
人口八百万のニューヨークだけで日本の半分近い殺人が起きてるんですから。
去年の日本の殺人認知件数は1199件。
ニューヨークは480件です。

投稿: はねだ | 2008年4月10日 (木) 10時17分

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