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2008年1月 4日 (金)

平成20年、「G・N・H」を考えてみよう!

 97回目のブログです。

 平成20年、皇紀2668年、西紀2008年、子年を迎えました。
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお付き合い戴きますよう、心より
お願い申し上げます。お蔭様で2度目の正月を越すことができ、いよいよ今月25日
をもって100回目のブログ発信となる予定です。これも、偏にみなさま方のご声援
の賜物と重ねてお礼申し上げます。(肩肘張らずにガンバリマス!)

 昨年は(「去年」と言うと縁起が悪いんですね)なんと暗いニュースが多かったので
しょうか。年金の不条理、首相・野党党首の辞任騒動、防衛省の汚職、殺人事件
の多発と多様化、各種偽装の多発、異常な訴訟、汚染物質の輸入激増、テロ対応
からの撤退、拉致問題の据え置き、土下座外交の継続、学力大幅低下の白日化、
経済の爬行現象など、数えればいくらでも思い起こすことができます。

 年末恒例の行事として、清水寺の森貫主は昨年の漢字として、“偽”という一文字
を大きく揮毫しました。貫主は「己の利のために人をだましてもいいという嘆かわし
い社会の成り行きが『偽』につながった。日本人の一人として本当に恥ずかしく、
悲憤に堪えない」と吐露していました。

 年もあらたまりました。今年こそもう少し穏やかな世相を望みたいものですが、
なかなかそうはいかないでしょう。ますます混迷を深めるように思えてなりません。
であれば、少し発想を変えて見るのも一考ではないでしょうか。

 たしか昨年11月のある土曜日、午前中の日本TV系列の番組で、著名な辛坊
アナウンサーが、ブータン王国を訪れ、落ち着いた穏やかな国の有り様に驚嘆し、
その根本思想である、「G・N・H」(Gross National Happiness)を紹介していた
ことを思い出しました。そこで、まだ松の内ですから、聞きなれないGNHを考えて
みたいと思います。

 ところで、ブータンという国を概観しましょう。

   国名  ブータン王国(Kingdom of Bhutan)
   面積  46,500平方km(九州の1.1倍)
   人口  92万人
   首都  ティンプー
   宗教  チベット系仏教(80%)、ヒンドゥー教(20%)等
   政体  君主制(2008年に立憲君主制に移行予定)
   元首  ワンチュク国王
   GNI   900百万ドル(国民総所得・旧GNP)
   一人当たりGNI 1,410ドル(2006年)

 これを見ると、ブータンという国はいかに貧しい国かと想像してしまいます。
とにかく、一人当たりの所得が、年間、1,410ドル、日本円に換算すれば、何と
160,000円ですから。しかし、驚くなかれ、ブータンの尺度はわたし達大方の
日本人の、金、金、金、金が全て、金がすべての基準だという考えではありません。

 先のブータン国王は、1976年(昭和51年)、非同盟諸国会議で次のように述
べました。

  『Gross National Happiness is more important than Gross National
   Product』

  「国民総幸福の方が国民総生産よりは大事である」

 GNP(今はGNIに変更)は今までよく耳にしましたが、最近はGDP(国内総生産)
の方がよく使われます。そのGNPよりもGNH(Gross National Happiness)に目を
向けようというのがブータン国王の趣旨ですが、基本的なコンセプトは次の通りです。
(1998年・国連開発計画アジア太平洋地域会議)

  Sustainable and equitable socio economic development
         「持続可能かつ公正な社会経済学的発展」

    Conservation of the environment
         「環境の保全」

    Preservation and promotion of culture
         「文化の保護と促進(再生)」

    Good governance
         「良い統治」

 なかなか素晴らしい哲学的な言葉だと感心しますね。特に、「良い統治」は、各国
の歴史と国民性によって異なるでしょうが、それぞれの国民の多くがGNHを感ずる
体制だと考えます。

 ブータン王国では、実際に、この4項目を基準にした施策がなされており、例えば、
プラスチック製品の輸入・使用を制限したり、森林開発にも慎重を期すなど、環境
保護では先進的とも言えます。さらに伝統的な穏やかな社会で犯罪が極端に低く、
教育も充分に行き渡っていること、又チベット仏教などが深く国民の心に浸透して
いることや衣装・建築物などにも高度なデザインが施されているなど、誠に見事と
言えるでしょう。

 これらを見ると、考えさせられますね。一体、幸福とは何でしょうか。わが国は、
これだけ経済水準が向上しても、イギリスの調査によれば、国民の幸福度として、
178ヶ国のうちで90番目
ですから、本当に滅入ってしまいます。たしかに、わたし
達の周辺には、日常、イライラ、不平不満、ブックサブックサの人ばかりではない
のでしょうか。

 ≪幸福の方程式≫を考えてみます。

                          実  現
       幸  福  =   ―――――――
                    欲  望


 この公式から導かれるのは、幸福を大きくするには、欲望を小さくするか、実現
を大きくするかであることが分かります。わが国は、「欲望」を際限もなく大きくした
ために、「実現」をそれ以上に大きくしようと、がむしゃらに頑張ってきました。

 今、国民の欲望は日毎に強まっている反面、一方実現度は、経済成長も思うに
任せず、低下し続けているために、幸福感、満足感が充足されず、社会不安が
増大していると言っても過言ではないと思われます。また、人々の精神、感情が
徐々に荒涼とし、潤いの無い乾燥状態になっているとも言えるでしょう。

 TVで、細木数子さんの“幸せって何だっけ”というような番組や、占いなどの癒し
系番組が視聴率を上げていることも、一般大衆の、ある種の社会不安を表わして
いると思います。

 新年早々ですから、幸福、欲望、実現などについて、ブータン王国の言葉などを
参考に一度考えてみることも必要ではないでしょうか。

 それにしても、わが国のトップリーダー、特に政治家から、ブータン国王のような
言葉を耳にしたいものです
。(永遠に見ることは出来ない初夢のようなものでしょう
か……。)

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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