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2008年4月18日 (金)

「竹中大工道具館」…匠の世界を訪ねる!

 112回目のブログです。

 春の穏やかな好季節、先日、異業種交流の仲間十数人と、洗練された美しい
都会、神戸元町にある歴史博物館「竹中大工道具館」を訪れました。

 神戸には、神戸市水の科学博物館、うろこ美術館、神戸華僑歴史博物館、神戸
ドールミュージアム、神戸海洋博物館カワサキワールド、神戸らんぷミュージアム、
KOBEとんぼ玉ミュージアム、神戸北野美術館、プラトン装飾美術館、兵庫県
美術館、UCCコーヒー博物館、田崎真珠パールプラザなど多くのミュージアムが
ありますが、今回は縁あって匠の世界を覗いてみました。

 竹中大工道具館は昭和59年(1984)竹中工務店創立85周年の記念事業として
設立されたものです。今やスーパーゼネコンと言われる竹中工務店のルーツは
古く、400年前
、織田信長の家臣として名古屋で竹中組を創業、明治32年神戸
進出・創立元年。明治42年竹中工務店設立。この時、わが国で始めて工務店と
いう名前がつけられましたが、この創立の地が竹中大工道具館の場所だそうです。

 “大工道具は、品質の良いものほど磨耗するまで使われ、消耗という厳しい宿命
をもっております。これを民族遺産として収集・保存し、さらに研究・展示を通じて
後世に伝えていくことを目的に、当館は企業博物館としてスタートしました。”また、
“キーワードは『未来へつなぐ匠の技と心』である”と、開館20周年のごあいさつに
記されています。

 建物は3階建てですが、それぞれテーマが設けられ、1階に道具の歴史(原始・
古代・中世・近世・近代・現代)、2階に木と匠と道具、3階に道具と鍛冶、地階に
は道具と映像、というように多角的にバランスよく展示されており、非常に分かり
やすいのが特徴です。

 当日は、館長自らご案内いただきましたが、該博な知識にもとづいた分かり易い
説明、溢れんばかりの情熱には、頷きとともに、まさしく感嘆すら覚えるほどでした。
ある意味で職人そのものとも言える大工道具について、わたしなりに記憶に残った
ことをピックアップしましょう。

 わたし達の知識では大工道具といっても、そんなに深いものは持ち合わせて
いませんが、大きく分けて次の九つに分類され、それぞれに驚くほどの種類がある
ことがわかりました。

   鋸(のこ・のこぎり)
   鑿(のみ)
   鉋(かんな)
   錐(きり)
   釿(ちょうな)
   鉞(まさかり)
   尺(しゃく)
   槌(つち)
   墨(すみ)

 現在25000点の資料を収蔵し、およそ2000点を展示。資料の保存方法は
動態保存という方法であり、いつでも使用できるように、全てをピカピカに研ぎ、
錆びを防いでいますから、大変な保存作業と言えるでしょう。

 わが国では古来より木造建築を造るため、数人から数百人の工人の共同作業
が行われましたが、その指導者を大工(おおいたくみ)と言い、中世より棟梁と呼
ばれました。その流れで、今日、大工に対して大工さんと敬称をつけているそうです。

 中世の建築古典に、棟梁のあるべき姿として「五意達者(ごいたっしゃ)にして
昼夜不怠(ちゅうやおこたらず)」ということが書かれています。 五意とは、
   式尺(建築設計図)
   墨がね(部材に墨つけをおこなう規矩術)
   算合(工事費用の積算)
   手仕事(道具で部材を加工)
   絵用・彫物(装飾の下絵・彫刻)
ですが、これは建築のすべてであり、理想の棟梁はとてつもない職人であり、
スーパー建築家と言ってもいいでしょう。はたして、現代にこのような人はいるので
しょうか…。

 わたしなど子どもの時、大工さんが各種の道具(鉋・鑿・鋸など)を使っているの
を見て不思議に思っていましたが、大工道具の標準編成が179点だと聞き吃驚
しました。(それらの一例が展示されています)

   墨掛(すみかけ)道具・定規類    14(点)
   鋸(のこぎり)                    12
   鉋(かんな)                40
   鑿(のみ)                 49
   錐(きり)                  26
   玄能・槌(げんのう・つち)          6
   釘抜・釘締(くぎぬき・くぎしめ)        9
   罫引(けびき)                  3
   鉞・釿(まさかり・ちょうな)           2
   雑道具                     18
           (合 計)       (179点)

 本当に驚きました。大工さんの真骨頂ここにあり、わが国職人の品質への
こだわり
(細部にわたっての多様、多角な対応と、斬新、創造への挑戦)を目の
当たりにすることが出来ます。その意味で、あらためて、わが国の礎であろう
「もの造り」の原点を見たような感動を覚えます。

 わが国の木造建築の代表的なものと言えば、神社仏閣がありますが、棟梁・
職人の高い品質を追及する姿勢には、この大工道具だけではなく、材木そのもの
にもこだわるのです。例えば寺社建築の場合、森の木々を伐採することから始ま
りますが、日当たりが多い南斜面の木を寺社の南側に使用し、日陰が多い北斜面
の木を北側に使います。この自然の摂理に従った建築により、狂いが生ずること
なく、長年月の風雪に耐えることができるそうです。これが本当の『適・材・適・所』
と言われるもの。匠の世界のすごさ!…人事における適材適所もこのように上手く
ありたいものだとの感想を持ちました。

 さて、わたし達は館長のご好意で、大工道具のなかで古に使われていた槍鉋
(やりがんな・槍の形をした鉋)…現代では台鉋…を体験しました。なかなか上手く
削れませんが、削る所から檜(ひのき)の香りと木の肌のぬくもりを実感できたのは、
ささやかではあっても貴重なものと言えるでしょう。

 ところで、杢目と言えば、板目、柾目、笹杢、鶉杢、玉杢、葡萄杢、縮杢などが
あり、檜はたしか柾目を特徴としています。削った檜も筋がスッキリと通った見事な
ものであり、体験用の木材としてはもったいないほどでした。

 それにしても、わたし達は本当の木の味を知らなくなってしまったように思われ
ます。今や、コンクリート、鉄、プラスチックが主流であり、それはそれなりに進歩
してきたのでしょうが、この流れをそのままにしてよいのかどうか、時には立ち止
まって考えることも必要だと考えます。

 今、森と水の関係を無視するわけにはいきません。わが国の森が荒れることは、
自然の破壊に繋がり、由々しい問題を投げかけます。森を育て、維持し、豊かな
環境を保持するためにも、わたし達は、「木のぬくもり」のもたらす効果に着目する
必要があるでしょう。

 わたし達を取り巻く現代社会が、急速に荒んで行きつつある今であればこそ、
「木のぬくもり」が、子どもの精神に、ある種の安らぎと落ち着きと豊かな感受性を
与えるという機能を、真剣に
考えるべきではないでしょうか。

 そういった意味でも、竹中大工道具館を訪れることによって、職人の匠の技と
心に触れるなかで、わが国の歴史から何がしかを感得することができるのでは
ないかと思います。

 竹中大工道具館…なかなか面白く、為になります。ぜひ一度足を運ばれることを
お薦めします。すぐ近くには有名な相楽園(日本式庭園・2ha・重要文化財)もあり
ますので、合わせてご覧になられては。

 わが国はもの造りに生きる国、もの造りの原点は匠の世界! 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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