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2008年5月16日 (金)

ケネディとキューバ危機…政治が政治であった日!

 116回目のブログです。

 祝祭日が続いた先週のはじめ、久し振りに図書館に行きましたが、そこでは
シニアの人ばかりではなく、中堅も若い人も、男も女も、幅広い人たちが真剣に
読書したり、本を選んだりしているのを目にしました。

 活況を呈している図書館を見るにつけ、わが国もまだまだ知的好奇心旺盛な人
たちが数多くいることがわかります。今の図書館には、単行本、雑誌はもちろんの
こと、新聞、CD、ビデオなどあらゆるものが揃っていますから、各自かなり自由に
面白い選択をしているようです。

 わたしは、今回は書籍ではなく、未だ観ていない古い映画のビデオを借りたの
ですが、偶々だったのでしょうが、なかなか面白く、知的刺激を受けるとともに、
考えさせられるものがありました。それは次のようなものでした。

  題  名 『13デイズ』(Thirteen Days)
  公開日 平成12年(2000)12月16日
  製  作 アメリカ/ヘラルド
  配  給 日本ヘラルド映画
  制作費 約100億円(8000万ドル)
  分  類 ドラマ/サスペンス
  監  督 ロジャー・ドナルドソン
  出  演 ケビン・コスナーK.オドネル大統領特別補佐官
         ブルース・グリーンウッドJ.F.ケネディ大統領
         スティーヴン・カルプR.ケネディ司法長官
         ディラン・ベイカー/R.マクナマラ国防長官
  ビデオ (販売元)ポニーキャニオン

   あらすじ

  1962年10月16日、ソ連がキューバに核兵器を持ち込んだという知らせが
  ケネディ大統領(ブルース・グリーンウッド)のもとへ届く。彼は直ちに緊急の
  危機管理チーム、国家安全保障会議緊急執行委員会、通称エクスコムを
  招集。会議では空爆が推薦されたが、第三次世界大戦の勃発につながる
  危険があり、大統領はそれを避けたかった。

  彼は本音を打ち明けられる弟の司法長官ロバート(スティーヴン・カルプ)、
  親友の大統領特別補佐官ケネス・オドネル(ケビン・コスナー)と共に、最善
  の手を探る。空爆を迫る軍部を退けた大統領は、国連総会のため訪米した
  ソ連外相と会談するが、外相はミサイルの存在を否定する従来の主張を
  繰り返すのみ。

  大統領の疲労と緊張は限界に達しはじめるが、ケネスは「国民はきっと
  あなたについてくる」と励まし、腹をくくった大統領は海上封鎖実施を発表。

  しかしキューバのミサイルは発射準備を整えつつあり、大統領は止むなく
  29日に空爆の準備を指示。さらに、爆撃目標の最終確認に飛び立った偵察
  機が撃墜されるという事件が起こる。軍部は即時報復を進言し、事態は
  一触即発の状態に。

  それでも大統領はトルコのミサイル撤去を切り札に最後の交渉に賭ける
  決意を変えず、ロバートを駐米ソ連大使との交渉役に任命する。弱気を
  示す彼をケネスが励まし、現場に同行。かくして核戦争は回避され、悪夢
  の13日間は無事幕を閉じるのだった。
                        (あらすじ13デイズ-goo映画引用)   

 キューバ危機。それはアメリカが心底震えた13日間と言えるでしょう。1959年、
キューバにカストロの社会主義政権が成立。アメリカはその転覆を試みるも失敗
に終わり、逆にソ連のフルシチョフ首相がキューバに接近し、キューバに中距離
ミサイル配備を企て、実行に移しつつあったのです。

 アメリカがキューバにソ連のミサイルを発見! 外交交渉か、海上封鎖か、はた
また空爆か。いよいよ第3次世界大戦・初の核戦争に突入か! 息詰まる状況と
一分一秒の進展、J.F.ケネディ大統領、R.ケネディ司法長官、K.オドネル大統
領特別補佐官の苦悩と決断が、そして、第3次世界大戦・核戦争という最悪の事態
から世界を救ったという厳然たる事実が、名優の見事な演技により克明に描写
されています。

 この映画は、ケネディ大統領が自ら録音した「ザ・ケネディ・テープ」、R.ケネディ
司法長官の回想録「13日間」やK.オドネル大統領特別補佐官への100時間
インタビューなどを基にしていますから、ほぼ事実通りに描かれており、それだけ
に、わたし達観客はその迫真力に圧倒されてしまいます。

 まさに、素晴らしいの一言以外に何もありません。しかし、よくよく観てみますと、
時のアメリカを代表する主役3名は、なんと、ジョン・F・ケネディ大統領45歳、
ロバート・ケネディ司法長官36歳、ケネス・オドネル大統領特別補佐官36歳の
若さ。若い、若いアメリカ。ケネディ大統領の時代は、輝けるアメリカ、理想実現に
誠実に努力するアメリカ
ではなかったでしょうか。

 ケネディ大統領時代の中でも、アメリカ合衆国と世界を両肩に背負い、人類の
歴史に責任を果たした、この息詰まる13日間は、まことに、“政治が政治であった
日”
としていつまでも語られなければなりません。アメリカの真骨頂、政治家の覚悟、
真の政治がここにあると言っても過言ではないでしょう。特にケネディ大統領の
政治家としての覚悟とそれに伴う決断に対しては、その偉大さに尊敬の念を感じ
ざるを得ません。

 翻って、今日、わが国において、政治が政治として正統に語られ、機能しているで
しょうか。残念ながら、ほとんど脳死状態と言ってもよいのではないかと思います。

 映画『13デイズ』(Thirteen Days)が示唆しているのは、政治家は国家の存立と
防衛に覚悟を示
すべきであるということですが、わが国の為政者にそれを望んでも、
無いものねだりではないでしょうか。なぜなら、自民党はもちろんのこと、民主党を
含む野党すべてにおいて、自ら、歴史観、国家観を持ち、それを明らかにしている
政治家が少なすぎると思われるからです。

 政治家に望みたいのは、まずは、外交政策において、自分、自国の意思を、
凛然と明瞭に述べていただきたいことです。土下座やぺこぺこ頭を下げること
ばかりでは、政治が活性化しません。そのような姿勢が国民の無気力と精神的
荒廃と無軌道な大衆化現象に結びつつあるのではないでしょうか。

 今一度、ビデオで映画『13デイズ』(Thirteen Days)をじっくり鑑賞されることを
お薦めします。

 そして、早急に、“政治が政治である日”が来ることを期待したいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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