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2008年6月 6日 (金)

環境問題への素朴な疑問…報道の裏を読もう!

 119回目のブログです。

 例年よりかなり早い入梅となりましたが、今年もお米の豊作を期待したいもの
です。先日の夕方、NHKテレビで、地球温暖化のニュースが流されており、それ
なりに関心をもって見ていましたが、おやっと思う報道に行き当たりました。

 それは、「地球の北極地点において、海面上の氷の厚さが従来2m弱もあった
のが、地球温暖化により、最近は70cmの薄さになり、非常に不気味です。
70cmですから今にも溶けそうです。北極海に浮かぶ氷が溶けてしまえば地球の
海面水位が6mもあがる
と言われています。」という趣旨でした。

 最近は、マスメディアは地球温暖化について積極的に取り上げていますが、
北極海に浮かぶ氷が全部溶けて6m水位が上がるという、この報道は正しいの
でしょうか。これ、昔、中学生の理科で習ったことですが、「アルキメデスの原理
(浮力の原理)」
からいけば、北極のように「水に浮いている氷」が溶けても水面の
高さはかわりません。氷の比重は0.92であり、水が氷になる時に体積が大きく
なり、軽くなった分だけ海面から顔をだしています。したがって逆に氷が溶け、水に
なれば体積は小さくなり、海面はかわりません。NHKのいう海面水位6mアップは
真っ赤なウソでしょう。

 メディアはどうしてこんなデタラメなことを言うのでしょうか。今や神聖不可侵の
領域となりつつある環境問題において、2200年前のアルキメデスの原理を否定
するような愚かな言動がまかり通っているのは、誠に残念に思います。環境のこと
ならどんなウソも許されるという考えは間違っており、もっと、事実というものに、
また科学いうものに誠実な姿勢を示すべきではないでしょうか。

 環境問題は人類の、国家の、企業の、国民の関心の的であり、解決の道筋を
全世界が志向しようとしてはいますが、それぞれの政治、経済、社会、技術が複雑
に絡んでおり、単純にいかないことは周知の事実です。

 そうした中で、人間が企業活動や市民生活において排出するCO2(二酸化炭素)
が温室効果を激化させているというIPCC(国連専門家機関・Intergovernmental
Panel on Climate Change・気候変動に関する政府間パネル)の「地球温暖化理論」
が有力な仮設、いやそれ以上の事実として定着してきています。

 わが国においても、いろんな自然現象のほとんどを地球温暖化現象とする風潮
にありますが、これも、環境問題であれば錦の御旗と同じで、上のNHKのような非
科学的な言動ではなく、もっと冷静な「サイエンス(Science)重視」の立場に立つべき
だと考えます。

 その意味で、地球温暖化現象については二つの要因が説かれていますので、
①CO2説(人為説)、②太陽活動説(自然説)の二つを同等に机上に載せるべき
ですが、わたし達が見るメディアでは、①のCO2(二酸化炭素)説しか目や耳に
入りません。これが間違った判断でなければ良いのですが、如何でしょうか。

 今年夏には洞爺湖サミットが行われ、福田首相は、環境問題を主要議題として
取りまとめたい意向をしめしていますが、その一環である排出量取引についても、
同じようなことを指摘できるのではないでしょうか。

  規範なしの排出量取引は危険

  地球温暖化対策の一つとして、温室効果ガスの排出量取引について日本
  でも本格的な議論が始まった。それ自体、大いに歓迎すべきことである。
  ただしその際、EU(欧州連合)の排出量取引制度について、これまでの
  評価を改める必要がある。

  最近までEU排出量制度は、唯一の先行モデルとして、これを絶賛する論調
  が圧倒的だった。導入するのは全くの善であり、それどころか今認めなけれ
  ば世界の趨勢(すうせい)に遅れるという論調である。だがこれは、マスコミ
  に大量の好意的意見を載せさせて一気に政策を認めさせる、環境省の政治
  手法の産物である疑いが濃厚である。

  そもそも排出量は正当な労働の対価として生み出されたものでなく、所有権
  の正当性が疑わしい財である。それ以前に、形の把握しにくい財であり、
  厳格な格付けなしに流通させるのは、あまりに危険である。かくも不安定な
  ものを、資源の最適配分という市場万能主義にだけ寄りかかり、大規模な
  証券化を提案することの無神経さは、強く批判されてよい。

  禁欲的な規範なしの排出量取引の導入は、サブプライムローン問題同様
  地球環境と金融システムとを同時に不安定化させてしまう恐れ、大なので
  ある。      (東大先端科学技術研究センター 米本昌平特任教授)
                           (3/25産経新聞正論欄、一部引用)

 5/26の報道によりますと、政府の「地球温暖化問題に関する懇談会」は洞爺湖
サミットの議題となる温室効果ガス削減のための排出量取引などの中長期目標
設定に異論が相次いだため、結論を先送りしたそうです。

 環境ビジネスがますます巨大化するなかで、そのうちの排出権ビジネスが10兆円
という巨額になろうとし、その先導(扇動?)役がEUであり、これは、無形の産物を
外部経済化したものであり、さらにこれを証券化しようとしているところに、何か腑
に落ちないものを感じます。胡散臭さ紛紛。第2のサブプライム問題になることを
真実恐れますが、これは環境問題に素人であるわたしだけの取り越し苦労なので
しょうか。

 排出量取引問題については、米本教授のご指摘に謙虚に耳を傾けるべきである
と思います。

 今や、環境問題は欧米先行の排出量取引の問題に矮小化され、歪な損得の
外交マターの観
を呈していますが、わが国は、広範な優れた環境技術を材料に、
国益とのバランスを考慮しながら進めていく必要があります。そういう中で、きちっ
と主張すべきはしないと、海千山千の欧米に足元をすくわれかねません。

 ところで、環境問題、特に地球温暖化の解決については、過激なイデオロギー、
薄汚い利権、粗雑な理論、為にするウソからは距離を保ち、科学的事実を
ベースに置き、多少の躊躇、戸惑い、後ろめたさを感じながら慎重かつ着実に
推進すべきではないでしょうか。

 正義の仮面の裏にひそむ、一部、歪な精神。これを排除することが大事だと
思います。

 たとえば、グリーンピースの過激な捕鯨禁止(動物愛護)活動において、窃盗を
正義とするようなやり方は果たして良識にかなうものかどうか、誰が見ても異常と
しか判断できないでしょう。環境問題についても同じことが言え、胡散臭い利権や
胡散臭い思想を異常とみなし、禁欲的、倫理的な規範に基づいたものであって
ほしい
と願うものです。

 7月に行われる洞爺湖サミットでは、単なる外交的点数稼ぎではなく、真摯な議論
がなされることを期待します。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

   ∞∞∞∞∞ ご 紹 介 ∞∞∞∞∞

 このブログをお読みになっている、学生、ビジネスマン、官僚、先生、シニアなど
のみなさまに有益な勉強会を下記ご紹介します。この勉強会は、新聞やTVなど
では得られない真実の情報をもとに、正統な国と社会を目指すべく積極的に貢献
しようとするものです。大阪での集まりは、そんなに多くの人数ではありませんので
議論も活発です。ご一緒に参加しませんか。 参加ご希望の方は、6月15日まで
にEメールにて k.nosou@nifty.com ( 野宗邦臣)までご連絡下されば、わたしの方
から幹事さんに申し込みます。 

   弘志会(関西)6月例会ご案内

 新緑の候各位には益々ご清祥の段お慶び申し上げます。
 さて弘志会(関西)6月の例会を下記の通り実施しますので振ってご出席下さい。
 今回は元防衛研究所第一部長の近藤重克様に安全保障問題を語って頂き
 ます。戦後の多くの日本人にとって平和を叫ぶことは出来ても国の安全を語る
 ことは出来ません。また経済を語ることは出来ても国の防衛を議論することは
 出来ません。例会では講師にそのあたりを国際分析しながら語って頂きます。
                  記
  日時:6月28日(土)13:30~17:00
     ① 13:30~15:15  (質疑応答を含む)
       講演:日本を取り巻く国際環境とそれへの対応
                       ―安全保障の観点からー」

       講師:元防衛研究所第一部長 近藤重克氏
    ② 15:15~17:00
       懇親会
  場所:たかつガーデン(大阪府教育会館)「桜」会議室
                  TEL:06(6768)3911
          〒543-0021 大阪市天王寺区東高津町7番11号
          地下鉄千日前線(又は谷町線)谷町9丁目下車、徒歩5分
  会費:4,000円程度(懇親会費を含む。講演のみは1,000円)
       ただし、学生は無料
                                      以上

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コメント

motoさんへ

先日の「NHKスペシャル」では、きちっと放送されていました。
海に浮かぶ氷(海氷)は融けても海面の上昇はありませんが、ご指摘のように、グリーンランドのような、陸にある氷(陸氷)が融けると海面の上昇があります。
このことは、明確に区別して報道してほしいと考えます。

尚、国連のIPCCの報告書によれば、次のように書かれています。
「グリーンランドにある氷の体積は285万立方kmと推定されており、氷床の中央部の最深部には、25万年以上前の氷が蓄えられています。万が一、この氷床すべてが融けると海面が7.2m上昇すると推定されています。」
因みに、グリーンランドの面積は日本の約6倍あり、IPCCのデータを引用するなら、この氷が融けると、正確には「7.2m 海面が上昇する」というべきでしょう。
南極大陸の氷床が全部融けると極端に数値が大きくなるようです。
また、IPCCの予測としては、2100年には1990年に比べて、海面が「9~88cm」上昇すると予測されています。

何はともあれ、温暖化については、真剣に考えるべきだと思います。
motoさんのお考えに全く異論はございませんし、コメントに感謝します。

投稿: のんちゃん | 2008年7月 3日 (木) 10時49分

はじめまして
私はご指摘のNHKの番組を見てないですが

http://www.nhk.or.jp/special/onair/080525.html

の「NHKスペシャル 北極大変動」でしょうか?
このサイトには北極の氷が少なくなっているとは書いてありますが6m海面上昇するのはグリーランドの氷が融けると6m上昇と書いてあります。
グリーンランドの氷は地面の上にありますから融ければ海面上昇しませんか?

北極の氷は海水温と気温で要因ですから温暖化の影響がダイレクトに出る所ですがグリーンランドは気温のみで厚い氷が融けるのに時間がかかるだけだと思います。

これはヒマラヤの氷河が融け始めていることと似ています。
ヨーロッパアルプスの氷河は寒い冬に成長するので多少の温度上昇は影響が少ないですがヒマラヤはモンスーン気候で比較的暖かい時期に成長するので少しの温度上昇が効いてきます。

また海面上昇もモルディブのように海面すれすれの国の場合顕著です。

このように温暖化の影響が出易いところ観察して将来の予測に使うことは問題ないと考えますが。

投稿: moto | 2008年7月 1日 (火) 16時42分

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