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2008年6月27日 (金)

高齢者よ、もっと謙虚になりませんか!

 122回目のブログです。

 今年も、はや半分を過ぎようとしていますが、なかなか安全・安心・安寧な、落ち
着いた世の中にはなりそうもありません。つい先日、東京秋葉原で不条理な通り
魔殺人事件があったばかりの所へ、東北では震度6を越す大地震にみまわれ
ました。それに加えて、国会での政治は、後期高齢者医療制度・年金・国家公務員
制度などをめぐる与野党の、不毛な駆け引きばかりが目立ち、どうにも前に進み
ません。

 まだまだ混乱は続くのでしょうが、今回は、やや違った角度から、高齢者問題に
ついて考えます。4月に導入された後期高齢者医療制度への高齢者の反発から、
衆議院山口2区補選、沖縄県議選で与党は惨敗しました。高齢者は「75歳以上
は姥捨て山にするのか」と強く主張しており、与野党とも『高齢者の怒りを買えば、
選挙に負ける』
との認識、逆に言えば、『高齢者の歓心を買えば、選挙に勝てる』
との認識を持つに至っています。

 確かに、政治は選挙を通じてなされるものであり、極論すれば、選挙が政治とも
言えますが、本来、政治家に求められるのは、すぐれた見識ではないでしょうか。
現在の与野党の議論を聞けば、感情・政局・既得権・利権・私益・目先のことばかり
で、日本という国の将来、国益、公益の議論が尽くされていないように思えます。

 先日インターネットを眺めていましたら、若者世代の厳しい発言が目に入りました。

  電車内風景…高齢者(1)

  電車の座席はほぼ埋まり、車内には立っている人がちらほらいる程度。
  私の向かい側座席の前には男性1人、女性2人のハイキング帰りらしい
  高齢者が立っていた。
  私に背中を向けているから時たま見える横顔で判断するしかないが、
  60代半ばぐらいか。
  彼らの目の前の座席には若者2人と50代ぐらいの女性1人が座っている。
  若者は2人とも茶髪、1人はサングラスをしていた。

  この人たちに気づいたのは、この高齢者組の男性が
  「最近の若い者は年寄りを立たせても平気なんだから」
  「ちょっと前は罪悪感からか寝たふりをしたもんだが、最近じゃ寝たフリも
   しないからふてぶてしい」
  などと、かなり大きな声で話しているのが耳に入ってきたからだ。
  どうも自分の前にいる若者に席を譲らせて女性2人を座らせたかった
  らしい。

  ここまで嫌味っぽく言われると、まったく関係ない第三者の私だって
  ちょっと気分が悪い。
  すっかり眠気が覚めてしまった。
  反対側にいる私が席を譲れば、もう1人ぐらい誰か立ってくれるだろうと
  思って腰を浮かせかかった瞬間、サングラスの若者が口を開いた。

  「あんたたちさぁ、山は歩けるのに電車では立てないの?
    それっておかしくない? 遊んできたんだろ?
   こっちはこれから仕事に行くところなんだよ。
   だいたいさぁ、俺みたいなヤツが土曜日も働いてあんたたちの年金を
   作ってやってるんだって分かってる?
   俺があんたみたいなジジイになったら年金なんてもらえなくて、
   優雅に山登りなんてやっていられないんだよ。
   とにかく座りたかったらシルバーシートに行けよ」

   電車内風景…高齢者(2)

  夕方の電車、ぼつぼつ退社時間の5時過ぎ、座席は完全に埋まっていた。
  ある駅で、ハイキング帰りと思われる高年女性らしき二人が乗り込み、
  つり革を持とうとした。

  その時、若い30歳前後のビジネスマン風の男二人が席を譲ろうとした。
  高年女性は、「ありがとうございます」と丁寧な感謝を述べ、席を譲って
  貰うのかなと思ったら、
  「わたしたちハイキング帰りですから、お気持ちだけで結構でございます」
  と柔らかくことわった。

  対面で見ている自分の気持ちが、何となく爽やかに洗われたような感じに
  なった。

 高齢者といってもこのように二つのタイプがありますが、やはり、年を取るなら
(2)のような清々しく爽やかな高齢者になりたいものですね。

 とは言っても、最近の地上波TVをみれば、(1)の発言ばかりが目に付きます。
後期高齢者医療制度のニュースから、高齢者の発言をピックアップしましょう。

 「われわれは戦後の焼け野原から復興するために、身を粉にして頑張って
   きた!」
 「高度成長から今日のような豊かな生活水準にしたのは、われわれの努力
   あったればこそ!」
 「後期高齢者の健康保険料が上がると、病院への行き来でタクシーが使えなく
   なる! また、楽しみな旅行が出来なくなる!」
 「年寄りを切り捨るのか!」
 「後期高齢者を姥捨て山にするのか!」

 いやはや。TVでは、何か高齢者だけが戦後経済の復興から高度成長に寄与
したと言いますが、そんなことはなく、全ての国民が必至に努力した結果ではない
でしょうか。余りにも他を見下した考えであり、傲慢そのもの、ジコチュー(自己虫
・自己中心思考)過ぎると思います。

 タクシーや旅行の件でも、国がどこまで手厚くすべきなのかということを考えなけ
ればなりません。財政は火の車…これは厳然たる事実ですから。また、どんな
立場の人であれ、年寄りを切り捨てたり、姥捨て山にしてよいと考える人はいない
でしょう。

 後期高齢者医療制度は非常に悩ましい問題ですが、要は、75歳以上だけを
手厚く遇するということではなく、全体のなかでの整合性から判断せざるを得ない
と思われます。もちろん、貧しい老人は助けるべきですが、わが国の資産の過半を
持っている老人もある程度の負担増は避けられません。

 TV、新聞、雑誌、ネットや政治の場で交わされるこれらの議論のなかで、真剣に
議論されていないことがあるのではないでしょうか。それは、次のことです。

    『 真の弱者は誰か!』

 わたし達は今、真剣に考えなければならないのは真の弱者についてですが、
わたしは、真の弱者は、今の「若者」であり、「地域経済」だと考えます。今の若者
が高齢者になった時には、今高齢者が受けているような待遇を受けることができ
ないと思えるからです。大幅な赤字財政をみても、将来世代の負担を現世代が
食いつぶしていると言っても過言ではないでしょう。

 それゆえに、国は世代間の不公平を是正するよう努めるとともに、それを広く
伝え、説得する必要があります。このまま行けば、世代間の争いになるのが目に
見えています。醜い世代間闘争は避けようではありませんか。

 その意味では、マスメディアが重要になってきますが、今、マスメディアに取り上げ
られるのは、75歳以上の人ばかりで、若者の意見や考えが伝わってきません。
わたしが、常々、例えばTVは9割がウソというのは、バランスの取れた報道をして
いないことを意味しています。メディアはおそらく恣意的に煽りをやっているので
しょうが、冷静に、もっと若者の意見を取り上げるべきでしょう。

 更には、もっと大切なことですが、若い世代が政治的発言を行うためにも、『選挙』
という行動をしなければなりません。選挙にも行かず、内でぐちゃぐちゃ言っても、
ものごとは良くならないのではないでしょうか。

 今日現在、自民党、民主党などすべての政党が、口では若い世代のためにとは
言いますが、決してそうではありません。彼らは高齢者にしか目を向けていない
のです。

 その理由は、世代別の選挙投票率にあります。

     年 齢       投票率      
    20~24(才)      32.4(%)
    25~29     38.5
    30~34     46.2
    35~39     55.9
    40~44     62.7
    45~49     66.6
    50~54     68.5
    55~59     71.7
    60~64     76.8
    65~69     79.1
    70~74     78.1
    75~79     73.0
             (H15衆議院選挙)

 この投票率の結果を見れば、20代で30%台の低位に比べ、60代、70代では
70%
を越えていることが明白です。若者は「政治家は老人ばかりの顔色を見て
いる」と不満を言いますが、それは大きな間違いです。投票率のデータを見れば、
「政治家は投票者の顔色ばかりを見ている。またそのメイン投票者=高齢者で
ある。」ということも、何となく正統性があるように思えます。

 現代の民主主義は議会制民主主義であり、その根幹は自由で公正な開かれた
選挙です。わが国は北朝鮮や中国のような独裁国家とは異なるのです。そうで
あるならば、若い世代が自らの意向を政治に反映するためには、ネットでぶつ
ぶつ言わずに、投票しなければなりません。これは、義務でもあり、権利でもあり
ます。

   『 若者よ、選挙に行こう!投票に行こう!』

 明治の維新は若い世代が担いました。平成の維新は、若者が全員、選挙の
投票に参画することでその扉を開くことになるでしょう。若い世代にその行動を期待
したいものです。

 一方、高齢者においては、私益よりも公益、感情的傲慢さよりも大人としての
謙虚さ、生かされているという感謝の心を持ち、相互扶助と自己責任の穏やかな
社会
とともに凛とした国家を目指すことが、ある意味で尊い存在になるものと思い
ます。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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