古刹で聴く…クラシック&ジャズ!
135回目のブログです。
本来であれば穏やかで物静かな秋なのでしょうが、例年の如く激しい台風を迎え
た上に、一段と厳しいものが、アメリカの金融機関の破綻であり、この結末はどう
なるものやら、容易に推測できません。早く安定した経済状況を望みたいものです。
こんな状態の中で、先日、千葉の娘の家に行った時に、近くの古刹でクラシック
&ジャズを聴くという素晴らしい経験をしました。
■ 能舞台 ジャズ&クラシックの夕べ
日 時 9月14日(日)16時~18時30分
場 所 大本山 中山法華経寺(千葉県市川市)
出演者 クラシック:稲本響(Piano)
+MaL(Human beat box)
ジャズ :アキコ・グレース(Piano)
+小山太郎(Drums)
+鳥越啓介(Woodbass)
中山法華経寺は日蓮宗大本山(全国に七寺あり)の一つであり、宗内随一の祈
祷根本道場として、祈祷の秘伝を伝える100日間の大荒行が行われることでも
有名です。総門、山門、五重塔、四足門、祖師堂、法華堂、塔頭、鬼子母神堂、
聖教殿、荒行殿などが揃い、国宝や重要文化財も数多く残されており、まさに歴史
を感じさせる古刹と言えるでしょう。
わが国仏教の宗派はいろいろありますが、日蓮系は分派が一番多いと言われ
ています。日蓮宗・法華宗などの伝統宗派から、立正佼正会・霊友会などの新宗
派まで、まさに混沌とした状態と言えるでしょう。我が家は法華宗、そのなかでも
本能寺派法華宗であり、この中山法華経寺とはラインが異なりますが、同じ伝統
宗派ですから、それなりの感懐を持ちました。
最近、神社仏閣でクラシック音楽会などが催されることも珍しくありませんが、
わたしは今回初めて経験しました。この法華経寺の境内では、前日、薪能が行わ
れ、野村萬斎などの著名な方が能や狂言を演じたわけですが、その舞台を使って
のクラシック&ジャズですから、舞台映えは見事なものでした。
それにしても演奏の始まるのが夕方の4時からであり、この時間はまだまだ明る
く、プログラムがすすむにつれて薄暮となり、徐々に暗闇が迫ってくるシチュエー
ションは得も言われないものとなってきます。演奏される能舞台のバックには、
べんがら色に塗られた五重塔が煌々とライトアップされ、桜の黄ばんだ葉がピアノ
の周りに時折ほろほろと落ちたりする舞台装置の上で聴くクラシックとジャズ、まさ
に幽玄の境地に舞い込む至楽の時と言えるかもしれません。
当日は中秋の名月の日であり、翌日が満月という、暦の上からも絶好の日でした。
お寺の境内で奏でられる音色は、ピアノやドラムなどだけではありません。何と最初
から1時間半くらいは、蝉の鳴き声も加わるという、自然の交響曲、自然の妙味を
あらためて感じさせてくれました。これぞまさしく真のライブ!
クラシックピアノの稲本響さんは若干30歳、舞台「海の上のピアニスト」や奥田
瑛ニ監督の映画「長い散歩」の音楽監督や作曲を担当するなど、今、最も注目を
集めている存在であり、その華麗な指さばきに堪能しました。明日、9月27日公開
される松田翔太主演の映画「イキガミ」の音楽も担当しているとのことで、これも観
に行きたいと思います。
稲本さんとコラボしたMaLさんは、Rock、Jazz、Hiphop、民族音楽から現代音楽
までの幅広いHuman beat boxの演奏家です。MaLさんは、マイク1本で、口の微妙
な動きを通じて、多彩な音色、迫力あるサウンド、繊細なフレーズを紡ぎ出します。
わたしは初めて聴きましたが、その技の見事さには圧倒されました。
わが国のトップ・ジャズ・ピアニストであるアキコ・グレースさんのジャズピアノは、
ドラムの小山太郎さん、ウッドバスの鳥越啓介さんとトリオを組んでの演奏でしたが、
そのバランスのとれたハーモニーには、彼女・彼等の暖かい人間性を感じざるを
得ませんでした。
と言いますのも、彼女、アキコ・グレースさんは6曲演奏しましたが、5曲目の
「Silver Moon」の演奏が終わったちょうどその時、法華経寺の晩鐘が“ゴォーン…”
と鳴り響いたのです。まさに絶妙のタイミング。佛のご加護もかくありなん!さすが
に感性の音楽家アキコ・グレースさんも鳥肌が立つほどの感激だと語りました。
一方、わたし達聴衆も、一瞬の厳粛のあと、大いなる拍手をいつまでも続けたの
です。
ところで、晩鐘と言えば、関西では、三井の晩鐘(滋賀県三井寺)が歴史的に
有名ですから、これからは、関東では、『法華経寺の晩鐘』とでも言いましょうか。
それにしても、こんなことってあるんですね。
最後は、稲本さん、アキコ・グレースさん、MaLさん、小山太郎さん、鳥越啓介
さんの全員での大演奏となり、大いに盛り上がり、痺れるほど堪能。
神社仏閣での演奏を聴く!…本当に素晴らしい経験をしました。
このような機会があれば、是非行かれることをお薦めします。
みなさんはどのようにお考えでしょうか
次回も
時事エッセー
です
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