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2008年9月12日 (金)

遺訓、社訓、綱領の再認識を!

 133回目のブログです。

 いよいよ過ごしやすい秋、夜長の秋を迎えたと思う間もなく、9月1日、福田総理
大臣が辞意を表明しました。約1年の短期政権でしたが、いわゆる与野党ねじれ
現象と、永年の膿が溜まりきった状況を、打開することが出来なかったことが要因
だと思われます。

 今や、自民党も民主党も、もちろん他の諸政党も、内部には問題が山積みして
いますが、思いつくまゝに書いてみましょう。

 ・自民党(立党精神の忘却、利権、官僚体制依存、二世議員、国益意識希薄、
       志の低下、古い体質、不潔感)
 ・民主党(自由言論の不在、左翼組合混在、自治労擁護、二世議員、国家意識
       希薄)
 ・公明党(創価支配脱却不可、独立性無、権力利権志向、国家意識希薄)
 ・社民党(化石型左翼政党、国家意識無、観念的、不潔感)
 ・共産党(独裁型共産主義志向、自由言論不可、観念的)

 時代の進展は急速であり、環境はめまぐるしく変貌しており、上に挙げた各政党
も、その対応に苦慮、あたふたしているのが真実ではないかと思います。こういう
時こそ、時には原点にかえってみることが大切です。

 原点にかえってみる。それは、家であれば遺訓、会社であれば社是・社訓・
創業の精神、政党であれば立党宣言・綱領などがあります。国であれば、建国の
精神などを挙げることができます。ここで著名なものをピックアップしてみましょう。

  伊達政宗公遺訓

   仁に過ぐれば弱くなる
   義に過ぐれば固くなる
   礼に過ぐれば諂(へつらい)となる
   智に過ぐれば嘘を吐く
   信に過ぐれば損をする

   気長く心穏やかにして、よろずに倹約を用い金銀を備ふべし
   倹約の仕方は不自由なるを忍ぶにあり、
   この世の客に来たと思へば何の苦しみもなし
   
   朝夕の食事はうまからずとも褒めて食ふべし
   元来客の身に成れば好き嫌ひは申されまじ
   
   今日行くをおくり、子孫兄弟によく挨拶して、
   娑婆の御暇申すがよし
   
 これは、日本三大遺訓(伊達政宗・水戸光圀・徳川家康)である伊達政宗公の
ものですが、なかなか含蓄があります。「仁」「義」「礼」「智」「信」の本質を、ある
意味で分かりやすく説いた訓えといえるでしょう。

 さて、企業などの社是・社訓は、住友家の“浮利に趨り軽進すべからず”や、
松下電産の「綱領・信条」など著名なものがありますが、ここでは、自由民主党の
53年前の綱領を覗いて見ましょう。

  自由民主党の綱領

    1.わが党は、民主主義の理念を基調として諸般の制度、機構を
    刷新改善し、文化的民主国家の完成を期する。
    1.わが党は、平和と自由を希求する人類普遍の正義に立脚して、
    国際関係を是正し、調整し、自主独立の完成を期する。
  1.わが党は、公共の福祉を規範とし、個人の創意と企業と自由を
    基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家
    の完成を期する。
                              <昭和30年(1955)11月15日>

 自由民主党って、53年前の立党の精神は素晴らしかったことがわかります。
“刷新改善”“自主独立”“公共の福祉”“創意・企業・自由”など、今でもキラキラ
する言葉です。

 それが何と、わたしも全く知らなかったのですが、今から13年前、全くもって、
毒にも薬にもならない、とんでもなく力の抜けた言葉を連ねた、新理念を策定して
いたのです。誠にひどい文章であり、これでは、政党の体をなしているとはお世辞
にも言うことはできません。

 ■ 自由民主党の理念 

  1.わが党は、人格の尊厳、基本的人権を尊重し、自由な社会を
    守る自由主義の政党である。
  1.わが党は、国民とともに未来に向けてつねに改革を進める、
    開かれた民主的な政党である。
  1.わが党は、世界平和と人類の繁栄、地球環境保全に積極的に
    貢献する平和を守る政党である。
                 <平成7年(1995)3月5日>

 こんな微温的な、ぬるい、躍動感のない、情熱の感じられない言葉では、国民
から愛想尽かしされるのは明白
です。これが、現在のわが国第1党の姿ですが、
わが国、日本の根本は、旧きに遡れば神武建国・神武肇国の理想ですが、近代
日本の礎は、『五箇条の御誓文』ではないでしょうか。

  五箇条の御誓文

  一、広く会議を興し、万機公論に決すべし。
  一、上下心を一にして、盛に経綸を行ふべし。
  一、官武一途庶民に至る迄、各其志を遂げ、人心をして倦まざらしめん
     事を要す。
  一、旧来の陋習を破り、天地の公動に基くべし。
  一、智識を世界に求め、大に皇基を振起すべし。

  我国未曾有の変革を為さんとし、朕躬を以て衆に先じ、天地神明に誓ひ、
  大に斯国是を定め、万民保全の道に立んとす。
  衆亦此旨趣に基き協心努力せよ。
      明治元年三月十四日

 この「五箇条の御誓文」は明治天皇より発布されたものであり、近代日本の出発
点を明瞭に表わしています。いわゆる戦後民主主義と言ったような薄っぺらいもの
ではなく、わが国が力強く船出しようとする、崇高で意気高い日本の民主主義その
ものであり、今、読んでもなかなか素晴らしいものです。金沢工業大学の川田先生
は、これを現代において読めば、①公論、②一致協力、③立志・指導力、④改革、
⑤国際化の指標を示していると指摘しています。したがって、平成の今日において
もあらためて国の指針となる、要にして簡を得たものと言えるでしょう。

 今年は明治140年、あらためて明治の苦心に学ぶためにも、各政党の政治家
は、国政、地方政治を問わず、この「五箇条の御誓文」を熟読する必要があります。
それ以外にわが国政治の混迷を打開することは出来ないのではないでしょうか。

 歴史に学ぶべし。明治に学ぼうではありませんか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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