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2008年10月31日 (金)

政治を矮小化するな…今、政治の質を問う!

 140回目のブログです。

 世界経済の落ち着き先が一向に見えず、日々不安な時が続いていますが、それに
輪を掛けて、国内の政治状況もニッチもサッチも行かず、一層の不安を感じさせて
いる今日この頃です。

 この原因は、何はともあれ、政治家の志の低下と劣化、マスメディアの変質と大幅
レベルダウン、官の無限の私益追求、教育の劣化、民間人の自立心欠如
などに加
えて、国民全体の調和を尊ぶ抑制的資質の崩壊に尽きるのではないでしょうか。

 そのような中にあって、政治の力強いダイナミズムを望みたいのですが、実態は、
その逆方向に進んでいると思います。

  夜会合、今後も続ける=ホテルのバー「安い」-麻生首相

  「(夜の会合を重ねるのは)これまでのスタイルだし、これからも変える
  つもりはない」。麻生太郎首相は22日昼、毎晩のようにレストラン
  料亭、ホテルのバーなどで秘書官らと会食していることを記者団に質問
  されて、「逆切れ」した。

  「庶民の感覚と懸け離れているのでは」という記者団の指摘に対し、首相
  は「たくさんの人と会うとき、ホテルのバーは安全で安いところだという
  意識がある」などと反論。

  逆に「周りに30人の新聞記者がいる。警察官もいる。(ホテルなどよりも)
  安いところに行って営業妨害と言われたら何と答える」「今聞いてんだよ。
  答えろ」と、得意の逆質問を連発した。

  飲食費については「わたしは幸いにして自分でお金もありますから、自分
  で払っています」と、ポケットマネーであることを強調した。 
                             (2008/10/22時事通信)

 えっ、驚きますね。今、政治記者の関心ってこんなことなのでしょうか。調べて
みたら、北海道新聞の女性政治部記者が、記者会見の時に、「どうしてホテルの
ようなお金のかかるバーに行くのか」と質問したそうです。

 みなさんはこれを読んで何を感じられますか。わたしは次のように考えます。

  冒頭に書いたように、現在、世界経済や日本の政治が未曾有の窮地に陥って
   いる時、わが国の新聞記者の認識がこんな低レベルとは開いた口がふさがり
   ません。ましてやメディアを代表する総理番であり、政治部の記者です。

   この質問をした記者やそこに同席した記者は、学生時代に、政治とは何か?
   政治の本質とは何か?政治家の志とは?あるいは、ジャーナリストの使命
   とは?ジャーナリストの志とは?を学問・勉強してきたのではないのでしょう
   か。

   ホテルか居酒屋かとの論点は、政治の本質とは全く関係のないことであり、
   この質問は愚問というべきものです。このような愚問がでるようでは政治学
   を勉強してきたという雰囲気さえうかがうことができません。完全に、ジャー
   ナリスト失格でしょう。新聞記者の資格はありませんね。

   このようなことを質問することが異状であることを理解できない記者が多数
   いることは、ジャーナリズムの大幅劣化の象徴であり、引いては政治を著し
   く貶めていることに他なりません。

   マスメディアもここまで落ちたか…ああ!
 
  この質問の裏にある本質は“嫉妬”です。この記者たちは、他人が、例え
   それがわが国の総理大臣であっても、自分以上に裕福な生活をするのが
   許せない性格の持ち主なのです。しかし、嫉妬心は自分の胸だけに仕舞い
   こみ、総理の記者会見という「公の場」に持ち出すべきではありません。

     (記者さん、谷沢永一「嫉妬の正体」ビジネス社でも読み、ご自身の
      内面を分析してみてはいかがですか?嫉妬の本質・正体がわかり
      やすく書かれています)

  一国の総理大臣です。その総理大臣が立ち飲み屋や赤提灯で飲んだら、
   それこそ情けないことです。一国の総理ですから、当然、風格というものも
   必要
ではないのでしょうか。

  総理は公人中の公人です。セキュリティの観点からも、行動が制約されるの
   は常識です。よって、居酒屋や立ち飲み屋でちょっと休むのは論外。

  野党の幹部(国民新党・民主党・社民党)は、揃いも揃って麻生総理を批判
   していますが、こんなくだらないことに触れるよりも、政策で堂々と論陣を張る
   べき
。そうでなければ、政治的品性が下がります。

 麻生総理も麻生総理です。スーパーを見てまわったり、タクシー運転手の収入を
質問してみたりして、いわゆる庶民派を自己演出しようとしましたが、止めた方が良い
と思います。所詮、育ちが出てしまいますから。もっと本腰を入れた政治、説得力を
発揮した政治を目指し、「志」を厚く語り、それを実行に移して貰いたいものです。

 ところで、記者会見の場だけではありません。10月28日の『参議院外交防衛
委員会』
で、牧山弘恵議員(民主党)が麻生総理に、カップ麺1個の値段を質疑し、
麻生総理がそれに対して、適当な値段を答弁するという珍現象がありました。
さらに立派な論客と言われている浅尾慶一郎議員が、飲食店割引クーポン券
使用の有無について質疑したのです。これに対しても麻生総理は真面目に答弁
しました。

 どこか狂っていますね。わたしは、珍現象というよりも悲しい・虚しい・恥ずかしい
事態だと思いました。どうしてこんな質疑応答を行うのか。ここは外交委員会です
から、こんな寝ぼけたような、緊迫感を欠く質疑応答よりも、100倍も1000倍も
10000倍も大切な外交問題(テロ特、日米安保、拉致、核、PKO、アジア戦略、
自由の弧連携、東南アジア、インド、中国、イラン、ロシアなどなど)が山積みであり、
そちらを議論すべきことは、論を待ちません。野党も野党ですが麻生総理もこんな
問題を質問するなというくらいの迫力と見識を発揮してもらいたいものです。

 本当に政治が劣化しました。ますますレベルが低くなってきているようです。深刻
な事態ですが、ここで、かの碩学、マックス・ウェーバー「職業としての政治」から
素晴らしい言葉を引用します。

 『政治指導者にまず必要なものは、自らの信念に基づく使命への献身という意味
  における「情熱」である』

 『自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が、自分の立場
    から見て、どんなに愚かであり卑俗であっても、断じて挫けない人間。どんな事態
  に直面しても「それにもかかわらず!」と言い切る自信のある人間。そうした人間
  のみが政治への“天職”を持つのだ』

 政治は厳しくも尊いものです、国政の目的は、この国柄を維持し、国民の生命・
財産を守り、それを永遠の未来に引き継ぐことに献身的努力を重ねることであり、
決して矮小化すべきものではありません。矮小化すればするほど、国家・国民の
悲劇が待っているのではないでしょうか。今こそ、わが国の永い歴史のなかから、
真の知性を発揮すべき時が来ているように思えてなりません。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか

次回も
時事エッセー
です
 

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コメント

今の政界はどうかしているとしか思えない。
筆者指摘のように、あまりにも下らぬことにのみ、焦点を当て
ようとしか考えていないのではないか。
あるいは、そんなことしか考えられない人間ばかりが政治家に
なっているのか。
これも国民のレベルをあらわしているとすれば、我々国民が
意識を変えなければならないと思う。
嘆くばかりでは仕方なく、そのためにはどうすれば良いのかを
あらためて指摘してもらいたいものです。

投稿: R・ヌーボー | 2008年11月 5日 (水) 09時17分

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