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2009年3月13日 (金)

「企業倫理」…関西経済同友会の提言を読む!

 159回目のブログです。

 三寒四温の天候もほどなく終わり、これからは、いよいよ「春暖」の季節を迎えよう
としています。このような変化が身近に見られる好季節、苦境に立つ経済環境や
混迷を極める政治情勢も、春の暖かさに引きずられるように良くなってほしいと願う
ばかりです。

 そう願っている矢先に、先日、民主党の小沢代表の公設第1秘書が逮捕され、
不透明な政治献金にメスが入れられるというビッグニュースが連日マスコミを賑わ
しています。

 小沢氏は、田中・金丸ラインの極めて古いタイプの政治家であり、政治資金の
扱いでは、「小澤」・「小沢」を巧妙に使い分けるなど、かねてより、その不透明さは
強く指摘されていました。絶体絶命の窮地。司直の手がどう暴き、どのように決着
するのか注視したいと思いますが、それにしても、政治家に清廉さを求めるのは、
八百屋で魚を求めるのと同じであり、それゆえに、政界の浄化は百年河清を待つ
如く、なかなかに困難なことと思われます。

 かつて、小沢氏の師である金丸氏は、北朝鮮から「無刻印の金の延べ棒」を利権
がらみで受け取るなど、売国奴として有名ですが、国政にあたる政治家には、少なく
とも、ぜひとも『日本』という国だけは守って欲しいものです。

 国の基本はいわゆる「国柄」といわれますが、構成する要素は、①主権(独立の
権利
)、②国民(生命・安全・財産)、③領域(領土・領海・領空)です。国会議員は、
最低限、これを守るべきにもかかわらず、今、逆に売ろうとする政治家がかなり存在
していることに深い悲しみと同時に激しい怒りを覚えます。

 ところで、倫理を欠くのはひとり政治家だけではありません。ここ数年、企業の
不祥事は激増
しています。単に、製品・商品の品質問題だけではなく、従業員間の
深刻な軋轢、取引先・得意先との重大なトラブル、不法不正な取引など、あらゆる所
に不祥事が発生しているのです。

 今、企業では、それらを防止するために、コンプライアンスの徹底や企業統治の
強化などに注力していますが、まだまだ地に足が着いたものになっていません。

 たとえば、上記の「コンプライアンス」という言葉の意味をビジネスマン、サラリーマン、
社員、従業員がどれだけ理解しているでしょうか。身近の人に確認してみればよく
わかりますが、コンプライアンスという輸入用語は法令遵守と訳されてはいるものの、
はてさて、その概念を実感している人はほとんどいないでしょう。

 そうであるとするならば、一般の従業員よりも、まず、企業のトップ、幹部層が認識
しなければならないのは、言うまでもありません。また、言葉というものは、その意味
・内容は当然のこと、わかりやすく、美しい響きも必要です。

 今年の初め、社団法人関西経済同友会が、経営者の心得についての提言をまとめ
ました。

  経営トップの心得 9箇条
      企業不祥事を発生させない“ESR”経営を

  1、人間力(素養、資格、資質や品位など)は高く保たれているか、
    自らの行いに恥じるところはないか。
  2、現場を自分の五感で理解しているか、それを経営に生かしているか。
  3、正しい判断基準を保っているか、ビジョンを示しているか。
  4、人財(社員・後継者)を育成しているか、社員は生き生きしているか。
  5、社内のコミュニケーションは風通し良く保たれているか。
  6、企業経営は社会と調和しているか、会社基準は社会基準と合一しているか。
  7、チェック体制は機能しているか、強化しているか。
  8、危機管理を行なっているか、いざというときは大丈夫か。
  9、情報を正しく発信しているか。
       ESR =“ Executive Social Responsibility ”
                           (経営トップ、経営首脳陣の社会的責任)

                <2009/1 関西経済同友会 企業経営委員会>

 素晴らしいですね。経営トップ、経営陣の社会的責任を、自らの言葉で明確に打ち
出したことに敬意を払います。数多くの企業が、さまざまな不祥事を発生させている
昨今、自らの戒めとするために、これらを纏め上げ、CSR(企業の社会的責任・
Corporate Social Responsibility)よりも、ESR、すなわち経営者の社会的責任として
自覚しようとしたものであり、なかなかのものです。

 関西経済同友会は、今ある経済団体としては、日本経団連、商工会議所、その他
の経済団体などよりもはるかに高い品格を有しています。各種の有益な提言を積極
的に行い、先年は、中国の、わが国への内政干渉をきっぱり退けるべきであるという
発言も行うなど、凛とした、堂々たる、なかなかの存在感を示しています。

 東京の、皮相で日和見的な、国益感覚のない、背骨を失った、安物のTV的な組織
には見られない、気骨ある団体だからこそ、このような素晴らしい提言を纏められた
のでしょう。

 経営トップは、今一度この9箇条を読むだけでなく、すべてを実践、行動しなければ、
単なるお題目であり、絵に描いた餅になります。行動、実践こそが待たれます。

 ところで、本来、今更企業倫理などと大仰に言わなくても、わが国には、江戸時代
から商人や町人の世界で、「実業倫理」や「公徳心」が説かれてきたという歴史を有
しています。
その輝かしい歴史…適塾、懐徳堂、石田梅岩、三井家家訓、住友家
家訓、近江商人などなど…を振り返ることも大切であり、それが、たとえ迂遠で
あっても、人材育成、企業繁栄の礎となるに違いありません。

 (政治家も、一度、わが国の歴史を振り返り、国を守り、発展させるものは
  何であるかについて、あらためて静かに考えるべきでしょう。)

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

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