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2009年5月 8日 (金)

知の集積・「大学博物館」に行ってみよう!

 167回目のブログです。

 いわゆるGW(ゴールデン・ウイーク)も終わりになりますが、先日、このGWの
真っ只中に、今まで行ったことのない変わった所、新しい場所に行きたいと、いろ
いろ思案を重ね、友人3人と一緒に、わたしの家からわずか30分のところにある
「大阪大学総合学術博物館」を訪ねました。

 博物館と言えば、京都国立博物館、東京国立博物館、あるいは各種ミュージアム
などの一部は知っていましたが、まさか大学に博物館があるとは知らず、調べて
みると、全国には30以上の大学博物館があるそうですから、かなりのものだと思
います。

 「大阪大学総合学術博物館」は、大阪の中心地である梅田駅から阪急電車で
15分、石橋駅下車、徒歩5分、大阪大学のキャンパス入り口にあります。

 ここ一帯は、標高77メートルほどの小高い丘であり、今、皐月晴れのもと、豊かな
新緑が麓の池に鮮やかに映え、まさしく、古くから歌枕としても有名な「待兼山」を強く
印象づけてくれます。

 “待兼山(まちかねやま)”! 何と情緒ある良い響きの言葉でしょうか。少し歴史
をさかのぼってみましょう。

  「山は をぐら山、かせ山、みかさ山、…まちかね山、たまさか山、みみなし山」
                                (清少納言・「枕草子」)

  「夜もすがら 待兼山に啼く鹿は 朧気にやは 声を立つらん」
                              (源俊頼・「夫木和歌抄」) 

  「夜をかさね 待ちかね山の時鳥 雲井のよそに 一声ぞ聞く」
                           (周防内侍・「新古今和歌集」) 

 この風光明媚な環境に穏やかに位置する大阪大学総合学術博物館は、平成
14年(2002)に設置、平成17年(2007)に整備された、まだまだ歴史の浅い博物
館ですが、展示内容は、大阪の歴史と活力を総合する堂々たるものであり、ある
意味で、知的好奇心を刺激しました。

 展示物を一部ピックアップしてみましょう。

 エントランスの吹き抜けには、巨大な「マチカネワニ」の化石が縦に展示されて
います。あれっ!ここは大学ではないのかなと一瞬疑問に思いましたが、待兼山は
古くからの歴史を有しており、それを実感できる展示は、まさに、大学のモットーで
ある「地域に生き、世界に伸びる」の一端を示しているということで、納得した次第
です。

 1階には、「コンピューターの黎明期」を象徴する装置を展示。阪大では第2次
世界大戦後まもなく真空管式コンピュータの研究を始めましたが、その当時誕生
したばかりの国産第1号の電子計算機が展示されています。3~4畳くらいの大きさ
の基盤に数多くの真空管が配列されている姿には、現在の超小型のパソコンを
考えると、隔世の感を強くするとともに、ある種の感動さえ覚えるほどです。

 ここではコンピュータの進化の過程がわかりやすく展示してあり、わが国の電子
技術の発展には、苦難はあっても、わくわくするような知的探求の歴史があったこと
を、それとなく実感することができます。

 2階には、「みる科学」として光学顕微鏡、電子顕微鏡、超高圧電子顕微鏡、X線
構造解析技術などをわかりやすく展示。特に、国産第1号の電子顕微鏡には、その
大きさが人間の背丈以上もあることにそれなりの驚きを覚えました。

 3階には、「待兼山に学ぶ」をコンセプトに、待兼山の古代の生物や、地形の変遷、
現在の自然の中で棲息する生き物の営みなどを解明する研究の展示があり、歴史
ある地域の特徴を学ぶことができます。

 また、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士が中間子論を着想した大阪大学
物理学教室の自由な研究環境と著名な研究者
を紹介するコーナーもあり、知の
創造には、それなりの環境も背景にあるのだということを感じました。

 更に特筆すべきは、大阪の町民、市民の学問であり、わが国のリーダーを数多く
育てた「懐徳堂」(三宅石庵・山片蟠桃・富永仲基)や「適塾」(緒方洪庵・橋本左内・
福沢諭吉・大村益次郎)の流れ…これが現在の大阪大学に継承…を紹介し、その
学問と社会の関わりを概観することができます。大阪町民が、本来学問に深く関心
を持ち、それを自らの仕事、職業に生かしてきた輝かしい過去に思いを馳せること
も大切なことを示してくれています。

 特別展として、昭和12年を背景にした『モダン都市へ』が大きく展示されています
(4月24日~7月4日)。現在、大阪にはある種の閉塞感が漂っていますが、昭和
12年の大阪は日本第1のマンモス都市であり、その時の活力ある姿、活気ある
雰囲気が、パンフレット、広告、出版物、報道写真で示されており、また、当時の
賑わいを余すところなく活写した「大大阪観光」という観光映画が映されています。
その生々とした躍動感溢れる時代の姿に、あらためて感動。

 今、大阪はもちろんのこと、地方も閉塞感に覆われ、活力が失われているよう
ですが、歴史の中で、一度は活気溢れる時もあったはずであり、そういう時代を
謙虚に振り返ることが必要であることを示唆しています。

 時代の混迷を開くには、過去の歴史を振り返り、そこから何らかの“ヒント”を掴
、“キーワード”を創造し、積極的な展開を図ることが肝要であり、そのためには、
一度は、大学博物館を訪ねてはいかがでしょうか。

 それにしても、「知」を軸に、人・モノ・情報が出会い、交流し、新たな「知」の創造
を目指している『大阪大学総合学術博物館』はなかなか面白く、ためになりました。

 知の集積・「大学博物館」を訪ねることをお薦めします。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

 

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