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2009年6月19日 (金)

「中国の言論統制」を直視しよう!

 173回目のブログです。

 いよいよ梅雨に入りましたが、今年は空梅雨が予想されており、まだそんなに
梅雨らしき天候になってはいません。それでも、「梅雨(つゆ)」と聞けば、鬱陶しさと
じめじめした雰囲気に陥るものです。

 天候は空梅雨であったとしても、世の中は中々からっとせず、明るい話は、わずか
に株価が日経平均で10000円を回復した位でしょうか。政界は相変わらずどんより
したまま、政策よりも政略、公(国家・社会)よりも私(選挙・利権)、本当に何とか
ならないものでしょうか。景気も今一歩。

 そうは言いながら、色んな問題点はあるにしても、わが国は、少なくとも、「言論の
自由」
は一応保障されており、国民のすべてが民主主義的自由を謳歌していること
は特筆すべきことだと思います。

 ただ、不思議でならないのは、わが国で言論の自由を認識し、謳歌しているにも
かかわらず、言論の不自由な国、言論統制の国、一党独裁の国を高く評価し、
それになびこうとしている人々がかなり存在していることです。

  メディアに「批判書かず世論誘導を」 
               中国、パソコンに検閲ソフト義務化

  中国で販売するパソコンに政府指定の「検閲ソフト」搭載を義務付ける
  当局の措置に対し、マスコミを管轄する共産党中央宣伝部が各メディアに
  「批判記事を書かず、検閲ソフト支持に世論を誘導する」よう、通達した。

  政府への批判を封じ込める中国の情報統制の実態が、あらためて浮かび
  上がった。

  「青少年の健全育成」が名目。ネット上では「人権侵害だ」「民主化情報
  を遮断する狙い」と批判が出ている。通達を受けたのは、中国国内の新聞、
  テレビ、ネット媒体など、口頭で。

  10月の建国60周年を控え、当局は社会の安定を最重要課題と位置付けて
  いる。北京市内に昨年の北京五輪並みの厳戒態勢を敷く一方、情報統制
  も徹底する考えだ。

                         (2009/6/12 Chunichi Web 抜粋)

 いやあ、驚きますね。これは言論統制というよりも言論弾圧というべきかも知れ
ません。最近は中国関係のニュースは、環境問題を除いては、どちらかと言えば、
礼賛記事ばかりですから、国内で不気味な恐怖政治が行われていることが、わたし
達の頭からすっぽり抜けていました。このニュースで、認識を新たにしたところです。

 中国(正式名:中華人民共和国)は、今、破竹の勢いで経済成長しており、もう
すぐにも、わが日本国のGDPを抜き去ろうとしています。もちろんのこと、国内的
には、都市部と農村部の超格差、環境、失業、水資源など克服すべき問題点は
多く指摘されていますが、忘れてならないのは、中国は依然として、「一党独裁の
国家」
であることです。

 中国の人口(民)は13億人と言われており、彼等を統治するには、強権的な独裁
が不可欠であるという論もありますが、それはひとつの俗論に過ぎません。独裁は
独裁であり、国民の真の幸福に直結するものではないでしょう。「精神の自由」、
「言論の自由」、「信仰の自由」はわたし達人間が本来的に求めるところではないで
しょうか。

 その意味で、上に掲げた記事には注目するとともにある種怖気を振るいます。
わが国のマスメディアからは、中国の光、礼賛ばかり(特に経済面)が伝わり、陰
の要素はほとんど伝えられません。光と陰、ここであらためて、中国の本質を直視
してみる必要があるのではないでしょうか。

 つい先日は、インターネット電話でも、日常的に「検閲」が行われていることが暴露
されましたから、言論の全てが党、軍などの権力により捕捉されていると見なければ
なりません。

 たしかに、一党独裁の権力を維持するためには、不断の強権的姿勢を誇示しな
ければならないのでしょう。

 6月4日は天安門事件(北京天安門広場で民主化運動を展開していた市民や学生
に対し、共産党軍が戦車を出動させ武力弾圧をはかり、約2000人を殺戮した事件)
20周年にあたりましたが、厳重な警備体制を敷き、民主化への動きを押さえたと
報道されています。

 国内だけではありません。周辺の国家・民族への弾圧も極めて激しいものがあり
ます。例えば、北京オリンピック時の強烈なチベット弾圧を想起してみてください。
「自由」や「独立」に対しては、徹底的に弾圧しようとする姿勢は、よほどのことがない
限り変わらないと思われます。

 さらに、周辺国家へ硬軟交えた圧力を加え、領土・領海の拡張、政治・外交の影響
力増大を期していると考えるべきでしょう。

  中国の軍事費、世界2位に ストックホルム国際平和研調べ

  スウェーデンのストックホルム国際平和研究所が8日発表した2009年版
  年鑑で、中国の08年の軍事費が英国、フランスを抜き、米国に次いで
  初めて世界2位となったことが明らかになった。

  中国の軍事費は推定849億ドル(約8兆1500億円)と前年に比べて10%
  増えた。過去10年で3倍になるなど高いペースで拡大し、世界全体の軍事
  費の5.8%を占める規模となった。
年鑑は「中国の軍事費は大国志向を背景
  に経済成長とほぼ並んで増えている」と分析した。
                             (2009/06/08 Nikkei Net 抜粋)

 10年間で3倍の軍事力増強。これは、恐ろしいほどの脅威と言わねばなりません。
しかしながら、このような事態に直面しても、マスメディアの影響か、わたし達はどう
にもこうにも、おそろしく感度が鈍くなってしまっているように思えてなりません。
わたし達は、真実に対してもっと厳しい目を持つ必要があるのではないでしょうか。

 近隣の強大国とどう付き合うべきか、故高坂正尭先生の論稿が参考になります。

  “自由を守る姿勢崩すな”

  日本のマスコミほど「自主規制」をする存在は珍しいというのが世界の常識
  である。相手の怒りそうなことは書かないという姿勢故に、ソ連や中国や
  北朝鮮の自由の欠如は、ほとんど報道されない。そして批判しても怒らない
  「寛容」な国や集団については、いくらでも批判するのだから、結局は
  非寛容な人々の圧力に屈しているわけである。

  一体それで腹が立たないのであろうか。もしそうなら彼らは自由の精神を
  真実には持っていないということであろう。…自由が犯されているのを
  見ると腹が立ってしかたがないというのが自由の精神の基礎だ
…。

  共産主義国や共産主義勢力とつき合うとき、現実にはにこやかにつき合って
  も、心の底には彼らの自由の精神の欠如への厳しい批判がなければ、結局、
  われわれは自由を失うであろう。

        (高坂正尭教授・昭和50年8月30日・産経新聞正論掲載抜粋)

 素晴らしい、珠玉の論稿ですね。今から34年前書かれたものとは思えないほど、
現在でも生々としています。先生は、34年前のことですから、共産主義国と表現
されていますが、現在、北朝鮮は封建奴隷制共産主義国であり、中国は一党独裁
であり、ロシアは権威主義国家
であり、まさしく当時のまま当て嵌まると考えても
いいのではないでしょうか。

 わたし達は、事実を直視し、高坂先生ご指摘のように、「自由を守る姿勢」を崩す
べきでなく、自由の精神を高らかに歌い上げるような、外交と内政を志向しなければ
ならないと考えます。

 来るべき総選挙では、そのような見識と良識を備えた議員を選びたものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

 

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