都議選…自民党敗北・真の敗因はこれだ!
177回目のブログです。
関東甲信越は、はや梅雨明け、近畿ももうすぐ梅雨が明け、京都の祇園祭・山鉾
巡行はこの17日、大阪の天神祭・船渡御が25日、いよいよ夏真っ盛りの時となり
ました。
この暑い時、12日には東京都議会選挙があり、自民党が敗北し、その敗因と対応
を巡りゴタゴタが続いていますが、それを見ていますと、何か私利私欲、個利個略
の感を否めません。
しかし、自民党の国会議員を見ていますと、敗北でしょぼんとしているのかと思い
きや、昂揚感溢れた表情で、ある意味では、生き生きとした感じさえ窺えます。
政治家の悲しき性でしょうか、混乱・混迷の政局こそ生きがいであり、わが命の
ように見えます。
いよいよ総選挙。貧すれば鈍す。政権交代も必至の状況ですが、自民党が都議選
に敗北した背景などを、わたし流に指摘したいと思います。見方としては、いわゆる
TVでなどのコメンテーター(真の政治評論家ではありません)の指摘する表層的な
分析とは大いに異なっているでしょう。このブログは「ビジネスマン育成塾」ですから、
ビジネス・企業の観点からもメスを入れます。
①「立党の精神」を喪失!
企業において、広い意味で最も重要視されるのは「経営理念」であり、特に企
業存続の“危機”に際しては、経営理念の再確認を行うことです。経営理念こそ
がその企業の存在と価値を表現しているものであり、全社員が、その精神の
もとで仕事を行うことが理想とされています。
政党においては「立党の精神」が企業の経営理念にあたります。自民党は昭和
30年(1955)立党宣言、綱領、党の性格、党の使命、党の政綱を発表していま
すが、ここで政綱を覗いてみましょう。
・ 国民道義の確立と教育の改革
・ 政官界の刷新
・ 経済自立の達成
・ 福祉社会の建設
・ 平和外交の積極的な展開
・ 独立体制の整備(憲法の自主的改正と自衛軍備の整備)
なかなか高邁な精神が窺えますが、今の自民党の体質から判断すれば、立党時
の高邁な精神からはるかに遠い存在になっていることが分かります。政官界の
刷新?憲法の改正? どうなっていますか、彼等の意識の彼方に追いやられて
いますね。1955年からすでに54年も経過していますし、何と、なかには護憲
論者(憲法改正反対)もかなりいるのですから、何をかいわんや、そんな人は
入党させるべきではないのではないでしょうか。これこそ、堕落と腐敗への道を
辿ってきている証拠だと思います。
②「絶えざる組織改革」の放棄!
企業においては、技術革新や効率的組織体制を追求することは、日常のこと
であり、また、社会的存在も強く意識しなければ、存立さえ危ぶまれるのが、
現在置かれている環境です。
自民党政治の世界で、相変わらず、政・官・業のトライアングル癒着が続いて
おり、国民は、それを極めて胡散臭いものと見ています。この古い体質の塊の
ような幹部がゴロゴロおり、それを排除できない組織のままであり、組織改革を
放棄しているように思えてなりません。組織というものは、常に見直し、改革して
いかねばならないにかかわらずです。
③「志ある政治家」を育成せず!
今や、あるいはいつの時代でも、人材が企業の生命であり、「人材育成」が重要
なテーマであることは、経営者であれば誰しも認識しています。人材とは言って
も、<人財><人材><人罪>の3種類に分かれ、できれば<人財>を確保
すべく、人事採用や人材育成に苦心を重ねているのが企業の実体です。
人財を政治の世界で表わせば、「志ある政治家」ということができます。今、
自民党に志ある政治家が何人いるのでしょうか。単にマスコミで人気があるとか、
単に世襲というだけで、国政、地方政治の議員に立候補させたりする、愚かな
実体、これが自民党の大きな欠点です。政治は本来、高貴な行為であり、国民
の生命、財産、主権、歴史が政治家の双肩に掛かっているのであり、それらの
基本的知識と見識は政治家には不可欠の要素と言わねばなりません。
現在、衆議院では、「親か祖父母、おじ、おばのいずれかが国会議員だった」と
いう世襲議員は、驚くなかれ、自民党35%(132人)、民主党13%(15人)です。
もちろん、世襲がすべて悪いのではなく、能力の低い世襲、知識の乏しい世襲、
見識に欠ける世襲、活力のない世襲、人間性のない世襲が多く、そのために
政治が活性化せず、世界に向けて「日本」を発信する縦横無尽な活躍ができて
いないことが罪づくりなわけです。
「志ある政治家」が激減してきているのが自民党の実状であり、これが都議選
の敗因の一つです。
④「真の広報」が欠如!
企業はその実態を広報することを重要なことと認識していますが、自民党は
そのセンスが大きく欠けています。「真の広報」とは、実体を真摯に、正確に、
スピーディに、国民や支持者に伝達することであり、そのためには、組織自体
の統一されたまとまりが必要であり、トップの求心力が大切になります。また、
それらを仕切る党事務局や党のシンクタンクが全面に出なければなりません。
ホームページで情報を公開しているからいいじゃないかという主張もあるでしょう
が、それは、広報の本質を全く知らない人の発言です。ホームページは、ほんの
序の口に過ぎず、すべての政策、行動、戦略、戦術が広報に直結しており、それ
をしてはじめて国民の理解と納得と支持を得られるという認識に至らなければ
なりません。
真の広報はプロパガンダ(特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する宣伝)では
ありません。真の広報とは“意志ある真実の言葉”なのです。
⑤「戦い方」が拙劣!
党のイメージは、胡散臭い・汚い権力(自+公)・暗い・司令塔不在など、負の
イメージばかりでした。それは、一部にはマスコミのせいもありますが、マスコミ
を味方にできていない力不足が露呈。また、敵の土俵で勝負し、自分の土俵で
勝負しなかったので完敗。
都議選で自民党が敗北した要因を5項目挙げましたが、印象的に言いますと、
失政というよりか、なすべきことをしなかった、すなわち、“怠慢”であったと言うべき
でしょう。怠慢だから罪は軽いのではなく、政治家や政党が怠慢だということは、
職場放棄、一種のサボタージュであり、“大罪”と言っても言いすぎではありません。
民主党もそうですが、自民党は、いまだにマニフェスト(公約)を発表しておらず、
遺憾の極みです。自民党が政党であるならば、政策遂行のためのマトリックス(縦軸
にテーマ、横軸にタイムスケジュール)は、とっくに公表されてしかるべきものです。
それが、今もまだということは、全く怠慢のそしりは免れません。
勝負は勝つか負けるかであり、敗北の主たる要因は他にあるのではなく、ほと
んどが、自分(自民党・自民党政治家)にあります。敗北には明確な理由がある
ものです。
“勝ちにふしぎな勝ちあり、負けにふしぎな負けなし”
(プロ野球 野村監督)
自民党は、立党の精神の半分も実現できていませんが、もう歴史的使命を終えた
のでしょうか。それとも、自分の持ち味に帰れば、再生は可能なのでしょうか。それ
にしても、深刻なる自己反省を欠いては、再生は難しいと考えます。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です
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