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2009年10月 9日 (金)

出でよ「新・経済成長論」!             

 189回目のブログです。

 総選挙後すでに1ヶ月を経過し、鳩山政権も徐々にピッチを上げ、カッコだけは
抜群の、CO2・25%減、アジア共同体構想などをぶちあげましたが、早、首相自身
の多額の脱税・故人(幽霊)献金も露見するなど、命脈も疑われる状況となってきて
います。

 ここで、あらためて民主党のマニフェスト(政権公約)を振り返ってみましょう。
   ムダづかい  
   子育て・教育 
   年金・医療
   地域主権
   雇用・経済 
       中小企業の法人税を11%に引き下げる
       月額10万円の手当てつき職業訓練制度により求職者を支援
       地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てる

 一応、雇用・経済のところだけは、おおどころとして3項目書き出しておきましたが、
わたしは、ここに大きな問題点が含まれていると考えています。

 民主党・鳩山政権の経済的側面の基本政策は、予算・税金のムダを排除し、広く
国民にお金を配賦し、消費を刺激したいということに尽きます。

 ところで、今、緊急の課題は何でしょうか。それは、失業への対応であり、景気の
浮揚に他なりません。
どの企業に勤めている人に聞いても、“厳しい”の一言が口
から出てきます。

 従って、失業や景気に関すること以外のこと(在日外国人への参政権付与法案、
教育の日教組流への改定などなど)は2~3年先に延ばすくらいの覚悟がないと、
この厳しい経済状況を克服できないと思われます。

 たしかに、ムダを省くことは日常から大切なことですが、完璧を求めることは、いわ
ゆる“百年河清を待つ”(黄河の例え…中国の諺)ことになりますし、まさしく、“浜の
真砂は尽きぬとも、世に盗人の種は尽きまじ”(石川五右衛門辞世の句)と同じと
見るべきでしょう。

 そうであるならば、わが国の借金はますます膨大化し、財源は限られている以上
は、国全体の底上げを図ること、すなわち、『経済成長』以外に道はないのではない
でしょうか。こんなことは、民間企業人であれば誰でも分かっていることです。

 企業においては、業績が悪化してくると、次の手を打ちます。
   ① 経費節減
   ② 組織・人事の効率的改変
   ③ 事業の集中と選択
   ④ 新製品の開発

 このうち、①の「経費節減」については、2~3年間徹底してやれば、それなりの
成果がでますが、それが限度であることは、民間企業人ならば誰でも認識している
ことです。(もちろん、このテーマは日常的、永遠のテーマであることに変わりはあり
ません)

 国の経済も同じことですが、「官」のやることは、どうしても非効率的ですから、ムダ
は極力省くにしても、根本的な解決にはならず、国全体としては、どうしても経済成長
路線を歩まねばならないことは、自明の理だと言っても言いすぎではないでしょう。

 それにもかかわらず、郵政民営化の否定などという非効率な社会主義的組織論
が息を吹き返しているのは、面妖という他はなく、これでは、国民経済の活性化は
遠いように思われてなりません。

  今、民主党が志向している「分配政策」(子ども手当て・農業補償などなど)を
実現するためには、単に、ムダの排除や分配調整だけでは限度があることは自明
であり、「成長政策」が不可欠であることは論を待ちません。ところが、まことに残念
なことですが、民主党の最大の欠陥・欠点の一つは、マクロの経済成長戦略を持ち
合わせていない
ことではないでしょうか。

 ただ、この背景には、民主党とか自民党とかいう前の、『新しいダイナミックな経済
成長論』が、現出していないことにも、大きな要因があるのではないかと思います。

 このようなとき、戦後日本を代表するエコノミスト・経済学者であった下村治博士
(1910~1989)が、俄然注目されはじめました。下村博士は、池田勇人内閣(1960
年代)の国民所得倍増計画の立案における中心的存在であり、高度経済成長を
リードした憂国の士、傑出した骨太の国士です。

 混迷の日本、経済哲学なき日本、国士なき日本であればこそ、今、下村治博士に
再び光が当たるのは当然かも知れません。今年3月には、中央公論新社から「日本
経済成長論」(新書中公クラシックス)が出版されています。

 成長論者よ出よ! 現代の下村治よ出よ! 経済学者、エコノミストの骨太の「新・
成長理論」「新・成長計画」を一刻も早く目にしたいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

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