素晴らしき野球人「阪神:赤星憲広選手」!
202回目のブログです。
平成22年、西暦2010年の正月の印象は如何だったでしょうか。不景気のゆえ
か、あるいは人心のどんよりした倦みの為でしょうか、どうにも溌剌とした光景が目
に入らなかったというのが実態ではないかと思われます。
本来ならば、全ての家に国旗・日の丸が翩翻(へんぽん・旗などが風にひるがえる
さま)と翻ったり、会社のビルや工場の玄関に門松が建てられており、その風景が、
正月の風物詩として、わたし達に心暖かいものを感じさせてくれるものです。
しかし、そんな風物詩は見当たりませんでした。国旗を掲げる家庭は年々減って
きており、門松などはほとんど目にすることが出来ません。わずかに、神社仏閣へ
の参拝の賑わいが、例年通りであったのが多少の慰めというべきかも知れません。
もう、そんな四季折々の風情に心を通わせる時代ではないのでしょうか。そうは
言っても、正月は新しい年の初めですから、何としても“メリハリ”をつけなければ
なりません。
国旗や門松などは、それぞれ国や神への縁(よすが)として位置づけられ、メリハリ
の表象であると思いますが、鳩山総理や小沢幹事長に国家意識や伝統感覚が極め
て薄いことから考えれば、国や社会のすべてがこのような情けない状況に陥るのも
仕方のないことかも知れません…。
しかし、世の中、こんな暗い話ばかりではありません。心洗われる話もあります。
◆ プロ野球:阪神・赤星、無念の引退表明
脊髄損傷「プロとして100%できず」
プロ野球・阪神の赤星憲広外野手(33)が9日、兵庫県西宮市内のホテル
で会見し、現役引退を発表した。今年9月の横浜戦でダイビングキャッチを
試みた際に脊髄(せきずい)を損傷し、プロ選手としてプレーを続けること
が難しいと判断した。会見で赤星選手は「プロアスリートとして100%
できず、恐怖感を持ったまま試合に出ると考えると、自身で身を引くべきと
感じた」と決断の理由を語った。
(2009/12/10 毎日ニュース抜粋)
このニュースだけを読むと、プロ野球の一人気選手が引退することにしか見え
ませんが、1月3日深夜、読売テレビ(日本TV系)が特集を組み放映したものには、
赤星選手の人間性が余すところなく描かれており、その偉大な存在に、正直、感動
しました。
赤星選手はプロ野球選手としても一流ですが、人間として極めて誠実であり、これ
ほどの人物は、そんなにはいないのではないかと思います。わが国の政治家や社会
のリーダーに赤星選手の爪の垢を少しでも煎じて飲んで欲しいと思えるほどです。
まず、赤星憲広選手の実績から。
年度 盗塁 打率 出塁率 守備率
平成13(2001) 39 .292 .372 .992
14(2002) 26 .252 .311 .998
15(2003) 61 .312 .378 1.000
16(2004) 64 .300 .356 .992
17(2005) 60 .316 .392 .982
18(2006) 35 .269 .344 .993
19(2007) 24 .300 .368 .986
20(2008) 41 .317 .398 .992
21(2009) 31 .263 .322 1.000
(通算) (381) (.295) (.365) (.991)
タイトル・表彰 <9年間>
新人王
盗塁王(5回)
ベストナイン(2回)
ゴールデングラブ賞(6回)
ゴールデンスピリット賞
赤星選手は、阪神球団一筋、背番号53、年齢は未だ33歳の若さですが、昨年
9月12日の甲子園における対横浜戦での、大飛球へのダイビングキャッチを試みた
際に頚部を痛めました。検査結果は「中心性脊髄損傷」という重症であり、無理を
すれば生命が危険」ということで引退を余儀なくされたものです。
彼は選手会長をつとめるなど人望も厚く、また、“レッドスター(Red Star)”“赤い
彗星”の愛称でファンの人気も極めて高い存在でした。
赤星憲広選手は、上に記したような優れた実績(盗塁・打率・出塁率・守備率、
どれをとっても見事という他はありません)や、熱狂的な人気の持ち主で際立って
いるばかりではなく、“人物”としても極めて素晴らしいものがあるのです。
赤星氏は、教員免許も持ち、“文球両道”をモットーとし、社会福祉活動に熱心な
ことで知られています。平成15年(2003)以来、自分がそのシーズンに記録した盗塁
数と同じ数の車椅子(電動リクライニング付)を寄贈しており、何と累計で301台に
なっているそうです。
こんなことは、誰でもできることではありません。彼はそのことを励みにして、プロ
野球での盗塁数を増やす努力を地道に重ねていったのです。大相撲の世界で言え
ば、角界随一の人格者と言われる大鵬親方と同じような存在感ではないでしょうか。
また、平成17年(2005)には、少年野球チーム「レッドスターベースボールクラブ」
を設立し、少年野球を通じての真の教育を実践しています。
先日、テレビは、その少年野球チームが、嫌々ではなく楽しく、グラウンド周辺の
「ゴミ拾い」をしているところを放映していましたが、まさしく、赤星氏のもつ人間性
あふれる教育力の成果であるとともに、氏の誠実な人柄を窺うことができ、心の底
から感嘆の声をあげました。素晴らしい!
世の中は、暗い事件、理不尽な世相、不純な精神、纏まりのない国民、志なき指導
層ばかりが目に入りますが、この赤星氏のような素晴らしい方は他の分野でも、
幾人かは存在しているでしょうから、メディアはそういう方々を是非取り上げて欲しい
と思います。暗い話ばかりでは暗くなる一方、明るい話を積極的に取り上げるべき
ではないでしょうか。
それにしても、今、どの業界でも人材、いや“人財”がいないといわれています。
その点から言えば、赤星憲広氏は貴重な存在として、すべての球団から注目される
に違いありません。今後どのような道を歩まれるのか知りませんが、コーチや監督
として大いなる活躍をされることを期待しています。(…ちなみに、政治の世界でも
欲しい人財でしょうね)
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です
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