菅総理「第三の道」…これは自制心なき大増税か!
225回目のブログです。
梅雨に入り何となく鬱陶しい気分がしますが、農家の方にとっては、梅雨はなくて
はならないものですから、鬱陶しいなどと言えば“バチ”が当たります。わたし達は、
梅雨は本来わが国の森林や湖や池に貯水するための自然の恵みであることを
忘れるわけにはいきません。自然と言えば、春、夏、秋、冬、わが国の四季はそれ
ぞれ微妙な趣きがあり、俳句などでもその「季語」が大切に扱われています。この
季節の有名な俳句をひとつ。
さみだれや 大河を前に 家二軒 与謝蕪村
名句ですね。心静かに俳句や和歌などを鑑賞する余裕を持ちたいのですが、
世の中はなかなかそうはさせてくれません。
いよいよ国会は閉会となり、参議院議員選挙へまっしぐらの段階に来ました。
各党がいろんな政策を掲げて争うことになるのでしょうが、ここでは、菅首相が
唱える「第三の道」を取り上げます。
菅首相は所信表明演説での経済政策で、
「第一の道」公共事業中心の経済政策(自民党時代)
「第二の道」市場原理主義・生産性重視の経済政策(小泉・竹中時代)
を完全に間違った政策であり、失敗した政策であると断定し、
「第三の道」増税を環境・健康・雇用に充当し成長につなげる経済政策
を採ると明言しました。
美しい言葉ですね「第三の道」…映画の題名のように麗しい言葉ですが、菅首相
は、さらに「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」というフレーズを掲げました。
しかし、政治家の美辞麗句にだまされてはいけません。要するにいよいよ大増税
時代に入らんとしているということです。民主党は4年間は消費税の増税を行わな
いと公約(マニフェスト)していますが、すべての公約が嘘であり出鱈目・ハッタリで
あったことがすでに証明されていますから、いつ破られるかは保証の限りではあり
ません。ウソとハッタリは、政党、政治家の特権です!(特に民主党においてはその
傾向が強いと思われます)
菅首相は消費税増税により「財務省の財政再建」を果したいと考えているようです
が、民主党のやりかたを現状のままで放置しておくと、この増税分が「政府のムダ」
と「民主党のバラマキ」にそのまま吸収され、とんでもないことになるのではないで
しょうか。これをわかりやすく図式します。
消費税増税分 ⇒ ① バラマキ (民主党)
② ム ダ (政府・公務員)
③ 財政再建(財務省)
①、②を今のままにして、財政再建をしようとすれば、消費税が約23%必要に
なります。
現行国債44兆円/年÷2.5兆円(消費税1%の税収)=17.6%
現行消費税5%+17.6%=22.6%
こども手当を満額支給となれば25%必要でしょう。財政再建は喫緊(きっきん・
差し迫って重要なこと)の課題ではありますが、みなさんは、消費税25%に納得
できますか。わたしは全く納得できません! その理由を以下述べてみましょう。
・ まず民主党のバラマキを全部廃止、中止することです。「こども手当」「農家所得
補償」など、もちろん意味のないものではありませんが、愚策そのものであり、
究極的には「働かなくても食える」という社会主義の一番タチの悪いテーゼ(政治
綱領)につながるもの。即時廃止あるのみ。
・ どうして民主党はバラマキが好きなのでしょうか。財源がなければ何もできない
のは、企業でも家計でも経験していることです。もしもやろうとすれば、借金であり、
これは返済が義務づけられており、無制限に借金できないのは自明の理。
民主党は大衆迎合主義、あるいは愚民主義のように思えてなりません。
・ 政府のムダについては、枝野氏や蓮舫女史らが、衆人監視のもと「事業仕分け」
を行い、従来自民党がやらなかった手法でムダ排除に挑戦しました。マスコミは
ローマのコロセウム(円形闘技場)に見たてて大変持ち上げ、また、大衆も高級
官僚のもたつく返答に溜飲、やんややんやの大喝采の様子。しかし“20兆円”
のムダを暴くとの公約は1兆円にも至らず無残な結果となりました。それでもマス
メディアでは高い評価ですが、冷静さも必要でしょう。
・ 「事業仕分け」には本来、哲学が必要であるにもかかわらず、哲学のない議員
たちが仕分けたことが問題です。たとえば蓮舫議員が科学技術は世界で1位で
なくてもよいとの発言が象徴的であり、宇宙惑星探査で大成功した科学衛星
『はやぶさ』が科学技術予算カットで第2号を飛ばせないという皮肉なことを引き
起こしています(17億円予算要求するも仕分け対象で3000万円に)。一方、
あの、世界1位を否定した蓮舫議員が「大臣」だとは、世の中、真っ逆様では
ないでしょうか…ああ!
・ 民間企業では事業仕分けは通常に行われており、それ以外に『組織仕分け』も
行われているのです。国の省庁や地方自治体および独立行政法人や公益法人
などは組織仕分けにまで踏み込まないと徹底した改革とは言えません。さらに、
国会議員の議員数削減をはじめ、公務員の所得額見直しを行う必要があり
ます。公務員改革では、民主党案よりは自民党案・みんなの党案の方に歩が
あるようです。また、民主党には、公務員改革は常識的に考えて無理でしょう。
なぜならば、民主党は自治労(全日本自治団体労働組合)の支援下にあり、
物心両面のスポンサーには逆らえませんから。
・ 財務省は、国有財産の払い下げ、売却を促進するなどのあらゆる手段を講じて
から増税論議に入るべきです。なぜなら財務省は当事者であり、その責任は
重く、責任を果してから姿勢を明確にすべきです。
・ 菅首相は小泉総理の規制改革や民営化路線には断固反対と言っていますが、
それはおかしいと思います。小泉総理だからこそ、未曾有の金融危機を乗り
越えることができたのであり、郵政の民営化は決して間違っているものでは
ありません。郵政問題では、郵便事業を一部手直しすればいいだけではないで
しょうか。それに、鳩山首相(菅副総理)の予算では44兆円もの国債借金です
が、小泉総理の時は30兆円ですから、菅氏が小泉氏を罵倒するのは、お門
違いというべきであり、本来ならば、自らが穴に入り反省しなければならない所
です。
・ 菅首相は、大きな政府を志向しているようで、極めて危ういと考えられます。
・ ドラスティックな改革には痛みを伴うのは当然です。すべてに亘って痛みを伴わ
ない改革など、世の中にはありません。政治家はそのことを諄諄と説くべきでは
ないでしょうか。今の民主党は国民大衆に口当たりの良いことばかりを唱えて
いますが、これは大きな問題です。民主党は社会主義、共産主義、全体主義、
ならびに反日主義、親中国・親朝鮮主義ではない“ハズ”だと思うのですが、
はたして如何でしょう。
政治家は、国民に対して、より「自立、自尊」(福澤諭吉)を訴えるべきであり、今
にも崩壊しそうな国から施しものを貰ったり、国に頼ったりしないように説得しなけれ
ばなりません。
その意味において、民主党のバラマキ、政府のムダ、財務省の財政を、今のまま
にして、消費税の大増税を行うことは、自制心のない国家、政府、国民をつくること
につながると考えます。菅首相の弁舌さわやかな“単なる増税”という悪だくみを
見逃すわけにはいきません。
もちろん、わたしは消費税増税に賛成ですが、①民主党のバラマキ、②政府の
ムダを抑制したうえで増税をすべきであり、また、増税と同時に積極経済を志向
すべきであると考えています。今のままで単に増税すれば日本経済は大変なことに
なるのではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です
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コメント
第三の道はどうやら、所得再配分を進めることで、消費性向の低い金持ちから、消費性向の高い貧乏人に所得を移転させ、国全体の消費を向上させて景気を拡大する作戦のようですよ。
拡張的財政と大きな政府を主張するケインジアンでもなく、財政規律と小さな政府を主張する新古典派経済学でもないので、第三の道となるようです。
投稿: uncorrelated | 2010年7月 3日 (土) 05時00分