« 菅総理「第三の道」…これは自制心なき大増税か! | トップページ | 「真の保守」とは何か! »

2010年6月25日 (金)

「選挙公約」…騙しのテクニックに乗るな!

 226回目のブログです。

 梅雨も本格化し、毎日湿っぽい空気が続いていますが、これは単に天候だけで
なく、景気も回復基調への歩みが遅く、政界も何やら雲行きが怪しく、社会状勢も
不安定であり、森羅万象(しんらばんしょう・宇宙に存在するすべてのもの)ことごとく
陰鬱(いんうつ・心が晴れ晴れしないさま)な感じを否めません。

 こんな時、参議院議員選挙が公示され、いよいよ選挙戦に突入することになり
ました。何を基準に選択すればよいのか、いろいろ迷います。

   マニフェストに“うたわれた”政策を基準にするのか
   公約に書かれた政策を基準にするのか
   政党か、候補者個人か
   民主党(与党)か、非民主党(野党)か
   自分にとっての損得を基準にするか
   人気者か、堅実な人か
   女か、男か
   高年齢者か、若い人か
   政治家か、政治屋か
   清潔な人か、不潔な人か
   教養人か、普通の人か
   政治知識のない人か、ある人か
   誠実な人か、不実(不誠実)の人か
   ………

 まあ、いろいろあるでしょうが、ここで最大与党である民主党の公約(マニフェスト)
について考えてみましょう。

  民主「20兆円捻出」公約、無駄削減で9兆・埋蔵金も活用

  「税金の無駄遣いの根絶」など歳出削減で9.1兆円、埋蔵金の活用や租税特別
  措置見直しなど歳入増で11.4兆円の計20.5兆円を捻出するとしている。

  民主党は、削減困難な予算は、借金返済88兆円、年金・医療などの保険給付
  47兆円、財政融資資金へ繰り入れなど10兆円の計145兆円に過ぎず、残る67
  兆円のうち9.1兆円は削減可能とした。
                        (2009/6/23 読売新聞一部抜粋)

 これは、今からわずか1年前に、民主党が夏の8月30日に行われた衆議院議員
選挙に向けた公約の最大のポイントだったのです。これによって民主党は大勝を
果し、政権交代に至ったと言うこともできます。

 まだ1年前のことですから、20兆円の内訳を思い出してみましょう。

  歳出改革 
    公共事業(ダム・空港)                    1.3(兆円)
    人件費(国家公務員2割削減・出先統合)                1.1
    庁費・委託費・施設費(天下り禁止・入札・施設費削減)1.8
    補助金(地方へ一括交付)                      4.3
    その他(議員定数1割削減)                     0.6
         (計)                                 (9.1)

  歳入改革
    特別会計の積立金など「埋蔵金」                6.5
    官舎・株式など政府資産の売却                 0.7
    租税特別措置の見直し                       4.2
        (計)                                  (11.4)

      総 合 計                                20.5兆円

 この「20兆円」、はたして捻出できたのでしょうか。いやいや、とてもとても、今年の
予算は、捻出するどころか、逆に「こども手当」などバラマキの大盤振舞いにより44
兆円強という、空前の膨大な国債発行(=借金)をおこなったことは、みなさんもよく
ご存知のことです。

 これに対して、公約に違背したことには一切口をつぐみ、自民党が悪政治を行って
きたからだとか、税収が非常に少なかったからだとか、すべての要因を他者の
所為(せい)にしています。今に至るも、自らの責任は一切認めておりません

 あらためて公約の実行状態を見てみると、“公約(マニフェスト)なんて虫けら
みたいなもの”と嘯く国政政治家の声が聞こえて来そうです。言葉は下品になります
が、本当に、公約(マニフェスト)なんて“屁のツッパリにもならない”感じがします。

 民主党は今後どうするのでしょうか。

  消費税率「自民党の10%を参考に」 菅首相が明言

  菅直人首相は17日、将来の消費増税について、税率と、低所得者ほど負担感
  が増す逆進性の対策を含む改革案を今年度中にまとめる方針を表明した。
  税率については、自民党が参院選公約に盛り込んだ10%を「参考にさせて
  いただきたい」と述べた。

  民主党が昨年8月の総選挙で掲げたマニフェストは消費税率の引き上げに
  触れておらず、当時党代表だった鳩山由紀夫前首相は「私どもが政権を担う
  4年間、消費税の増税をする必要がない」と明言していた。党代表が菅氏に交代
  したとはいえ、わずか1年足らずで党の基本政策をひっくり返したことは、党内外
  の批判を呼びそうだ。
                       (2010/6/17 asahi com一部抜粋)

 いやあ、驚きましたね。まだ1年も経っていないのに、手のひらを返す発言ですが、
菅首相への国民の支持(世論調査・輿論調査・Public Opinion)が本当に圧倒的に
高いのであれば、国民は増税を歓迎しているということになります。

 菅首相は財政健全化路線の旗振り役の一人として「予算の無駄をただし、新たな
財源を生み出せると思ったが、思ったほどのスピードで実現できなかった」として、
消費税論議の開始を指示しているのです。

 しかしながら、よく考えてみて下さい。1年前の20兆円の約束を簡単に反古にし、
また、簡単に増税を唱える姿勢を、国民は果して許容するのでしょうか。わたしは、
民主党が20兆円に関して何らの説明、具体的な釈明がないことに対して、不誠実、
不実を感じざるを得ません。菅氏も、総理になる前は鳩山内閣の副総理であり、
責任は極めて重いものがあります。ここは、きちっと説明する責任があるのではない
でしょうか。


 そういうわけで、わたし達国民は、政治家や政党やマスコミの『甘言』に騙されては
なりません。『嘘』『ハッタリ』(相手を威圧するために、大げさな言動をしたり強気な
態度をとったりすること、また、その言動)は、政治家ではない政治屋の特徴という
べきであり、そのような、ダニの如き存在は断固排除しなければなりません。

 たまたま民主党の一例をあげましたが、これは、民主党にだけ注文をつけている
のではありません。すべての政治家、特に国政に携わる政治家には、誠実な政治
を心掛けていただくことを望みます。(とはいうものの、八百屋で魚を求めるような
ものでしょうか…)

 それにしても、1年前の公約を振り返って見ただけで、政治の“いかがわしさ”が、
腐臭のように紛々と漂ってくるのが分かります。公約が公約でなく、マニフェストが
マニフェストでなく、言葉が言葉でなく、まるで雲のように軽く流されていき、国全体
が「無責任な言葉」の靄にすっぽりと覆われているようです。

 こういう時、わたし達は何を信ずればよいのでしょうか。それは、自分自身を信ずる
ことであり、自立した考えに立つべきだと思います。そのためにはボケてはなりま
せん。たった1年前を忘れてしまっていることなどから判断して、わたし達はあまり
にも
「健忘症」にかかりすぎている気がします。政治家に対しては、厳しく真実を追究
し、不実を排し、誠実を求めなければなりません。

 マスメディアもしかり。もうすこし、イデオロギーを離れ、国民のための材料を提供
し、誠実な報道に徹することを、併せて望みたいものです。

 騙しのテクニックに乗るな!…これが今回のタイトルです。

 投票はじっくりと考えてからにしたいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

|

« 菅総理「第三の道」…これは自制心なき大増税か! | トップページ | 「真の保守」とは何か! »

コメント

ペマさんへ

ご指摘の通りだと思います。
“信なくば立たず”と言いますが、政治への信頼が一刻も早く
確立することを望みたいものですね。
なお、「英国では不文律として、マニフェストに財政、外交、
安全保障は絶対に書かないことになっています」ということは
知りませんでした。ご教示に感謝します。

投稿: のんちゃん | 2010年6月28日 (月) 10時02分

私も全く同感です。 民主党は政権運営半年で、とんでもないことを3つしたと思います。 第一に昨年末の22年度予算編成の段階で、「財政に対する信用」を無くしました。 第二に、普天間基地問題で、「外交」「防衛」に対する信頼を無くしました。 そして一番の問題は、政治に対する信頼を無くしたことだと思います。

英国では不文律として、マニフェストに財政、外交、安全保障は絶対に書かないことになっています。 連続性が必要であり、国家の根本に関わることですから。日本と逆ですね。

民主党は党の綱領を持っていません。 どのような「主旨」で結党されたのか、どういう日本を目指すのかを表明していない(出来ない?)政党です。 他の党は持っているのですが。 自民党も1月に党の要綱を改訂しています。 「これから日本をどういう方向に持っていくのか」を正々堂々と論争して欲しいと思います。

私見ですが、私は参議院は「良識の府」であるべきと思います。 政党とは関係なく、英国の貴族院のように殆ど無給で長期的な視点で日本をどうするか、を議論し、衆議員から送られてくる法案で、万が一日本が「壊れてしまう」と思われるものだけ否決するようになれば、と思います。 しかし、郵政法案で、全く同じ参議院議員が衆議院選挙の前と後で否決から可決に変わるのですから、日本の政治的成熟度もこのくらいかな、と感じます。

日本代表のワールドカップでの活躍で、参議院選挙の論点がボケ、お祭り騒ぎになっていることが投票行動にどう影響するかを危惧しております。

1年少し前、「麻生総理の発言が軽いね、ぶれてるね。」と散々批判されていましたが、鳩山元総理、そして菅総理の発言を聞いていると、麻生総理が懐かしく感じられます。

ますますのご活躍を。

投稿: ペマさん | 2010年6月27日 (日) 19時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「選挙公約」…騙しのテクニックに乗るな!:

« 菅総理「第三の道」…これは自制心なき大増税か! | トップページ | 「真の保守」とは何か! »