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2010年7月 2日 (金)

「真の保守」とは何か!

 227回目のブログです。

 いよいよあと10日で参議院議員選挙を迎えます。まだ梅雨の盛りですが、
果たしてどんな結果がでるのか、ある意味で興味津々というところです。国政選挙
ですから非常に重要な選挙というべきでしょうが、各政党、とりわけ与党・民主党の
政策がブレており、“もっと真面目にやれ!”と言わねばならないほどひどい状況の
ように思えます。

 たとえば、最も重要な「消費税」ひとつを取り上げても、民主党代表・菅氏は10%
を視野に増税を検討したいとぶちあげたにもかかわらず、民心の一部に不評、利
あらずと見るや、幹事長・枝野氏は消費税という言葉を避け税制を検討していき
たいと大幅にトーンダウン、一方、前幹事長・小沢氏は絶対に消費税を上げないと
断言しています。

 民主党の上層幹部3人の考えがバラバラ、ブレブレ。これでも政党なのかと訝しく
思えてならず、国民を愚弄(ぐろう・人を馬鹿にしてからかうこと)するのはもういい
加減止めにしてはどうでしょうか。政党は政党らしく、どのような考えであれ、同じ芯
を真ん中に力強く立てるべきだと考えます。

 こんな時、わたしの尊敬する、ある高級官僚から次の本を紹介されました。政治、
思想、国家、人心が混沌としている時節であればこそ、一度静かに読んでみるべき
価値のある書物ですが、この本のなかの「真の保守とは…」の章を特に薦められ
ました。

   著  者  塩野七生(しおのななみ)
   書  名  『 サイレント・マイノリティ 』
   出版社  新潮社
   種  類  文庫本(新潮文庫)
   価  格  514円(税別)

 著者の塩野七生さんは、「海の都の物語」やローマ帝国興亡の歴史を描いた
「ローマ人の物語」などで各種の賞を受賞し、文化功労者にも選ばれた方であり、
“声なき声を大切にしない国に未来なんてない”と、多数派の「正義」を疑う珠玉の
エッセイ集(帯封より)がこの本です。

 塩野女史の、ものごとの本質を鋭く突く批評、たとえば、「私も、悪人であっても
能力のある者に支配されるのならば我慢もするが、善人であっても、アホに支配
されるのは、考えただけでも肌にあわが立つ」(全体主義について)という文章など
は、まさに、鳩山前総理などを彷彿とさせ、現在のわが国の政治についてスカッと
斬っているようにも見えます。

 さて、著者は「真の保守とは…」の章で、ジュゼッペ・プレッツォリーニ(1882-1982
・ジャーナリスト・作家・編集者・自由な思考人)による真の保守の定義を述べて
います。全部で34項目ありますが、そのうち一部を抜粋します。

  真の保守主義者とは、量よりも質に重点を置く人である。……

  保守主義者にとっての社会の自然な諸要素とは、私有財産、家族、国家、
   宗教である

  真の保守主義者は、責任の観念をことのほか重視する。

  保守主義者は、社会の一部の人々の貧困と不成功が、社会組織の欠陥に
   必ずしも由来するとはかぎりないことを知っている。そして、それの改善は、
   ハンディを持つ人たちにもう一度機会を与える制度、つまり敗者復活戦的な
   制度で解決するほうが、社会組織の全般的な改革よりも有効である事実にも
   盲ではない。

  保守主義者は、長期にわたって社会で通用してきた制度は、それなりの理由
   をそなえていると思っている。だから、長く続いたからという理由だけで、改め
   ることはしない。

  保守主義者は、共同体の重要な目標を、その構成員たちの慣習や風俗の
   特質を守ることにあると考えている。そして、もしも必要ならば、民俗や宗教も
   守らねばならない。なぜなら、個々の構成員の力をより効率的に引き出し、
   共同体全体の力の向上を期すには最も有効と思っているからだ。

  人間は、健康面でも年齢でも、また性別でも外貌でも、そして教育でも才能
   でも、力でも勇気でも、さらに意志でも正直さでも、その他あらゆる面で平等
   で
ないと、保守主義者は信じている。運命だって、すべての人々に平等では
   ない。そして、この真実を無視する社会は、遠からず自ら墓穴を掘る結果に
   終わることも知っている。

  真の保守主義者ならば、国家の権力が増大しすぎることを、絶対に喜ばない。
   国家が、人々のすべてを管理するような事態は、それが
福祉であっても喜ば
   ない。なぜなら、帰着するところは
非能率の一事だけだからである。

  保守を認じていても、歴史が同じ形では二度とくり返さないことは知っている。
   また、誰一人として、自分自身の能力を越えるものは、歴史から学ぶことは
   できないのも知っている。しかし、歴史はわれわれに、知ってさえいたならば
   未然に防げたにちがいない数々の前例を示してくれるのも事実なのだ。一方、
   「革新」は、歴史は自分たちが創ると思っているから、歴史を軽視する。

  保守主義者は、官僚制度の膨張、自国の防衛を他国に頼ること、長期に
   わたる重税、平価の切り下げなどが、常に社会の衰退のはじまりであったこと
   を知っている。そして、民族の独立の終わりであったことも知っている。

  真の保守主義者ならば、富が才能の代わりにならないことを、かといって貧困
   がメリットにならないことも知っている。そして、良き社会とは所詮、より積極的
   な者が、より正直である者が、また、より智恵のある者が、より才能のある者
   が、指導的な立場についている社会を目指すのだということを熟知している
   のだ。

  真の保守は、国家を愛する気持も義務の観念も、そして、人間的なるものへ
   の尊重の気持も、少数の者のみが持つ「徳」でしかないことを理解している。

 一般の人々は、一市町村を眺め判断するのと同じ視点で、しばしば、国家の
   外交まで一刀両断してしまう。
政治のプロとは、一市民の視点と統治者の
   視点の双方を持ち、それらをケース・バイ・ケースでバランスを保ちながら使い
   こなせる人をいう。
真の保守主義者は、国家の政治外交を、このようなプロに
   まかせるべきだと信じている。

  保守的立場からしても、言論の自由は絶対に守られねばならないことは同じ
   である。ただ、この自由の駆使は、常に社会への「責任」と裏腹でなければ
   ならないとも信じている。

 珠玉の言葉のオン・パレード。目が眩むような刺激的な言葉…これは、たった今
のわが国にはぴったりの箴言(しんげん・いましめとなる短い言葉)と言っても言い
過ぎではありません。真の保守とはどういうものか、まさに、目から鱗、よく理解
できました。

 保守という言葉は辞書によりますと“旧来の風習・伝統・考え方などを重んじて
守っていこうとすること”(大辞泉)と記されていますが、これに比較しますと、塩野
七生さんの引用された言葉がいかに生き生きと表現されているかがわかります。

 今、参議院議員選挙、どろどろとしたぬかるみの中での選挙の様相を感じますが、
保守ならば真の保守、民主ならば真の民主、自由ならば真の自由、革新ならば
真の革新、とは何かを明確に認識し、また、それを高らかに謳って欲しいと願うもの
です。

 塩野七生著『サイレント・マイノリティ』をお薦めします。
 
 真の保守とは何か…これが今回のタイトルでした。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

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