風雲急!…尖閣諸島があぶない
239回目のブログです。
“ 秋の野の 草むらごとに 置く露は 夜なく虫の 涙なるべし ”
(曾禰好忠 三十六歌仙 詞花和歌集)
朝晩はさすがに秋そのものと言った風情であり、それなりの趣きを楽しむべき
季節の到来に日本人としての喜びを感ずるところですが、わが国をとりまく政治
状況は、ますます険しさを増し、一般ビジネスにも深刻な問題をもたらそうとして
おり、優雅な秋どころではなく、憂色の秋と言うべきでしょう。
先週のブログでも触れましたが、日本の領土である尖閣諸島付近で、中国(中華
人民共和国)の漁船がわが国の巡視船に体当りをしたため、海上保安本部は船長
を逮捕し取り調べを続けています。
現在のところ、当局はわが国内法に基づき、淡々と取り調べているようであり、
“毅然とした姿勢”を貫いてほしいものです。従来から、自民党政権の時でさえ、
中国とのトラブルには触らぬ神にたたりなしと「へりくだり」「卑屈」「自虐」の恥ずべき
姿勢をとり続けてきた経緯があり、今回だけは、ふらふらせずに厳しく当ってもらい
たいもの。
船長の逮捕について、中国は「日本が船長を不法に勾留していることで、日中
関係はより悪化している。日本側が態度を変えず、過ちを重ねるなら強烈な対抗
措置を取る。責任はすべて日本側にある」として、まるで日本を恫喝しているような
姿勢をとっています。今、どのような対応となっているかピックアップします。
・ガス田共同開発の協議延期
・日中間の閣僚級以上の交流を停止
・日中間の航空路線の増便交渉を中止
・SMAP(人気アイドルグループ)の上海コンサート延期
・10,000人の訪日団体旅行を突然中止
・上海万博日本人学生1000人招待中止
・APEC観光相会合(奈良)レセプション欠席
・JATA世界旅行博2010(東京)出展中止
この他、北京大使館前でのデモでは国旗日の丸が燃やされるなど、反日的行動
がありましたが、これらは、例によって「官製デモ」と言われています。
わが国で、厳しく対応しているのは次の通り。
・尖閣問題「毅然とした対応を」那覇市議会が政府に意見書
・馬淵国交相、中国幹部との会談中止
・石原都知事が訪中中止「中国は理不尽なやくざと同じ」
一方、マスコミ(すべてのテレビ、ほとんどの新聞)は、例によって「冷静に」「穏や
かに」と言うばかりで、尖閣諸島が歴史的にも日本の領土であるという明確な主張
や中国の理不尽な振舞いに対するたしなめを行っていないのは不思議です。
さて、中国はなぜこのような振舞いをするのでしょうか。わたしは、その背景には
中国の基本的な国策(国是・目論見)があると見ています。(わが国のマスコミは
このことを詳細に報道しようとしておりません)
・ 軍事力の強烈な増強(軍事力こそ力の源泉と認識)
・ 領土(版図)の拡大(歴史上での最大版図を目指す)
・ あらゆる資源の確保(食糧・鉱物・レアメタル・エネルギー・水など)
・ 世界の支配(軍事・マネー・資源の三位一体+政治による)
・ 国家資本主義の維持発展(もちろん独裁体制の強化)
さて、中国の力を支えている「軍事力」はわが国と較べてどのような規模を有して
いるのでしょうか。中国は世界第2位の軍事大国であり、昨年で軍事予算はわが国
の2倍と言われていますが、毎年猛烈なスピードで増強しており、世界の脅威であり、
アジアの脅威であり、日本の最大の脅威となっています。
ちなみに、中国対日本は、陸上兵力数では11倍、艦艇数では6倍、作戦機では
4.5倍です(2010防衛白書)。さらに、中国は、2010年までに沖縄・台湾・フィリピン
のライン「第1列島線」、2020年までに小笠原・グアム・インドネシアのライン「第2
列島線」の制海権を確保し、2020~2040年には米海軍の太平洋・インド洋支配
を止めさせる計画にもとづき、海軍力を強烈に着々と増強しているのが実態です。
中国が軍事力をバックに「愛国無罪」と叫び領土拡大を進捗中ですから、わが国、
日本が、東シナ海の尖閣諸島で腰砕けになったならば、南シナ海沿岸のASEAN諸国
も大脅威にさらされ、彼等は命の綱である大国・日本に大いに失望するに違いあり
ません。
今や、わが国はASEAN諸国と手を結び、自国の防衛力を強化(憲法改正と軍備
の充実)し、日米の緊密な関係を維持しつつ、中国包囲網を敷くのが最大の眼目で
あることは、目前の尖閣での中国の脅威を見れば明らかなことと断言してもよい
のではないでしょうか。
それにしても、メディアのぬるい対応は、国家意識を欠いた左翼リベラル・イデオ
ロギーに基づくものばかりであり、世界に通用するジャーナリズムというには程遠い
存在になりさがっています。まるでアホかと思えるほどです。また、多くの政治家も
国防、安全保障、防衛、軍事となると、戦後憲法と戦後教育の影響からでしょう、
強いアレルギーを持ち、それを冷静に、現実的に、客観的に、国際的に、歴史的
に判断する力(…これが世界共通の真の政治力というもの)を失っているのでは
ないでしょうか。
今、国家の領土がむしられようとしている時です。各政党は、少なくとも、尖閣
諸島についての「党見解」を出し、政府を強烈に援護すべきではないでしょうか。
それとも、朝日新聞があの竹島を「友情の島」として韓国に譲渡したらどうかと
主張したように、この「尖閣諸島」を中国(中華人民共和国・共産党一党独裁国)
に譲り、これを“友情の島”にしようと主張するのでしょうか。
政治家よ、今こそ行動すべきではないのか!
生活や子ども手当てや消費税ばかりが政治ではない!
先日、アメリカの新聞で大々的に報道されたことですが、中国が「深海潜水調査
艇」を海底に沈め、中国国旗(五星紅旗)を海底に植え込んだそうです。中国は
これから各地の海底に国旗を植え込み、それを足がかりに(そこに中国の国旗が
存在していたということを理由として)、海底資源などを自国だけの権益とする
つもりです。(まるでロシアが北極で行ったことと同じように)
このことはわが国では一切報道されていません。中国様の機嫌を損ねることは
極力避けようとのわが国メディアの柔らかで優しく暖かい配慮には、中国もまさか
とびっくりしているんじゃありませんか。私益、自国益のためなら何でもやるという
のが中国4000年の厳然たる歴史ですから。
冗談ではない! 無防備日本、メディアも政治家も目を覚ませ!
風雲急!…尖閣諸島があぶない
いやいや尖閣諸島ばかりではありません、海底も、地上も、空も、水も、宇宙も、
そしてサイバー(ネット空間)も。
覚醒しよう!
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です。
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コメント
岡村様へ
ご指摘のように、今こそ、全メディアが揃って“毅然
とした姿勢”を示すべき時だと考えます。戦後60年
間メディアが真の力を発揮したことはほとんどなかっ
たことを反省し、わが国の主権と国民と領域を守るべ
きことを、国民にも、世界にも、今、今、真摯に発信
してほしいものです。そうしてはじめてメディアの存
在価値が上がるのではないでしょうか。
メディアよたち上がれ!
投稿: のんちゃん | 2010年9月26日 (日) 21時58分
238回の”朝日新聞よ日本の新聞になれ”を改めて読み直しながら今回のお説を拝読致しました。全く同感です。 今回の尖閣問題と平行して沖縄さえ自国領土化を目指す(毎日新聞8月11日記事)中国の魂胆に毅然と立ち向かうのは、政治や行政の任務の前に戦略的にも日本のメデイアの使命だと認識します。 私な祖父の代からの家訓だった”朝日新聞の購読”を中止し、併読していた日経新聞の今年1月からの検察(小沢問題)のリーク情報報道機関化した記事に絶望に追いやられて購読を中止し、今は一切新聞を購読していません(悲しい思いですが、、)。 先ず尖閣問題で立ち上がれ全新聞!
投稿: 岡村昭 | 2010年9月24日 (金) 08時52分