“復旧から復興へ”…東日本大震災に思う③
266回目のブログです。
東日本の大震災が生じてから既に3週間となりましたが、被害の大きさと、広さと、深さが史上空前というほど甚大であったために、なかなか復旧の目途さえつかないありさまです。ましてや、原発の処理はどうなるのか全国民はおろか、全世界が固唾を飲んで見守っている状況ではないでしょうか。
この震災さえなければ、今日は4月1日として、エイプリルフールなどと戯れたり、入社式、早い桜の花見などの明るい話題で盛り上がったはずですが、天の怒りには如何ともしがたく、厳粛な雰囲気のなかで、今、国民すべては復旧、復興へ向けて、前向きの気持ちになっているものと思われます。
“ 青梅や 島といえども 国分寺 ”(角川源義)…隠岐の島、ここは見るものは青梅しかないただの島だが、立派な国分寺が建っているものだなあ、昔は重要な島だったのだろうか…というようなうら寂しい姿にしてはならず、昔も今も栄える立派な東北・東日本を目指し、日本人魂で見事な復興への道を歩まねばならないと思います。
さて、原発対応もままならないなかで、復興云々は時期尚早とも思えますが、復旧(旧に復する・現状に戻す)では余りにも未来展望を欠きますので、「復興」を視野にいれた政策を積極的に実行することが肝要であることは言うまでもありません。
復興に関する「キーワード」は何でしょうか。…わたしの考えは次の通りです。
○“大規模”
○“新機軸”
○“国民精神”
○“大胆”
今、各メディアでいろいろなアイデアが広げられていますが、それらを踏まえて、アトランダムに考えてみたいと思います。
① 復興資金10兆円/年(大規模・大胆)
阪神淡路大震災の時の復興のスピードはめざましく、その時の建設投資が日本経済の成長に寄与したことを忘れるべきではありません。日本経済はここ十数年デフレギャップに悩まされ続けてきましたが、震災復興でその差を埋めることができるようになったと認識すべきであり、その財源は年間10兆円、国債でまかなうことで何ら問題はなく、最低5年間、50兆円は復興資金としなければなりません。
② 「復興院」の創設(新機軸・国民精神)
88年前の関東大震災の復興を目指し、復興院が創設され、院長の後藤新平(台湾民政長官・満鉄総裁・東京市長など歴任)のもと、優秀な官僚や専門家が集められ、見事な帝都復興を成し遂げたことに見習おうとするものです。
後藤新平のような優れた国士が存在すれば一番いいのですが、はたして誰なのでしょうか。…もし存在しても、すべての権限を委譲するような首相ではなさそうなので(市民運動出身の菅氏は権力の保持だけが目的であり、国家・国民には目が向かないため)上手くいかないと予想されます。
③ 首都機能の分散(新機軸)
東京一極集中の問題はかねてから指摘されてきましたが、今回の大震災で、最も懸念されることとして証明されました。今は東京が首都機能をそれなりに発揮しているから何とかなっているものの、もしも東京が直接被災していたらと考えると大変なことです。
8年前、堺屋太一氏が国会で、立法、司法、政府の機能を3分割して移転することを提案しました。A機能(立法・行政府企画審議)、B機能(統計、調査、基礎研究)、C機能(司法・行政府記録、保全、保記)をそれぞれ別個の場所に移転する内容です。
今回の大震災を機に真面目に考えるべき重要なことだと思います。
④ 一国二制度を取り入れる
一極集中が日本の最大リスクだとするならば、一国二制度を考えることも必要かも知りませんが、日本国民の精神的同質性から鑑みれば、問題だと思いますが…。
⑤ 自衛隊の軍備力強化(国民精神)
いざと言うときの自衛隊(軍隊)ほど頼りになる存在はないことが明らかになりました。しかし自衛隊の装備力はまだまだ米軍に及びもつかなく、国土・国民の防衛のためには一層の軍備力を強化することが必要であることも明白になりました。当然のことでしょう。
それでも、マスコミは一部を除いて自衛隊の救援活動と死者の姿を積極的に放映していません。マスコミはこういう時は誤ったイデオロギーや安っぽいヒューマニズムを離れ、自衛隊の国民救援の姿や被災者の厳粛な死を静かに報道すべきではないでしょうか。(因みに、欧米のテレビ・新聞はすべて自衛隊の活動と被災者の厳粛な死と無残な光景だけを報じているそうです)
⑥ 4K予算を全面廃止⇒復興予算へ
4K予算、すなわち「子ども手当」「高校無償化」「高速道路無料化」「農家個別所得補償」をすべて廃止するのは当然のことであるにもかかわらず、民主党はこの期に及んでも政局重視、モタモタしています。普通の人間性があるならば、素直になり、復興予算に廻すのは当たり前ではないでしょうか。
⑦ 公務員給与5%カット
国家公務員や地方公務員の給与を5%カットしようとする意見が一部で表面化しましたが、この際断行するなら断行し、国債発行も合わせて、一挙に復興体制に突入してほしいものです。
何はともあれ、復興への道は極めて厳しいと認識しますが、日本のグランドデザインを描くことなしにすすめるのは問題ありと言わざるを得ません。
今日のわが国の繁栄は、これまで、①地政学的な幸運、②支配層の志の高さ、③国民一人ひとりの能力と倫理観の高さ、④前向きな忍耐力、に支えられてきたと言われてきましたが、その一角、いや二角に問題が発生しました。これを乗り越えなければわが国の真の再生はありえません。
全国民で、オールジャパンで乗り越えましょう。
(先日、東日本大震災の復興支援のために、サッカーの慈善試合が大阪で行われ、日本代表がJリーグ選抜を下しました。著名な選手ばかりが世界からこの日本に戻り“復興支援”、涙が出るほど感動しました。私のような野球世代の人間でも、サッカー関係の人々が醸し出す心からの愛国心には、凛々しさと清々しさを感じます。感謝!ありがとう!)
(それに比べ、政界は、ほんとに、きたないですね。…残念ながら)
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です
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コメント
貴見すべてもっとも(賛同)です。官僚絶対支配を許してきた日本国の統治システムの抜本的な改革(革命)を
後世に残したい思いで一杯です。庶民(愚民)から金を吸い上げ(増税し)、官僚(秀才?)が運用するのが社会の最大幸福だとと思いあがり、常に増税の機会を狙い続けたのが官僚政治です。お金の運用を、官僚の手から民間の手にを今こそ実現すべき時です。官僚が画策し、それの国民洗脳役である大手メデイアの”増税やむなし”にだまれず、東北大震災資金は”国債で”を大合唱しましょう。 財務省の陰謀と闘う元財務省の高橋洋一氏の書籍を読みましょう。
投稿: 岡村昭(神戸市) | 2011年4月 8日 (金) 09時48分
「服喪三年」が、古代中国での鎮魂の習いでした。
せめて、1年いや四十五日くらいは、自粛ではなく、
まじめに喪に服したい。
一瞬の違いで、津波にのまれた人と、あやうく難を逃れた人。生きている人は被災者として道がある。亡くなった人の魂は・・・・。
復旧も、復興も、真摯な鎮魂の行いを抜きにしては、あまりにも軽すぎる論だ。
投稿: 四月馬鹿男 | 2011年4月 1日 (金) 11時27分
何時もながら全く同感です。菅総理の無能ぶりは論じるまでないですが、メデイアの見識の無さには今更ながら愕然とさせられます。
投稿: 岡村昭(神戸市) | 2011年4月 1日 (金) 10時35分