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2012年2月24日 (金)

大阪維新版「船中八策」…これは是か非か!

 313回目のブログです。

“ 田子の浦ゆ うち出でて見れば真白にぞ
富士の高嶺に 雪は降りける ”
  山部赤人(奈良時代の歌人・万葉集)

 田子の浦(駿河の国の海岸)を通って眺望のきくところへ出てみると、真っ白に、富士の高い峰に雪が降り積もっている…。

 もうすぐ3月ですが、冬から初春にかけて澄み切った青空に気高く聳える「富士山」の峰を純白の雪が覆っている姿は、ほれぼれとするほど美しく、下界の薄汚れた精神を一瞬でも洗い流してくれそうであり、まさに、富士山は日本人の美しい精神を象徴していると言えるでしょう。

 さて、世の中は霊峰富士の姿とは真逆に、私欲と私欲がぶつかりあう、ある種の薄汚れた世界を見せていますが、そんな中に、先日、大阪維新の会が「大阪維新版・船中八策」なる刺激的な公約を発表しました。

 歴史上有名な「船中八策」は、坂本龍馬が起草したといわれる新しい国家体制の基本指針ですが(証拠文献無きため龍馬のものかどうか真偽は不明)、司馬遼太郎が国民的人気小説で龍馬の起草として取り上げたために、現代ではそのように解釈されているようです。

 何はともあれ、ほんものの「船中八策」と「大阪維新版・船中八策」を比較して、大阪維新の会の問題点を指摘したいと思います。

「船中八策」(坂本竜馬)

 1.天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令宜しく朝廷より
出づべき事。

2.上下議政局を設け、議員を置きて万機を参賛せしめ、
万機宜しく公議に決すべき事。

 3.有材の公卿・諸侯及(および)天下の人材を顧問に備へ、
官爵を賜ひ、宜しく従来有名無実の官を除くべき事。

 4.外国の交際広く公議を採り、新(あらた)に至当の規約を
立つべき事。

 5.古来の律令を折衷し、新に無窮の大典を撰定すべき事。

 . 海軍宜しく拡張すべき事。

 7.御親兵を置き、帝都を守衛せしむべき事。

 8.金銀物貨宜しく外国と平均の法を設くべき事。

 以上八策は、方今天下の形勢を察し、之を宇内(うだい)万国に徴するに、之を捨てて他に済時の急務あるべし。苟も此数策を断行せば、皇運を挽回し、国勢を拡張し、万国と並立するも亦敢て難しとせず。伏て願くは公明正大の道理に基き、一大英断を以て天下と更始一新せん。

     維新版「船中八策」(次期衆議院選公約)

1.政治機構の再構築
 ・地方分権の再構築
 ・多様な大都市制度の創設
 ・首相公選制の導入
 ・道州制の導入
 ・地方交付税の廃止

2.行財政の改革
 ・プライマリーバランスの黒字化

3.教育改革
 ・教育関連条例の法制化
 ・教育委員会の設置に選択制導入

 4.公務員制度改革
  ・職員基本条例案の法制化

 5.社会保障制度改革
 ・積み立て型、掛け捨て型年金制度の導入
 ・ベーシックインカムの導入検討
 ・税と社会保障の共通番号制の導入検討

 6.経済政策・税制改革
・所得税率カット、資産課税と消費税増税
・TPP参加

 7.外交・安全保障
・日米同盟を堅持し、豪州との関係も強化
・沖縄の基地負担軽減

 8.憲法改正
・参議院を廃止し、首長の代表機関に
・改正発議要件を衆参両院の過半数に緩和

 それでは、ここで、坂本龍馬の船中八策と比較しながら、大阪維新版「船中八策」について冷静に検討してみたいと思います。

  スケールの大きさ、歴史的観点、国家像など、どれをとっても坂本龍馬の方が桁違い、圧倒的に上である。

  龍馬は国家論、維新版は政策論である。

  維新版は、わが国で最も人気がある坂本龍馬にあやかり、あえて船中八策と言う名前で、日本人の好む「八」(8・末広がり)の数字を採ったものと思われる。

 幅広く大胆なアイデア、公約は高く評価できる。

  口先だけの、何もできず、総崩れした民主党のマニュフェスト手法とどこが違うのか、不安と危惧が残ることは否めない。口先だけで、できもしないこと、やりもしないことは公約にしないことであり、国民に欲求不満(フラストレーション)を生じさせないことが肝要である。

「教育改革」と「公務員改革」は傾聴に値する。特に現状の、文科省・日教組連合による反日サヨク教育は国家有為の人材を育成することにつながっておらず、わが国の弱体化に直結しているからである。

  首相公選制は、国民性や歴史から見て、わが国には不適であることは明白だ。とんでもない首相が選出されることは必至。逆に国を危うくすること必定。

  国家防衛、安全保障の基本的スタンスが全く欠如している。国政を真剣に語るならば、国防(安全保障)を抜きにしたり、軽視する姿勢をとるべきではない。基本的スタンスを明確にすべきである。

  全体的に、あるべき「国家像」、あるべき「日本人像」がうかがえない。真に国政進出を志すならば、それを明確にしないと、民主党チルドレン以下の人材集団に陥ることも考えられるのではないだろうか。…それが心配である。

  維新版船中八策は、短期、中期、長期の政策がごちゃまぜになっており、それを整理し、具体化する必要がある。

  先ず、大阪府―大阪市の統合を中心に改革の実を挙げ、その後に国政に進出すべきではなかろうか。今は、大阪府―大阪市の具体的統合に専心しなければならない時である。

  より充実、骨太、重厚なものにするために、堺屋太一氏や、歴史、文学、技術、教育、経済、憲法などの碩学の意見に耳を傾け、歴史に裏付けにされた国家像、日本人像を基盤に置くようにしていただきたいものだ。

 まあ、いろいろ指摘しましたが、橋下市長・松井知事らが八策をまとめたことに敬意を表し、それが、よりよい方向に向かうことを期待したいものです。

 みなさんも、坂本龍馬と大阪維新の「船中八策」をお読みいただき、どこが違うか、どこが同じか、比較検討してみてはいかがでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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コメント

7~8年前でしょうか、フランスは、レストラン・バル・カフェ、その他、あらゆる建造物内での喫煙を、法律で、禁止にしました。バルは、たばこをくゆらすおっさんこそ、似合う場所でしたが、今や、借りてきた猫、形無しです。
方や、日本は、店内禁煙は、そのお店の判断に仰ぐ、にとどめた事実があります。ただ、条例で、繁華街等の路上喫煙を禁じる動きが、全国的に広まっていますよね。
物事を、ずばり、と決めるフランス。ぐずぐずと、責任の所在をあいまいにしたままの日本。国民性を、よく表している、と思ったものであり、また、たばこを吸わない身に、なぜ、きっぱりと、建造物内禁煙が、決められないのか、と、その日本の対応に、歯がゆくも思ったものですが・・・。
ここへきて、どちらが良かったのか。
フランスの建造物内禁煙は、今も、厳格に守られています、ということは、一歩、建物から外に出ると、たばこを吸えるわけで、建物の出入り口は、常に、喫煙者のたまり場、そう、喫煙者は、多い、減っている感覚は、ありません。つまり、人が必ず通らねばならない通路が、受動喫煙のメッカと化しています、その、尋常でないこと。
方や、日本。お察しの通り、受動喫煙を避ける意識は、フランスの比ではありません。今にして思えば、どちらが良かったのか・・・。日本も、さして、悪いもんじゃない、という感覚です。
おそらく、将来のこと、どう転ぶか、わかりませんが、橋下徹という、元気な若者が、閉塞感を揺さぶり続けてくれているわけで、これは、面白い。
ぜひ、見続けていきたい、と思います。ひょっとしたら、歴史が大きく動くきっかけなのかも、しれませんものね。

投稿: 奥田 博美 | 2012年2月25日 (土) 00時41分

 首相公選については少壮期の中曽根康弘氏が声高に唱えていたことを覚えています。その後も同様の提案をする政治家が何名かいました。圧倒的多数の国民が社会の行き詰まりを感じるようになると大衆は指導者の欠点を看過しても決断力のある指導者を求めるようになります。それは決してヒトラーやスターリン、毛沢東を選んだ社会が特定だったからでなく、Fルーズベルトやチャーチルを選んだ米英も似たようなものでしょう。民衆は社会の閉塞感が長く続くと「現状を打破できるならどんな方法でもいい」と思うようになってしまうものでしょう。1920年代から30年代にかけての戦前の日本、90年代から現在に至る平成の日本も似ています。時代ごとの国際状況等があるにしても、問題は「長期にわたる閉塞感」を許してしまう、即ち閉塞感を打破できる指導者を生み出せない社会の仕組みにあるのではないでしょうか。特に今日の日本で深刻なのは国政のトップが頻繁に交替してしまうため、結果として官僚任せの行政になってしまっていることです。国でも地方でも官僚・役人は四十代後半から主たる管理職に昇っていきます。従って能力の高い政治家がトップの立場で四年以上、首長の場合二期八年以上留まるだけで役人は長の考えを実行するかそれとも左遷・退職しか選択肢がなくなります。要するに首相公選は政治が国民感情に流される上に一人に権力が集中し過ぎる問題がありますが、それが叫ばれる背景には、現状の議院内閣制や二院制に代表される我が国の国政の入り組んだ仕組みが私達が選出した議員の政治力を弱め、結果として官僚・役人が税金を好きなように使うことを許してしまっていることにあるのではないでしょうか。

投稿: 齋藤仁 | 2012年2月24日 (金) 15時32分

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