「理想」・「志」…わが国の原点に還ろう!
312回目のブログです。
“ 敷島の 大和心の ををしさは
ことある時ぞ あらはれにける ”
(明治天皇)
大東亜戦争(第二次世界大戦・太平洋戦争)後、すでに60数年を数え、国家も社会も「綻び(ほころび)」が明瞭になってきました。経済は実力を発揮できずに八方ふさがり、教育はサヨク思想により大幅な水準低下、国家防衛にはいまだ無関心が続き、政治は国家なき堕落の道、加えて見識なき混迷のルツボ。
時代をこのように眺め、嘆息しているばかりの今日このごろですが、それではあまりにも能がなく、わたし達は、あらためて、わが国の原点に立ち返り、その理想と志を再確認し、将来を展望し、未来を創造していくことに、応分の努力をすることが肝要でしょう。
その際、わたし達は、日露戦争の折詠まれた冒頭の明治天皇の御製にあるように、今、ことある時と思うならば“大和心のををしさ”を体現していかねばならないのではないでしょうか。
明治天皇は9万3000首という驚異的な数の優れた和歌を詠われていますが、この御製などは国民が頭を垂れ、こころしなければならない素晴らしい御製だと思います。
“ ふりつもる 深雪(みゆき)に耐へて いろかへぬ
松ぞををしき 人もかくあれ ”
(昭和天皇)
これは、大東亜戦争敗戦の翌年、昭和21年(1946)元旦の昭和天皇の御製です。敗戦に打ちひしがれてはいても、必死に耐えぬき、志を変えず新日本の建設に努めんとする国民を激励された和歌であり、その含蓄を耳に澄ませれば、自ずと頭が垂れるとともに、未来の創造への覚悟もひしひしと湧いてくるようでもあります。
それにしても、二千数百年の歴史を内に包んだ御製(天皇が詠まれた和歌のこと)は、まさに真の言霊として、わたし達の“精神”を揺り動かすほどの、なんとも言えない「力」を有していると思わざるを得ません。
“ 津波来し 時の岸辺は 如何なりと
見下ろす海は 青く染まる ”
(今上陛下)
今年、平成24年の歌会始でのお歌です。両陛下は、昨年の東日本大震災の被災地を数回にわたって巡幸されるとともに、今上陛下は、国民に向かって、ビデオで鎮魂と慰め、激励と感謝の「お言葉」を発せられました。時の首相の不明による政治の大混乱のなか、唯一心の支えとなったのが「お言葉」であったことは厳然たる事実です。
今上陛下は、人々の雄々しさに深く胸を打たれたと述べられましたが、これこそ、明治天皇、昭和天皇、今上陛下と連綿と続く、日本の歴史の強さであり、いまある国難に“雄々しく”向かっていく覚悟を示すことが打開への一歩となるに違いありません。
“Boys, be ambitious.
Be ambitious not for money
or for selfish aggrandizement,
not for that evanescent thing
which men call fame.
Be ambitious for the attainment
of all that a man ought to be.”
“少年よ 大志を抱け!
お金のためではなく
私欲のためでもなく
名声という空虚な志のためでもなく
人はいかにあるべきか
その道を全うするために、大志を抱け”
これは、札幌農学校の初代教頭であるW.S.クラーク博士が、1期生との別離の際に発した言葉として著名です。“大志”…素晴らしき言葉。この混迷の時代、若い人には改めて味わってほしい言葉だと思います。
題壁 釋 月性
男兒立志出郷關 男児志を立てて郷関を出づ
學若無成死不還 学若し成るなくんば死すとも還らず
埋骨豈唯墳墓地 骨を埋むあにただ墳墓の地のみならんや
人間到處有青山 人間到る処青山あり
月性(げっしょう)は幕末の勤皇の志士。起句の「男児志を立てて郷関を出づ」、結句の「人間到るところ青山あり」は何となく心が奮い立つところがあります。特に結句の、どんなところで死のうが本望だという「志」の覚悟には背筋がシャンとします。勤王の志士の凄さを感じざるを得ません。
幕末、維新の空気はさておいて、時代は何となくいわゆる閉塞感に覆われているように思えます。いろんな議論も議論のための議論、政治も政策も「私」のため、外国と日本国の弁別もできず、右往左往…このような時は、わが民族の志、建国の理想を、冷静に、虚心坦懐(何のわだかまりもないすなおな心でのぞむこと)に顧みることも大切なことだと考えます。
“上(かみ)はすなはち乾霊(あまつかみ)の国を授けたまひし徳(みうつくしび)に答へ、下(しも)はすなはち皇孫(すめみま)正(ただしき)を養ひたまひし心(みこころ)を弘(ひろ)めむ。然して後に六合(くにのうち)をかねて以て都を開き、八紘(あめのした)を掩(おお)ひて宇(いえ)と為(せ)むこと、また可(よ)からずや。”
(現代語訳)
“上は天津神の国をお授け下さった御徳に応え、下は皇孫の正義を育てられた心を広めよう。その後国中を一つにして都を開き、天の下を覆いて一つの家とする事は、また良い事ではないか。”
(2672年前の紀元前660年・皇紀元年2月11日
神武天皇即位の詔一部抜粋)
わが国は神々から授かった国であり、正しい道を歩み、日本という国としてまとまり、ひとつの家族となろうではないか…。この言葉から、穏やかで謙虚ななかにほとばしる凛とした建国の精神を感じ取ることが出来ます。
困ったとき、難儀な時は原点に還れが鉄則。企業であれば創業の精神を、国家であれば建国の理想を追想、確認することが眼前にある難問を解く鍵となるに違いありません。
タイトルに「理想」「志」…わが国の原点に還ろう!と記しましたが、わたし達は、志を持って理想を求めていかねばならないのではないでしょうか。
“立てそむる 志だに たゆまねば 龍の顎の 玉も 取るべし”
(顎―あぎと・あごのこと 作者・出典不明)
当初立てた志に向かってたゆまず努力していけば、龍の顎にあるとされる美しい玉さえも入手できるものだ…。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です。
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