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2012年5月18日 (金)

1に電力、2に復興、3、4は・・、5に増税!

 325回目のブログです。

いたづらに 過ぐる月日も おもしろし 花見てばかり 暮されぬ世は
(四方赤良・狂歌師・江戸時代)

 何と言うこともなく過ぎてゆく月日もけっこう面白いものだ。春だからと言って、花を見てばかりでは、暮らしてゆけない世の中なんだから…。

 たしかに、世の中は、四方赤良(よものあきら)の狂歌の通りだと思います。花が本花か徒花かは別にして、花や名誉や地位や理論を金科玉条と考え、実質の社会基盤を無視しては暮らしは成り立ちません。

 ところで、政府のやろうとしていることはどうでしょうか。何が何でも「消費税増税」の一本槍であり、他のことはまるで眼中にないかのごときです。

  政府の優先順序(推測)
① 消費税増税法案
②  …
③  …
④ 韓国・中国との宥和謝罪外交
⑤ 電力
⑥ 復興

 これを見て疑問に思うのは、消費税増税で国民経済や企業経営はどうなるのか、今は、他の課題の方が優先するのではないかということです。わたしは次のように考えます。

  喫緊の優先課題
電力の安定供給
② 震災復興の促進
③ 日本外交の推進(対韓・対中・対米)
④ デフレ脱却・成長政策の推進
消費税の増税

 今、野田内閣は消費税増税に一直線ですが、喫緊(さしせまって重要なこと)の最優先課題は、電力の安定供給でなければなりません。特に「今夏の電力需要」を原子力発電(原発)なしで供給できるのかということが直近の大きな課題です。

 政府は、4月、5月の真夏直前という今頃になって、電力供給に慌てふためいていますが、これは、現政府が統治機能や統治感覚を喪失していることを意味しています。そして、まことに残念ながら、彼ら政治家がそのことに何の恥ずかしさも後ろめたさも感じていないところに、わが国の政治の大いなる劣化を認めざるを得ません。

 そもそも、電力は、この「今夏の電力需要」さえクリアすれば良いのではなく将来にわたっての『安定供給』に視点を置く必要があります。

 この点で、マスメディアの現状の報道姿勢には大いなる問題があると言えましょう。マスメディアは短期的視点だけでなく中長期の視点を押さえ、科学的立場を堅持し、いやしくも“原爆怖い・放射能こわい”というような情念(センチメント)からではなく『理性的判断』に基づく報道に徹すべきではないでしょうか。

 なぜ電力は安定供給されなければならないのでしょうか。図をごらんください。

国民生活の向上 =(国力の維持・発展)

経済の成長

企業の発展・成長・活性化

企業の生産活動 + 設備投資・新規投資(新工場・新事業)

電力の永続的安定供給 =(基本的インフラ)

 電力の安定供給がなければ国民生活の向上は望めず、国民生活が下降するのは必然です。今、今夏の電力需要を乗り切ることに大苦戦しているのは、原発依存度の最も大きい関西電力、関西地方であることは言うまでもありません。

 先日、需給見通しがでましたが、それによりますと、関西電力は14.9%の電力不足(8月・原発稼働なし・平成22年夏猛暑を想定)となっています。関電は、他電力会社からの融通などを含めいろんな対策を講じておりますが、場合によっては「電力使用制限」「計画停電」を覚悟しなければならない事態を迎えているのです。

 すでに、関西の企業、工場は、計画停電になった場合を想定し、生産を関西以外、日本以外に移せるものは移そうと準備を始めています。電力不足が日本経済の空洞化を招くのは必至であり、何が何でもそれを食い止めなければなりません。

 そういう背景のなかで、関電は、大阪府市統合本部などの要望に応えるべく懸命の対応策を講じており、他電力会社からの電力融通、火力発電・太陽光発電・水力発電のMAX化、新料金メニュー・企業や一般家庭の協力による節電などで、上手くいけば、5%の不足にまで縮小させることができそうだと発表しました(5/15)

 しかしながら、勘違いしてはいけないのは、5%だけ更に節電すればいいのではないことです。それは、何が何でも今夏のブラックアウト(大停電)を避けなければならないからです。そのためには、最低でも10%の余力が必要であり、したがって、増電と節電を併せてさらに最低15%の確保が必須となります。

 なぜ余力が必要かと言えば、関電は古い火力発電所を再稼働させており、いつダウンしてもおかしくない状況に置かれているからです。また、ブラックアウト(大停電)が生じれば、水道水の配水も止まり、市民生活、病院、企業活動など大混乱に陥るのは火を見るよりも明らかです。

 ここにおいて、関電大飯原発34号機の再稼働に向けて政府が動きだし、おおい町長も再稼働を了承しました。

 原発再稼働は悩ましい問題ですが、国民の過半は、原発にある種の恐怖感を有しており、政府は、全国民に対して“正心誠意”説得に当たらなければなりません。それが政治の基本というものではないでしょうか。

  野田総理は、原子力発電についての「自らの哲学、思想」を述べるべきである。

  大飯原発34号機は、福島機とは型式と年代が異なり、たとえ福島第一原発と同じような事態となっても、必ず冷却でき「安全を間違いなく確保できる」ことを、国民の信頼感ゼロである枝野大臣ではなく、野田総理同席のもと、政府原子力技術責任者が科学的側面から明言すべきである。

 橋下大阪市長は今まで急進的に反原発の言動をしてきましたが、ここにきて、ブラックアウト(大停電)を恐れ、言動が微妙に変わってきています。橋下氏は周囲の顧問の意向に影響されがちですが、原発については情念からではなく、純粋に冷静に科学合理的に判断すべきではないでしょうか。

 今の政治家に求められているのは、①発信力、②決断力、③スピード力です。野田総理には原発を再稼働するのであれば、国民に対して、あらためてご自身のよってきたる信念を強く発信してもらいたいものです。

 現在、上記の3条件を備えているのが石原東京都知事と橋下大阪市長のお二方であることは衆目の一致するところであり、中央政治にそのような方がおられないことが日本政治の弱点であり、誠に残念に思います。

 それにしても、企業活動に重い制約を課すのは国家的犯罪であり、電力の確保は絶対の条件であることを、わたし達は肝に銘ずべきだと考えます。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です。

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コメント

今国家(政府・政党)が掲げるべき施策の優先順位に関する貴ご指摘には全く同感です。総理は頭が狂っているのではないかと関係方面に懸命に発信(提案)しています。貴見であえて空欄にしてくださってる中間位置に是非北朝鮮拉致被害者奪還もお加え頂きたいと懇願します。政府の担当大臣でさえ未だにこれは国家が拉致された(主権侵害)重大課題との認識がなく北朝鮮側になめられているのでです。 私はこの悲劇多対応支援に10年あまり関っております。昨日も被害家族に面談しましたが、政府や政治(担当大臣でさえ)の意識の低さ(無さ)の爆発寸前の怒りを全身に感じて帰阪しました。 報道によれば、日本との拉致問題の解決は他界した指導者の遺訓にさえ示されているのです。30年ー40以上連続する悲劇への国家間解決の素地が今ほど整っている時はないと確信します。貴意ご指摘の様に、国内で数年先の課題である消費税問題より拉致問題の方が明らかに優先順位が高いのです。

投稿: 岡村昭 | 2012年5月18日 (金) 15時26分

ご主旨に賛成です。北朝鮮の経済が発展しない最大の原因は電力不足です。在日が最新鋭の機械設備を持ち込んでも電力の安定供給ができず、すぐに壊れるそうです。産業用電力は質が良くなければ使えません。電圧、出力、周波数などが安定していなければ、産業用の基幹電力にはなりません。新エネルギーはこの点失格です。家庭はもっと節電努力をすべきですが、それでも基幹電力の不足は補えません。火力発電も高価で、輸入に頼らねばならず、供給が不安定です。質の良い大電力の安定供給は日本経済の復興と成長に不可欠です。そのためにまず原発の再稼動が必要です。放射能汚染も、科学的基準値に比べて、政府の規制値そのものが過度にきびし過ぎます。そのうえ規制値内のものでも受入れに反対するのは、非合理的な一種のヒステリーです。このような勢力に日本の運命を左右させてはならない。そのため政治家は説明責任を果たすべきです。橋下市長も一部の無責任な言葉に踊らされず、理性的な責任ある判断をすべきです。

投稿: 矢野義昭 | 2012年5月18日 (金) 10時43分

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