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2012年6月29日 (金)

成長こそ「力(ちから)」の源泉だ!…② 

 331回目のブログです。

“ 駿河路や 花橘も 茶の匂ひ ”
芭蕉(俳聖・江戸時代・「炭俵」)

 江戸から東海道を上り、駿河国(現静岡県)あたりに来ると、暖かい気候のためか、白い橘の花が咲きほこり良い香りを放ってはいるが、さすがに、ここは茶どころ、新茶の香りがそれらを全て包んでしまっている…。

 人口に膾炙した芭蕉最秀句の一句と言われています。江戸時代の駿河路の明るい豊かな風土と情趣を一七文字にあらわしたものですが、今日のわが国は、その情景と遠く離れ、明るい風土と豊かな精神を徐々に失ってきているように思えてなりません。

 その原因は多々あるのでしょうが、「力(ちから)」…国力・企業力・教育力・人間力・社員力など…が全般的に弱まってきていることではないでしょうか。

 前回のブログでは「国力」について述べましたので、今回は「人間力」と「社員力」について記します。わたしたち国民がおそらくほとんど実感しているであろう、弱まった「力」をとり戻すキーワードは“成長”にあり、成長こそ力の源泉だと思います。

 それでは「人間力」について考えてみましょう。

「人間力」の意味を辞書に尋ねれば「人間力とは、人間が有している力のことである」とか「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」などと書いてありますが、わたしは次のように考えます。

          「人間力」(Human Quality)=「志」+「思いやり」

 志は、真っ直ぐに突き進む力であり、思いやりは、穏やかな包容力です。この二つをバランス良く揃えることが人間としての総合的魅力につながるものであり、それを育くみ“成長”させていくことが肝要です。

 松下村塾という小さな私塾で、松陰無くして明治維新を語ることは出来ないと言われるほど、明治維新に連なる多くの偉人・傑物を育てた吉田松陰は、人間力を育む三要素として次のように記しています。

「立志」-心を奮い立たせるような志をもつ
 「読書」-人間力を高めるような本を読む
 「択友」-お互いの人間性を磨き合える仲間と付き合う

 行動力の根源は、志・強い意志・使命感であり、まさに心を奮い立たせるような志をもつことが大切ということでしょう。読書は古典からはじまり真に良書と言われるものを選ぶべきであり、友人を選ぶにあたっては、論語における孔子の言葉に適切なものがあります。

「益者三友、損者三友(「論語」季氏篇)

友直、友諒、友多聞、益矣。友便辟、友善柔、友便佞、損矣。
(直きを友とし、諒(まこと)を友とし、多聞を友とするは、益なり。
 便辟(べんぺき)を友とし、善柔を友とし、便佞(べんねい)を友と
 するは、損なり)

 有益な人は、①正直な人、②誠実(誠心)な人、③見聞豊かな(物識りの)人の三者、有害な人は、①要領のよい人(体裁ぶった人)、②愛想の良い人(うわべだけのへつらう人)、③口先の上手い人(口先の達者な人)の三者…と孔子は分かり易く教えてくれています。さはさりながら、有益の人だけと交わるのはなかなか難しいものですが、できるだけそう努力したいものです。

 次に「社員力」について考えてみます。

 今、企業を取り巻く環境は日進月歩、その変化、変動のスピードは目を見張るばかりです。永らく企業価値は、人+物+金とみなされていましたが、社会の進展に伴い、人+物+金+情報と言われるようになりました。これを立体的に分かり易く示しましょう。

     表層  物・情報・金
     中枢  人(人材)
     基盤  企業理念

 表層の物や情報や金が潤沢にある企業は少ないのが現状であり、特に中小企業はそうですが、基盤となる企業理念は、どんな企業であっても強く持つことはできます。また、中枢に位置する人(人材)は、プロ野球巨人のように他球団から4番バッターばかり集める金はなくとも、自前で育てること(人材育成)が出来ます。いや、育てる努力を重ねなければならないのではないでしょうか。

 社員力とは何か。「社員力」を辞書で引いても項目がでてきませんが、わたしはつぎのように考えます。

  「社員力」=行動力×創造力×人間力

 別に表現しますと、社員力は企業内における社員の総合的能力だと言うこともできるでしょう。その総合的能力の大きな部分を占めるのが行動力(アクション)です。沈着かつ素早い行動があってこそ営業であれ、製造であれ、技術であれ、大きな成果が期待できます。現在、若い世代に行動力が乏しいと指摘する声がありますが、それを教育するのも上司の役割でもあります。

 創造力(クリエイション)は、深い感動により生ずるもの。日本の四季折々の変化や歴史を紡ぐ物語、美しい絵画や舞台、人類に夢を与える新技術やそれへの取り組む姿勢などにリリックに感応することが大切であることを知らなければなりません。したがって、企業のなかにおいても、その感受性を育てるような感動の場があることが望ましいのです。

 人間力(ヒューマンクオリィティ)については上に記したように、志と思いやりです。

社員力は、行動力×創造力×人間力の総積、掛け算です。この3つのバランスが大切であり、これらの各項目を成長させ大きなものにしていかなければ、企業も力を弱めていき、日本という国の将来が危うくなるのは必定ではないでしょうか。

 わたし達は、いままで「力(ちから)」と言えば、何となく忌避してきました。第二次大戦後60数年、国力や防衛力や人間力さえ、弱弱しい方がいいんだ、それが平和の基準だとの倒錯的な錯覚、誤った認識に陥ってきていたのです。

 このままでは、わが国は弱化の一途。ここで、“力”(ちから)を見直さなければなりません。そのためのキーワードが「成長」です。

 ダイナミズムは「成長」から!…成長こそダイナミズム、活力、力の源泉です。 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

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