「酒の詩」…秋・名月・酒を楽しもう!
342回目のブログです。
“偽善者は素晴らしい約束をする、約束を守る気がないからである。
それには費用も掛からず、想像力以外の何の苦労も要らない。”
エドマンド・バーク(英国の哲学者、政治家)
いよいよ、民主党代表選、自民党総裁選、日本維新の会結党が行われ新しい政治の方向を模索する段階になりました。その後は「近いうち」「近い将来」「やるべきことをやった後」(すなわち今年10月~来年8月までに)総選挙となりますが、自民党全体、とりわけ谷垣総裁のもえたぎる権力闘争心の完全欠如から、総選挙がズルズルと今日に至っているのはどう考えても合点もいきませんし理解もできません。
それに比べ、日本維新の会の橋下・松井・浅田のコンビは着々と権力奪取に邁進しているようにみえます。しかし、はたして本当に国民が支持するのかどうか予断は許せないでしょう。
それにしても、ここで大切なことは、著名なエドマンド・バークの箴言(戒めのことば・格言)にあるような『偽善者の約束』をわたし達国民が見抜かねばならないことではないでしょうか。
民主党は嘘偽りの左翼リベラル、自民党は中道利権、公明党は宗教利権、日本維新の会は単純大風呂敷であるとするならば、できること、やることのみを約束し嘘を言わない「誠実な政治家」日本国意識を内心に確立している「憂国の政治家」世界の中の日本を考える「国際感覚豊かな政治家」に期待する以外に道はないと思います。
ところで、朝晩はかなり涼しくなり、いよいよ秋本番、中秋の名月にそぞろ秋の静かな感懐にひたる情景がすぐとなりました。このような時に、ある意味で必要不可欠なのが、人と人との関係を柔らかく結びつかせる、人間社会の触媒と言われる「酒」ではないでしょうか。
古来、わたし達の先人は、お酒を通じて四季の情趣を、とりわけ秋のしみじみと落ち着いた気分やおもむきを感得する豊かな心を持ち合わせていましたが、現在の政治リーダーに、情趣に親しむだけの精神的余裕を持っているのかどうかいささか疑問を持たざるをえない今日このごろです。
そうであれば、著名な文人墨客の「酒の詩」をひもとき、あらためてその雰囲気でも鑑賞したいものです。
“酒坏に 梅の花浮かべ念ふどち 飲みて後には 散りぬともよ”
(大伴坂上郎女・万葉集)
“験なき物を思はずは 一坏の 濁れる酒を 飲むべくあるらし”
“古の 七の賢しき 人たちも 欲りせし物は 酒にしあるらし”
(大伴旅人・酒を讃むる歌)
「月の夜、雪の朝、花の本にても、心長閑に物語して、盃出したる、万の興を添ふるわざなり。/つれづれなる日、思ひの外に友の入り来て、とり行ひたるも、心慰む。馴れ馴れしからぬあたりの御簾の中より、御果物・御酒など、よきやうなる気はひしてさし出されたる、いとよし。冬、狭き所にて、火にて物煎りなどして、隔てなきどちさし向ひて、多く飲みたる、いとをかし」
(吉田兼好・徒然草)
“酔うて寝ん 撫子咲ける石の上”
“川舟や よい茶よい酒 よい月夜”
(松尾芭蕉)
“紅葉には 誰が教へけむ酒の燗”
(宝井其角)
“酒を煮る 家の女房ちょとほれた”
(与謝蕪村)
“引っかける 大盃に 胡蝶かな”
(小林一茶)
“かきつばた 我れこの亭に酔ひにけり”
(良 寛)
“白玉の歯にしみとほる 秋の夜の 酒は静かに 飲むべかりけり”
“語らむに あまり久しく 別れゐし 我等なりけり いざ酒酌まむ”
(若山牧水・讃酒歌)
“「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの”
(Are you all right? After chugging down a mere two cans of Chu-Hi,coming right out and saying“I want you to be my wife.”
(俵万智・サラダ記念日)
『秋 思』(抜粋) 島崎藤村
秋は来ぬ
秋は来ぬ
一葉は花は露ありて
風の来て弾く琴の音に
青き葡萄は紫の
自然の酒とかはりけり
秋は来ぬ
秋は来ぬ
あくれさきだつ秋草も
みな夕霜のおきどころ
笑ひの酒を悲みの
盃にこそつぐべけれ」
『涼州詩』 王 翰
葡萄美酒夜光杯(葡萄の美酒 夜光の杯)
欲飲琵琶馬上催(飲まんと欲すれば 琵琶 馬上に催す)
酔臥沙場君莫笑(酔うて沙場に臥す 君笑ふことなかれ)
古来征戦幾人回(古来 征戦 幾人か かへる)
『勧 酒』 于武陵
勧 君 金 屈 巵(君に勧む 金屈の盃)
満 酌 不 須 辞(満酌辞するをもちひず)
花 発 多 風 雨(花ひらいて風雨多し)
人 生 足 別 離(人生 別離 足る)
これには、井伏鱒二の名訳があります。(厄除け詩集より)
コノサカヅキヲ 受ケテクレ
ドウゾナミナミ ツガシテオクレ
ハナニアラシノ タトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ 人生ダ
いかがでしょうか。このほか数多の詩歌(和歌・俳句・連歌・川柳・漢詩・古詩・散文詩・定型詩・民謡・歌謡など)に「酒」が取り上げられています。
わたし達は、がさがさした乾いた世相のなかにいる所為か、春夏秋冬の自然の移ろいとわが日本人の織り成す情緒、情趣を、ともすれば失いがちになっていますから、こういう時は、お酒にその効用をもとめながら、もう少し余裕ある感性を育むことが大切だと考えます。
そうでなければ、本当にいざという時、真の「勇気」…国難に命を懸ける尊い言動…を発揮できないと思われます。
人間には「Tension & Relax」が必要であると言われますが、今は、特に真のRelaxが求められています。わが国の各分野のリーダーには、時には酒杯のもと、名月を眺めながら、静かに思考を廻らせ、浩然の気を養うことが肝要であり、それが「真剣なる覚悟」につながることを求められているのではないでしょうか。
甘えの時代は終わりました。自主、自立、自尊。日本が危ない!
それにしても、それにしても、一刻も早い総選挙を望みたいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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