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2013年1月25日 (金)

「デフレ克服」…ある知識人の空言に物申す!

 361回目のブログです。

“世の中の 人の心は花染めの 移ろひやすき 色にぞありける”

読み人知らず(古今和歌集)

世の人の心などというものは、露草で染めた染め物のように、すぐに色あせてしまう、うわべだけの美しさなのだなあ…。

 これは終わってしまった恋をしみじみと嘆く歌です。古の花染めは露草によるものでしたがすぐに退色する欠点がありました。(今は、草木染などと言って微妙な自然色を好む人も増えています)その「露草」を使った染物に託して、人の心の移ろいやすさを和歌に詠う当時の人の情緒豊かな精神に、現代人が欠けているものを感じないわけにはいきません。

 年が明けて1ヶ月弱、喜ばしいことに、世の中の動きがとみに加速してきた感がありますが、はたして安倍政権、経済政策、特にデフレ脱却はうまくいくのでしょうか。このことに注目していろいろな政策論などをみているのですが、次の文章をご覧ください…

『日本経済が低迷しているのは、バブル崩壊後の調整で苦しんでいるからではない。デフレマインドにどっぷり浸かって、家計企業も支出を増やそうとしないから景気が悪いのだ。まさに景気は「」からなのである。資金はジャブジャブにある。今必要なのは、その資金を積極的に使ってリスクをとって投資をしようとする企業の存在なのである。安倍政権がデフレ脱却のための強い姿勢を打ち出している。インフレターゲットの設定を日銀に求めた。こうした政策の効果がでるかどうかは、国民のデフレマインドを払拭できるかどうかにかかっている。日本の企業も景気低迷を嘆くのではなく、自分たちのその消極的な姿勢が景気低迷の最大の原因であるということをきちっと認識すべきだろう。日本経済の「気分」が大きく変わることを祈りたい。』

 これは、平成25年1月13日、産経新聞「日本の未来を考える」というコラムで「デフレマインドの払拭」と題されて書かれたものの一節です。

この文章を誰が書いたと思われますか。あろうことか、かの東大教授・伊藤元重氏なんです。伊藤元重教授は著名な経済学者ですが、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のコメンテーターもつとめ、このたびはわが国の重要な方向を決めるであろう「経済財政諮問会議」(Council on Economic and Fiscal Policy)のメンバーにも選ばれました。

 わたしは、伊藤教授の文章はとんでもない空言(うそ・いつわりのこと)、倒錯した議論だと考えます。教授の趣旨を箇条書きにしてみましょう。

日本経済の低迷は、家計や企業が支出を増やさないからだ。
景気は「気から」である。
政策の効果は国民がデフレマインドを払拭できるかどうかによる。
企業は、自らの消極的な姿勢が景気低迷の最大の原因であることを
 認識せよ。

日本経済の「気分」が大きく変わることを祈る。

 この考えについて、わたしは100%どころか180%同意できないとともに、ある種のさえ覚えています。また、産経のような一流全国紙が特別に寄稿してもらうだけの価値を見出すことはできません。各項目への反論は次の通りです…

  日本経済の低迷の原因を家計と企業においていますが、権威があるとされる東大の教授である伊藤元重氏に求められているのは、家計や企業が支出を増やすにはどうすればいいのかの処方箋、方策、政策です。わたし達国民は、教授が机上で高みの見物をしている姿を見たいのではないことをわかってほしいと思います。

伊藤教授は、景気は気からと言いますが、こんな発言でも大学教授、ましてや国立である東大、それも経済学部の教授が務まるなんて信じられません。わたしたちのような一市井の民が、世の中の雰囲気を肌で感じての発言であれば、それなりに納得できるのですが、経済学部の教授であれば、景気を良くする処方箋、方策、政策を提案し、場合によっては積極的に国のリーダーや国民を説得していくべきではないのでしょうか。

  教授は、国民がデフレマインドを払拭できなければ政策の効果がでないと述べていますが、何をのたまわっているのでしょうか。有効な政策とはデフレを克服し国民のデフレマインドを払拭する政策のことであり、その有効な政策を立案、提言するのが氏の大きな役目の筈です。高みにいる自分らには一切の責任はないとし国民にデフレの責任をすべて負わすことは何の意味も有せず、無責任と同時に誠実さ、真摯さに欠ける戯言と言わざるを得ません。

  企業人の消極的姿勢が不景気の要因であると述べていますが、確かにそうでしょう。しかしながら、それが経済社会の現状であるとすれば、単に企業人のビヘイビアに文句をつけ、刃を突きつけたりしても、何らの解決にもなりますまい。企業人が積極的になるような仕組み(インフラ整備・税制改正・情報システムの確立など)を考え、提言するのが、頭脳明晰といわれる教授らの責務であることは明白ではないでしょうか。

  “日本経済の「気分」が大きく変わることを祈る”とさいごに書いていますが、祈るのは無学なわたしたちであって、一応学問のある方々、特に経済学の教授には、経済と言う言葉は経世済民の略であることを認識していただき、ぜひ、理論に基づいた具体的な生きた政策を提示して貰いたいものです。

 端的に言えば、伊藤元重教授は、景気が悪いのは国民に責任があり、国民の意識が変わらない以上良くならないとの認識を持っています。この考えを押しすすめて行けば、経済学なんて不要の長物となります。何でもかんでも、自分は良くて、他人が悪い、国民が悪い…こんな発想をすればするほど“経済学は死んだ”と言われるのではないでしょうか。

この方がわが国経済の舵取り役である「経済財政諮問会議」のメンバーとなられたのですから、大いなる疑問なしとはしませんが、御用学者と言われないように、国家・国民のための積極的な発言を一応期待しています。

 今、わが国経済は重要な局面に立っており「錯綜」が坩堝(るつぼ)で渦巻いている状態だと思いますが、心ある経済学者には、ぜひ「国民経済」はどうあるべきかを基盤において、その構造と行くべき道筋を明示してほしいと切望しています。

 冒頭に掲げた古今集の和歌にあるように、すぐに色あせるうわべだけの美しさではなく、心の底から滲み出る真実の美しさを示すことこそ、今、国民から求められているのではないでしょうか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

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