フレッシュマン(新入社員)に期待する!…①
372回目のブログです。
“遅れても 咲くべき花は 咲きにけり 身を限りとも思ひけるかな”
藤原為時(平安中期歌人・紫式部の父)
咲き遅れても咲くべき花は咲くものだ。わが身の栄達も見込みのないものとあきらめてはいたが、希望を持とう…。
4月1日は入社式、入省式、入所式など、いろんな組織がフレッシュマンを受け入れました。日本の情緒を漂わせる桜の季節での社会人としての出で立ちに、新人たちは自分の将来に希望をもっているものと思います。
それでも、仕事に対しての自信喪失、上司や部下や同僚との人間関係での苦悩、そして人事評価が低いことへの不満など、いずれ近い将来、厚い壁が立ちはだかることは間違いありませんが、その時は、上掲の和歌にあるように“遅れても咲くべき花は 咲きにけり…”の感覚で乗り越えていただきたいものです。
さて、例年、社会経済生産性本部から「入社年度別新入社員タイプ」が発表されますが、今年は次のように表現されています。
『ロボット掃除機型』
一見どれも均一的で区別がつきにくいが、部屋の隅々まで効率的に動き回り家事など時間の短縮に役立つ。しかし段差(プレッシャー)に弱く、たまに行方不明になったり、裏返しになってもがき続けたりすることもある。能力を発揮させるには環境整備(職場のフォローや丁寧な育成)が必要。
なかなか言いえて妙。受け入れ側は、研修プログラムを工夫し、プレッシャーを与えないようにコミュニケーションに配慮し、必ず「育成」してみせるとの意識を持つことが大切でしょう。
フレッシュマンが最初にぶつかるのは「こんな会社ではなかったはずだ」「こんなえげつない会社なのか」という会社そのものへの懐疑です。企業というものは、多かれ少なかれ多少の問題点は持っているものであり、巨大企業、成長企業、国際企業だからといって立派なものとは限りません。
たとえば、わが国で最も有名なSPA企業(Speciality store retailer of Private label Apparel・製造型小売業)である○○○○(カタカナ4文字)と言う会社が、先日経済有力雑誌でブラック企業ではないかとの指弾を受けました。(ブラック企業とは、入社を勧められない労働搾取企業を指す。英語ではSweatshop、中国語では血汗工廠)
近年、新入社員が入社3年以内に退社するのが顕著になり問題になっていますが、上のような会社だとわかれば、①できるだけ速やかに退社するか、②苦しいけれど頑張って自分が幹部社員になり社風を変えてみせるという気概を持つか、のどちらかを選択すべきだと考えます。どちらも正解ではないでしょうか。
しかし、歪な会社はそんなに多くなく、大半は環境に順応しながら仕事に励んでいくことになりますが、大きな問題点が横たわっていることを知らねばなりません。
それは学力、知識、教養の問題です。今年の新入社員もそうですが「ゆとり教育」を受けた世代は基本的に学力が劣っていることなのです。したがって、新入社員はそのことをまず自覚し、サラリーマン・ビジネスマン人生の設計をしていかねばなりません。
(新入社員のみなさん!「ゆとり教育」の導入に積極的に賛成した、リベラル政治家、文科省、日教組、御用学者、マスコミ、左翼文化人、市民運動家などに対して、その無責任な仕打ちを恨みに恨み、怨嗟の声をあげるべきです。ゆとり教育は死刑に値するほどの明白なる犯罪です。たまたまこの世代であったばかりに、人生がとんでもないことになろうとしているのですから…)
そのためには、自己啓発が大切になります。学生時代までに蓄積した知識と論理と技能だけではなかなか通用しません。学生時代+αが求められています。自己啓発は、自分自信が何かしたいというおぼろげな目標、あるいは明確な目標に対して、自らを自主的に向上させようとすることにほかならず、その意味において、日常の仕事にプラスして自己啓発にも時間とエネルギーを掛けなければならないのです。
自己啓発にはいろいろありますが、新入社員にまず薦めたいのは「読書」の習慣をつくることです。最近の若いサラリーマンは読書が少ないと言われますが、確かに、パソコンやスマホ(スマートフォン・多機能携帯電話)があり、本などは読まなくてもいくらでも情報が入ってくる環境にはあります。しかし、それは単なる情報であり、起承転結のはっきりした本をじっくり読むことで知識をわが身のものにできるのではないでしょうか。
最近のアメリカの調査によれば、パソコン(パーソナルコンピュータ)やスマホ(スマートフォン)のスクロールで読む理解度と印刷物で読む理解度では1:20の差異があり、印刷物で読むほうがはるかに高いことがわかったそうです。
それでは、読書について、ビジネスマンを目指す人へ私なりのアドバイスを記しますので、ひとつのヒントとしてください。
【 実社会における読書はどのようにすればよいのか 】
① 自腹で本を購入すること。
(自分自身に対する長期投資であることを認識せよ)
② 月に最低、単行本2冊、総合雑誌1冊を読む。
③ 何を読むべきか。
(下記のa.b.cをバランスよく読むこと)
(a)実務に関した本
・今、自分が担っている仕事についての本
・今、自分が担っている仕事の周辺についての本
(b)教養・知識を身につける本
・歴史、経済、社会、政治、技術動向など
(c)休養・娯楽のための本
・趣味、小説など
④ 通勤時に読む本は何が良いのか。
(a)出勤時
会社はある意味では戦場であり、戦場へ赴く道筋が通勤電車ですから、実務に関した本あるいは新聞、すなわちrealityのあるものを選ばなければなりません。そしてまちがっても、小説を選んではいけません。それは、小説は情念、想像、imaginationの産物ですから、realな会社には相応しくありません。
(b)退社時
心を落ち着かせる家路ですから、何を読んでも構いません。小説などは良いと思います。
いかがでしょうか。フレッシュマンには、持ち前の若さと行動力に加えて長期を見据え、ぜひとも「読書」の習慣を身に着け、ステップアップを実現し、己のため、社会のため、国家のために存分の力を発揮されることを望んでやみません。
わが国は、今、内外に亘って、苦難の時であることは、みなさんも肌で感じていると思いますが、それを打開していく力は単に若さだけでは不足しており、真実の知識、心豊かな教養、国と歴史に共感する溢れんばかりの公の精神、それに加えて真の勇気が必要です。それを、フレッシュマンに力強く目指してほしいと念願します。(まちがっても、ゆとり教育推進者のような出鱈目な社会人にはならないように…)
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です。
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