偽装・不当表示・やらせ…企業の不祥事激発を憂う!
403回目のブログです。
“秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ”
藤原顕輔(新古今和歌集・百人一首)
秋風のためにたなびいている雲の切れ間から、洩れてくる月光の、なんと澄み切った美しさであることか…。
秋の澄み渡った濃紺の夜の空が目に浮かんでくるような、分かりやすく格調の高い名歌です。日本人であればこのような秋の夜の月の情趣にゆったりとした気持ちで浸るのが本来の姿でしょうが、如何せん、世の中は偽装、不当表示、やらせなどという不誠実な現象が続出しており、なかなかそうはいきません。
ごく最近の事件を振り返ってみましょう。
・「イオンで中国産米を愛知産米と偽装販売全体の4割もの量」
中国の土壌はカドミウム(Cd)や水銀(Hg)などの汚染度が極度に高いのは常識であり、たとえ極めて少数の輸入抜き取り検査をしていても、偽装の裏に何かあるのではないかと疑われても仕方ありません。
・「阪急阪神ホテルルズで食材偽装」
芝エビがバナメイエビ、手作りが既製品、フレッシュジュースがパックジュースなど羊頭狗肉の偽装食材多数判明。社長辞任。
・「リッツカールトン・高島屋・大丸松坂屋・近鉄など食材偽装続出」
百貨店、ホテルなど名だたる企業が偽装のオンパレード。牛肉が加工肉、車海老がブラックタイガーなど惨憺たるありさま。
・「楽天が日本一優勝セールで不当表示 77%引きは大嘘」
シュークリーム10個12,000円(通常価格)を割引価格2,600円で販売するも、実は、通常価格は2,600円というごまかし。膨大な点数を不当表示。
・「フジテレビが人気番組≪ほこ×たて≫でやらせ発覚」
フジテレビは“やらせ・捏造・韓国寄り”が極めて顕著で視聴率低下。
その他、JR北海道の軌道幅保守点検管理不備事件、みずほ銀行暴力団迂回融資事件、ヤマト運輸クール便取扱不備事件など、優良企業と言われる民間企業による不祥事は枚挙にいとまありません。
イオンについては、わが国農業の基本産物である「お米」を粗末に扱い、産地偽装、それも中国産を日本産と称する等、見え透いた何でも中国バンザイであり、日本人に安心した商品を届けるべき普通の企業の普通の良心を失ったゼニゲバ偏向企業と言わねばなりません。
楽天についてもそうではないでしょうか。普通、星野監督の背番号にあやかった「77%引き」なんて商品がありうるのでしょうか。77%の販売価格すなわち「23%引き」ならば十分理解できます。そんな77%引きなどという強引な無理を押し付けるから、業者は通常価格を引き上げるというごまかしに走るのです。
そんな犯罪的行為をしておきながら、楽天・三木谷浩史社長は一般医薬品のインターネット販売の一部を規制する政府案薬事法を批判し、認められないなら、政府の産業競争力会議の民間議員を辞任する考えを明らかにしています。
自分の会社の利益に結びつかないのであれば、国家全体の方針を議論集約する政府委員を辞めるという脅し、これはまさしく「政商的言動」に他なりません。これが、わが国のトップを走る若手経営者の実像ですから、気分も萎えてきます。三木谷社長は、インターネット市場で犯罪的行為をしたのですから、薬事法改正で大きな口を叩く資格はありません。
フジテレビも又々やらせが発覚し番組を中止することになりました。テレビ業界で栄光を担っていたフジが凋落していったきっかけは、捏造と偏向による「韓流押し」からです。別に、韓流番組が悪いわけでなく、それを異常な割合にまで提供し、公平・良識であるべき報道やワイドショー番組で韓国を偏愛し過ぎ、あげくの果てはデータと画像を韓国寄りに捏造するなどしたために、常識を理解する視聴者から嫌悪感をもって避けられるようになったのです。
日本国よりも韓国を大切にする映像表現(サッカー・フィギュアーの表彰式で韓国旗は映しても日本国旗は映さない、インタビューの時フィギュアー浅田真央選手の転倒したパネルを大きく掲示するなど)は不気味なほど異常であり、現在、日本領土である竹島やいわゆる従軍慰安婦問題などで、韓国に大いなる違和感を覚えている国民がすんなりと受け入れる訳にいかないことを、フジはなぜわからないのでしょうか。電波は国の限られた公共財産であり、それをTV会社が特権的に使用させてもらっていることを基本的に認識しなければなりません。
さて、レストラン、ホテル、百貨店などで、食材偽装が続々と表面化しましたが、これは、いわゆる「コンプライアンス」(法令遵守)が、わが国では、まだまだ身に着いていないことを表しています。上滑りの観念に終わっているのでしょう。なぜならば、コンプライアンスという「言葉」と「イメージ」が、使っている人でさえ十分に理解し納得できていないからです。
このブログをお読みになっている皆さんは、コンプライアンスの本質を理解され、身体に沁みついているかも知れませんが、ビジネスマン育成塾という大看板を掲げているわたしは、未だに「コンプライアンス」の持つ真の意味を掴み得ていないし、体感も出来ておりません。こんな不祥事続出を見れば、コンプライアンスという言葉は未だ日本語化していないと考えざるを得ません。
わたしは、もっと分かりやすい「日本語」に置き換えなければ、理解されるまであと30年以上もかかるのではないかと危惧しています。…たとえば「商道徳」とか「ビジネスモラール」あるいは「企業倫理」などに変えては如何でしょう。
それでは、偽装などの不祥事を出さないようにするにはどうすべきかについて述べたいと思います。その基本は二つ…。
【1】 会社創業の精神に還ること
【2】 企業といえども公の感覚をもつこと
まず、会社創業の精神を考えてみましょう。どんな会社であっても、創業の精神は素晴らしく光り輝いています。その精神は、たとえ古い時代のものであっても、社是、社訓として、あるいは企業理念として、生きた言葉となって基本的心構えとして現在に受け継がれているはずです。
それは、創業者が心血を注いで会社を発展させてきた原動力というべきものであり、一点の曇りない創業経営者の偽りのない理念ですから、今、あらためて確認することが肝要ではないでしょうか。
阪急阪神ホールディングスの経営理念には、誠実【誠実であり続けることから、私たちへの信頼が生れます】という言葉が掲げられていますから、阪急阪神ホテルズの社長が記者会見で「偽装ではなく誤表示だ」と発言すること自体が経営理念に悖(もと)ると言われても反論できません。
高島屋の、創業の精神【店是】には立派な文言が並べられています。
・確実なる品を廉価にて販売し、自他の利益を図るべし
・正札掛値なし
・商品の良否は明らかにこれを顧客に告げ、一点の虚偽あるべからず
・顧客の待遇を平等にし、いやしくも貧富貴賤に依りて
差等を附すべからず
阪急グループの総帥であった偉大な実業家小林一三の言葉
・第一に正直でなければならぬ
・第二に礼儀を知っていなければならぬ
・第三はものごとを迅速、正確に処理する能力がなければならぬ
高島屋にしても、阪急にしても、創業者の経営の原点についての言葉に真摯に耳を傾けていれば、恥をさらすことを防げたのではないでしょうか。近代日本を牽引した偉大な実業家・渋沢栄一が「商売をする上で重要なのは、競争しながらでも道徳を守ることだ」と喝破しているように“誠実な経営”が企業に求められています。誠実な企業とは、自社の企業理念、価値観を経営者と社員が共有できている会社のことを指します。
その次に大事なことは、企業といえども「公」の感覚を持たねばならないことです。今、不祥事が生じている根本原因は、公益をないがしろにし、私益のみを追求していることによるものではないでしょうか。この現代の一部の間違った観念がCommunity(共同体)意識の低下と劣化をもたらせ、社会の不安定化につながっているように思えてなりません。
これについて、わたしの恩師故高坂正堯京大教授の言葉を引用します。
『最近とみに私論と公論、私益と公益の区別がつかなくなってきた。今日では私論を合わせれば世論となり、私益を合計すれば公益になるかのように考えられている。しかし、実はそうではない。政治や経済、さらには教育や文化の問題を論ずるときには、公共の利益が存在することを前提にし、公共の立場に立つように努力しなければならない。』
(「現代日本の政治経済」PHPより)
企業は、さまざまの不祥事を予防し、また、生じた際は最善の対応をするためにも、幹部、管理職の選考にあたっては、社会的感覚すなわち公の感覚をもった人物を登用することが必須でなければなりません。しかしながら、現実はそんな人事政策はほとんど行われず、使い勝手の良い部下を私利的に登用する企業が圧倒的に多いために、不祥事の続出はとどまるところを知りません。
それにしても、このような事件、社会現象を見るにつけ、石川五右衛門の有名な辞世の句が頭によぎってまいります。
『石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ』
盗人のところに、偽装、不当表示、やらせ、を入れれば、現代にも十分通用する含蓄のある歌ではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えになりますか。
次回も
時事エッセー
です
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コメント
まことにもっともな意見です。自分の見解と一致しすぎているとあえて読む意欲がなくなる危険性もあります。
現在の問題は、「…私論を合わせれば世論となり、私益を合計すれば公益になるかのように考えられている…」ところにあるので、そこをもう少し突っ込んでマスコミのいう世論の欺瞞性を分析してほしいと期待します。
なお、名前とメルアドの欄に(任意)とあるのは入力不要と誤解されませんか?
投稿: 吉田 修 | 2013年11月15日 (金) 07時17分