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2014年1月10日 (金)

「米国頼み」…その時代はもう終わったのだ!

 411回目のブログです。

“ あの声で 蜥蜴食らふか 時鳥 ”
宝井其角
(江戸中期・芭蕉の高弟)

 <あのこえで とかげくらうか ほととぎす> 美しい鳴き声で知られる小鳥の代名詞のようなホトトギスが、実は、グロテスクなトカゲのような生き物まで餌にする精悍な鳥であるとは。人は見かけによらぬものだ…。

 英語では、You can't judge a book by its cover. あるいは、A fair face may fide a foul heart. と言うそうです。「人は見かけによらぬもの」とはよく経験することですが、それは、単に人間のことに限られるのではなく、いろんな組織や、いろんな国家においても、外見と中身が大いに異なっていることに驚かされます。

 さて、アメリカ合衆国と日本国の関係、すなわち日米関係は、一応順風満帆に推移してきておりましたが、それは、第2次世界大戦の勝利国・米国の主導に、日本が従順であったからに過ぎません。しかしながら、わが国が、伝統ある国として真の自立への道を模索しようとすると、アメリカはそれに歯止めをかける言動を陰に陽に行うようになってきています。

 第2次大戦(大東亜戦争)後、わが国は、偏にアメリカの要望と指示に従い、大いなる甘えのなかで、上手く立ちまわってきたのは紛れもない事実です。まさに、おんぶに抱っこでした。60年以上も同じ状態が「続きましたが、今では10年がひと昔、アメリカの世論も、10年前と現在とで大きく変わりつつあることを、厳しく認識する必要があるのではないでしょうか。二つの現象からこの問題を考えてみたいと思います。

米国世論調査:アジアで最も重要なパートナーは「中国」!

  外務省は、12/19、米国で実施した平成25年度の対日世論調査の結果を発表。いろんな設問がありますが、最も重要な冒頭の設問への回答に注目ください。(日本・中国・韓国の数字のみピックアップ)

  【アジア地域の中でどの国が、米国・地域にとり
           最も重要なパートナーであるか】

          2013年  2004年
  <一般の部>
    中国     39%    26%
    日本     35%    48%
    韓国      7%     2%
  <有識者の部>
    中国     43%    24%
    日本     39%    65%
    韓国     14%      ー

 10年間での大きな変化に瞠目(どうもく・驚いたり感心したりして目をみはること)する必要があります。特に有識者の部において、日本と中国との差は、10年前が+41、それが今や-4、45ポイントも変動した事実に着目しなければならないと考えます。…それでもアメリカにおんぶに抱っこできると考えられるとすれば、それは余程の甘ちゃんかお坊ちゃんではないでしょうか。

  米国大使館:安倍総理の靖国神社参拝についての声明

  米国大使館(正式には駐日アメリカ合衆国大使館)は、安倍総理の1226日の靖国神社参拝について声明を出しました。(仮翻訳・正文は英文)

『日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している。
米国は、日本と近隣諸国が過去からの微妙な問題に対応する建設的な方策を見いだし、関係を改善させ、地域の平和と安定という共通の目標を発展させるための協力を推進することを希望する。
米国は、首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に注目する』

  最初の部分の英語文
Japan is a valued ally and friend. Nevertheless, the United States is    disappointed that Japan's leadership has taken an action that will    exacerbate tensions with Japan's neighbors.

 大使館に引き続き、米国本土の国務省も同一内容のコメントを発しました。米国の失望(disappointed)という言葉に喜び勇んだのが朝日・毎日・東京/中日・有力地方紙・NHKなどの反安倍、反靖国、反国防(反自衛隊)メディア陣です。

 ところで、英語に堪能な「国際派時事コラム」の泉幸男氏によれば、無法な行為に対する外交的コメントは、抗議の意味をこめたregret(遺憾)、または、今後これに関与していく意思を表明するconcern(懸念)という語であり、disappointed とは「靖國参拝にまつわる近隣国との緊張は、米国にとっては他人事ではあるが心外なり」というメッセージだそうです。

 要するに、米国は直接的な抗議の意図を含まない表現とするためにdisappointed という語を使ったのですが、メディアは意識的に、disappointed=失望、失望=非難=抗議だとエスカレートした言葉に祭り上げてしまいました。

 しかし、そうは言っても、アメリカの大使館や国務省(日本の外務省に当る)が、安倍総理の靖国神社参拝に関して、敢えて、声明を出したのですから、アメリカ政府が日本に対しかなりの不満を示したことは明白です。

 アメリカ合衆国は、靖国問題については、今までは日本国の純粋な慰霊の問題だとして刃を向けることをして来なかったのですが、今回、特に声明を出してきたことは、アメリカサイドに質的な意味での変化の潮流があることを如実に示していると判断できます。

 だからと言って、アメリカがけしからんというつもりは毛頭ありません。一般に、国家は国益に利することであれば何でもやります。アメリカという国家は、第2次世界大戦の歴然たる勝者として、東京裁判(正式名/極東国際軍事裁判)で、国際法に照らし完全に違法な事後法で、敗者日本国を完膚なきまでに裁く前近代性を持つ国でもあります。

従って、たとえ中国が異常な人権抑圧国家であったとしても、アメリカは、1党独裁の共産主義国・中華人民共和国(俗称/中国)と立憲君主制自由民主主義国・日本国を天秤にかけ、どちらがアメリカの国益に利するかなどの判断を冷徹に行っているのも、ある意味で当然なのかも知れません。

 今まで、わが国は、言葉を変えて、わが国民は、アメリカにあまりにも甘え過ぎてきました。特にメディアは、アメリカへの甘えの構造にどっぷりと浸り、親中・親北・親韓・親露の路線を歩み、そのうえ反日、自虐、伝統破壊の荒んだ精神をまき散らし、わが国の力を可能な限り削いできたのは疑いもない事実ではないでしょうか。中国も、北朝鮮も、韓国も、ロシアも、そして米国も本質的には他国であるという厳然とした真実に目をそむけながらも…。

 現状、たしかに、アメリカとは日米安全保障条約という軍事同盟を結んでおり、その同盟の実をあげることこそ最も重要なことであり、ルーピーと揶揄された元鳩山首相のTrust me.発言騒動などは全くの論外と言わざるを得ません。しかしながら、所詮、アメリカ合衆国といえども他者であるという、当たり前の考え方を持つことが、わたし達日本国民の基本的認識でなければならないと思います。

 米国に表れた二つの事実。これから判断すれば、わが国は、真の意味で、いよいよ自立への道を模索していく必要があるのではないでしょうか。

 “ あの声で 蜥蜴食らふか 時鳥 ”…この俳句の含意をじっくり感じ取りたいと思う平成26年のはじめです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

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コメント

 自身が危難に陥る可能性が高くても親密なパートナーを助けることは武士道の説くところであり、我が国の歴史には多々見られる。だが、国家・民族レベルにおいて自国の存亡をかけて同盟国を助けた例は世界史上稀である。つまり国家間の同盟は自立自衛能力をもった国家同士にあって初めて有効なのであって、自衛能力の不足を同盟国が補ってくれると考えるのは、親の過保護から未だに脱しきれない精神未熟の民族だけである。そろそろアメリカの外交政策に一喜一憂するのは止めにして環太平洋の国々が外交政策を立てるにあたって、常に日本の存在と立場を配慮しなければならないような、経済的にも軍事的にも外交的にも「それなりのパワー」をもった日本を確立すべきである。

投稿: 齋藤仁 | 2014年1月10日 (金) 08時34分

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