“租税回避”…アマゾンなどのアンフェアーと不実!
425回目のブログです。
“なにごとに 思ひ入るとも 人はただ まことの道を 踏むべかりけり”
明治天皇御製(明治37年)
どのような事に思い入れ取り組むにしても、人として、唯々“まことの道”を踏んで行かねばならない…。
「まこと」という言葉は、漢字で書けば、誠・真・信・実などいろいろありますが、まことの道を踏んで行くことはそう容易ではなく、それだからこそ、明治天皇の御製の意味を心に刻まなければならないと思います。
桜の散るのがあっけなく、あれよあれよと見ていましたが、早いもので、もう4月半ばとなり、経済活動のなかで注目を集めていた「消費税」も8%が徐々に浸透してきているようです。
企業にとっても、生活者にとっても、3%の消費税アップはかなり厳しいものがありますが、前宣伝が効いており、前回のアップ時よりはスムーズに流れるのではないでしょうか。
しかし、このような時であればこそ、政府や政治家は出来得る限り税の公平を追求してもらいたいものです。確かに、何が公平かについてはいろいろな議論があるでしょうが、少なくとも、良識・常識に反するアンフェアーな政策や不誠実な姿勢には、速やかに鉄槌を下し、改革、改善の実をあげるべきだと考えます。
アンフェアーな納税姿勢を露骨に見せているのは、有名な超巨大企業といわれるアマゾン、アップル、グーグル、フェイスブック、マイクロソフトなどであり、彼らの租税回避行為はあまりにも度が過ぎています。
租税回避(tax avoidance)は、通常の法形式によらず異常な法形式による取引を通じて税負担を軽減しようとすることであり、不法に税負担を逃れる脱税や、税法の範囲で課税を低減しようとする節税とも異なります。一応、形式的には合法ですが、租税の公平の観点からは容認できないものとされています。
彼らは、タックス・ヘイヴン(tax haven・租税回避地・軽減課税/税免除の国や地域)を利用するなどして租税回避に全力をあげています。タックス・ヘイブンは、金融中継地のケイマン諸島などが有名ですが、アメリカのデラウェア州も悪名高い存在です。
租税回避の具体例を少しあげてみましょう。考えさせられること極めて多いのではないかと思います。
①アマゾンの電子書籍は、データを米国内のサーバから配信しており、わが国の消費税の課税対象外となっています。それに対して、わが国の企業は同じ電子書籍配信で8%の消費税を払わなければなりません。アマゾンで買うならば500円(定価500円+消費税0)、他の国内企業から買えば540円(定価500円+消費税40円)となり、全く競争になりません。誰が見ても、不公平、アンフェアー。
これは、無形のソフトの輸入に課税しない旧来の法を現代に合致させることを怠ってきた財務省の責任ではないでしょうか。今や、無形のものに価値を見出し得ない人間は化石人間と言うべきであり、時代をリードしていく資格は全くありません。
また、書籍も米国へ輸出したことにして消費税還付を受け、実質消費税ゼロ。さらに法人税を負担していなかった。(今はきちっと納税していると思いたいのですが…)
こんなことを許すとは、財務省・税当局の怠慢ここに極まりというべきか。
②サムスン電子ベトナム工場のスマートフォン輸出額は昨年1兆3000億円に及び、ベトナム国家には相応の法人税が入るであろうと思われましたが、何と、1~2月期で200万円というスズメの涙ほどだったそうです。本当にえげつない韓国系多国籍企業、とほほ…。
③スターバックスコーヒーUK(英国)が3年間で12億ポンド(約1524億円)の売上がありながら、法人税を全く納めず。
④スターバックスコーヒーUKは、2011年度3億9800万ポンド(505億4600万円)の売上げがあるにもかかわらず、3300万ポンド(41億9100万円)の損失を計上。
そのからくり(手口)
・知的財産使用料(代金の6%)を英国の会社に支払う
・コーヒー豆をスイスの会社を経由して購入(焙煎はオランダ)、
法人税が英国の半分のスイスに利益を分散。
・子会社や関連会社間の融資として、ロンドン銀行間取引金利に
4%上乗せして支払う。
⑤フェイスブックUK:2011年度法人税が2100万ポンド(26億6000万円)の推定に対して、納めた法人税は23万8000ポンド(3000万円)。(③④⑤はロイター通信2012/10/16より)
⑥アップルUK:2011年度には5億7000万ポンド(723億9000万円)の法人税を納める義務があったが、利益を圧縮し、1440万ポンド(18億3000万円)の法人税しか払わず。(サンデー・タイムズより)
⑦グーグルUK:タックス・ヘイブンの英領バミューダ諸島を使い、本来2億2400万ポンド(284億5000万円)支払うべき法人税を600万ポンド(7億6000万円)しか払わず。
⑧アマゾン:2006年に欧州本部を英国からルクセンブルグに移設。2010~2011年の2年間、英国に法人税を納めず。(⑦⑧はマイケル・ミ-チャー元環境相の発言)
これらの超巨大企業は、新しいビジネスモデルで、消費者に高品質な商品を安価に提供するクリエイティブなブランドイメージを創りあげた企業ばかりです。そのイメージは表向きの顔で、裏の顔は上に記したようにドロドロした歪んだ顔をしており、反社会、反国家、反モラル、反良識であることは一目瞭然ではないでしょうか。
彼らは、一様に、当該国の「雇用」に貢献しているのだから非難されるいわれはないと主張します。しかし、その企業は、たとえば日本国であれば、わが国の領海・領土・領空すべて、分かりやすく言えば、わたし達国民が永年にわたって税金で築き上げてきた北海道から沖縄県までのインフラ(産業や生活の基盤・社会資本・インフラストラクチャーの略)やさまざまのシステムを使わせてもらっているのですから、応分の負担をするのは当然のことです。間違っても、薩摩守忠度(さつまのかみただのり/無賃乗車の俗語)であってはなりません。
わが国では、2~30年前「企業性悪説」が盛んに唱えられましたが、この現象を見ればまさしくそうであると言わざるを得ません。特に、真の本当の愛国心を欠いた多国籍企業には、善を求めてもムダというものであり、厳しい法により取り締まることが最も肝要ではないでしょうか。
政府、財務省には、鉄槌をくだすことや他国との連携など、一層の奮起を願いたいものです。そうでなければ、わが国の企業も本社をタックス・ヘイブンに移し、租税回避を積極的に行おうとする企業が続出するように思えてなりません。
もうすでに、一部の企業にはそのような動きの兆しが見えます。その時が来れば、新聞やテレビなどのマスメディアは、尻馬にのって囃したてるだけでしょう。
現状、わが国の新聞などのマスメディアは、超巨大企業の不誠実な行動、租税回避などに焦点と刃を当てることなく、ただ単に消費税増税を後押しするのみです。国民経済の観点からの冷静な議論を提供するという、メディア本来の役割を放棄していると言わざるを得ません。
あらためて、明治天皇の御製にある“まことの道”を考えてみたいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です
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