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2014年10月24日 (金)

二人の女性大臣辞職…女性登用問題を考える!

 452回目のブログです。

    『山のあなた』(カール・ブッセ 上田敏訳<海潮音>より

山のあなたの空遠く
「幸
(さいはひ)
」住むと人のいふ
(ああ)、われひとと尋()めゆきて
涙さしぐみ、かへりきぬ
山のあなたになほ遠く
「幸
(さいはひ)」住むと人のいふ

 美しく和やかな調べ。幸せっていったいどこにあるの?という子供の問いに対して、ずっと遠くの山の向こうのさらに向こうにあり、もっと大きく立派になればきっとみつかるはずよ、という優しい母のこたえ。これが「山のあなた」の麗しい詩情でしょうか…。

 はどこにあるのでしょうか、あるいはどこにも無いのでしょうか。この、ある意味で哲学的な質問に満足にこたえることはむずかしい。それは、幸せというものが各個人の心によるものが濃厚であり、単なる環境やひとつの政策のみで左右されるものではないからではないでしょうか。

 そうはいっても、近隣のかの国とは異なり、自由で、民主主義で、自立自尊、永い伝統を尊重しつつ、公と私とのバランスがとれ、豊かな生活ができる国と社会をバックボーンとして確立することができれば、ひとりひとりは、より幸せに近づくに違いありません。しかし、なかなか世の中は思うにまかせず…。

  小渕経産相と松島法相辞任、首相「深くおわび」

 小渕優子経済産業相と松島みどり法相は20日、閣僚を辞任した。小渕氏は関連する政治団体で不透明な資金処理があった問題、松島氏は地元選挙区でうちわを配布した問題の責任を取ったもの。201212月に第2次安倍内閣が発足して以来、閣僚が途中で辞任するのは初めて。政権の看板である女性閣僚2人の辞任は、安倍政権にとって大きな打撃となる。
          (2014/10/20 Yomiuri online一部抜粋)

 松島法相は「うちわ」という僅かな瑕疵で、小渕経産相は「数千万円の不明金」という大きな法律違反で辞任。安倍総理により即日新大臣が選ばれ、21日には皇居での認証式を経て、あらたに、上川氏(女性)が法相に、宮沢氏(男性)が経産相が就任しました。

 いわゆるアベノミクスの根幹のひとつがぐらついたことは否定できませんので、これで政権が安定化するのかどうかは予断を許しません。政敵は、常に、陰に陽に、相手の失政、失策、汚点を望んでいるということは政局においては常識ですから。

  アベノミクス
1、金融政策
2、財政政策
3、成長戦略
4、女性政策

 一般的にはアベノミクスは3本の矢と捉えられていますが、安倍首相は成長戦略のなかで、女性政策を格段に重視し、ことあるごとにそれに関する発言をしていますので、4本目の矢と捉えてもよいと考えます。

 わが国において、女性の活用、登用は、時代の大きな流れになっていることは疑うべくもありません。企業ではダイバーシティ戦略などを唱えるところも増えてきました。「ダイバーシティ」(Diversity)とは、一言で言えば「多様性」のことであり、さまざまな違い(性別・年齢・国籍など)を尊重して受け入れ、職務に関係のないことは無視し、個人の成果・能力・貢献だけを考慮する人材マネージメントのことです。

 しかし、このダイバーシティという言葉はまだまだ一般化した用語ではなく、生硬さを感じさせており、社会に定着したものとはなっていません。

 安倍首相が女性政策を重要項目に掲げた背景には「ダイバーシティ」社会が世界の趨勢ではないだろうか。女性の活用は経済発展に欠かせず、成長戦略の要である。女性の登用はCSR(企業の社会的責任・Corporate Social Responsibility)のひとつとして考えられるのではないか、女性の人気を獲得し、選挙での女性票を期待したい。との認識や目論見があったと思われます。

 そこで、先日の改造内閣では、4分の1強にあたる5人の女性閣僚を登用するとともに、役所や企業での女性管理職率を30%に引き上げる目標を掲げました。

 その結果が、女性大臣2人の辞職。特に、小渕経産相の数千万円使途不明金等の政治資金処理は論外と言わねばなりません。ここで疑問でならないのは、何故小渕氏を重要閣僚である経産相に選んだのでしょうか。わたしは日ごろ主要政治家の発言をウォッチしていますが、小渕氏の、政治信条、経綸(国家を治め整える方策)、国家観、歴史観など、寡聞にして耳にも目にもしたことがありません。

今回の辞任の弁を聞いても、その軽さと自覚の無さはどうしようもありません。国会議員としては失格!それが、二世・三世だからとか、女性だからでは、安倍首相の人を見る目が曇っていたことになるとともに、女性を輝かせたいという願望だけで女性を選んだとすれば、それは完全に間違いであり、順調に行き過ぎている「驕り」(おごり・いい気になり思い上がること)を感じざるを得ません。

 女性の登用については、先進国ノルウェーの状況が大いに参考になります。(Business Journalより)

 管理職の女性比率:32.2% (2012年国際比較) (日本:11.1%
 首相・財務相、経団連会長労働組合連合会長も女性
 上場企業の取締役女性比率:40%以上を義務化
(2003年会社法改正)
 それに伴い、業績悪化、時価総額12.3%下落
   ∥    30%の企業が非上場企業に転換

 ここが非常に大切なことですが、取締役女性比率に40%以上を義務化したために、企業のモラルハザード(経営倫理の欠如)を招いたこと。上場企業の取締役会は女性役員が40.7%を占めていますが、数合わせのために女性の社外取締役を増加させる事態が横行し、実際に経営に携わる女性役員は6.4%に過ぎないとも言われているようです。(南カリフォルニア大学/ミシガン大学調査)

 女性登用先進国ノルウェーの実態を見るにつけ、わが国、わが政府、安倍首相が推進している女性管理職率30%については、単なる強制的な目標数値であってはならず、個別企業、業界、経済全体、社会全体にどのような影響が生じるのかについて、プラスとマイナスの両面をあわせて考慮すべきではないでしょうか。少なくとも、数値の義務化は避けるべきです

 安倍首相のように、カッコいい女性閣僚イメージだけでは、遅かれ早かれ化けの皮が剥がれ、しっぺ返しを食らうのは目に見えています。女性政治家には、政治信条、経綸(国家を治め整える方策)、国家観、歴史観などにおいて立派な見識の持ち主がいるではありませんか。そんな素晴らしい女性政治家に政治を託してはどうでしょうか。要は、男女を問わず力量と人間性だと考えます。

 さいごに、前回のブログでも引用しましたが、もういちど、鉄の女と言われた大政治家の言葉を引用します。

 ☆ マーガレット・サッチャー(英国首相)

女性運動を声高にやる人は嫌いです。
       男女の別に関係なく、
       人間は能力で決まる。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

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コメント

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御意見に賛成です。人は男女を問わず、人格と識見によりその地位を与えられるべきであり、特に一定比率を割り当てるような制度はモラルハザードを招くことになり、絶対に避けるべきです。このような割り当て制度そのものが、人間の力量を人数で評価できるとする浅薄な平等主義に根ざすものです。本質的に共産主義と同じ、唯物論、ニヒリズムに立脚する、人間性否定の思想です。安倍内閣の政策の多くに賛成ですが、この女性登用を重視する政策には反対です。大事なことは、女性の登用ではなく、優位の人材、特にリーダーとなる資質を持った人材の登用です。私は日本の母親の優しさ、強さ、謙虚さ、賢さを再認識することがまず必要だと思います。日本の母は自らは表に立たなくても、立派な人材を育ててきました。育児、家庭を守ることにこそ、女性でなければできない本然的な力を、無理なく発揮できる場があるはずです。立派な子供達を育て上げることは、女性でなければできない創造的活動であり、社会への最大の貢献ではないでしょうか。母としての女性本来の生き方の価値を再認識すべきであり、いたずらに男性と同じ生き方を追求するのは、女性にとっても不幸であり、何よりも子供達にとり不幸です。欧米流の男女平等主義に流されて、日本の伝統的な家族や母親の役割を軽んじるなら、結局日本の良さも失われ、欧米流の厳しい生存競争に勝ち抜くこともできない、中途半端な未婚の女性を多数輩出することになるのではないでしょうか。女性の社会進出を叫ぶ前に、先人の生き方から謙虚に学ぶべきです。

投稿: 矢野義昭 | 2014年10月24日 (金) 06時36分

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