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2014年12月26日 (金)

サイバーテロ…ソニー北朝鮮に屈す?

 461回目のブログです。

 

“ 何事も なきを宝に 年の暮れ ”
(
作者不詳)

 

 (昔は大晦日に1年間のつけを精算する商習慣があり支払いで大変だった)支払うお金がなくて逃げ回った人もいるなかで、年の暮れを何事もなく無事に過し、めでたくお正月を迎えることは何と幸せなことであろうか…。

 

 平成26年(皇紀2674年・西暦2014年・甲午)も、あと数日で幕を閉じますが、この一年間何事もなく過ごし、新しき年を迎えられる人は、その幸せを天地に感謝しなければなりません。

 

 大方の人は、仕事、人間関係、家族、教育、お金など、何がしかの苦しみや悩みを懐いたまま年を越し、新年を迎えて、心新たに、充実した一年を期するのではないかと思われるからです。

 

 先日、今年の漢字(日本漢字能力検定協会)として「税」が選ばれ、税金、税制が国民の最大の関心事であることがわかりましたが、この師走に、もうひとつ注目されたのが、わが国の有力企業が標的になっている「サイバーテロ(cyber-terrorism)であり、国際的にも大きな事件となっています。

 

ソニー映画公開中止、サイバー攻撃は「北朝鮮関与」と米当局断定

 

ソニーの米映画子会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)に対する大規模なサイバー攻撃で、米当局が北朝鮮の関与を断定したことが分かった。米政府関係筋が明らかにした。
これに先立ち、SPEは北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」について、25日に予定されていた公開を中止すると発表した。
ギングリッチ元下院議長は「ソニーが屈したことで、米国は最初のサイバー戦争に負けた。これは非常に危険な先例になる」と指摘した。
            (2014/12/18 REUTERS一部抜粋)

 

 今、世界はサイバーテロ(サイバー攻撃とも言う)対策に躍起になっています。サイバーテロは、ネットワークを対象に行われるテロリズムであり、その破壊力は現在のIT社会を機能不全にし、社会全体を根幹から破壊するものであり、闇の精密核兵器とも言われる存在です。

 

 サイバーテロと言えば中国。中国のサイバー特別部隊「61398」の存在が近年明らかになりましたが、この組織は、サイバー攻撃を統括する総参謀部傘下の部隊として、サイバー技術に加え、英語にも堪能な精鋭を集め、上海郊外に巨大な本部を構えています。

 

 彼らは2006年からハッキング行為(他人のシステムを不正な手段で操作し機密情報を入手すること)を開始し、米国や日本など世界先進諸国のテレコミュニケーションや宇宙開発などの最先端技術や、安全保障の機密情報を、易々と、タダで、組織的に、国家の意志で、無法に略奪しているのです。

 

最高度の知識と卓越したIT技術を有した『ハッカー』が少なくとも3000おり、陰湿な国際的犯罪を日夜行っていること、そしてネット言論統制検閲システムの存在、数十万人の「サイバーポリス」が暗躍していること(国境なき記者団報告)を厳しく認識しなければなりません。これは数年前のデータであり、今ではさらに増えていると思われます。

 

 北朝鮮は、金正恩体制下、約3000人のハッカーからなるチームが結成されていると伝えられています(英紙「Daily Telegraph)。それも世界水準からみても最高級のレベルにあるようです。

 

因みに、今回のサイバーテロは、単に数多くの映画のデータにとどまらず、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント社の、役員/従業員の報酬・全社員の住所・社会保障番号・電話番号・著名なハリウッド俳優のパスポートコピー・検討中の出資案件など、ありとあらゆる個人情報と企業の機密情報を盗み取ったとされています。ソニーは機密情報管理が大甘であり、危機管理意識が極めて薄いことを露呈したと言わざるを得ません。

 

 アメリカ政府は、早くから北朝鮮の犯行と睨み、大掛かりな調査の結果として、北朝鮮の犯行に間違いはないと断定しました。

 

 それにしても、日本は、政府も企業もテロにからきし弱いと言わざるを得ず、歴史をさかのぼれば、福田赳夫首相の時の「ダッカ事件」を思い浮かべます。

 

【ダッカ事件】(ダッカ日航機ハイジャック事件)

 

昭和52年(1977)に日本赤軍が起こしたハイジャック事件のこと。フランスからパキスタン・インド・タイを経由して羽田行きの日航機が日本赤軍5名によりハイジャックされた。日本赤軍は600万ドル(16億円)と、日本で服役勾留中の9名の釈放を要求。
これに対して、内閣総理大臣・福田赳夫が「一人の生命は地球より重い」と述べて、身代金600万ドルの支払い及び超法規的措置として獄中メンバーなどの引き渡しを行ったのである。
検事総長の神谷尚男と法務大臣・福田一は、この様な「超法規的措置」の施行に対して強硬に反発し、福田一は施行が決定された後に「引責辞任」した。

 

 「一人の生命は地球より重い」という言葉に酔いしれ、テロリストに加担したことで、福田首相は世界の非難を浴びましたが、わが国では拍手喝采、これは「一人でも反対があったら橋を架けない<橋の論理>と発言した革新派の美濃部都知事に通ずるものがあります。いずれも政治家にあるまじき微温体質でした。

 

 ソニーは現在再建途上にあります。SPE以外の、最先端技術情報を含む膨大なデータがハッカーによって侵略されているとすれば、再建に赤信号が灯ることも考えられるのではないでしょうか。

 

 それでは、わたしたちはどうすればよいのかを考えてみましょう。

 

 政治家も、官僚も、企業経営者も、あるいは全ての組織の上層部は「安全保障」の感覚を持たねばなりません。国を守るのも、企業を守るのも、同じことであり、軍事学をベースに危機に対処することが肝要ではないでしょうか。わが国では、長年にわたって軍事を論ずれば右翼、ファッシスト、軍事オタクとして蔑まれてきましたが「軍事学=平和学」が欧米先進国では常識です。軍事を知らなければ平和を築くことはできません。もう、軍事アレルギーを卒業しようではありませんか。

 

わが国では、すべての国家機関(国会・政府・司法)はもとより、企業もガードが極めて甘いと指摘されています。企業も中枢には、安全保障の鋭い見識と感覚をもった人を配置すべきであり、曲がりなりにも安物の「ゴマすり」を置くべきではないと思います。危機管理の手始めとして、ビジネスマンは、まず安全保障についての勉強から取り掛からなければなりません。

 

 わが国の経営者のなかには、韓国や中国などから辞を低くしてお願いされれば、最高度の技術情報や機密事項をやすやすと譲ることに何の痛みも感じない人がかなり存在します。それが、5年、10年、15年たって自社が脅かされるという事態に発展することも多く、問題勃発、存続の危機を迎えるという体たらくです。(たとえば電気のS社)

 

 どうしてこうなったのかを振り返れば、現行憲法前文の一部「日本国民は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」があるからに他なりません。わが国は、国家の基本法で、近隣諸国の公正と信義を信頼すると宣言しましたので、国民に厳しい防衛意識危機対処能力を育むことを怠ってきました。その結果、現実の国際政治に確実に裏切られていることを厳しく認識しなければなりません。

 

 今、諸外国に対し、全幅の信頼を置いてよいのでしょうか。近年の北朝鮮、中国、韓国が傍若無人な振舞いを繰り返していることは周知の事実。それでも信頼するというのであれば、もう、何をかいわんや。

 

わたし達の国家や企業の防衛意識は薄弱ではないでしょうか。国の防衛も、企業の防衛も全く同じだということをあらためて認識し、具体的な対応策をスピーディに講じなければ取り返しのつかないことになることを危惧します。

 

 時代は、サイバー攻撃→サイバーテロ→サイバー侵略→サイバー戦争。あのオバマ大統領でさえ、SPEがサイバーテロに屈したことを残念がり、いち早く、ホワイトハウスに連絡してほしかったと述べました。……とここまで書いたところに、次のニュースが流れてきました。

 

 「金正恩暗殺」映画、一転公開へ
 
   =中止に批判相次ぎ-米ソニー・ピクチャーズ

 

  米映画会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺を題材としたコメディー映画「ザ・インタビュー」について、当初の計画通り25日に米国の一部劇場で公開すると発表した。同社は上映映画館へのテロ予告を受けて、17日に劇場公開の中止を決めたが、上映を求める世論が高まり、方針を転換した。
              (2014/12/24 時事通信)

 

 いろんな思惑のなかで、限定範囲での上映になるかと思われますが、はたしてどうなりますか。まだまだ予断を許しません。

 

 さはさりながら、ソニーの子会社・SPE社が北朝鮮から膨大なサイバーテロ被害に遭ったことは厳然たる事実です。

 

わが国が守るものは、領土、領海の目に見えるものだけではなく、長年にわたって築いてきた、目に見えない無形の財産であり、国民の知恵でもあります。日本の全組織は、第2のソニーを出さない様、万全の対策を講じなければなりません。

 

みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

 みなさんには今年もご愛読いただきありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
                          〆

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