今年の景気はどうなるか…景気循環論から見る!
464回目のブログです。
“何事の おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる”
西行(平安末期~鎌倉初期・武士/僧侶/歌人)
どなたさまがいらっしゃるのかよくはわかりませんが、自分が今日こうして生きていることはおそれ多くありがたく、ただただ涙があふれ出て止まりません…。
これは、西行が伊勢神宮にお参りして、その感動を和歌に詠んだものですが、自然の中に神々を感じ、何となくかたじけなく思わず手を合わせたものだと思います。
人間の世の中は、世俗にまみれたことばかりですが、神社(神様)や仏閣(仏様)に手を合わせるときは、人それぞれではあっても、少なからず心から敬虔な気持ちを懐くものです。ましてや、あの静謐なる伊勢神宮の神域においては、純粋な心に立ち返り、わが身とわが家族、そして何よりも大切なわが国の安寧と繁栄を祈らずにはおられません。
天地自然、万物に神々が宿るとするわが日本は、温暖な気候と豊かな水に恵まれ、ながい歴史を育んできましたが、時には天災に恐れおののく生活を余儀なくされてきたことも忘れるわけにはいきません。
自然は、恐怖も与えますが、恵みも与えます。そのなかでわたし達日本人は、自然に畏れを感じながらもありがたいという感謝の気持ちを持ち続けてきており、これからも謙虚に、調和をはかりながら対処することが大切ではないでしょうか。
自然界は災いもあれば恵みもあり、人間界も「禍福はあざなえる縄の如し」(幸福と不幸は表裏一体でかわるがわる来るものだということ<史記>)と言えます。「禍」と「福」が循環することは、天地自然・人間界の不変の真理と言うことが出来るでしょう。
四季(春夏…)、十干(甲乙丙丁…)、十二支(子丑寅卯…)、PDCA(plan-do-check-act)、などなど、循環に関する言葉はいくらでもありますが、禍福、山谷もそうです。
さて、今年の景気、これから数年間の景気はどうなるのでしょうか。山高ければ谷深し、山低ければ谷低し、という諺(ことわざ)もありますが、最近、循環論から景気を判断していこうとする「経済学のオーソドックスな思想」が一部で脚光を浴びてきています。
「景気循環論」…わたしは、あまり勉強しなかった経済学部の出身ですが、この言葉だけは記憶に残っています。この景気循環論から日本経済の動向を明確に打ち出しているのが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長嶋中雄二氏です。
嶋中氏は、2013年8月のレポートで「今、日本の景気循環に画期的な転換期が訪れようとしている」と書き出し『ゴールデン・サイクル』の到来を示しています。分かりやすい表をごらんください。
(サイクル)(名称) (別称) (周期・年)(直近の谷)
短期 キッチン 在庫投資循環 4.4 2013年
中期 ジュグラー 設備投資循環 9.4 2012年
長期 クズネッツ 建設投資循環 25.5 2010年
超長期 コンドラチェフ インフラ技術革新循環 56.5 2001年
嶋中氏は、日本経済の底流に「金(ゴールド)・銀(シルバー)・銅(ブロンズ)」のサイクルが輝いていると指摘していますが、金・銀・銅、はどのようなものでしょうか。
金 銀 銅
キッチン(短期・在庫投資循環) ↑ ↓ ↓
ジュグラー(中期・設備投資循環) ↑ ↑ ↓
クズネッツ(長期・建設投資循環) ↑ ↑ ↑
コンドラチェフ(超長期・インフラ技術革新循環) ↑ ↑ ↑
ブロンズ・サイクルとは短期・中期を除く2つのサイクルが上昇局面で重なるものであり、シルバー・サイクルは短期を除く3つのサイクルが上昇局面で重なる景気の良い状態を示しています。
『ゴールデン・サイクル』は、短期・中期・長期・超長期の四つの景気循環の波が同時期に上昇する局面のことであり、まさしく超好景気、それは明治維新以来5回ありました。
① 明治37年~38年(1904~5) 日露戦争時
② 大正5年(1916) 第一次世界大戦時
③ 昭和32年(1957) 神武景気時
④ 昭和35年~36年(1960~61) 岩戸景気時
⑤ 昭和42年(1967) いざなぎ景気時
今年は、この4つの景気循環指標が、重なって、谷から山への上昇局面を示そうとしており、今回、もしもゴールデン・サイクルを示す好景気となれば、史上6回目、48年ぶりとなります。
今、大半のマスメディアは安倍政権の経済政策であるアベノミクスに対して批判と非難を下していますが、景気、経済への己の見方を提示せずして単なる非難では何ら生産的でなく、逆に景気の足を引っ張ることになるのではないでしょうか。
嶋中氏の明確な論に敬意を表したいものです。「ゴールデン・サイクル」という言葉は嶋中氏の造語とのことですが、なかなか素晴しく当を得た用語だと思います。平成27年度(2015)がゴールデン・サイクルの示す経済状況になるとすれば、わたしたち国民にとっては、大変歓迎すべき事象だと思います。
経済は国の基盤、根幹をなすもの。国や社会のリーダーは、たとえ官民どのような立場であっても、その活性化に知力を尽くさねばなりません。高みの見物の悲観論も結構ですが、具体的な事実と、理論とでもって、明確な方向性について議論をしてほしいと思います。
景気は「気」からとも言います。空気の気、気分の気、気概の気…どれも当てはまるような気がしますが、一般的には気分の気ですから、ゴールデン・サイクル、あるいは、シルバー・サイクルという言葉を聞くだけでも、心が明るくなってくるのではないでしょうか。
しかし、景気循環論であるゴールデン・サイクル、あるいは、シルバー・サイクルは単なる言葉ではなく、経済学の基本的な論理として、諸々のデータの分析から導かれた実証分析であることに大いなる価値があります。
今年が、ゴールデン・サイクルのスタートの1年目、あるいは2年目であることを認識し、輝かしい国と社会をつくることに、国民あげて、力を尽くしたいものです。
みなさまはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です
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