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2015年4月10日 (金)

素晴しき入学式…それを近畿大学に見た!

 476回目のブログです。

 

“さくらさくら さくら咲き初め 咲き終り なにもなかった ような公園”
 
           俵万智
(昭和37年生・「サラダ記念日」)

 

 瑞々しい感性のあふれた短歌です。説明も解説もいっさい不要、ただ読むだけ、ただ聞くだけで心にスーッと入ってくる現代の名歌ではないでしょうか。英訳は…

 

 Cherry, cherry cherry trees begin to bloom, and bloom is over -- in the park where nothing (it seems) ever happened.

 

 俳句で花と言えば“桜”のことを指すように、桜は日本を代表する花のひとつです。桜の花の季節を迎えると気分も浮き浮きとし、桜狩りに精出すのも、毎年の恒例とは言え、やめることはできない楽しみでもあります。

 

 日本に生まれてよかったなあ…とあらためて思いを馳せながら、友人、知人、仲間らと公園で花見の宴を開くのもなかなか乙なもの。

 

 しかし、花が散ってしまうと、何となくもの悲しく、賑やかだった公園もまことに寂しい風情を醸し出すようになります。しかし、この盛りの短い桜の花の命に、わたし達日本人は古来より共感を覚え、心の響きを確かめ合ってきたと言えるでしょう。わたし達は、こんな折角の繊細な感性を、これからも大事に保ち続けて行かねばならないのではないでしょうか。

 

 春と言えば桜、桜と言えば入学式。入学式は人生の門出としての重要な式典(儀式・セレモニー)ですが、先日テレビニュースで、近畿大学の感動的な入学式の模様を放映していましたので、これについて記します。

 

 ロックバンド「シャ乱Q」のボーカルで、音楽プロデューサーの「つんく♂」さん(46)が、母校・近畿大学の入学式で、がん再発のため、声帯の全摘出手術をおこなったことを告白し、全く声を発せず、スクリーンに文字で祝辞を述べたのです。

 

 近畿大学は“クロマグロの完全養殖”でも著名な有力私立大学ですが、入学試験受験者数でも今年日本一であり、存在価値を一層高めつつある、開かれたアグレッシブな大学でもあります。

 

 今年の入学式もプロデュースはつんく♂さんが担うことになっていました。しかし、がん再発・声帯除去という緊急事態にもかかわらず、近大側は、そのまま、つんく♂さんにプロデュースをお願いしたそうです。大学側の一貫した姿勢はなかなかどうして、大したものです。

 

 衝撃的な告白ではありましたが、祝辞はわかりやすく、堂々とした文言であり、素晴らしいと思いました。新入生が人生を真面目に考える最高の機会になったのではないでしょうか。近畿大学当局とつんく♂さんの心意気に敬意を表します。

 

 【つんく♂祝辞全文(スクリーンに掲示された原文のまま)

 

 平成27年度 近畿大学にご入学の皆さん 入学おめでとうございます! この大学の卒業生でもあります私「つんく♂」と申します。

 

 正直言いましょう、今日のこの入学式には、近畿大学にひっしのぱっちで入学した人。狙い定めて入った人。結果的に(滑り止めで)近畿大学に入った人。いろんな人がいるでしょう。

 

 でも、あなたにとってどの大学が正解だったんでしょうか…それはわかりません。ただ、ひとつ言えるのは、この先の人生で、あなた自身が「ああ、この大学に入ってよかったな。」という道を歩めば良いんだと思います。

 

 なぜ、今、私は声にして祝辞を読みあげることが出来ないのか…それは、私が声帯を摘出したからです。去年から喉の治療をしてきていましたが、結果的に癌が治りきらず、摘出するより他なかったから、一番大事にしてきた声を捨て、生きる道を選びました。

 

 そんな私に「今年も近畿大学の入学式のプロデュースをお願いしたい!」と、この大学から依頼がありました。その時に思いました。「ああ、この大学を卒業してよかったな。こんな私がお役に立てるなら精一杯頑張ろう!」そう心に思いました。昨年末から何度も大学とメールでやり取りしたり、スタッフが伝言してくれたり、を繰り返しつつ、今日、この日を迎えました。

 

 KINDAI GIRLSの皆さん、吹奏楽、応援部の皆さん、その他たくさんの学生の皆さんが、今日の日の為に夢中でレッスンしたり、準備してくれました。「みんなで一緒に新入生を迎え入れよう!」と。

 

 ここまでの人生はもしかしたら受け身だった人もいるかもしれません。親が言うから…学校の先生がすすめたから…、でも、もうすぐ皆さんは成人します。もう自分の人生を歩んで行くんです。後悔しても意味がないんです。今から進んでいくんです。自分で決めて進んで行けば、絶対に何かを得、そしてまた次のチャンスへと繋がっていくんだと思います

 

 私も声を失って歩き始めたばかりの1回生。皆さんと一緒です。こんな私だから出来る事。こんな私にしか出来ない事。そんな事を考えながら生きていこうと思います。

 

 皆さんもあなただから出来る事。あなたにしか出来ない事。それを追求すれば、学歴でもない、成績でもない、あなたの代わりは無理なんだという人生が待っていると思います。

 

 近畿大学はどんな事にもチャレンジさせてくれます。だから何もしなかったら何もしないなりの人生をチョイスすることになるし、自分で切り開いていく道を選べば、きっと自分を大きく育てるようなそんな大学生活になるでしょう。

 

 仲間や友人をたくさん作り、世界に目をむけた人生を歩んでください。私も皆さんに負けないように、新しい人生を進んで行きます!

 

 だから最後にもう一度言わせてください。皆さん、近畿大学への入学、本当におめでとう!ああ、良かった!」と思える大学生活をセルフプロデュースしてください!

 

 そして、今日のこの出会いに感謝します。ありがとう!

 

 平成27年4月4日

 

 近畿大学入学式プロデューサー

 

 つんく♂

 

 みごとですね。わかりやすいですね。素晴らしい祝辞です。つんく♂さんが人生の転機にあたって発した、心のこもった祝辞を読み、励まされた新入生には、必ずや充実した学生生活を送ってほしいと祈るばかりです…。

 

 みなさまはどのようにお感じになられましたか。

 

次回も
時事エッセー
です

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コメント

 「ビジネスマン育成塾」のブログが、「つんく♂」にまで目配りされていることに、驚きと共に敬意を表させて頂きます。
 近大入学式の話はTVニュースでも見ましたが、終わりの方では目頭が熱くなるようなメッセージでした。TVのインタビューを受けた学生だけでなく、多くの入学生が感動をもって新生活の第一歩を踏み出したことでしょう。
 「つんく」という名前は、「♂」抜きで何となく記憶にあり、今時のあんちゃんミュージシャンだろう~と思っていた次第ですが、今回のことで認識を新たにしました。「今時のミュージシャン」にも、心有る人はいる。妻や娘とも、ちょっとは話が合って行きそうです。
 入学式で思い出しました。東日本大震災の後、地震の余波で卒業式が中止になった立教新座高校(韓国で恥をさらした同じ埼玉県の高校でなくて良かった)の校長が卒業生に送ったメッセージが、ちょっと話題になったものです。「大学に行く意味は、海を見る自由にある」というもので、「ふと心が向いたら、講義をさぼって海を見に行ってもよい。それが高校までと違うところだ」「立ち止まる自由」「現実を直視する自由」を活用せよとの内容でした。前にいた名古屋の小私立大で、コピーを新入生に配り、「群れるな」と語りかけたものです。
 入学生への「つんく♂」さんのメッセージと共に、近年の双璧かな――と思う次第です。

投稿: 宮地 忍 | 2015年4月11日 (土) 03時36分

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