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2015年7月17日 (金)

“鼓童”…和太鼓の芸術とダイナミズムに酔う!

 490回目のブログです。

 

  “ああ4月 西の國には 薔薇さく日 東の國に さくらにほふ日”
 
              堀口大學
(詩人・明治25~昭和56

 

 ああ4月、西欧の国では薔薇の花が咲き、東のわが日本では桜の花が匂うばかりに美しく咲いていることよ…。

 

 この和歌は、東と西、ヨーロッパと日本の同時期の花を対比して、いずれもその美しさを讃えていますが、特にわが日本の桜については「咲く」というよりも「匂う」ことに着目わが国独自の美的感覚を詠嘆しています。素晴らしい歌だと思います。

 

 外国には外国の素晴らしき芸術が盛んですが、上の和歌と同じように、少し見方を変えれば、わが国には、それを凌駕するであろう卓越した特異な芸術が数多くあることに気づきます。

 

 つい先日、著名な和太鼓の舞台を鑑賞してきました。和太鼓の演奏は、過去一度北陸の温泉で聴いたことがありますが、今回のは、それとは比較にならない桁違いの迫力ある演奏と耽美な舞台、まさに、圧倒されたと言っても言い過ぎではありません。

 

  太鼓芸能集団“鼓童”
 
 『鼓童ワン・アース・ツアー2015~永遠』(芸術監督・坂東玉三郎)
  会場:京都芸術劇場・春秋座
(京都造形芸術大学)

 一幕は、夜霧・朝焼け雲・午睡・カタライ・雨よ風よ、二幕は、魅惑・焚火(たきび)・ひのこ・麗しき森・満ちる・直線・四段、と、流れるように場面が展開していき、およそ2時間の舞台もあっという間でした。

 

 鼓童(こどう)は、佐渡島の太鼓集団を前身として、昭和56年(1981)の結成、ベルリン芸術祭がデビュー。以後「日本の伝統芸能を現代に再創造し、佐渡を拠点に、世界でコンサートを開いているプロ和太鼓集団」として、1/3が海外ツアー、1/3が日本国内ツアー、1/3が佐渡島での活動となっています。総勢は80数名。(Wikipediaより)

 

 何と、1/3が海外でのツアー。アメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・ノルウェー・オーストラリア・ブラジルなど46ヵ国にものぼっているそうですから驚き以外の何もありません。

 

 そして、フランス・カンヌ国際音楽産業見本市で最優秀賞、日本レコード大賞で特別賞、など数々の受賞もあるなど、世界で高く評価されています。

 

 そんなこととはつゆ知らず、わずかに鼓童という名前を知っただけで、今回、和太鼓の舞台鑑賞となったものです。

 

 場面の展開も、永遠というテーマに相応しく、自然の営みである、夜明け・光・雨・風・雲・波・星・夕暮れ・星空、その中の「人間」を演じ切る、いかにも日本らしい自然と人間の綾なすスペクタクルが舞台を所狭しと演じられていました。

 

 静寂な場面から力量感あふれる舞台までを、宮太鼓(くり抜き胴・大太鼓/中太鼓/平胴太鼓)桶太鼓(桶胴・ロープ締め)締太鼓(くり抜き胴・ロープ締め)の和太鼓や笛、鐘、踊りなどで構成。てっきり、和太鼓だけ演じられるものとばかり思っていましたが、各種の和太鼓を中心に、その他の楽器と合わさって、力強い和のオーケストラのイメージを創りだしています。

 

 メンバーは、佐渡島の2年間の共同生活のなかで厳しい研修を経たものばかりであり、その肉体的力や舞台での太鼓演奏の感性は際立って鋭いものがあるように見受けられました。

 

 それにしても、最後に演じられた、面の直径38(1m25cm)、重さ400kg、の大太鼓(たしか4張?)は迫力満点。打ち手は上半身裸、筋骨隆々、両手に大きな撥(バチ)、両足を踏ん張っての全身による撥叩き、流れる汗、芸術劇場を揺るがす大音量、聴衆も度肝を抜かれる大迫力、…これぞ和太鼓の醍醐味、真骨頂。

 

 人間の力量感、躍動感を見事に表現した鼓童の演者には、賛嘆の声以外のなにものもありません。これは聴いた人、観た人でないと理解できないと思います。テレビで視聴する小画面と小音量の舞台や音楽とはまったく比較にはなりません。釣鐘と提灯よりも大きな格差があります。

 

 舞台の演出は、歌舞伎俳優、人間国宝(重要無形文化財保持者)坂東玉三郎ですが、彼は、午睡・魅惑・直線・四段の舞台を作曲しています。和太鼓の作曲もできるとは、異能の持ち主であり、まさに、偉能な芸術家と言うべきかも知れません。

 

 和太鼓の響き、その感動が今も耳に、心に残っています。その「和」というものが、日本人には当然心地よいものですが、近年、世界の人々にも気持ちよく受け入れられるようになってきていることに目を注がねばなりません。

 

 平成25年(2013)「和食」ユネスコ無形文化遺産に登録されました。春夏秋冬、豊かな四季に恵まれた日本は、食の文化に独自性を持ち、それがいわゆる和食であり、4つの特徴を有しています。

 

  (1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
 
  (2)健康的な食生活を支える栄養バランス
 
  (3)自然の美しさや季節の移ろいの表現
 
  (4)正月などの年中行事との密接な関わり

 

 和食が世界に認められようとしています。和太鼓もそうではありませんか。その他の「和」も、その存在価値を高め、拡がりをみせる時代に入ってきたと思われます。

 

 戦後70年、わたしたちは、自虐と反日に明け暮れてきました。もう、いい加減におさらばしようではありませんか。そして、わが国の永い歴史と文化を見つめなおし、日本の優れて豊かなところを、自信をもって、素直に認めてもよいのではないでしょうか。

 

 鼓童には、和太鼓芸能集団として、一般大衆の素朴な民族・民俗舞踊としての一層のダイナミズムを発揮し、その優れた表現を世界に発信してほしいものです。

 

 “鼓童”はなかなか素晴らしい存在です。

 

 みなさんには、機会あらば、ぜひ鑑賞されることを薦めます。

 

次回も
時事エッセー
です

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