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2015年8月 7日 (金)

“日本のマスコミ”…壊れたテープレコーダー!

 493回目のブログです。

 

    対酒(酒に対す)  白居易
 
  蝸牛角上争何事(蝸牛角上 何事をか争う)
 
  石火光中寄此身(石火光中 この身を寄す)
 
  随富随貧且歓楽(富に随い貧に随いてしばらく歓楽せよ)
 
  不開口笑是癡人(口を開いて笑わざるは是痴人)

 

 蝸牛(かぎゅう・かたつむりのこと)の角(つの)の上のような小さな世界にいて、人は一体、何を争うのだろう。火打ち石の火花のように短く、はかない時間のなかに、私たちはこうして身を寄せているのだ。ならば、富める者も貧しいものも、おのおの人生を歓び楽しもうではないか。大きく口を開けて笑わないやつは、とんでもない愚か者だよ…。

 

 白居易(772~846)は、字は楽天、中唐を代表する詩人であり「対酒」(酒に対す)は人口に膾炙した有名な漢詩です。繊細かつ磊落にして酒をこよなく愛した雰囲気を独特の表現で醸し出した名歌と言えるのではないでしょうか。

 

 今、国会およびその周辺で、集団的自衛権をめぐり喧しい議論やデモ行為が繰り返されています。それらが国家国民のための真摯な議論であれば歓迎すべきことですが、そうではなく、白楽天の言う“蝸牛角上の争い”…単に、口角泡を飛ばすだけの論争であるとすれば、姿勢をあらためて貰いたいと思うところです。

 

 衆議院を通過した安保関連法案に対し、近隣諸国から批判の声が上がっているとして、TBSニュースが韓国・中国の声を報道。(7/16)
韓国の市民団体が「安保法案は日本による侵略戦争を再び可能にする悪法だ」として廃案を訴えました…。
中国外務省が「日本が歴史の教訓をくみ取り、中国の主権と安全の利益を損ない、地域の平和と安定を脅かすことがないよう厳粛に促す」と強く牽制しました…。

 

 この報道はおかしい、フェアーでなく、歪んでおり、偏向しています。「近隣諸国」が、アジアの海を隔てて接している国ということであれば次の国の声も併せてくみ上げるべきではないでしょうか。地図を広げてよーく見てください。

 

  ・韓国(大韓民国)
  ・中国(中華人民共和国)
  ・北朝鮮
  ・ロシア

  ・台湾
  ・フィリピン
  ・ベトナム
  ・パラオ
  ・マレーシア
  ・シンガポール
  ・ブルネイ
  ・インドネシア
  ・オーストラリア
  ・パプアニューギニア

 

 上記の国々がわが国と直線的に接していますが、その内、安保法制に反対は韓国と中国のみ。それも日本の政策に対してですから、明らかに「内政干渉」と言えるものです。

 

 ニュースというものが事実を公平に報道しなければならないとするならば「東ジアのほとんどの国は賛成の意を表していますが、わずかに韓国と中国の2ヶ国のみ反対の意思を表明しました」とニュースすべきではないでしょうか。2カ国以外は、積極的賛意、あるいはおおむね支持をあらわしているのですから。

 

 それを、わが国のすべての政策に反対する韓国と中国の言動のみを金科玉条としてありがたく受けとり、国内ニュースとして洗脳的に流すのは、何か為にする魂胆があるのではないかと疑わざるを得ません。

 

 前々回(7/24)のブログ「“プラカード”…議会制民主政治を否定するもの!」において、昨今の議会政治をとりまくジャーナリズムの空気を厳しく批判しましたところ、これに対して尊敬する碩学から次のコメントをいただきました。

 

 “今回のジャーナリズムの対応は、日教組闘争・安保闘争・大学紛争の時と全く同じ構図です。言論の幼稚化、単純化、大衆運動化。これでこの種の言論人の体質を見るべきです。 憲法学者の視野の狭さと展望の無さも、昔ながらです。”

 

 国会周辺の大規模な抗議集会を見れば、たしかに、60年安保、70年安保と雰囲気は似ているように見えますが、年配者が多く、若年層の関心が少ないことに差異があります。

 

 新聞などの大半のマスコミが「違憲」「海外派兵」「戦争への道」「平和主義を覆す」「9条の破壊だ」「立憲主義の否定」「戦争反対」「戦争法案」「徴兵制への道」「米軍に巻き込まれる」などに加えて「強行採決反対!」「アベ政治を許さない」などと、考えられる限りのスローガンで扇動、大衆を煽りに煽っていることは明らかです。

 

 もう、本当に、45年前、55年前の“安保闘争”時の雰囲気に似ており、まさに、壊れたテープレコーダーを聞かされているようです。ジャーナリズムも言論人も全く進歩の跡が見えません。

 

 目を現実に開くべきです。普通の成人の日本人であれば、たとえば、中国の軍事費の推移を知るだけで、このような煽りが虚しい言動にしか過ぎないことを理解できるのではないでしょうか。

 

 中国(公表分)国防費の推移
昭和63年(1988)   215億元( ,266億円)
 
平成16年(2004)  2,100億元( 4兆1,572億円)
 
平成26年(2014)  8,082億元(16兆0,380億円)
             
7/30 zakzakより一部抜粋)

 

 中国の国防費が猛烈なスピードで拡大していることに目をみはらされます。アメリカ国防省によれば、中国の国防費の実態は公表分の1.3~2.0倍になるとのこと。ちなみに、わが日本の防衛関係費が4兆8,000億円(平成26年度)ですから、中国の軍拡は、背筋の寒くなる恐るべき脅威と言わねばなりません。

 

 それを、わが国の言論人やジャーナリズムは戦後70年、ぬるま湯につかり、平和ボケをかまし、激変する国際情勢、特に中国の軍拡から目をそむけ、平和主義者の仮面をかぶり、それを自己の誇りとする偽善者となったままです。

 

 彼ら偽善的平和主義者は、二言目には、憲法を護れ、護憲こそ平和への道だと主張しますが、現行憲法の前文の終わりの文言をよく読んでから言ってみて欲しいものです。

 

 “われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。”

 

 憲法前文には「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と書いてあります。それでどうして、先進諸外国なみの、普遍的な政治道徳の法則にしたがう集団的自衛権に反対するのか。

 

 支離滅裂! まさに『憲法のつまみぐい』そのものではないでしょうか。これは、人間として、日本人として、恥ずべき心根と言わねばなりません。彼らには、口先だけの蝸牛角上の争いではなく、真摯な議論を求めたい。

 

 そのような議論を経れば、左右、上下、どの立場であれ、必ずや、憲法改定・憲法改正に行き着くのではないでしょうか。憲法改定以外にわが国の展望は決して開けないと考えます。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか

 

次回も
時事エッセー
です

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コメント

安保法制に関する憲法学者の違憲論に左派メディアが快哉を叫んでいるが、テレビや新聞のメディアは報道に際して違憲論を唱える憲法学者に対して「自衛隊は合憲か違憲か」、彼らの考えを確認した上、それも併せて報道すべきである。自衛隊違憲論者が安保法制を違憲とするのは当然である。彼らは、人間という生き物の社会も歴史も知らず知ろうとせず、ゲームソフトの達人が天下の賢人であると錯覚するかのように、タコ壺化した左派の憲法学界で論理力を競い合っている愚者集団に過ぎない。もし彼らが実社会においてもまともな知性の持ち主なら、自衛隊は違憲の存在であり、自衛隊に税金を使うのは許されない、と訴えればよい。それができずに、彼らの心情からしてやむなく「自衛隊は合憲」を合憲とするなら、合憲の理由を最高裁の判例や他の学者の説明からでなく自身の頭脳を使って「合憲の理由」を考えるべきである。その時初めて「国家の自衛権」を個別的や集団的に分ける愚かさに気付くであろう。   朝日系列や毎日系列の報道に公平性は全く期待していない。ただ彼らがニュースを捏造した事実が露見した場合は政府が一定期間の免許取り消しを行うべきではないか。

投稿: 齋藤 仁 | 2015年8月 7日 (金) 08時01分

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