「戦う」こころを忘れた日本人!
499回目のブログです。
(いよいよ次回ブログが500回となります)
“おもしろき 事もなき世を
おもしろく 住みなすものは 心なりけり”
高杉晋作(幕末勤皇の志士・騎兵隊創設者)
おもしろくもない世の中も、心持ちひとつでおもしろくなるものだ…。
明治維新の原動力となった吉田松陰と松下村塾をめぐる群像を、松陰の妹・文を主軸に描かれているNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で大きな焦点を当てられた、幕末の英雄・高杉晋作の辞世の句と伝わるものです。上の句「おもしろき
事もなき世を おもしろく」を高杉晋作が詠み、下の句「住みなすものは 心なりけり」を幕末勤皇の女流歌人・野村望東尼(のむらもとに)が加え、晋作が「おもしろいのう…」とつぶやいて息を引き取ったと言われています。
この高杉晋作の辞世の句は、NHK「その時歴史が動いた」の名言ベスト20の1位になっているほどですから、わたしたち日本人の心の琴線に触れた名歌と言えるのではないでしょうか。
今日、世界の情勢は混沌とし、わが国をめぐる周辺は、四海波静かどころか大荒れに荒れているにもかかわらず、国内には何か浮ついた言動がはびこり、わたし達国民も緊張感を欠き、微温的対応でやり過ごそうとしているように思えてなりません。
高杉晋作の和歌を借りれば、リーダーが、国民が、それぞれ危機感と責任感と公の「こころ」をもって世の中と接すれば、おもしろいものになるに違いありません。
そのあたりを、一部の世相を切り口に考えてみたいと思います。
●「廃案!廃案!」 採決迫る安保法案、国会前で反対デモ
(9/15朝日新聞DIGITALの見出し)
この記事によると、国会議事堂周辺での安全保障関連法案反対デモの参加者は主催者発表で45,000人(実態は1/3の15,000人でしょうか)、参加団体は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」「SEALDs(シールズ)」「学者の会」「ママの会」など。
一連の安保法制反対デモでメディアの注目を浴びたのは大学生を中心とする「SEALDs」(シールズ・Students Emergency Action for
Liberal Democracy-s・自由と民主主義のための学生緊急行動)という団体です。表現の仕方は、ロック調と外国語のキャッチコピーを主とし、極左的破壊暴力は行わず、ネットでの拡がりをねらっています。
「SEALDs」の主張は「私たちは、戦後70年でつくりあげられてきた、この国の自由と民主主義の伝統を尊重します。そして、その基盤である日本国憲法のもつ価値を守りたいと考えています。この国の平和憲法の理念は、いまだ達成されていない未完のプロジェクトです。現在、危機に瀕している日本国憲法を守るために、…」とのこと。
自由と民主主義が戦後70年の歴史で作られてきたと認識し、現憲法を平和憲法として絶対的に神聖視。この憲法さえ守れば、すなわちその趣旨である、非武装中立、外国性善説、話し合いで平和が保たれるとの考えですから甘い甘~い認識と言わざるを得ません。
彼ら学生は、わが国周辺に軍事的緊張が生じているという深刻な事実認識を欠いているのです。その緊張の根源が中国の並外れた軍事拡大(過去10年で4兆円→16兆円に拡大・日本は5兆円弱)にあることは世界の常識です。
学生ならば、社会の薄汚いイデオロギーから距離を置き、まず、歴史や国際政治や軍事などの本質について、志をもって真剣に学び、それから種々の判断のもとに行動すべきではないでしょうか。
そもそも、議会制民主政治の根幹は、国民が選挙によって代議員に政治判断を任せることであり、デモ(demonstration・示威行為・特定の意思/主張を集団で示す行為)で政治を決めるものではありません。民主党の福山幹事長代理は「国会周辺でのデモが12万人以上だからこの法案は採決されるべきではない」と議会制民主政治を否定する発言をする始末ですから、レベルの低さたるや、もはや何をかいわんやです。
「SEALDs」の人たちの行動は大きな間違いを犯しています。
「SEALDs」のみなさん、デモンストレ-ションするならば、東京元麻布にある『中国大使館』や札幌・福岡の領事館などを包囲すべきではありませんか。日本の国会議事堂へのデモでは、政治センスのなさから、世界の識者から笑いものにされることは間違いないでしょう。それにしても、中国大使館に抗議しないのは、単なる無知からか、何か隠さねばならない不都合なことによるかのどちらかと思わざるを得ません。
今、東アジアで軍事的緊張を引き起こしているのは、誰が見ても、中華人民共和国です。南シナ海・南沙諸島、東シナ海・尖閣諸島における中国の軍事行動の実態を、事実を、さらには、過日の「抗日戦争勝利70周年記念」軍事パレードを目を凝らして見てください。疑問の余地はないと思います。
メディアの大半は、幻想的なリベラルムードのフレーズを合唱していますが、鎖国的な日本という狭い中において平和を唱えるのは愚かなことです。世界に目を開き、世界の動向に真剣に向き合って、現実的な対処の仕方を編み出すことこそ重要ではないでしょうか。「タコツボ平和論」は即刻、忘却の彼方へ捨て去りましょう。
若い学生は、常に「世界の中の日本」という観点から日本を見なければなりません。
SEALDsの人たちは戦う相手を完全に間違っているのではないでしょうか。そして、戦う心に邪なことが入り込んでいるのではありませんか。明治維新の原動力となった高杉晋作は、全身全霊を維新回天の偉業に尽しましたが、戦いの方向に熟慮と断行、戦いの心に凛然と熱血…志の高さに目を瞠る思いです。高杉晋作の、高く広い志に、謙虚に学ぶべきだと思います。
今、真に戦うこころがあらゆるところで求められている時代です。戦うといっても武器を使った戦争ではありません。企業の世界をみても、まさに「企業戦争」と言っても過言ではなく、それに耐え、それを克服していく人材(人財)を必要としています。
近年、若い世代では楽に仕事をしたいという人が増えており、世界を股に掛けた困難なビジネスに積極的にチャレンジしようとする人が少なくなったと言われています。はたして、これで日本の企業は大丈夫なのかという心配もでている昨今です。
かつては、モーレツ「企業戦士」といわれるビジネスマンが少なくなく、時間をものともせず、仕事に一心不乱、企業の業績もあがっていました。それが、いろいろな角度からの批判がでて、モーレツ企業戦士は減少の一途をたどってきました。
しかし、これでよいのでしょうか。今一度、「戦い」は悪とか善とかではなく、勝たねばならないものとして認識して、企業戦士をいい意味で称賛する社会風土を再興する時が来たと考えます。
「戦うこと」「戦うこころ」というものに、嫌悪感、罪悪感、忌避感を持つことをやめ、正面から受けとめることが大事ではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です
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コメント
語るに落ちた。シールズの内実理解が不十分。ステレオタイプの歴史認識で、新しい動きを誤解している。かも?
参院特別委のテレビ中継により、「国会の実態」がこの国の視聴者にも外国人にも明らかにされた。由らしむべし知らしむべからず。委員の質問に常識的な言葉で説明もできない提案者が、不測の事態に当たってどんな判断をするのかは、想像できるから怖い。議長を守った6人の与党議員。まずは「集団的自衛権」の行使第一号かな?
石川達三「風にそよぐ葦」を読むと、80年以前と現在の社会政治状況がシンクロして感じられる。
投稿: kawaski akira | 2015年9月18日 (金) 14時49分
いつもありがとうございます、賛同の意を込めてちょっと一言。
現状維持症候群、井の中の蛙、ゆでガエル、純粋培養された無菌豚、イギリスのことわざに「地獄への道は、善意で敷き詰められている」というのがあるそうです、なるほど!
日本には、乞食が存在しません、禁止用語にもなっているようです、欧米の街角には、必ず乞食がいるとのこと、この乞食が存在できないような窮屈な国が今の日本、とも言えます。
ちょっと長くなってしまいました。今後とも、楽しみに致しております。
投稿: 奥田 博美 | 2015年9月18日 (金) 10時31分