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2015年11月27日 (金)

「電波特権」…テレビの問題点・その②!         

 509回目のブログです。

 

“緑なる 一つの若葉と 春は見し 秋はいろいろに 紅葉けるかも”
 
               良寛
(江戸後期・僧侶/歌人/書家)

 

 春には、緑一色の若葉に見えた山が、秋には、葉がさまざまな色に色づいている。若葉の時も良いものだが、秋の紅葉もすばらしく美しいものだ…。

 

 秋のもみじは、大昔は「黄葉」と書き、今は「紅葉」と書くように、緑の葉を黄色から紅色の間にある無限の色合いを醸し出す自然の情趣として、わたしたち日本人の心に、静かに見せてくれます。

 

 外国では、わが国のように同じ場所の紅葉にさまざまな色が混在する例はほとんどないそうですから、おそらく同じ場所には同じ木々が生えているのでしょう。わたしたちは、狭く、小さな場所であっても、色々な色が混色したり、グラデーションとなったりすることに、ある種の“ときめき”を覚えるのであり、これは、四季豊かな自然に育まれた繊細な感性と言っても良いのかも知れません。

 

 さて、先週は、テレビの問題点として「虚偽と偏向」について具体的な例をあげました。いかに虚偽や偏向があろうとも、国民ひとりひとりが自立的に判断する力を有しておれば問題は小さいのですが、私自身も含めて実際はそうではないゆえに、問題は大きいと考えています。

 

 テレビ放映では、不正や間違ったことをしても悪びれず、悪質な偏向があっても居直ったりする姿をたびたび目にしますが、その背景のひとつに、一般の国民がほとんど知っていないであろう「電波利権」なるものがあります。

 

 電波というものは“限りある”国の財産であり、無限ではありません。その限りある電波を優先的、占有的に使用する権利が電波利権であり、それが今、膨大な既得権になっていることに注目したいと思います。とりあえず、東京キー局に焦点を当てましょう。

 

 【電波利用料(H25年度・単位億円)

 

       (電波利用料) (売上高) (原価率%
NHK    18.8   7,362   0.26
日本テレビ   4.3   3,264   
0.13
TBSテレビ  4.2   3,524   
0.12
フジテレビ   4.0   6,320   
0.06
テレビ朝日   4.1   2,538   
0.16
テレビ東京   3.9   1,154   
0.34
 (計)  (39.3)(24,162) (0.16)

 

 驚愕の事実! 不思議も不思議、NHKを含め上記東京キー局6社あわせて、電波使用料がわずか39億3000万円という超安価なこと。こんなことって、あって良いのでしょうか、一国民として怒りさえ覚えます。100億円にも程遠いこの数字はあり得ず、1000億円あってもおかしくないこの利権が39.3億円…(電波は税金でつくりあげられたもの・それもあってでしょうか社員の平均給与は日本企業では超トップクラス)

 

 (NTTドコモなどの携帯電話事業者8社での電波利用料は700億円。地上テレビ事業者は、地方テレビに上掲6社を加えた128社で総額57億円)

 

 同じマスメディアでも、新聞には一応自由競争がありますが、テレビは何十年にわたって競争は無く、完全に既得権益と化しています。電波利権というよりもまさに『電波特権』という言葉が相応しいのではないでしょうか。

 

 こんな、自らは、役所に守ってくれる利権・特権にぶら下がり、甘い汁を吸いながら、国民に対しては、言論の自由、開かれた民主主義、既得権の打破、などと一見高邁な言辞を弄するなんて、正義の仮面をかぶった偽善者のようで、まるで戯画(カリカチュア)そのもの。

 

 欧米では、この権利を競り落とす「電波オークション制度」を採用しています。わが国も電波オークション制度を導入すべきだと思います。イギリスでは、この金額がGDP比2.5%にも達しましたので、わが国に適用すれば、ざっと、500兆円×2.5%=12.5兆円の巨額になり、財政改善にも大いに貢献できるというものです。

 

 また、テレビ業界にはいまだに新規参入がなく、体質が旧態依然、創造的改革にむけて新規参入を促す必要があり、そのためには電波オークションは必至ではないでしょうか。

 

 過去にも、総務省が本格的に検討したようですが、親会社的存在の新聞社や、テレビ・新聞におもねようとする脛に傷を持つ大半の政治家などの反撃を受け、また、総務省の利権温存の意向もあり、うやむやになりました。

 

 たとえ、現在の体制のままであったとしても、地上テレビジョン事業者の電波利用料を、欧米並みに、現在の50~100倍に大幅アップすべきではないでしょうか。

 

 テレビ会社は、もう、薄汚い暗い闇から正義を打ち出すのではなく、明るく健全なところに立脚し、正々堂々としたメディアとしての存在感を示してほしいものです。

 

 のうのうと利権・特権にぶらさがり、メディアという第四権力を最大限に使いこなし、政治家や官僚や社会的リーダーをうまく操り、既得権益・特権を死守しようとすることは、いかにもまずいのではないかと思わざるを得ません。

 

 電波特権と同じような利権は、あらゆるところに、まだまだ闇に横たわっていると思われます。消費税増税の前にそれらを洗いだすことも政治の重要な役割のひとつだと考えます

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回も
時事エッセー
です

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