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2016年1月15日 (金)

“反テロ法”成立in 中国…言論・人権弾圧の恐怖!

 516回目のブログです。

 

 “欲深き 人と心に 降る雪は 積もるにつけて 道を忘るる”
 
              脇坂義堂
(江戸後期・心学者)

 

 欲の深い人間は、雪が積もると道が見えなくなる、のと同じように、欲がどんどん増えて、人間の「道」つまり「道理」が見えなくなる…。

 

 私利私欲に目を奪われ、自分の利のみを追い求めていると、他人のことは見えなくなってしまいます。しかし、それが、一市民、一国民のレベルであれば、狭い範囲でのこととして多少の注意を払えばいいのですが、こと、国家権力が自己の欲望を最大限に肥大させようと目論むならば、放って置くわけには行きません。たとえ、自国であっても、他の国であっても。

 

 その欲望をギラギラと肥大化させようともしている国を隣国に見ることが出来ます。いわゆる中国(China・支那)は、正式には「中華人民共和国」( People's Republic of China)と称し、1949年(昭和24)の建国以来、社会主義、中国共産党一党独裁の体制を取り続けていますが、このたび権力独占をますます強固にするために体制維持を強化する策を打ち出しました。

 

  中国で反テロ法が成立、ネット企業に暗号提供義務付け

 

  中国の全国人民代表大会常務委員会は12/27日、暗号キーなどの情報を政府に渡すことをIT企業に義務付けるといった内容から欧米が懸念していた反テロリズム法を可決し、成立させた。
中国の当局者は、新疆ウイグル自治区を中心に過激派や分離主義者からの脅威が高まっていることが法律制定の背景だと説明している。
         
 (12/28ニューズウィーク一部抜粋)

 

 ついに、中国は、情報発信、言論への締め付けを最大限に強化することを公然と打ち出したのです。個々人の欲望はある程度おさえることができても、絶対的権力の欲望は、肥大化することはあっても、抑制することはできないのでしょう。

 

 わが国の大半のマスコミは、中国と言えば、尖閣・南沙諸島、環境汚染などはさておいて、経済大国、爆買い、インバウンド(海外からの訪日客)、AIIBなどの「経済・金」については高い評価を与えるとともに、連日、大々的に報道しています。

 

 しかし、人間が人間らしく生きる尊厳の礎である「人権の擁護」「言論の自由」「圧政なき統治」などに関してはペンを止め口を閉ざしたまま、ほとんど報道していないのではないでしょうか。そこで、中国の言論と人権について考えてみたいと思います。

 

 中国が「反テロ法」を立法化した政治目的

 

  外国の中国企業や関連企業に対する「情報窃取」
ウイグル人をはじめ少数民族
(非漢族)の弾圧・虐殺の強化と正当化
言論統制、異議、異派の取り締まり強化と目的としての正当化
             
1/4 MAG2NEWS 黄文雄氏の所論より)

 

 香港が1997年英国から返還された際、中国は、向こう50年間、従来の資本主義と自由主義を認める、いわゆる「一国二制度」を香港人に約束しました。ところが、昨年末、中国政府に批判的で「禁書」と言われる、習近平国家主席への批判や中国共産党内の権力闘争をテーマにした書籍を取り扱う「銅鑼湾書店」の経営者・従業員・株主ら5人が失踪、中国本土へ連行されたとみられています。

 

  中国は、国民への約束ごとなどはジワリジワリと無視し、中期の戦略で香港を完全に本土化しようとしていることは間違いなく「言論の自由」「出版の自由」「人権」は風前の灯と言わざるを得ません。

 

  このような事態は、共産党一党独裁下では当然生じることであり、わが国のジャーナリズムは中国共産党独裁政治の厳しい真実を捉え、マスメディアはそれを重大なこととして報道すべきではないでしょうか。

 

 中国の現状に極めて詳しい福島香織女史は、今、中国の人権状況が急速に悪化していると述べています。最近では、「民族の仇恨を扇動した罪」「騒動挑発罪」で人権派弁護士を、「国家分裂罪」でウイグル人学者を、「国家機密漏洩罪」でジャーナリストを、という具合に、当たるを幸いやり放題に起訴、有罪となっています。

 

  一党独裁とは司法や憲法の上に共産党があるという制度であり、日本のような三権分立の統治とは根本的に異なっています。その共産党を牛耳り権力の頂点にいるのが①共産党総書記、②中央軍事委員会主席、③国家主席、を兼任する習近平氏。彼は、党・軍・国それぞれの最高位にありますから強大な権力の保持者として、習近平政権に批判的な者を反動知識人として積極的に人狩りしているのです。

 

  それも、体制が体制ですから、正当な裁判ではなく、形だけの裁判であり、習近平政権の意に添うよう求められていることは間違いないでしょう。

 

 さて「反テロ法」によって、IT企業や通信業者は、データ解析に必要不可欠な「暗号化キー」を中国公安当局に提出することになるでしょう。それによりインターネット情報のすべてが中国政府当局に筒抜けになることは火を見るよりも明らかです。

 

  今までは、中国当局がメールを監視・検閲していたことは公然の秘密でしたが、これからは、海外メディアに対しても堂々とそれが可能となりました。我々のメールも検閲されるのです。中国は、欧米の懸念などは有無を言わさずはね飛ばし、サイバーテロをますます強化し「情報帝国」への道をひた走ることになるのは間違いないと思います。

 

  この法案によって、言論統制をさらに強め、少数民族への弾圧、圧政が一層強化される可能性は大きくなるでしょう。

 

  昨年12月末には中国のウイグル政策を批判したフランスの女性記者が国外退去処分となりましたが、日本人も、今、4人が拘束されていることを忘れてはなりません。

 

 中国・習近平総書記はますます恐怖政治への道を歩んでいます。国民へは限られた情報だけを与え、一方的な洗脳を継続し、海外メディア、海外メールからも情報窃取しようとする行為は、まるで、ヒットラー・スターリン・西太后・金正恩・毛沢東などの独裁者を思い起させます。そういえば、習近平総書記は毛沢東を最も崇敬しているとか。

 

 その毛沢東が率いた文化大革命により、孔子や孟子さえ罵倒され、論語の心や儒教の精神は破壊され、今や世界に冠たる“拝金主義”が跋扈している国、…それが中国、中華人民共和国ではないのだろうか思わざるを得ません。何という無惨なことでしょうか。

 

  「中国…時代を遡るほど文明度が上がる不思議な国」

 

 この言葉は著名な歴史小説家の言葉だったと思いますが、なるほど言い得て妙。これを読みかえれば、中国は時代を下り現代になるほど文明度が下がる不思議な国…ということになります。

 

 ひるがえって、わが国は、現代の大陸や半島の非文明的な精神を決して見習わず、中華人民共和国とは真逆に、悠久の歴史をふまえた文明豊かな日本精神を発揮し、

 

  『日本…時代が下るほど文明度が上がる立派な国』

 

というようにしたいものです。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回も
時事エッセー
です

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